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追跡者
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ウィーという妖精がみんなのいるところに案内してくれると言った。とりあえずみんなの無事を確かめてから、コウモリやトロールに対処しようということにしたんだ。だけど実際にはそう簡単にはいかないようだ。
「生き残ったねえさまたちや妖精たちは精霊神殿に隠れています」
「精霊神殿とは厄介なところに…」
ミローネが困ったような顔をしてそう言った。ぼくはもちろん責任も感じているし、この精霊の国を何とかしてあげたいとも思っている。でもわからないことが多すぎるのだ。
「厄介なところって…それってとんでもなく遠いの?」
「遠いというか…近いというか…」
「なにそれ。どっち?」
「そこは場所じゃないの。空間ですらない。いわば精神世界よ」
なんじゃそれ!そんなところにどうしたら行けるんだ?ってか、そもそもそんなところに隠れられるのか?
「じゃあみんなはそんなトンデモ世界にいるのかい?」
「トンデモ世界とはご挨拶ね。そこはれっきとした精霊の神聖な祈りの場よ。わたしたちの心のよりどころなんだから!」
「はいはい、わかったから。だからそこにはどうしたら行けるのかって話なんだけどな」
「うーん…それはちょっと部外者には…」
「じゃあいいよ。がんばってね。ぼくたちは帰るから」
「ちょ、ちょっと待ってよ!いきなりなによ!」
「部外者扱いされたんだ。仕方ないだろ」
「そういう意味じゃないのよ!部外者であるあなたたちが、神殿の扉をくぐれるのか、それを心配しているのよ」
神殿の扉?どういう意味だろ…。
「だってそこは精神世界なんだろ?扉って何よ」
「いわば心の扉よ。許されたものしか入れないってわけ」
「だれの許しがいるんだよ」
「そりゃ神殿だもん。神よ」
「神さまだと?そんなもんがいるのか?」
「そんなもんいうな」
ぼくは死んだときに会ったあの女神を思い出した。ぼくにどうしようもないぶっ壊れスキルを渡し、この世界にぶち込んでくれた張本人を。あ、神だから張本神か。
「なあ、それって女神、なのか?」
「知ってるの?精霊神グノーシスさまを」
「グノーシス?」
「精霊と妖精をおつくり給う唯一無二のおかた」
「それって天国にいる?」
「なに言ってんの。そんな遠いとこじゃないわよ。神殿の奥深く、わたしたちを見守ってくださっているわ」
どうやらあの天国の女神ではなさそうだね。でも神殿にいるんだ。その女神の許しがないと入れないってわけなんだね。
「じゃあ許可もらってきてよ」
「無茶言わないでよ。そう簡単に…」
ミローネが言い切らないうちにそれは突然襲ってきた。真っ黒な何かだった。
「ぎゃあああああっ!こ、これコウモリよっ!いやっ!あっち行ってっ!」
「ラフレシア!伏せて!」
コウモリの大群が頭上すれすれに飛んでいる。恐ろしい鳴き声を上げ、数万の大群だろう…ものすごい風を起こしている。
「みんな馬車に乗って!とにかく馬車の中でコウモリをやり過ごそう」
みんな一斉に馬車に駆け寄った。『馬』くんには覆いをかけてコウモリから身を守ってやる。
「いやあああっ!隙間から入ってくるわ!」
「ネクロ!たたき出して」
「がってんだ」
「どうするの、デリア?」
「うーん、このままじゃ動けないなあ。いなくなるのを待つとかしかできないかな」
そのとき遠くから何か大きな音が近づいてくるのがわかった。
「なにあれ?」
ラフレシアが不安げにそう言った。
「あれはおそらく…トロールの足音かと…」
ウィーが震えながらそう言った。トロールって、ヤバいやつじゃん。
「マジか」
そんな大きな足音ってことは、それって本体もどでかいんじゃ?いや、隙間から覗いたらマジでかい。そんなのが何体もこっちに向かってくる。
「こいつはまずい。きっと追手だ。ぼくたちを追ってきたんだ」
「どうすんの、デリア!」
危機的状況だった。迫りくる巨大トロール、頭上には吸血コウモリの大群、外にも出られずじっとしてもいられない。にっちもさっちもいかずただここで死を迎えるのか…。いやいやそれじゃぼくのニートとしての誇りが許さない。いやニートに誇りがあること自体疑問だけどね。とにかくなにかしなくっちゃ。
「ねえミローネ、ここら辺に洞窟とかないの?できればすっごく頑丈なやつ」
「精霊の国にそんな怪しげなものなんかないわよ!」
「あっそう」
ダメでした。そうそう都合よく隠れる場所なんてないか。しかたがない。スキルを使うか…。だけど一日一回だけだし、この場をしのげてもまだ何があるかわからないからなあ…。
「なに考えてんのよ!もうそこまであのデカブツが来ちゃうわよ!」
ラフレシアが悲痛な声をあげた。こりゃヤバイ。こうなりゃみんなちりぢりに逃げるしかないか。そうすりゃ運よく誰かが生き残れるかも…。
「却下!あたしデリアと離れる気、ないから」
「こらミローネ、人の頭んなか覗くな!」
「わたしもマスターとどこまでも一緒だ。もちろんトイレの中までもな」
「ネクロ…トイレの中だけは勘弁してくれ」
「あたしもデリアと一緒じゃなきゃいや!」
「ラフレシア…」
こいつら…最後までぼくと…ああ、こんなダメなやつに…無気力最低無能のニートのぼくに…。ぼくは心底こいつらとなら、もうここで死んでもいいと思った。痛いのはちょっと嫌だけどね。
「うーん、あれ?パパもうおひるごはん?」
ありゃ、リヴァちゃんが目を覚ました。あーあ、このまま眠りながら最期を迎えさせてあげたかったな。リヴァちゃんの苦しんだり傷つけられたりする姿、見たくなかったな。
「リヴァちゃんごめんね。ぼくが力、ないばかりに」
「どうしたの?なんでパパが謝っているの?」
「ううん、何でもない。いいから、眼を閉じていて。そして大きく息を吸って、ぼくにしっかりしがみついていて」
「わかったわ。きっと誰かがパパのことイジメたのね!だからそんなに悲しそうな顔をしてるのね!」
「いやそうじゃなく…」
「ゆるせない!あたしの大事なパパを!」
「だからー」
あっ、と思った瞬間だった。リヴァちゃんがぼくの腕から急に飛び出したかと思ったら、馬車の外に飛び出してしまった!
「リヴァちゃん!よせ!外に出ちゃダメ!」
いきなり外は途方もない光に包まれた。それはみたこともない炎の輝きだった。そしてその炎はコウモリどもを焼き尽くしていた。
「ありゃあ…ドラゴンブレスね…。こんなすごいのは初めて見るわ」
あきれたようにミローネが言った。そして空には巨大な竜が羽ばたいているのが見えた。口からいま吐き出した炎のかけらがチロチロと燃えていた。
「あれって…?」
「忘れてたわ。あの子、終末竜だったわよね…。子供でも、半端ないわー」
肝心なこと忘れてんなよバカ精霊!って、ぼくも忘れてたけど。リヴァちゃんはかわいいぼくの娘だけど、ほんとうは恐ろしい怪物…まあそんなことはどうでもいいや。あの子の面倒はぼくがしっかりとみていく…けど今は面倒みられてるって状況だけどね。
「見て!トロールがビビってる!」
ラフレシアが嬉しそうに叫んだ。いやあ、マジうちの子は強ええ。保育園に行ったって誰にもいじめられないな。この世界に保育園があればだけど。
「トロールが逃げ出したぞ」
ネクロがそう言ったが、あいにくトロールは逃げ出すことができなかった。リヴァちゃんがひと吠えすると、一瞬で分解したからだ。いや、そこらじゅうが粉塵と化した。
「ひゃあああ、あれが『竜の咆哮』かあ…。世界が終わるわけだわ…」
「なにそれ」
「あたしも見るのは初めてよ。精霊界の言い伝えじゃ、終末竜はあれで世界を粉々にするって言われてる」
「粉々?」
「そうよ。あんたも見たでしょ?一瞬ですべてが粉々になるんだから。原子レベルで」
言ってる意味が分からない。なんでそこで原子が出てくんだ?精霊のくせに。
「あんたの頭んなかに持ってる科学知識ってやつよ。ところどころわかんないとこあるけど、まあこの世界で共通のこともいくつかあるし」
ふうん、こいつ中学生レベルではあるんだ。まんざらバカではないんだな。
「誰がバカや」
「と、とにかく助かったみたいだね」
「ちょ、ちょっと待って!なんか大変なことになってくるわよ!」
「な、なに?」
「いいから早くあの子を元に戻して!」
「え?え?」
「いいから早く!」
なにがなんだかわからなかったけど、とにかくぼくはリヴァちゃんに大声で呼びかけた。
「おーい!リヴァちゃん!こっちに戻って来てって!」
「はーい」
姿は恐いけど声はかわいい。そのかわいい声にまたぴったりとした姿にリヴァちゃんは戻った。
「ただいまー」
「リヴァちゃんありがとう!」
ラフレシアが一番にリヴァちゃんに飛びついた。顔はぐしょぐしょに涙で濡れている。
「ママ…あたしがんばった」
いや頑張りすぎたぞ。そこらじゅうなんにもなくなってるぞ。でもまあとりあえず助かったわけだ。
「安心しているところ悪いけど、ちょっとまずいことになりそうよ」
「なに言ってんだミローネ。もうトロールはやっつけたぞ」
「そうじゃないわよ。そんなものよりもっと恐ろしいことよ」
あのコウモリやトロールより恐ろしいことなんて…それってもうインチキじゃないか!こうなりゃまたリヴァちゃんを…。
「やめて!この世界を滅ぼす気?」
「だって」
「きゃあああああ!きたー!」
なにが、と言おうとしたところで意識がなくなった。それは真っ暗な場所に、放り出されたような感じだった。
「生き残ったねえさまたちや妖精たちは精霊神殿に隠れています」
「精霊神殿とは厄介なところに…」
ミローネが困ったような顔をしてそう言った。ぼくはもちろん責任も感じているし、この精霊の国を何とかしてあげたいとも思っている。でもわからないことが多すぎるのだ。
「厄介なところって…それってとんでもなく遠いの?」
「遠いというか…近いというか…」
「なにそれ。どっち?」
「そこは場所じゃないの。空間ですらない。いわば精神世界よ」
なんじゃそれ!そんなところにどうしたら行けるんだ?ってか、そもそもそんなところに隠れられるのか?
「じゃあみんなはそんなトンデモ世界にいるのかい?」
「トンデモ世界とはご挨拶ね。そこはれっきとした精霊の神聖な祈りの場よ。わたしたちの心のよりどころなんだから!」
「はいはい、わかったから。だからそこにはどうしたら行けるのかって話なんだけどな」
「うーん…それはちょっと部外者には…」
「じゃあいいよ。がんばってね。ぼくたちは帰るから」
「ちょ、ちょっと待ってよ!いきなりなによ!」
「部外者扱いされたんだ。仕方ないだろ」
「そういう意味じゃないのよ!部外者であるあなたたちが、神殿の扉をくぐれるのか、それを心配しているのよ」
神殿の扉?どういう意味だろ…。
「だってそこは精神世界なんだろ?扉って何よ」
「いわば心の扉よ。許されたものしか入れないってわけ」
「だれの許しがいるんだよ」
「そりゃ神殿だもん。神よ」
「神さまだと?そんなもんがいるのか?」
「そんなもんいうな」
ぼくは死んだときに会ったあの女神を思い出した。ぼくにどうしようもないぶっ壊れスキルを渡し、この世界にぶち込んでくれた張本人を。あ、神だから張本神か。
「なあ、それって女神、なのか?」
「知ってるの?精霊神グノーシスさまを」
「グノーシス?」
「精霊と妖精をおつくり給う唯一無二のおかた」
「それって天国にいる?」
「なに言ってんの。そんな遠いとこじゃないわよ。神殿の奥深く、わたしたちを見守ってくださっているわ」
どうやらあの天国の女神ではなさそうだね。でも神殿にいるんだ。その女神の許しがないと入れないってわけなんだね。
「じゃあ許可もらってきてよ」
「無茶言わないでよ。そう簡単に…」
ミローネが言い切らないうちにそれは突然襲ってきた。真っ黒な何かだった。
「ぎゃあああああっ!こ、これコウモリよっ!いやっ!あっち行ってっ!」
「ラフレシア!伏せて!」
コウモリの大群が頭上すれすれに飛んでいる。恐ろしい鳴き声を上げ、数万の大群だろう…ものすごい風を起こしている。
「みんな馬車に乗って!とにかく馬車の中でコウモリをやり過ごそう」
みんな一斉に馬車に駆け寄った。『馬』くんには覆いをかけてコウモリから身を守ってやる。
「いやあああっ!隙間から入ってくるわ!」
「ネクロ!たたき出して」
「がってんだ」
「どうするの、デリア?」
「うーん、このままじゃ動けないなあ。いなくなるのを待つとかしかできないかな」
そのとき遠くから何か大きな音が近づいてくるのがわかった。
「なにあれ?」
ラフレシアが不安げにそう言った。
「あれはおそらく…トロールの足音かと…」
ウィーが震えながらそう言った。トロールって、ヤバいやつじゃん。
「マジか」
そんな大きな足音ってことは、それって本体もどでかいんじゃ?いや、隙間から覗いたらマジでかい。そんなのが何体もこっちに向かってくる。
「こいつはまずい。きっと追手だ。ぼくたちを追ってきたんだ」
「どうすんの、デリア!」
危機的状況だった。迫りくる巨大トロール、頭上には吸血コウモリの大群、外にも出られずじっとしてもいられない。にっちもさっちもいかずただここで死を迎えるのか…。いやいやそれじゃぼくのニートとしての誇りが許さない。いやニートに誇りがあること自体疑問だけどね。とにかくなにかしなくっちゃ。
「ねえミローネ、ここら辺に洞窟とかないの?できればすっごく頑丈なやつ」
「精霊の国にそんな怪しげなものなんかないわよ!」
「あっそう」
ダメでした。そうそう都合よく隠れる場所なんてないか。しかたがない。スキルを使うか…。だけど一日一回だけだし、この場をしのげてもまだ何があるかわからないからなあ…。
「なに考えてんのよ!もうそこまであのデカブツが来ちゃうわよ!」
ラフレシアが悲痛な声をあげた。こりゃヤバイ。こうなりゃみんなちりぢりに逃げるしかないか。そうすりゃ運よく誰かが生き残れるかも…。
「却下!あたしデリアと離れる気、ないから」
「こらミローネ、人の頭んなか覗くな!」
「わたしもマスターとどこまでも一緒だ。もちろんトイレの中までもな」
「ネクロ…トイレの中だけは勘弁してくれ」
「あたしもデリアと一緒じゃなきゃいや!」
「ラフレシア…」
こいつら…最後までぼくと…ああ、こんなダメなやつに…無気力最低無能のニートのぼくに…。ぼくは心底こいつらとなら、もうここで死んでもいいと思った。痛いのはちょっと嫌だけどね。
「うーん、あれ?パパもうおひるごはん?」
ありゃ、リヴァちゃんが目を覚ました。あーあ、このまま眠りながら最期を迎えさせてあげたかったな。リヴァちゃんの苦しんだり傷つけられたりする姿、見たくなかったな。
「リヴァちゃんごめんね。ぼくが力、ないばかりに」
「どうしたの?なんでパパが謝っているの?」
「ううん、何でもない。いいから、眼を閉じていて。そして大きく息を吸って、ぼくにしっかりしがみついていて」
「わかったわ。きっと誰かがパパのことイジメたのね!だからそんなに悲しそうな顔をしてるのね!」
「いやそうじゃなく…」
「ゆるせない!あたしの大事なパパを!」
「だからー」
あっ、と思った瞬間だった。リヴァちゃんがぼくの腕から急に飛び出したかと思ったら、馬車の外に飛び出してしまった!
「リヴァちゃん!よせ!外に出ちゃダメ!」
いきなり外は途方もない光に包まれた。それはみたこともない炎の輝きだった。そしてその炎はコウモリどもを焼き尽くしていた。
「ありゃあ…ドラゴンブレスね…。こんなすごいのは初めて見るわ」
あきれたようにミローネが言った。そして空には巨大な竜が羽ばたいているのが見えた。口からいま吐き出した炎のかけらがチロチロと燃えていた。
「あれって…?」
「忘れてたわ。あの子、終末竜だったわよね…。子供でも、半端ないわー」
肝心なこと忘れてんなよバカ精霊!って、ぼくも忘れてたけど。リヴァちゃんはかわいいぼくの娘だけど、ほんとうは恐ろしい怪物…まあそんなことはどうでもいいや。あの子の面倒はぼくがしっかりとみていく…けど今は面倒みられてるって状況だけどね。
「見て!トロールがビビってる!」
ラフレシアが嬉しそうに叫んだ。いやあ、マジうちの子は強ええ。保育園に行ったって誰にもいじめられないな。この世界に保育園があればだけど。
「トロールが逃げ出したぞ」
ネクロがそう言ったが、あいにくトロールは逃げ出すことができなかった。リヴァちゃんがひと吠えすると、一瞬で分解したからだ。いや、そこらじゅうが粉塵と化した。
「ひゃあああ、あれが『竜の咆哮』かあ…。世界が終わるわけだわ…」
「なにそれ」
「あたしも見るのは初めてよ。精霊界の言い伝えじゃ、終末竜はあれで世界を粉々にするって言われてる」
「粉々?」
「そうよ。あんたも見たでしょ?一瞬ですべてが粉々になるんだから。原子レベルで」
言ってる意味が分からない。なんでそこで原子が出てくんだ?精霊のくせに。
「あんたの頭んなかに持ってる科学知識ってやつよ。ところどころわかんないとこあるけど、まあこの世界で共通のこともいくつかあるし」
ふうん、こいつ中学生レベルではあるんだ。まんざらバカではないんだな。
「誰がバカや」
「と、とにかく助かったみたいだね」
「ちょ、ちょっと待って!なんか大変なことになってくるわよ!」
「な、なに?」
「いいから早くあの子を元に戻して!」
「え?え?」
「いいから早く!」
なにがなんだかわからなかったけど、とにかくぼくはリヴァちゃんに大声で呼びかけた。
「おーい!リヴァちゃん!こっちに戻って来てって!」
「はーい」
姿は恐いけど声はかわいい。そのかわいい声にまたぴったりとした姿にリヴァちゃんは戻った。
「ただいまー」
「リヴァちゃんありがとう!」
ラフレシアが一番にリヴァちゃんに飛びついた。顔はぐしょぐしょに涙で濡れている。
「ママ…あたしがんばった」
いや頑張りすぎたぞ。そこらじゅうなんにもなくなってるぞ。でもまあとりあえず助かったわけだ。
「安心しているところ悪いけど、ちょっとまずいことになりそうよ」
「なに言ってんだミローネ。もうトロールはやっつけたぞ」
「そうじゃないわよ。そんなものよりもっと恐ろしいことよ」
あのコウモリやトロールより恐ろしいことなんて…それってもうインチキじゃないか!こうなりゃまたリヴァちゃんを…。
「やめて!この世界を滅ぼす気?」
「だって」
「きゃあああああ!きたー!」
なにが、と言おうとしたところで意識がなくなった。それは真っ暗な場所に、放り出されたような感じだった。
応援ありがとうございます!
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