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騎士団編
30(後日談2)(カエサル視線)
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一晩中後処理が大変だった。
「ふぅ‥‥‥」
自室に戻って、と言ってもテントだか俺は椅子に座ってようやく一息ついた。一挙に色々な事があり過ぎて頭がついていかない。
アメリアは寝ているだろうか。
「カエサル、少しいいか?」
外から声がかかる。団長か?
「あぁ、今出る」
「いや、中で話そう。他の奴等に聞かれたら面倒だ。」
「分かった」
他の奴等に聞かれると面倒な話________それは、きっと地下室でのことだ。もっと言えばアメリアがしたことスキルの使用のことだろう。
団長は落ち着いた面持ちで入ってきた。大まかな話だけはすぐにしたがやはりすぐに信じられるものではない。団長を椅子に座るように促す。
さて、どうするか。
「きっと予想は出来ているだろうが、話すのはスキルについて、だ」
「あぁ、信じられないか?癒しのスキルなんて」
「いや、そこは信じる。それにどうやって手に入れたのかは本人に聞くつもりだしな。」
少し驚いた。スキルは今では何万人に一人、しかも生まれつきではなく何らかの試練を受けた末に身に宿る物だと言われている。そんな短時間で受けられる試練など聞いたこともない。それにまぁ、アメリアは平気だと思うが膨大な魔力を要するはずだ。
「それよりも、その効果と、この先どうするかだ。アメリアは2週間後にロードクラウンを受けなくてはならない。」
スキルの効果は絶大だ。瀕死の状態が回復するのだから。団長は苦い顔で話をしている。
「効果か、あれは狙われるかもな。それに魔力量、ナチュラルの人化、もしかするとそのスキルもばれるかも、か?後は、本来の目的だった魔物の浄化だろ?」
「そうだ。ナチュラルは隠そうと思えば隠せるはずだが、魔力量は分かってしまう。それに魔物の浄化は話すしかない。スキルは‥‥‥」
「それを知れば必ず王家が介入するのにか。」
「あぁ、国の、いや、世界の救いになることだ。それに魔力量は本来、俺やお前が悩むことじゃない。しかしなやはりまずい。陛下が非道なことをするとは思えないが周りの大臣達がどう思うか‥‥‥」
団長には今回の事件の報告義務もある。屋敷の半壊、公爵に魔物が取りついていたことをふまえた上で負傷者0だ。嫌がおうにも全てを隠すことは出来ない。
「団長はどう考えてるんだよ」
「まず、ロードクラウンを受けないという選択肢はない。」
「あぁ、それはない。ただ先伸ばしにするだけだぜ。」
「後は、教会か、学園に入るか‥‥‥国を捨てるか。」
緊張が走る。国を捨てるなんて本気か?騎士団の団長がそれを言うことの重大性がよく分かる。王家の利益をみすみす手放すことだ。冗談でも、笑えない。団長は続ける。
「‥‥‥これは本人の意思だな。王家に仕えたいと言うかもしれん。アメリアのことだから俺たちには思いつかないようなことをやるかもしれないしな。」
「そうだ、な」
カエサルは知らず知らずの内に強ばっていた肩の力をふっと抜いた。団長は静かに立ち上がる。
「明日、公爵様やアメリアにも話しを聞こう。今日は終わりだ。」
「お前の〔家〕はいいのか?」
カエサルは最後にふと質問した。はっとしたように団長が振り向き、固まったとたんに緊張が戻った場に聞かない方がよかったと思った。団長の家から見たらアメリアは敵になってしまうのかも、ととっさに口にしてしまった。
「‥‥‥いいんだ。」
しばらくして口を開いた団長は小さくしかし、はっきりとそう言った。 そして、何事もなかったかのように明るく、
「喉が渇いたんじゃないのか?お茶を貰いに行こう」
そう言った。
俺も立ち上がり、二人で茶葉とカップを取るためにテントを出た。
すると、
「トレーシー様~、カエサル様~お疲れ様です」
待ち構えていたようにジュリが飛びながら声をかけてきた。
「ジュリ?まさか、話が聞こえていたのか!?」
「ん~?それはいいのですが、伺いたいことがありまして~」
いいのか?主人の未来が!?と思ったが口には出さずのんびりと話すジュリに耳を傾けた。
「えっとですね、お二人にアメリアのことをどう思っているのかお聞きしたくて」
「どうして突然そんなことを?」
「今後のためです!」
何故かそこだけきっぱりと言い切るジュリの内心は
(アメリア様の未来のお相手を!)だった。
「娘のような感じか?いや、年齢で言ったら妹だな。」
トレーシーの答えにジュリは少し不満気だ。
(でも、まだ、機会はあるはずです!)
「カエサル様はどうです?」
「俺は‥‥‥「ジュリ!!」
そこに顔を真っ赤にしたアメリアがテントから出てきた。何故だか潤んだ瞳に必死な表情。ジュリを捕まえて耳元になにやら話している。ニヤニヤしたジュリに耳まで赤くするアメリア。
何を話しているんだ?
「何を話しているんだ?」
「な、なな何でもないです!!」
俺と同じことを考えたらしい団長がそう問いかけるがアメリアは答えない。何かを隠していることは一目瞭然だ。
「それに、今日はものすごく眠いので、失礼しました!」
アメリアは逃げるようにジュリを連れてテントに走っていった。
俺は‥‥‥
その蒸気する顔も潤んだ瞳も
可愛いと思った。
「ふぅ‥‥‥」
自室に戻って、と言ってもテントだか俺は椅子に座ってようやく一息ついた。一挙に色々な事があり過ぎて頭がついていかない。
アメリアは寝ているだろうか。
「カエサル、少しいいか?」
外から声がかかる。団長か?
「あぁ、今出る」
「いや、中で話そう。他の奴等に聞かれたら面倒だ。」
「分かった」
他の奴等に聞かれると面倒な話________それは、きっと地下室でのことだ。もっと言えばアメリアがしたことスキルの使用のことだろう。
団長は落ち着いた面持ちで入ってきた。大まかな話だけはすぐにしたがやはりすぐに信じられるものではない。団長を椅子に座るように促す。
さて、どうするか。
「きっと予想は出来ているだろうが、話すのはスキルについて、だ」
「あぁ、信じられないか?癒しのスキルなんて」
「いや、そこは信じる。それにどうやって手に入れたのかは本人に聞くつもりだしな。」
少し驚いた。スキルは今では何万人に一人、しかも生まれつきではなく何らかの試練を受けた末に身に宿る物だと言われている。そんな短時間で受けられる試練など聞いたこともない。それにまぁ、アメリアは平気だと思うが膨大な魔力を要するはずだ。
「それよりも、その効果と、この先どうするかだ。アメリアは2週間後にロードクラウンを受けなくてはならない。」
スキルの効果は絶大だ。瀕死の状態が回復するのだから。団長は苦い顔で話をしている。
「効果か、あれは狙われるかもな。それに魔力量、ナチュラルの人化、もしかするとそのスキルもばれるかも、か?後は、本来の目的だった魔物の浄化だろ?」
「そうだ。ナチュラルは隠そうと思えば隠せるはずだが、魔力量は分かってしまう。それに魔物の浄化は話すしかない。スキルは‥‥‥」
「それを知れば必ず王家が介入するのにか。」
「あぁ、国の、いや、世界の救いになることだ。それに魔力量は本来、俺やお前が悩むことじゃない。しかしなやはりまずい。陛下が非道なことをするとは思えないが周りの大臣達がどう思うか‥‥‥」
団長には今回の事件の報告義務もある。屋敷の半壊、公爵に魔物が取りついていたことをふまえた上で負傷者0だ。嫌がおうにも全てを隠すことは出来ない。
「団長はどう考えてるんだよ」
「まず、ロードクラウンを受けないという選択肢はない。」
「あぁ、それはない。ただ先伸ばしにするだけだぜ。」
「後は、教会か、学園に入るか‥‥‥国を捨てるか。」
緊張が走る。国を捨てるなんて本気か?騎士団の団長がそれを言うことの重大性がよく分かる。王家の利益をみすみす手放すことだ。冗談でも、笑えない。団長は続ける。
「‥‥‥これは本人の意思だな。王家に仕えたいと言うかもしれん。アメリアのことだから俺たちには思いつかないようなことをやるかもしれないしな。」
「そうだ、な」
カエサルは知らず知らずの内に強ばっていた肩の力をふっと抜いた。団長は静かに立ち上がる。
「明日、公爵様やアメリアにも話しを聞こう。今日は終わりだ。」
「お前の〔家〕はいいのか?」
カエサルは最後にふと質問した。はっとしたように団長が振り向き、固まったとたんに緊張が戻った場に聞かない方がよかったと思った。団長の家から見たらアメリアは敵になってしまうのかも、ととっさに口にしてしまった。
「‥‥‥いいんだ。」
しばらくして口を開いた団長は小さくしかし、はっきりとそう言った。 そして、何事もなかったかのように明るく、
「喉が渇いたんじゃないのか?お茶を貰いに行こう」
そう言った。
俺も立ち上がり、二人で茶葉とカップを取るためにテントを出た。
すると、
「トレーシー様~、カエサル様~お疲れ様です」
待ち構えていたようにジュリが飛びながら声をかけてきた。
「ジュリ?まさか、話が聞こえていたのか!?」
「ん~?それはいいのですが、伺いたいことがありまして~」
いいのか?主人の未来が!?と思ったが口には出さずのんびりと話すジュリに耳を傾けた。
「えっとですね、お二人にアメリアのことをどう思っているのかお聞きしたくて」
「どうして突然そんなことを?」
「今後のためです!」
何故かそこだけきっぱりと言い切るジュリの内心は
(アメリア様の未来のお相手を!)だった。
「娘のような感じか?いや、年齢で言ったら妹だな。」
トレーシーの答えにジュリは少し不満気だ。
(でも、まだ、機会はあるはずです!)
「カエサル様はどうです?」
「俺は‥‥‥「ジュリ!!」
そこに顔を真っ赤にしたアメリアがテントから出てきた。何故だか潤んだ瞳に必死な表情。ジュリを捕まえて耳元になにやら話している。ニヤニヤしたジュリに耳まで赤くするアメリア。
何を話しているんだ?
「何を話しているんだ?」
「な、なな何でもないです!!」
俺と同じことを考えたらしい団長がそう問いかけるがアメリアは答えない。何かを隠していることは一目瞭然だ。
「それに、今日はものすごく眠いので、失礼しました!」
アメリアは逃げるようにジュリを連れてテントに走っていった。
俺は‥‥‥
その蒸気する顔も潤んだ瞳も
可愛いと思った。
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