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信頼 爆弾 月
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「月が......綺麗ですね。」
「あ、あぁ、あなたには、ま、負けますよ......。」
「ふふ...頑張ってくれたのね。可愛い子。」
「は、はは...」
今日この日、俺は彼女とお付き合いを始めた。
色恋のいの字も経験がない俺に、こんな美しくて、可憐で、年上の余裕もある女性の彼氏になれるなんて夢見たいだ。でも、ちゃんとほっぺをつねったら痛かったから、夢じゃない...と思う。うん。
それからというもの、2人で遊園地に行ったり、ショッピングをしたり、夏には海に行き、冬はスキーにも行った。多分大抵のカレカノがするであろうことはやり尽くした。もちろん、そういうことも。いやぁ......うん。やばかった。記憶はほとんどないけどそれだけは覚えている。
でも、幸せなことばかりじゃなく、喧嘩をしたり、会わない時間があったりと、辛いこともあった。でも、それらも乗り越えて、もう5年経った。
そろそろ結婚も、俺は視野に入れていた。
最近、妙な噂を聞く。なんでも爆弾を使った事件が増えてるとか、バックの中に手榴弾があったとか、スーパーのアボカドの籠の中に手榴弾が混じってたとか。ありえないと思ってしまう噂ばかりだ。
でも、そんな噂を聴き始めたくらいから、彼女が少しよそよそしくなったというか、冷たくなったというか、会う時間が少なくなったような気がする。なにか尋ねると「忙しい」とか「ごめん、予定が」とか言われることが前より少し増えた気がする。まぁ俺の気にしすぎなような気もするから、あまり気にとめないでおこう。
何が起こってるんだ?なんで、隣のヤツの頭が爆発したんだ?なんで外でも爆発音が聞こえるんだ?下からも上からも外も中も。ありとあらゆるところから爆発音が響き渡る。まるで爆発音で奏でられるオーケストラのように。
俺は走り出した。オフィスを飛び出し、エレベーターのボタンを押すが、動かない。扉を蹴り、鈍い痛みが走る足をよそに非常階段を降りる。途中で階段から落ちた。身体中が痛い。でも、走った。
あの時、外を見た時、彼女の姿が見えた。時刻は19時59分。あの時、彼女と恋人になったあの時刻、想いが通じあったあの日、2人で人生をあゆみ始めたあの時。必死に走る。彼女を助けないと、爆発の中で踊る彼女を助けないと。
爆発は鳴り止まない。大小様々な爆発が至る所で起きる。そして、彼女はそんな爆発する世界の中心で踊っていた。
優雅に、美しく、爆発音をミュージックに、月明かりをライトに、そして俺と巻き込まれた人々を観客にした、踊り舞う。その踊りには、どこか......。
「楽しい?」
「......うん。楽しいよ。すごく」
そう笑った彼女の顔はあの時に見せたような少し困った顔をしていた。
「そっか。そっ......か。でも、ごめん。」
「うん。わかってる。ても、私は君を信頼してたから。君になら、って。」
「そっか。そっか.........。じゃあ。」
「うん、さようなら。」
「さようなら。今日も月が綺麗ですね。」
「ふふ。死んでもいいわ。」
爆発は、止まった。
「あ、あぁ、あなたには、ま、負けますよ......。」
「ふふ...頑張ってくれたのね。可愛い子。」
「は、はは...」
今日この日、俺は彼女とお付き合いを始めた。
色恋のいの字も経験がない俺に、こんな美しくて、可憐で、年上の余裕もある女性の彼氏になれるなんて夢見たいだ。でも、ちゃんとほっぺをつねったら痛かったから、夢じゃない...と思う。うん。
それからというもの、2人で遊園地に行ったり、ショッピングをしたり、夏には海に行き、冬はスキーにも行った。多分大抵のカレカノがするであろうことはやり尽くした。もちろん、そういうことも。いやぁ......うん。やばかった。記憶はほとんどないけどそれだけは覚えている。
でも、幸せなことばかりじゃなく、喧嘩をしたり、会わない時間があったりと、辛いこともあった。でも、それらも乗り越えて、もう5年経った。
そろそろ結婚も、俺は視野に入れていた。
最近、妙な噂を聞く。なんでも爆弾を使った事件が増えてるとか、バックの中に手榴弾があったとか、スーパーのアボカドの籠の中に手榴弾が混じってたとか。ありえないと思ってしまう噂ばかりだ。
でも、そんな噂を聴き始めたくらいから、彼女が少しよそよそしくなったというか、冷たくなったというか、会う時間が少なくなったような気がする。なにか尋ねると「忙しい」とか「ごめん、予定が」とか言われることが前より少し増えた気がする。まぁ俺の気にしすぎなような気もするから、あまり気にとめないでおこう。
何が起こってるんだ?なんで、隣のヤツの頭が爆発したんだ?なんで外でも爆発音が聞こえるんだ?下からも上からも外も中も。ありとあらゆるところから爆発音が響き渡る。まるで爆発音で奏でられるオーケストラのように。
俺は走り出した。オフィスを飛び出し、エレベーターのボタンを押すが、動かない。扉を蹴り、鈍い痛みが走る足をよそに非常階段を降りる。途中で階段から落ちた。身体中が痛い。でも、走った。
あの時、外を見た時、彼女の姿が見えた。時刻は19時59分。あの時、彼女と恋人になったあの時刻、想いが通じあったあの日、2人で人生をあゆみ始めたあの時。必死に走る。彼女を助けないと、爆発の中で踊る彼女を助けないと。
爆発は鳴り止まない。大小様々な爆発が至る所で起きる。そして、彼女はそんな爆発する世界の中心で踊っていた。
優雅に、美しく、爆発音をミュージックに、月明かりをライトに、そして俺と巻き込まれた人々を観客にした、踊り舞う。その踊りには、どこか......。
「楽しい?」
「......うん。楽しいよ。すごく」
そう笑った彼女の顔はあの時に見せたような少し困った顔をしていた。
「そっか。そっ......か。でも、ごめん。」
「うん。わかってる。ても、私は君を信頼してたから。君になら、って。」
「そっか。そっか.........。じゃあ。」
「うん、さようなら。」
「さようなら。今日も月が綺麗ですね。」
「ふふ。死んでもいいわ。」
爆発は、止まった。
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