笑顔で異世界救います!?

綺羅姫

文字の大きさ
20 / 33
騎士団編

18

しおりを挟む
※天然魔石のことをこの先ナチュラルと呼ばせていただきます。



私は、えっ魔石だったの!?と驚いたけれど、ケイン様も驚いている。何で?

「ナチュラルなんてどうやって手に入れたんですか!?」

怒鳴るような勢いで詰め寄ったケイン様にアリッツ様は青い顔で椅子の後ろに隠れてしまった。

やっぱり気弱だなぁ。

それを見ていたトレーシー様は何故か自慢気に箱を受け取って全員が見やすいようテーブルに置く。そして、アリッツ様の方を向いて話してやれと言った。アリッツ様はおどおどと話始めた。

「い、家にあったんです。」

「‥‥‥アリッツの家はあの薬学一族、シュバーズ子爵家だ。だから、魔石全体の1%しかないナチュラルを人に渡す許可がおりたんだろう。」

「あぁ、あのですか。」

ケイン様はそれだけで意味が分かったようで、一人うんうんと頷いている。
私は全く分からない。誰か説明プーリズ‥‥‥。と思っていると

「アメリアは知らないと思うが、シュバーツ家は地位や富に興味がないが、その変わり異常なほど薬学研究しかしないところだ。」

そう教えてくれた。

へー‥‥‥薬学なんてあったんだ。私にとって注目すべきはそこ!てっきり治癒魔法とかがあるものだと。

「うちにあっても、どうせ魔力が足りないので使えませんから。」

「そうか。‥‥‥いいか、アメリア。お前にはナチュラルと契約してもらう。17歳になるまでに封印が解けていることがばれたら協会に拐われる。そのためのカモフラージュがナチュラルなんだ。」

トレーシー様私の方へ向き直ってがしごく真面目な顔両肩に手を置いた。

「ナチュラルは人工魔石と違って契約が必要だ。失敗することもある。つまり主人を選ぶってことだ。そして、もう一つナチュラルは主人に合わせて姿を変える。変化はまぁ、お前の魔力なら大丈夫だと思うが、一応俺達が見届けさせてもらおう。」

全員が緊張を面に出して、さっきまでの雰囲気が嘘のように静かになる。

「これも額に当てていただきます。魔力が吸われますので、気をつけて下さい。そして、魔力を使う上で捧げることを忘れないでください。」

ケイン様がそう言った。

3人の視線の中心で私もなんだかドキドキしながらそっと魔石に近寄り手を伸ばす。
額に当てると何が起きるのか。
私は前と同じことにならないようにと思いながら魔力を捧げた。


魔石は‥‥‥温かかった。
魔力が体から急速に吸い出される。それと、同時に吸い出された魔力が魔石の中で変化するのを感じて‥‥‥でも、それは不快なものじゃない。やっぱり心地よかった。
熱くなることもない。

私は目を閉じて椅子に腰を掛けた。
魔石はゆらゆらと形を変え始めてドクンドクンと僅かに心臓の音が聞こえる。私はその音に耳を傾けた。

ふと、周りから息を飲む音が聞こえて目を開けるともう魔力が吸われる感覚は無くなっていて、手にはナチュラル‥‥‥なの!?
皆が手に乗っているそれを凝視していた。
温かくて、ふわふわしている‥‥‥これは妖精?

両手に収まるように丸くなって眠っている妖精は深い紺色から白に替わるグラデーションの髪に凄く整った日本人のような顔立ち。
それに虹色に輝く羽と首に元の魔石の形をしたペンダントをしていた。服はシフォンのような素材で出来た膝たけの青と白のドレスだ。

‥‥‥羽って‥‥‥まず、生物が生まれるなんて聞いてない!!

でも、手の中ですーすーと寝息をたてる妖精は確かに生きていて、そして綺麗でとても儚く、脆い。

「‥‥‥ブラッド・フェアリー」

誰かがそう呟いた。

「アメリア、お前、どうするんだこれ!?まず、生き物に変化した前例なんてないぞ!!普通リボンとか花とかにするだろ!?」

えぇ!?そんなこと言われたって、私がイメージしたのが妖精だった訳じゃないし。
まぁ、この見た目全てが私の好みにぴったりなのはそうなんだけど。

「それだけじゃありません、これ、上級魔物のブラッド・フェアリーじゃないですか?」

「さすがに魔物な変えるようなことは‥‥‥。」

いやいや、そこは否定してくださいよ!私はこの子のことを魔物だとは思えないけど。

「‥‥‥えぇぇ!?」

「アリッツ静かにしてくれ、判断がつかない。」

「‥‥‥はい。」

妖精は変わらず寝ているけど、この状況でよく寝てられるね。起きてよ。

「‥‥‥ぅん‥‥‥」

私の心の声が届いたのか一度身動ぎをして目を擦りながらふぁ、と大きく欠伸をした妖精はピシリと石像のように固まった私達に反してのんびりと起き上がった。

「おはようございます~。我が主様ぁ。」

か、可愛いっ!!
まさに天使の如く。
まだ、寝ぼけているようで、濃い青の瞳を光にならすためにぱちぱちとするのが本当に可愛い!

「主様は?」

ふわりと羽ばたいて手のひらから浮き上がりきょろきょろと辺りを見回す妖精。私と目が合うと、にこりと笑って

「アメリア様、私(わたくし)に名前をつけてくださいまし。」

と、ゆったりした口調で言った。

笑った‥‥‥。側で見ていた三人はさらに石化した。

名前?

「はい~、名前です。」

え、聞こえてるのかな?
私が声に出さなくても分かっているかのように返事をする妖精。

「私とアメリア様は魔力で繋がっております。なので、心の中はよく分かりますよぅ。私はアメリア様の魔力のリミッター、そして、心の傷を癒すべく生まれたのですから。」

ほわほわとまた下降して手に降り立った妖精さ名前を、と繰り返した。
名前、かぁ。

「なんでも良いのですよ?」

【ジュリエッタ、かな。】

一度は聞いたことがあるジュリエットを悲劇にはしたくないから少し変えてジュリエッタ。
呼び名はジュリ。
我ながらぴったりな気がする、うん!

「ジュリエッタ!!素敵です!」

文字どおり飛び上がってくるくると回り出したジュリ。気に入ってくれたみたいだ、良かった。
私も笑みを深める。

「これからよろしくお願いいたします、アメリア様!!」

【うん!!】

もう、一筋の疑いもなく新しい友達できた気分のような感じでいた私は笑い合うと言うこの世界では有り得ないものを見てさらにさらに石になった3人には気付かなかった。

(((えぇぇ!?)))

3人はと言うと前代未聞が起きすぎて心の中で悲鳴を上げていたらしい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

攻略なんてしませんから!

梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです! 【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/ 閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。 此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。 *攻略なんてしませんから!別ルート始めました。 【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮
恋愛
クリバンス王国内のフォークロス領主の娘アリス・フォークロスは、母親からとある理由で憧れである月の魔女が通っていた王都メルト魔法学院の転入を言い渡される。 しかし、その転入時には名前を偽り、さらには男装することが条件であった。 その理由は同じ学院に通う、第二王子ルーク・クリバンスの鼻を折り、将来王国を担う王としての自覚を持たせるためだった。 だがルーク王子の鼻を折る前に、無駄にイケメン揃いな個性的な寮生やクラスメイト達に囲まれた学院生活を送るはめになり、ハプニングの連続で正体がバレていないかドキドキの日々を過ごす。 そして目的であるルーク王子には、目向きもなれない最大のピンチが待っていた。 さて、アリスの運命はどうなるのか。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...