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第2章 恋のキューピッド大作戦 〜 Shape of Our Heart 〜
先祖返り
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エリザベス・ディヴィス。通称ベティ。29歳。女性。マルステラ帝国第一軍団第七分隊隊長。先祖返り。好きなものはオスカー元隊長(クリスの父)。苦手なものは幽霊の類。
「べべ、別に、幽霊が怖いんじゃないんだからね! 勘違いしないでよね!」
(はいはい。それはもういいですから)
ベティさんは気絶からすぐに回復した。が、どうやら幽霊が苦手らしい。回復した途端、俺のことを思い出すや否や脚を震わせてクリスくんの背中に隠れてしまった。
ここまでいい反応をしてくれた人は初めてだったので、調子に乗った俺は突然耳元から囁いたり、真後ろから声をかけてしまった。そしたら彼女は腰が抜けてしまい、今は四つん這いの姿勢で半泣きになりながらツンデレのような台詞を吐いている。
最初はやりすぎたかなと思い謝ったけど、自分の幽霊嫌いを頑なに認めない彼女の相手が疲れたので適当に流すことにした。
「お願い、クリスゥ。ちょっと、壁によりかからせて……」
「はいはい」
自力で動けない彼女はクリスくんに手伝ってもらい、壁に背を預けるようにして座り込んだ。
「べ、別に幽霊がーー」
(それはもういいから)
「ぐぬぬ……」
(ところでクリスくん。さっき言いかけた『先祖返りに』ついて教えてくれるか?)
歯ぎしりする彼女をとりあえず放置して、クリスくんに尋ねる。
「は、はい。『先祖返り』というのは、一般的には親に現れていない、先祖の遺伝的特徴が子に現れることを言います。けれど、僕らが言う『先祖返り』にはもっと特別な意味があります」
(特別な意味?)
「ええ。それを説明するためには、この世界の成り立ちを少し説明しなくてはならないんですが……」
ちらっと、クリスくんはベティさんを見る。
「ちょっと長くなりそうね。クリス、ヘルメットを取ってくれる?」
クリスくんは足元に転がっていたヘルメットを彼女に渡す。ベティさんはヘルメットに付いたボタンを押して、口元に寄せる。
「ヒューレット副長。ディヴィスだ。……、……了解した。……、ああ、問題ない。やはり知己であった。しばらく私はここに留まる。引き続き指揮は君が執るように。以上だ」
部隊との通信を終えたベティさんは、ヘルメットを膝の上に置く。
「いいんですか? 仕事のほうは」
「なに。向こうは優秀な部下に任せておけばいいさ。それより、久しぶりに会ったクリスと話をしたい。そっちのほうが私には重要だからね」
くすりと笑ってベティさんは言う。顔が青ざめてなければ格好いいんだけど。
(そういえば、クリスくんはベティさんとどういう関係なの?)
「父さんの元部下さんです」
「同じベッドで寝た仲だよねー」
え、クリスくんまさかの年上好き?
「……誤解を招く言い方はやめてください。それ、僕がまだ5歳位のときの話ですよね」
「ちぇー、クリスのイケズー」
なんだ、5歳の頃の話か。大学時代の彼女かと思ったじゃないか。
(えっと、クリスのお父さんの元部下ってことは、クリスのお父さんは軍人なのか?)
「今のベティさんの部隊の隊長でした」
「私がまだ新人の頃だけどね。オスカー隊長はそれはもう強くて、格好が良くて、私ら新人隊員の憧れの的だったなー。『英雄』だなんて呼ばれたりしてさ。同じ部隊に配属されたのは、すごく幸運だったよ」
うんうんと彼女は頷く。過去に思いを馳せているようだ。
(それがどうしてクリスくんと同衾なんてことに?)
「それが、うっかり任務中に大きな怪我をしちゃってね。遠征討伐任務に参加できなくなってしまったんだ。しょげる私に隊長から言い渡された任務がクリスくんの世話だったんだよ。男手一つで育てていたから、遠征中代わりに面倒を見てくれる人を捜していたらしくてね」
へー、そんなことが。
「今のクリスは可愛かったけど、あの頃のクリスはもっと可愛かったなー。『お姉ちゃん、お姉ちゃん』って寄ってきてな。どうだいクリス。お姉ちゃんにもっと甘えてもいいんだぞ?」
「やめてくださいよ。子供じゃないんだから」
ベティさんの誘いをバッサリと切り裂くクリスくん。いや、15歳はまだ子供だと思うけどな。
(それで、クリスくんのお父さんは今どうしているんだ?)
「それは……」
「……」
途端にうつむいて黙る二人。あれ? もしかして聞いちゃいけなかったか?
そういえば、前のちらっとクリスくんのお父さんが話題にでたときもクリスくんの様子は変だった。
(ごめん、言いたくなければいいんだ。気にしないでくれ)
「……いえ、別にそんなことはありません。ただ、面と向かってそう訊かれたことはほとんど無かったので、慣れてないだけですから」
慣れていない? どういうことだ?
「クリス。私から言おうか?」
「いえ、それには及びませんよ。もう2年も前のことですから」
そう言って彼は顔を上げる。
「僕の父、オスカー・レイネットは、『先祖返り』でもある『英雄』オスカー・レイネットは、現在行方不明です」
(行方不明……?)
「ええ。『先祖の地』である惑星ガイアの調査中に音信不通になったと聞いています。それらを含めて、『先祖返り』について説明しますよ、悪霊さん」
「べべ、別に、幽霊が怖いんじゃないんだからね! 勘違いしないでよね!」
(はいはい。それはもういいですから)
ベティさんは気絶からすぐに回復した。が、どうやら幽霊が苦手らしい。回復した途端、俺のことを思い出すや否や脚を震わせてクリスくんの背中に隠れてしまった。
ここまでいい反応をしてくれた人は初めてだったので、調子に乗った俺は突然耳元から囁いたり、真後ろから声をかけてしまった。そしたら彼女は腰が抜けてしまい、今は四つん這いの姿勢で半泣きになりながらツンデレのような台詞を吐いている。
最初はやりすぎたかなと思い謝ったけど、自分の幽霊嫌いを頑なに認めない彼女の相手が疲れたので適当に流すことにした。
「お願い、クリスゥ。ちょっと、壁によりかからせて……」
「はいはい」
自力で動けない彼女はクリスくんに手伝ってもらい、壁に背を預けるようにして座り込んだ。
「べ、別に幽霊がーー」
(それはもういいから)
「ぐぬぬ……」
(ところでクリスくん。さっき言いかけた『先祖返りに』ついて教えてくれるか?)
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「は、はい。『先祖返り』というのは、一般的には親に現れていない、先祖の遺伝的特徴が子に現れることを言います。けれど、僕らが言う『先祖返り』にはもっと特別な意味があります」
(特別な意味?)
「ええ。それを説明するためには、この世界の成り立ちを少し説明しなくてはならないんですが……」
ちらっと、クリスくんはベティさんを見る。
「ちょっと長くなりそうね。クリス、ヘルメットを取ってくれる?」
クリスくんは足元に転がっていたヘルメットを彼女に渡す。ベティさんはヘルメットに付いたボタンを押して、口元に寄せる。
「ヒューレット副長。ディヴィスだ。……、……了解した。……、ああ、問題ない。やはり知己であった。しばらく私はここに留まる。引き続き指揮は君が執るように。以上だ」
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(そういえば、クリスくんはベティさんとどういう関係なの?)
「父さんの元部下さんです」
「同じベッドで寝た仲だよねー」
え、クリスくんまさかの年上好き?
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(えっと、クリスのお父さんの元部下ってことは、クリスのお父さんは軍人なのか?)
「今のベティさんの部隊の隊長でした」
「私がまだ新人の頃だけどね。オスカー隊長はそれはもう強くて、格好が良くて、私ら新人隊員の憧れの的だったなー。『英雄』だなんて呼ばれたりしてさ。同じ部隊に配属されたのは、すごく幸運だったよ」
うんうんと彼女は頷く。過去に思いを馳せているようだ。
(それがどうしてクリスくんと同衾なんてことに?)
「それが、うっかり任務中に大きな怪我をしちゃってね。遠征討伐任務に参加できなくなってしまったんだ。しょげる私に隊長から言い渡された任務がクリスくんの世話だったんだよ。男手一つで育てていたから、遠征中代わりに面倒を見てくれる人を捜していたらしくてね」
へー、そんなことが。
「今のクリスは可愛かったけど、あの頃のクリスはもっと可愛かったなー。『お姉ちゃん、お姉ちゃん』って寄ってきてな。どうだいクリス。お姉ちゃんにもっと甘えてもいいんだぞ?」
「やめてくださいよ。子供じゃないんだから」
ベティさんの誘いをバッサリと切り裂くクリスくん。いや、15歳はまだ子供だと思うけどな。
(それで、クリスくんのお父さんは今どうしているんだ?)
「それは……」
「……」
途端にうつむいて黙る二人。あれ? もしかして聞いちゃいけなかったか?
そういえば、前のちらっとクリスくんのお父さんが話題にでたときもクリスくんの様子は変だった。
(ごめん、言いたくなければいいんだ。気にしないでくれ)
「……いえ、別にそんなことはありません。ただ、面と向かってそう訊かれたことはほとんど無かったので、慣れてないだけですから」
慣れていない? どういうことだ?
「クリス。私から言おうか?」
「いえ、それには及びませんよ。もう2年も前のことですから」
そう言って彼は顔を上げる。
「僕の父、オスカー・レイネットは、『先祖返り』でもある『英雄』オスカー・レイネットは、現在行方不明です」
(行方不明……?)
「ええ。『先祖の地』である惑星ガイアの調査中に音信不通になったと聞いています。それらを含めて、『先祖返り』について説明しますよ、悪霊さん」
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