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魔法で大穴が開いた家(3)
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それから時間になったのでアンドリューたちは旅に出発した。しかし、どこか心ここに在らずだった。
「本当にあれだけのことをしてお金足りるのかな……?」
せっかくの二人の旅なのにそのことばかり気になるアンドリュー。元はと言えば自分がしてしまったこと。それを反省をしながらもあの研吾という少年に任せて本当に良かったのかと不安になる。
噂では村はずれに住む鍛治狂いのガリューの家を直したと聞く。
その結果、閑古鳥の鳴いていた鍛冶屋が一転、大繁盛の有名店になってしまった。
きっと相当お金を使って直してもらったのだろう。そこまで出来る研吾の腕は間違いない。それはわかる。しかし、うちは壁が壊れただけ……。それをあんな——増築させて訓練場を作る図面を見せられて、時間が経過するごとに喜びよりも不安が強くなっていった。
メルモは嬉しそうな様子で研吾の説明を聞いていた。ただ、それほどのものをたかだか金貨五枚程度で……。一体どんなものが出来上がるのだろう……。
「あなた、また渋い顔をなさってどうされましたか?」
せっかくの旅なのにあまり笑顔を見せないアンドリューに不安を覚えたメルモは躊躇いながらも問いかける。
「……いや、なんでもない。それよりももうすぐメルモの故郷だ! 楽しみだなぁ……」
無理やり笑顔を作る。しかし、アンドリューに何か不安なことがあるのはメルモにはお見通しだった。その上で自分に話さないということは手の加えようがない——待つことしかできないんなんだと理解する。アンドリューの優しさにほだされながらその哀愁漂う横顔を眺めていた。
何かと上の空だったアンドリューだが、メルモの実家に行った時だけは余裕がなく、自宅のことを考える暇がなかったようだ。
ガチガチに緊張し、機械のように動くアンドリューを見て、メルモは小さく微笑んでいた。
そして一月が過ぎ、いよいよグラディス王国へ帰る日。アンドリューはソワソワとして意味もなくその場で行ったり来たりしていた。
「あなた、落ち着いてください」
落ち着いた様子を見せていたメルモだが、彼女もよく見ると顔が引きつっている。彼女もアンドリューと同様に自宅がどのようになったのか気になるのだろう。
「お、おう、大丈夫だ」
しかし、動揺しているアンドリューはメルモがおかしいことについぞ気づかなかった。
「よし、それじゃあ戻ろうか」
「はい、できるだけ急ぎましょうね」
「もちろんだ!」
そうして、アンドリューたちは馬車を走らせ王都へと戻ってきた。そこで見た物は本当に増築された我が家だった。
「うそ……」
メルモは口をポッカリと開け、惚けている。
アンドリューだって信じられない気持ちだ。ちゃんと金貨五枚でできる改装にしてくれと言ったはずだ。本当にここまでできる物なのか、と。
「あっ、お帰りなさい!」
まるで帰りを待っていたかのように出迎える研吾。その顔はどこか達成感と自信に満ちていた。
「改装は終わったんだね」
すべてを悟ったかのようにぼそりと呟くアンドリュー。それを見た研吾も満面の笑みでほほえむ。
「はい、早速見てみますか?」
「は、はい――」
「いや、まずはかかった費用のことなんだが……いくらになったんだ?」
メルモはすぐにでも見たそうだったがこれを聞かないとゆっくり見て回れないアンドリューは妻の言葉を遮って研吾に問いかける。
「それもそうですね。気にされているようですからそちらからいきましょうか」
研吾は小さな鞄の中から一枚の紙を取り出す。そこにはなにやら細かい文字の羅列がびっしりと書かれている。
『請求書』
アンドリュー様
工事費合計【金貨一枚、銀貨五十七枚】を請求させていただきます。
詳細は二枚目をご確認ください。
そこには改装にかかった費用が書かれていたのだが数字の羅列だけを見たアンドリューはそれを信じられずに研吾に問いかける。
「この数字は一体?」
「改装にかかった費用になります」
「う……そだろ!?」
もう一度その紙を食い入るように眺めるアンドリュー。越えるかもしれないと思っていた費用。しかし実際にかかったのは越えるどころか予算の半分以下の金額。あまりの安さに驚いて口をパクパクと動かし声にならない声を上げる。それが気になったメルモも隣からその紙を覗いてくる。
「えっ、たったこれだけで?」
「はい、これだけあれば十分です」
自信たっぷりといった感じに身動き一つしない研吾。その目はまっすぐアンドリューを捉えている。心配だった予算のことは解消された。そうなるとこの予算で一体どのくらいのことが出来たのか気になってくる。
「この費用で大丈夫ですか?」
研吾が聞いてくる。でもアンドリューの予算は金貨五枚だと伝えてある。よほどのことがないと断られないと踏んでいるのかその態度は一切変わらず微笑んでいる。
「もちろんです! さっそく中を見させてもらっても?」
「ええ、行きましょう」
研吾がドアを開けると手で誘導してくれる。その動きはどこか優雅さを醸し出している。
「まずは穴が開いた部屋ですが、このように建具をつけて隣の庭だった訓練場への入り口に治させていただきました」
研吾がまず案内してくれたのは使っていない物置代わりの部屋だった。そこに開いた穴はきれいさっぱりなくなりほとんど最初の頃と変わらない壁がそこにはあった。
「き、きれいに治せるんだな」
「いえ、本当ならもっときれいに仕上げたかったところなんですけど、やはり補修しただけになりますので……この辺とか注視してもらうとどうしても微妙に色が違うんですよ」
研吾のその言葉にアンドリューは近づいてよく見てみる。確かに壊れていなかった壁の色と比べてほんの少し明るい気がする。ただ、それは目と鼻の先まで近づいて初めてわかるくらいの違い――。それ以上にここまできれいに出来ることに驚きに色が隠せなかった。
「すごいなぁ……」
それ以外の言葉が出てこなかった。それはメルモも同じようだった。
「さぁ、ここで終わりじゃないですよ。次の部屋も見てみましょう」
研吾は心ここにあらずの二人に声をかけるとこの部屋の建具を開け放つ。すると目の前に広がるのはかなり広い訓練場。降りるには段差二段分ほどあるがそれはこの訓練場が屋内なのに床が土で出来ていた。
「この広さだと一人で使うのがもったいないなぁ」
アンドリューは目を輝かせ、訓練場の中を行ったり来たりしていた。そして、壁を触ってそのざらついた素材に首を傾げていた。
「これは?」
「そうですね。それを調べるためにも壁に思いっきり魔法を打って貰えませんか?」
「そ、そんなこと出来るわけないだろう! せっかくきれいにしてくれたのに」
「いえ、アンドリューさんの魔法が防げないとなると失敗です。もう一度作り直す必要がありますから」
「本当に良いんだな?」
疑心暗鬼になりながらアンドリューがその意図を量るかのように目を鋭く細めて研吾を睨み付ける。
「はい、お願いします」
「あ、あなた……、まさかほんとうにやるつもりなの!?」
「あぁ、ここまでしてくれた先生が言うんだ。試す必要があるんだろう」
アンドリューは手を突き出すと軽く魔法を放った。彼の手から飛び出してきたのは小さな炎でそれはゆっくりと進んで壁に当たる。そしてそのまま消え去った。
「……手加減していませんか?」
目を細めた研吾に全て見透かされる。
「やっぱり本気で打たないとダメか?」
「はい、お願いします」
再度研吾から頼まれる。もうこうなったら自棄だと己が最大の魔法を放つ。それは雷が落ちたと錯覚させるほどの轟音を鳴らしながらまっすぐ訓練場の壁を目掛けて進んでいく。そして、鈍い衝突音と煙をまき散らして魔法は消滅する。
(傷ついてもいい。どうか壊れないでくれ!)
頭の中で必死に壁の無事を祈るアンドリュー。しかし、結果は彼の予想を大幅に反していた。煙が晴れてくるとそこには傷一つついていないまっさらな壁が姿を現す。
「な、なんで?」
「魔吸石です」
「魔吸石だと!?」
確かに魔吸石なら魔法を防ぐことが出来るだろう。でも、あれは相当高価なものだ。住宅の壁に使うなど聞いたことない。いや、さっきもらった費用のところにはちゃんと魔吸石と書かれている。つまり使用されていることには違いないだろう。しかしその数……明らかに少なすぎる。どう考えてもこの訓練場を覆えるほどの数ではない。……そうか。
「魔吸石が使われているのはここのほんの一部の壁なんだな。そこに魔法を打てば――」
「いえ、この訓練場ならどこを打っていただいても同じ結果ですよ」
アンドリューの予想は外れた。それならどうやってと必死に考えるが理由は思いつかない。
「降参だ。教えて貰えないか?」
「いいですよ。実はこの壁、粘着草を絞ったものに魔吸石のかけらを砕いたものを混ぜて作ってあるんですよ。つまり表面だけ魔法の耐性があるんです。いついかなる場所から使われるかわからないお城や城壁と違ってここなら魔法を使うのは訓練場内だけ。つまり魔法耐性を持たせるのは内側の壁だけで良かったのですよ」
言われてみると納得出来る。しかし魔吸石がまさかかけらになっても効果を発揮するとはな。
「実はこの壁に使うのはどの素材がいいか色々と試したのですよ」
そう言うと研吾はいかにしてこのような魔法に強い壁が出来たのかを教えてくれる。
「本当にあれだけのことをしてお金足りるのかな……?」
せっかくの二人の旅なのにそのことばかり気になるアンドリュー。元はと言えば自分がしてしまったこと。それを反省をしながらもあの研吾という少年に任せて本当に良かったのかと不安になる。
噂では村はずれに住む鍛治狂いのガリューの家を直したと聞く。
その結果、閑古鳥の鳴いていた鍛冶屋が一転、大繁盛の有名店になってしまった。
きっと相当お金を使って直してもらったのだろう。そこまで出来る研吾の腕は間違いない。それはわかる。しかし、うちは壁が壊れただけ……。それをあんな——増築させて訓練場を作る図面を見せられて、時間が経過するごとに喜びよりも不安が強くなっていった。
メルモは嬉しそうな様子で研吾の説明を聞いていた。ただ、それほどのものをたかだか金貨五枚程度で……。一体どんなものが出来上がるのだろう……。
「あなた、また渋い顔をなさってどうされましたか?」
せっかくの旅なのにあまり笑顔を見せないアンドリューに不安を覚えたメルモは躊躇いながらも問いかける。
「……いや、なんでもない。それよりももうすぐメルモの故郷だ! 楽しみだなぁ……」
無理やり笑顔を作る。しかし、アンドリューに何か不安なことがあるのはメルモにはお見通しだった。その上で自分に話さないということは手の加えようがない——待つことしかできないんなんだと理解する。アンドリューの優しさにほだされながらその哀愁漂う横顔を眺めていた。
何かと上の空だったアンドリューだが、メルモの実家に行った時だけは余裕がなく、自宅のことを考える暇がなかったようだ。
ガチガチに緊張し、機械のように動くアンドリューを見て、メルモは小さく微笑んでいた。
そして一月が過ぎ、いよいよグラディス王国へ帰る日。アンドリューはソワソワとして意味もなくその場で行ったり来たりしていた。
「あなた、落ち着いてください」
落ち着いた様子を見せていたメルモだが、彼女もよく見ると顔が引きつっている。彼女もアンドリューと同様に自宅がどのようになったのか気になるのだろう。
「お、おう、大丈夫だ」
しかし、動揺しているアンドリューはメルモがおかしいことについぞ気づかなかった。
「よし、それじゃあ戻ろうか」
「はい、できるだけ急ぎましょうね」
「もちろんだ!」
そうして、アンドリューたちは馬車を走らせ王都へと戻ってきた。そこで見た物は本当に増築された我が家だった。
「うそ……」
メルモは口をポッカリと開け、惚けている。
アンドリューだって信じられない気持ちだ。ちゃんと金貨五枚でできる改装にしてくれと言ったはずだ。本当にここまでできる物なのか、と。
「あっ、お帰りなさい!」
まるで帰りを待っていたかのように出迎える研吾。その顔はどこか達成感と自信に満ちていた。
「改装は終わったんだね」
すべてを悟ったかのようにぼそりと呟くアンドリュー。それを見た研吾も満面の笑みでほほえむ。
「はい、早速見てみますか?」
「は、はい――」
「いや、まずはかかった費用のことなんだが……いくらになったんだ?」
メルモはすぐにでも見たそうだったがこれを聞かないとゆっくり見て回れないアンドリューは妻の言葉を遮って研吾に問いかける。
「それもそうですね。気にされているようですからそちらからいきましょうか」
研吾は小さな鞄の中から一枚の紙を取り出す。そこにはなにやら細かい文字の羅列がびっしりと書かれている。
『請求書』
アンドリュー様
工事費合計【金貨一枚、銀貨五十七枚】を請求させていただきます。
詳細は二枚目をご確認ください。
そこには改装にかかった費用が書かれていたのだが数字の羅列だけを見たアンドリューはそれを信じられずに研吾に問いかける。
「この数字は一体?」
「改装にかかった費用になります」
「う……そだろ!?」
もう一度その紙を食い入るように眺めるアンドリュー。越えるかもしれないと思っていた費用。しかし実際にかかったのは越えるどころか予算の半分以下の金額。あまりの安さに驚いて口をパクパクと動かし声にならない声を上げる。それが気になったメルモも隣からその紙を覗いてくる。
「えっ、たったこれだけで?」
「はい、これだけあれば十分です」
自信たっぷりといった感じに身動き一つしない研吾。その目はまっすぐアンドリューを捉えている。心配だった予算のことは解消された。そうなるとこの予算で一体どのくらいのことが出来たのか気になってくる。
「この費用で大丈夫ですか?」
研吾が聞いてくる。でもアンドリューの予算は金貨五枚だと伝えてある。よほどのことがないと断られないと踏んでいるのかその態度は一切変わらず微笑んでいる。
「もちろんです! さっそく中を見させてもらっても?」
「ええ、行きましょう」
研吾がドアを開けると手で誘導してくれる。その動きはどこか優雅さを醸し出している。
「まずは穴が開いた部屋ですが、このように建具をつけて隣の庭だった訓練場への入り口に治させていただきました」
研吾がまず案内してくれたのは使っていない物置代わりの部屋だった。そこに開いた穴はきれいさっぱりなくなりほとんど最初の頃と変わらない壁がそこにはあった。
「き、きれいに治せるんだな」
「いえ、本当ならもっときれいに仕上げたかったところなんですけど、やはり補修しただけになりますので……この辺とか注視してもらうとどうしても微妙に色が違うんですよ」
研吾のその言葉にアンドリューは近づいてよく見てみる。確かに壊れていなかった壁の色と比べてほんの少し明るい気がする。ただ、それは目と鼻の先まで近づいて初めてわかるくらいの違い――。それ以上にここまできれいに出来ることに驚きに色が隠せなかった。
「すごいなぁ……」
それ以外の言葉が出てこなかった。それはメルモも同じようだった。
「さぁ、ここで終わりじゃないですよ。次の部屋も見てみましょう」
研吾は心ここにあらずの二人に声をかけるとこの部屋の建具を開け放つ。すると目の前に広がるのはかなり広い訓練場。降りるには段差二段分ほどあるがそれはこの訓練場が屋内なのに床が土で出来ていた。
「この広さだと一人で使うのがもったいないなぁ」
アンドリューは目を輝かせ、訓練場の中を行ったり来たりしていた。そして、壁を触ってそのざらついた素材に首を傾げていた。
「これは?」
「そうですね。それを調べるためにも壁に思いっきり魔法を打って貰えませんか?」
「そ、そんなこと出来るわけないだろう! せっかくきれいにしてくれたのに」
「いえ、アンドリューさんの魔法が防げないとなると失敗です。もう一度作り直す必要がありますから」
「本当に良いんだな?」
疑心暗鬼になりながらアンドリューがその意図を量るかのように目を鋭く細めて研吾を睨み付ける。
「はい、お願いします」
「あ、あなた……、まさかほんとうにやるつもりなの!?」
「あぁ、ここまでしてくれた先生が言うんだ。試す必要があるんだろう」
アンドリューは手を突き出すと軽く魔法を放った。彼の手から飛び出してきたのは小さな炎でそれはゆっくりと進んで壁に当たる。そしてそのまま消え去った。
「……手加減していませんか?」
目を細めた研吾に全て見透かされる。
「やっぱり本気で打たないとダメか?」
「はい、お願いします」
再度研吾から頼まれる。もうこうなったら自棄だと己が最大の魔法を放つ。それは雷が落ちたと錯覚させるほどの轟音を鳴らしながらまっすぐ訓練場の壁を目掛けて進んでいく。そして、鈍い衝突音と煙をまき散らして魔法は消滅する。
(傷ついてもいい。どうか壊れないでくれ!)
頭の中で必死に壁の無事を祈るアンドリュー。しかし、結果は彼の予想を大幅に反していた。煙が晴れてくるとそこには傷一つついていないまっさらな壁が姿を現す。
「な、なんで?」
「魔吸石です」
「魔吸石だと!?」
確かに魔吸石なら魔法を防ぐことが出来るだろう。でも、あれは相当高価なものだ。住宅の壁に使うなど聞いたことない。いや、さっきもらった費用のところにはちゃんと魔吸石と書かれている。つまり使用されていることには違いないだろう。しかしその数……明らかに少なすぎる。どう考えてもこの訓練場を覆えるほどの数ではない。……そうか。
「魔吸石が使われているのはここのほんの一部の壁なんだな。そこに魔法を打てば――」
「いえ、この訓練場ならどこを打っていただいても同じ結果ですよ」
アンドリューの予想は外れた。それならどうやってと必死に考えるが理由は思いつかない。
「降参だ。教えて貰えないか?」
「いいですよ。実はこの壁、粘着草を絞ったものに魔吸石のかけらを砕いたものを混ぜて作ってあるんですよ。つまり表面だけ魔法の耐性があるんです。いついかなる場所から使われるかわからないお城や城壁と違ってここなら魔法を使うのは訓練場内だけ。つまり魔法耐性を持たせるのは内側の壁だけで良かったのですよ」
言われてみると納得出来る。しかし魔吸石がまさかかけらになっても効果を発揮するとはな。
「実はこの壁に使うのはどの素材がいいか色々と試したのですよ」
そう言うと研吾はいかにしてこのような魔法に強い壁が出来たのかを教えてくれる。
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