4 / 20
ペン 病気 蛾
しおりを挟む
蛾は嫌いだ。美しい真夜中の蛍光灯に集ったり、変なところに気持ちの悪い卵を産み付けては気持ちの悪い幼虫を生み出したり、蝶かと思って近寄れば、よく見たら変な模様をした蛾だったり。それに、葉の虫と書く蝶より、我の虫と書く蛾、自己中ほど気持ちの悪いものは無い。
とまぁ、こんなことを言ってはいるが、自分もかなり自己中であるがため、体を壊し、入院している。自分の描きたいもののためにペンを取り、自分の体を省みず、自分の体を壊すことで失望させる人の事など考えず、ペンを取った。溜まったストレスは酒とタバコで黙らせて、ペンを走らせる。ただ、描きたいものを描くためだけに。
そうして、ペンが床を転がったのが、実に一昨日のことらしい。らしいというのは気が付いたら、この俗に言う病院のベッドの上だったからだ。医師による診断は、過労と栄養失調と貧血。まぁ記憶は定かじゃないが、3日は寝てない気がするし、飯もウィダーとかでやり過ごし、トイレに行けば、血便が吹き出してたような気もした。
しかし、こうベットで何もしないというのも退屈だ。ペンを走らせたことしか無かった自分がペンを持っていないというのに大きな違和感を感じ、ソワソワする。
あぁ、描きたい、描かないと。終わるまで描かないと。
そう体が言っている気がする。
心配した両親の強引な勧めで精密検査をすることになった。上から下、内から外まで調べあげるそうだ。はぁ、そんなことより、ペンを握らせてくれ。
検査が終わり、検査結果が出た。結果は「ガン」だそうだ。しかも、もうどうしようもないレベルまで進行している、と。あぁ、体の声は本物だったということか。
医者と両親に無理を言って、自宅に帰った。
さて、終わりまで時間はない、約半年だ。
これを描き終わらないと、あの人との約束を守る。守らなくちゃならないと、自身を呪ったのだから。
時は流れた。半年などゆうに超えていた。しかし、まだ俺は生きていた。描き続けていた。
そして、描き終えた。終えたんだ。
あぁ、もう、終わっていい。蛾のように、自己中心的で、気持ちの悪い作品だとしても、病に犯され、震えた字だとしても、ここまで描けたのなら悔いはない。今、君との約束を、果たして、そっちに行くから。だから、その時は、優しく抱きしめてくれ。こんな死んでも自己中心的な僕を、許してくれ。愛してくれ。君から以外の愛はいらない。こんな醜い蛾を、愛してくれて、約束をしてくれて、待っていてくれて、ありがとう。
とまぁ、こんなことを言ってはいるが、自分もかなり自己中であるがため、体を壊し、入院している。自分の描きたいもののためにペンを取り、自分の体を省みず、自分の体を壊すことで失望させる人の事など考えず、ペンを取った。溜まったストレスは酒とタバコで黙らせて、ペンを走らせる。ただ、描きたいものを描くためだけに。
そうして、ペンが床を転がったのが、実に一昨日のことらしい。らしいというのは気が付いたら、この俗に言う病院のベッドの上だったからだ。医師による診断は、過労と栄養失調と貧血。まぁ記憶は定かじゃないが、3日は寝てない気がするし、飯もウィダーとかでやり過ごし、トイレに行けば、血便が吹き出してたような気もした。
しかし、こうベットで何もしないというのも退屈だ。ペンを走らせたことしか無かった自分がペンを持っていないというのに大きな違和感を感じ、ソワソワする。
あぁ、描きたい、描かないと。終わるまで描かないと。
そう体が言っている気がする。
心配した両親の強引な勧めで精密検査をすることになった。上から下、内から外まで調べあげるそうだ。はぁ、そんなことより、ペンを握らせてくれ。
検査が終わり、検査結果が出た。結果は「ガン」だそうだ。しかも、もうどうしようもないレベルまで進行している、と。あぁ、体の声は本物だったということか。
医者と両親に無理を言って、自宅に帰った。
さて、終わりまで時間はない、約半年だ。
これを描き終わらないと、あの人との約束を守る。守らなくちゃならないと、自身を呪ったのだから。
時は流れた。半年などゆうに超えていた。しかし、まだ俺は生きていた。描き続けていた。
そして、描き終えた。終えたんだ。
あぁ、もう、終わっていい。蛾のように、自己中心的で、気持ちの悪い作品だとしても、病に犯され、震えた字だとしても、ここまで描けたのなら悔いはない。今、君との約束を、果たして、そっちに行くから。だから、その時は、優しく抱きしめてくれ。こんな死んでも自己中心的な僕を、許してくれ。愛してくれ。君から以外の愛はいらない。こんな醜い蛾を、愛してくれて、約束をしてくれて、待っていてくれて、ありがとう。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる