木曽義仲の覇業・私巴は只の側女です。

水源

文字の大きさ
54 / 77
治承元年(1177年)

地獄の訓練仕上げ編

しおりを挟む
 4年の歳月を経て、天神で訓練している皆の練度はほぼ完璧になったと思います。

 彼らは合図に従って密集散開や戦闘陣形のままの移動などを完ぺきにできるようになりましたし、長距離の行軍を迅速に行うことも、陣地の構築や食料や水の確保や煮炊きも完全にこなせます。

 また、弓兵もみな三人張りの強弓を用いて的に9割は命中させることができる腕前です。

 騎兵も集団での騎乗移動のくわえて馳射や長槍を用いての突撃などもこなせるようになりましたね。

「そろそろ、最後の常設兵力に新しく木曽松本の各村より100名ほど追加で集めましょうか」

 時間的に考えればこれが戦時中ではない長時間の訓練を行える兵の最後の徴収になるでしょう。

「後発組は基礎訓練身体として、先発組は最終訓練ですね」

 まずは歩兵です。

 私は10尺(3m)の長さの木製の棒の先に朝を丸めた練習用の長槍を持たせて、縦5名横5名の密集方陣での1小隊として、この小隊を3部隊横に並べる陣を作らせます。

 そして、それとの対面には木の盾と脇差し程度の小太刀の長さの竹刀を装備させた歩兵を同数並べて対峙させます。

「双方掛かれ!」

 私はその間の離れた場所から号令をかけます。

 その指示を支持をの左右にいる伝令兵が手旗信号で伝え、双方が全身を開始しました。

「うおぉおおおおおおおおおおおおおお!]
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 双方が鬨の声を上げてぶつかりあいます。

 しかし、槍衾を盾で防ぎつつ、じわじわと左右に戦列を伸ばして槍兵を包囲する盾兵が次第に槍兵を左右から突き崩して、最終的には槍兵を打ち倒しました。

「やはり、練度と装備が十分であればが槍兵の密集方陣より盾兵の散開戦術のほうが強いようですね」

 しかし、槍衾は騎馬の突撃を防げるメリットがありますし、中央に配置するのは槍兵のほうがいいのでしょう、そこに右などから盾兵、後ろから騎兵が挟み込んで攻撃するというわけですね。

 いわゆる鉄床戦術かなとこせんじゅつで、軍を分け、正面の部隊が敵をひきつけているうちに他の部隊が背後や側面に回りこみ敵を挟撃するというものですね。

 槍兵は騎兵に強く、騎兵は盾兵に強く、盾兵は槍兵に強いと言うような三すくみが出来上がってしまうわけですね。

「まあ、どんな相手にも無敵で欠点のない兵科など存在しませんから、状況によって使い分けましょうか」

 今度は槍騎兵の巻藁への突撃訓練です。

 紐をつけて肩に担ぎ、脇に抱えて馬の突進力でもって敵の兵馬に突き立てる、西洋のランス的な長柄の馬上槍を抱え巻藁にめがけ突進させます。

 揺れる馬上で巻藁を正確につくのは意外と大変なのです。

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

 ですが、流石に4年も訓練していれば皆できるようになっています、と言うかできないものは他の部隊に転向ですからね。

 さて弓騎兵や弓兵の最終訓練は兎狩りです。

 草原を三方から歩兵に囲んでもらってうさぎを追い出してもらい、そのうさぎの頭を撃ち抜くというものですね。

 なんで頭のかというと胴体を射抜いて腸などが破れてしまえば腹の中に腸の中に詰まっている便があふれだしてしまって、臭くなってしまうからです。

 まあ、失敗した人には責任持って食べていただきますが。

 私は勢子にウサギを追い出すために時の声を上げるように支持を出します。

 手旗信号で私の指示が伝わると”そーれあ、そーれあ”と草原の反対側から大きな声が上がり、驚いたうさぎたちがそこかしこで弓手に向けて走っていきます。

「これを外したら飯抜き、胴体にに当てたら臭い肉を食うことになる……集中集中……いけ!」

 弓が引き絞られて次々にウサギに向けて放たれました。

 そして矢が次々とウサギを仕留めていきます。

 私もウサギを狙います。

「たまには私も足らないといけませんからねね」

うさぎの頭に狙いをつけて私は矢を放つともちろん狙い違わずうさぎの頭を粉砕しました。

「まあ、これくらいできないと馳射で相手の顔を狙うなんてできませんしね」

 兎狩りの結果に私は満足しました。

 更に山を登っての戦闘や山林中での戦闘も想定しナタを持たせての山登りや山林中での罠のし掛け方の訓練も行います。

 木の枝のしなりを利用した跳ね上げ網や跳ね上げ縄、縄と刃物と落下物を組み合わせた罠、落とし穴の作り方、草を結んでおいてそこに脚をひっかけさせて転ばせるころばし罠などですね。

 このくらい仕込んでおけば戦闘部門に関しては問題ないですね。

 そして訓練のときに負傷したものは薬師兵がテキパキと応急処置を行っています。

 殺傷力は最小限にしていても、多少の怪我はどうしてもおうものが出ます。

 ですが適切な処置さえ行えばそうそう再起不能にはなりません。

 さらに歩兵は船上での射撃や白兵戦、遠泳を行い銛で船底へ穴をあける訓練なども行わせます。

「まあ、実際に穴を開けられても困るのですが」

 ともかく私は兵を様々な状況で戦えるように訓練を施したのです。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

日露戦争の真実

蔵屋
歴史・時代
 私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。 日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。  日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。  帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。  日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。 ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。  ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。  深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。  この物語の始まりです。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』 この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。 作家 蔵屋日唱

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...