36 / 40
聖痣の姫と偽りの騎士
秘剣
しおりを挟む
一方ここはヒメノとトゥルースが対峙している部屋の真下。
アズミを庇ったガクリンが彼女に覆いかぶさって倒れていた。
直感的に防ごうにも当たるだけで危ないと判断したガクリンは床を貫いて下に降り爆発の衝撃を和らげたのだがそれでも全身がズタズタである。
すぐ下にミオが待機していなければ命も危なかったであろう。
「これでわたしはヒメノちゃんを手助けできないね。ただでさえ病み上がりで本調子じゃないのに」
すぐさま大怪我をしたガクリンに活気の術をかけたミオはボヤく。
「俺に構う暇があったらヒメノを助けてやってくれ」
「黙って寝ていなよ好青年。このままじゃ死んじゃうよ。それにヒメノちゃんなら無事だよ」
「なんでそう言い切れる。さっきまで眠らされていたぞ。アイツに襲われそうだったし」
「キミは感じないのか」
「何を?」
「ヒメノちゃんの怒りさ」
ミオが言うように怒りに満ちたヒメノの精気は下の部屋まで届いている。
彼女はガクリンらが爆発によって消し炭にされたからだと推測していた。
そんな状況で届く一本の矢。
ミオはそれをヒメノが無事だからこそ飛んできた流れ矢だとアピールするように抜き取ってガクリンに見せた。
「ほらね」
だがそれを見たガクリンは違う意味を見出していた。
「ちょっと貸してくれ」
小首を傾げながら矢を手渡すミオの前でガクリンは意識を集中する。
彼がヒメノとの組打ち稽古で何度も披露した見切りの剣気術。
欠点の距離を補う手段としてヒメノが差し伸べたのは自分からも伸ばした精気のパスだった。
自分の精気とヒメノのそれが繋がったことでヒメノの状況を知覚したガクリンは怪我を押して立ち上がる。
ヒメノが助けを求めているのに寝ていられるものかと。
「やっぱりそうだ。これは単に偶然飛んできたモノじゃなくて俺に合図を送るために意図的に狙って届けたモノだ」
「そのパス……もしかしてストーンヒル王国近衛騎士団に伝わる剣気術ってやつ?」
「ああ。それに壁越しでも攻撃するのにうってつけの技もあるんだ」
剣を杖代わりにして立ち上がったガクリンは大上段に構える。
狙うのは壁越しでの虚仮落とし。
しかしチャンスは一度だけなので構えたガクリンは息を整えて合図を待った。
アズミを庇ったガクリンが彼女に覆いかぶさって倒れていた。
直感的に防ごうにも当たるだけで危ないと判断したガクリンは床を貫いて下に降り爆発の衝撃を和らげたのだがそれでも全身がズタズタである。
すぐ下にミオが待機していなければ命も危なかったであろう。
「これでわたしはヒメノちゃんを手助けできないね。ただでさえ病み上がりで本調子じゃないのに」
すぐさま大怪我をしたガクリンに活気の術をかけたミオはボヤく。
「俺に構う暇があったらヒメノを助けてやってくれ」
「黙って寝ていなよ好青年。このままじゃ死んじゃうよ。それにヒメノちゃんなら無事だよ」
「なんでそう言い切れる。さっきまで眠らされていたぞ。アイツに襲われそうだったし」
「キミは感じないのか」
「何を?」
「ヒメノちゃんの怒りさ」
ミオが言うように怒りに満ちたヒメノの精気は下の部屋まで届いている。
彼女はガクリンらが爆発によって消し炭にされたからだと推測していた。
そんな状況で届く一本の矢。
ミオはそれをヒメノが無事だからこそ飛んできた流れ矢だとアピールするように抜き取ってガクリンに見せた。
「ほらね」
だがそれを見たガクリンは違う意味を見出していた。
「ちょっと貸してくれ」
小首を傾げながら矢を手渡すミオの前でガクリンは意識を集中する。
彼がヒメノとの組打ち稽古で何度も披露した見切りの剣気術。
欠点の距離を補う手段としてヒメノが差し伸べたのは自分からも伸ばした精気のパスだった。
自分の精気とヒメノのそれが繋がったことでヒメノの状況を知覚したガクリンは怪我を押して立ち上がる。
ヒメノが助けを求めているのに寝ていられるものかと。
「やっぱりそうだ。これは単に偶然飛んできたモノじゃなくて俺に合図を送るために意図的に狙って届けたモノだ」
「そのパス……もしかしてストーンヒル王国近衛騎士団に伝わる剣気術ってやつ?」
「ああ。それに壁越しでも攻撃するのにうってつけの技もあるんだ」
剣を杖代わりにして立ち上がったガクリンは大上段に構える。
狙うのは壁越しでの虚仮落とし。
しかしチャンスは一度だけなので構えたガクリンは息を整えて合図を待った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる