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1章
挨拶へ行こう
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ここは……何処だろう?
シーナは、純白の天井を見上げながら考え、そして、徐々に思い出して……顔を青くした。
ここは、私の部屋のベッドの上だ。
加えていうなら、シーナの格好は昨日着ていたワンピースではなく、寝るときの服装だった。
シーナは身を起こしながら、窓の方を見る。
暗くなりかけていた空は、影も形もなく、逆に眩しい朝日がカーテン越しにでもわかるほどだった。
そして、シーナには昨日、泣いてしまったところまでしか記憶にない。これがどういうことが考えると、
つまりは、あのまま寝てしまったのだろう。
シフの前で泣き疲れて眠ってしまうなんて、まるで赤子のようで、シーナは暫くその場で絶句していた。
この年になってそれをやる気ようなことは今までもなかったし、次会った時に、私はシフになんて弁明すればよいのだろう……。
そして、そもそも私はどうやって、ここまで来たのだろうか?
半ば呆然としたように、考えていると、コンコン、とノックの音がした。ガチャ、と扉が開くと、
「おはようございま……あ、シーナ様、起きていらっしゃったんですか」
「おはよう、リタ……私、昨日は……」
「覚えてないんですか?」
「えぇ……」
「シーナ様は、この間ナーバスの皆さんと、お茶をした部屋のソファで寝てたんですよ。それはぐっすりと御休みになっていたので、着替えをさせて、そのままです。」
それは……そこまでシフが運んでくれた、ということ?
……よりいっそうやってしまった、という後悔の念が尽きない。
「……やっぱり、疲れてたんですか?」
「そうね……疲れて、いたのよ、きっと!」
「慣れない環境でしたから、無理もないですよ!今日は休んでいてください!」
それは大変!とでも言うようにリタはそう、言い切ると部屋を出ていこうとする。
シーナは慌てて止める。
「リタ、待って!大丈夫、疲れてないわ!」
「え、でも、今疲れてるって……」
「やっぱり疲れてないわ!とっても元気よ。……ね?だから、早く着替えて朝食を戴きに行きましょう?」
シーナはリタを逃さないように、早口で捲し立てるように言うと、スルリとベッドから降りた。
実際そんなに疲れているわけでもない。
ただ、色々あって驚くことがたくさんあっただけだ。
シーナはリタにも早く、早くと急かし、今日のワンピースを受け取り、着替える。顔を洗い、細々とした髪などの準備をリタにしてもらい、シーナはふと気付く。
目が腫れていない。
けっこう泣いていたはずなのに、そんな形跡は全くなかった。
リタが入ってきた段階で、全く何も言われなかったり、考えてみれば腫れぼったかったりすることもなかった。
これも……シフが?
シフには迷惑をかけてばかりだ。
次会った時は謝って……その後にしっかりお礼を言わなくてはいけないな、と考えた。
そして、今日は待っていてもらったリタと共に、朝食を食べに向かった。
部屋には、既に朝食が並べられていた。
湯気がふわふわと昇るスープやパンの良い香りがして、シーナは空腹を自覚した。
そう言えば、昨日の夕食も食べてないのだ。
それは、お腹が空く。
昨日も、その前も毎回どこかでご飯を食べていなかったので、今日は3食しっかりと食べよう、と心の中で思う。
クラストさんとフィオラさん……それにリオルさんが入ってきたときは一瞬目を反らしてしまったが、おはようございます、と概ねにこやかに挨拶をした。
そして、全員が席に着き、朝食を食べ始めるのたが、
「あの……どうして、こんなに静かなんです、か?」
リタがおそるおそる、と言った風に問う。
誰も一言も喋らないまま時が過ぎていくので、空気は重くなるばかりだったのだが、それを見かねたリタがその空気を切ろうとしたのだ。
「そうですね……」
フィオラさんが返事をするが、会話が続かない。
沈黙の中で1の鐘がボーンとなった。
私は、昨日の話をナーバス家なら全員知っているはずのものだろうと思ってしまうと、今まで食べながら何を話していたのか思い出せなかった。
そして、リタが、私を見る。
と言うか……その場にいた全員が私を見た。
シーナははぁ、と溜め息をついて……
「私、今日は街へいこうと思うの」
皆に向けてポツリとそう言った。
唐突なことで皆、驚いた顔をして、こちらを見ている。
「ほら、街の人への挨拶がまだだったから……。これからここに住むのに無関係はないでしょう?」
「そう、ですね!確かに挨拶は必要です!」
うんうん、と頷いたリタを筆頭に、クラストさんもフィオラさんも賛同してくれる。
リオルさんは、そっと、
「昼食は街で食べてきますか?パン屋は開いてると思いますが……。」
どうしますか?、と聞いてきた。
「じゃあ……折角なのでそうしてもいいですか?」
「はい、メーラのパン屋はとても美味しいパンを作りますよ。」
「それは楽しみですね!」
良かった。
ふわりと重かった空気がほどけて、一気に明るい空気が戻ってくる。
わいわいと話すようになり、シーナはシフに教えてもらった行くつもりの時間を伝えると、その通りだと言われた。
そして、街の案内のために(本当はある程度の場所は知っているのだけれど)フィオラさんが一緒に来てくれることになった。
回る順番として、よく人が集まる場所や町長さんの家をチェックすると、シーナ達は準備を始めた。
外に出るのだ。
今日は精霊達がいるだろうか?
街の人達とは仲良くやっていきたいな……。
そして、出来ることなら、また、シフには会いたいな……。
お礼を言いたいのも、謝りたいのもそうなのだけれど、シーナは一回会う度に何故か、またすぐに会いたくなるのだ。
色々なことを考えながら、不安が少しに、楽しみな気持ちが大部分と言ったような感じで時間が近くなり、シーナ達はリオルさんとクラストさんに挨拶をして、徒歩で出た。
シーナは、純白の天井を見上げながら考え、そして、徐々に思い出して……顔を青くした。
ここは、私の部屋のベッドの上だ。
加えていうなら、シーナの格好は昨日着ていたワンピースではなく、寝るときの服装だった。
シーナは身を起こしながら、窓の方を見る。
暗くなりかけていた空は、影も形もなく、逆に眩しい朝日がカーテン越しにでもわかるほどだった。
そして、シーナには昨日、泣いてしまったところまでしか記憶にない。これがどういうことが考えると、
つまりは、あのまま寝てしまったのだろう。
シフの前で泣き疲れて眠ってしまうなんて、まるで赤子のようで、シーナは暫くその場で絶句していた。
この年になってそれをやる気ようなことは今までもなかったし、次会った時に、私はシフになんて弁明すればよいのだろう……。
そして、そもそも私はどうやって、ここまで来たのだろうか?
半ば呆然としたように、考えていると、コンコン、とノックの音がした。ガチャ、と扉が開くと、
「おはようございま……あ、シーナ様、起きていらっしゃったんですか」
「おはよう、リタ……私、昨日は……」
「覚えてないんですか?」
「えぇ……」
「シーナ様は、この間ナーバスの皆さんと、お茶をした部屋のソファで寝てたんですよ。それはぐっすりと御休みになっていたので、着替えをさせて、そのままです。」
それは……そこまでシフが運んでくれた、ということ?
……よりいっそうやってしまった、という後悔の念が尽きない。
「……やっぱり、疲れてたんですか?」
「そうね……疲れて、いたのよ、きっと!」
「慣れない環境でしたから、無理もないですよ!今日は休んでいてください!」
それは大変!とでも言うようにリタはそう、言い切ると部屋を出ていこうとする。
シーナは慌てて止める。
「リタ、待って!大丈夫、疲れてないわ!」
「え、でも、今疲れてるって……」
「やっぱり疲れてないわ!とっても元気よ。……ね?だから、早く着替えて朝食を戴きに行きましょう?」
シーナはリタを逃さないように、早口で捲し立てるように言うと、スルリとベッドから降りた。
実際そんなに疲れているわけでもない。
ただ、色々あって驚くことがたくさんあっただけだ。
シーナはリタにも早く、早くと急かし、今日のワンピースを受け取り、着替える。顔を洗い、細々とした髪などの準備をリタにしてもらい、シーナはふと気付く。
目が腫れていない。
けっこう泣いていたはずなのに、そんな形跡は全くなかった。
リタが入ってきた段階で、全く何も言われなかったり、考えてみれば腫れぼったかったりすることもなかった。
これも……シフが?
シフには迷惑をかけてばかりだ。
次会った時は謝って……その後にしっかりお礼を言わなくてはいけないな、と考えた。
そして、今日は待っていてもらったリタと共に、朝食を食べに向かった。
部屋には、既に朝食が並べられていた。
湯気がふわふわと昇るスープやパンの良い香りがして、シーナは空腹を自覚した。
そう言えば、昨日の夕食も食べてないのだ。
それは、お腹が空く。
昨日も、その前も毎回どこかでご飯を食べていなかったので、今日は3食しっかりと食べよう、と心の中で思う。
クラストさんとフィオラさん……それにリオルさんが入ってきたときは一瞬目を反らしてしまったが、おはようございます、と概ねにこやかに挨拶をした。
そして、全員が席に着き、朝食を食べ始めるのたが、
「あの……どうして、こんなに静かなんです、か?」
リタがおそるおそる、と言った風に問う。
誰も一言も喋らないまま時が過ぎていくので、空気は重くなるばかりだったのだが、それを見かねたリタがその空気を切ろうとしたのだ。
「そうですね……」
フィオラさんが返事をするが、会話が続かない。
沈黙の中で1の鐘がボーンとなった。
私は、昨日の話をナーバス家なら全員知っているはずのものだろうと思ってしまうと、今まで食べながら何を話していたのか思い出せなかった。
そして、リタが、私を見る。
と言うか……その場にいた全員が私を見た。
シーナははぁ、と溜め息をついて……
「私、今日は街へいこうと思うの」
皆に向けてポツリとそう言った。
唐突なことで皆、驚いた顔をして、こちらを見ている。
「ほら、街の人への挨拶がまだだったから……。これからここに住むのに無関係はないでしょう?」
「そう、ですね!確かに挨拶は必要です!」
うんうん、と頷いたリタを筆頭に、クラストさんもフィオラさんも賛同してくれる。
リオルさんは、そっと、
「昼食は街で食べてきますか?パン屋は開いてると思いますが……。」
どうしますか?、と聞いてきた。
「じゃあ……折角なのでそうしてもいいですか?」
「はい、メーラのパン屋はとても美味しいパンを作りますよ。」
「それは楽しみですね!」
良かった。
ふわりと重かった空気がほどけて、一気に明るい空気が戻ってくる。
わいわいと話すようになり、シーナはシフに教えてもらった行くつもりの時間を伝えると、その通りだと言われた。
そして、街の案内のために(本当はある程度の場所は知っているのだけれど)フィオラさんが一緒に来てくれることになった。
回る順番として、よく人が集まる場所や町長さんの家をチェックすると、シーナ達は準備を始めた。
外に出るのだ。
今日は精霊達がいるだろうか?
街の人達とは仲良くやっていきたいな……。
そして、出来ることなら、また、シフには会いたいな……。
お礼を言いたいのも、謝りたいのもそうなのだけれど、シーナは一回会う度に何故か、またすぐに会いたくなるのだ。
色々なことを考えながら、不安が少しに、楽しみな気持ちが大部分と言ったような感じで時間が近くなり、シーナ達はリオルさんとクラストさんに挨拶をして、徒歩で出た。
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