スターサポーター

文字の大きさ
2 / 2

ショットガン

しおりを挟む
「神楽先輩!付き合ってください!!」

「誰お前。」
「え…」

自動販売機でお気に入りのりんごジュースを買っていた僕。近くから女の子の泣き声と聞き覚えのある低い声が聞こえたのでそっと近寄ってみると、案の定、神楽鳴だった。

「えっと、2年A組の…」
「どうせ言われても知らねえし。俺、そんな下らないお遊びに付き合ってるヒマないんだけど。じゃ。」

これは酷過ぎる…


~部活~

「…なぁ、神楽。」
「………」
「…なぁ!」
「……」

こいつ…わざと無視してやがるな…

「聞いてんのかって!!」
ギロリと鋭い瞳がこちらを向いた。
威圧感が同い年とは思えない。

「…チ…うるせぇな…何だよ…
部活に関係ない話なら聞かねえぞ…」

「あー…いや、
まぁ関係ないっちゃ関係ないんだけど…。」
「なら聞かねえ。」
「おい!!」

こいつ…ほんと性悪…
いくら神童でも、こんなんじゃダメダメだな…
ほんとにキャプテン…?

「…さっき、告白されてただろ。
ちょっと、アレは可哀想すぎたんじゃねえの。」
「……お前には関係ない。」
「でも…!」

神楽が壁から一歩前に出て、よく体育館から聞こえるバッシュの音を気持ち良いほどに綺麗に響かせた。

「次、パスランな。
30秒以内に出来なかったやつは外5周。」

「押忍!」

「ちょ…神楽!」
「おい、白己。早く三人一組を作れ。
余るのであれば俺が相手してやる。」
「そういうことじゃ…」
「早くしろ。時間の無駄だ。」
「…っ、分かったよ!!」

相変わらずの威圧感に負けてしまった。
やはり、この場で一番テクニックが勝っていて、圧倒的な才能とセンス、そして逆らわせない実力を証明しているのは神楽鳴なんだろうな。

「始め!!」

?!

僕は声に出さない驚きを見せた。
神楽こいつ…パス強すぎ…!!
力加減分かってねえし、何よりコントロールが小学生レベル…

「ちょ、ちょっと待った!」
高速で曲がるボールを両手で何とか受け止めた。
「何だ、早くしろ。」
「…神楽…さてはパスが苦手だな…?」
「あ?何言ってる。俺は全てにおいて負けることの無い才能を持っている。」
「…じゃあ藍原コーチにパス出してみ。」

指の方向には元日本代表の藍原 志津あいはら しつコーチがいる。今は22歳。1年前、結婚を機に現役引退をした。周りからは勿体ないと何度も言われたらしい。
藍原コーチは、ちょうど僕たちが1年生の頃にやってきた。2メーターと大きな体を持っていながらも、素早い動きで世界を圧倒する大型パワーフォワード。なぜ元日本代表がこんな底辺校にいるのか分からないけど…そこは二次元スポーツのお決まりということで!

「お、相手してやるぞ~。」

壁に体を預けていた藍原コーチは、大きな体をグッと起き上がらせノリノリな様子で近寄ってきた。

「…いいだろう。
志津く…藍原コーチ、お願いします。」
「がはは、いつもの呼び方でもいいんだぞ?」

「いつもの呼び方」とは何ぞや?と思うだろう。
実は、この2人は従兄弟なのだ。
そして従兄弟という親しい関係にプラスし、藍原コーチとは日本代表のU15VSU20で戦ったことがあった。

「…いえ、今はコーチと選手の関係ですので。」
「…相変わらず堅苦しいなァ。
さ、ほら。どんなパスでも来なさいな。」

細長い両腕をゆらりと広げ、人差し指でクイッと合図をした。

その瞬間、神楽の変幻自在なカーブパスが向かった。
やっぱりパスおかしいって…!!

「うおっ」

今、ヒバナ散らなかった…?というぐらい勢いのあるパスを勢いよく止める藍原コーチ、流石です…

「藍原コーチ!やっぱりおかしいですよ!
下手ですこいつ!」

「うーん。それはどうかな。」
「え?」
今のを見て分からなかったのか…?!
あんなボール、パスとは言えない…まるで弾の大きいショットガンのような…

「パスする前に鳴が立ってた位置、少し俺のところよりズレてたんだよね。咄嗟にそれに気付いてコースを変えた…が、決して落ちないスピード…いいね。いいよいいよ…最高だよぉ!!」

?!
やっぱり…みんな変人だ!!!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻が通う邸の中に

月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

処理中です...