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9話 泉と暴力
8.衝動
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カイオは着ているシャツのボタンを外し前を開くと、シャツは着たまま器用にさらしをほどいた。
あっさりとさらしが取り払われ、白い胸の膨らみがシャツの隙間から覗く。
すると、男たちは途端に盛り上がった。
狂ったような熱狂があたりに満ち、セノンは気圧される。
「おらぁ!さっさと全部脱げぇ!」
「気取ってんじゃねぇぞ!」
男たちの怒声を聴いているのかいないのか、カイオは自然な調子でシャツに手をかける。
そこでセノンは、思わず目を硬くつぶった。…こんなカイオの姿を、見ていられない。
男たちの興奮と歓声が一際大きくなるのだけを、耳と肌で感じる。
しかしすぐに、無精髭男の手で瞼が無理やりこじ開けられた。
「はっはっは!おい坊主!お前のために従者さんが体を張ってんだから、目ぇつぶってんじゃねぇよ!お前も一緒に隅から隅まで見てやんな!!」
視界が無理やり開かされ、見たくないカイオの姿を強制的に見させられる。
カイオは既にズボンを脱いでおり、ちょうど下着を下ろし脚から引き抜くところだった。
下着を放り捨て身を起こすと、何も身に着けていない生まれたままの姿になっている。
細身だが女性らしい柔らかさを持つ、美しい裸体が晒されていた。
セノンは今までに何度もカイオの裸に近い姿を見ていたが、上半身だけ裸の姿だったりズボンとさらしだけ脱いだ姿だったりと、下着を含めすべて脱いだ姿を見たことはまだなかった。
今初めて、何も身に着けていないカイオの姿を見た。…こんな風に見たくなんて、なかった。
「おいおい、いい恰好だなぁ従者さん!勇者様も喜んでるぜぇ!?」
必死に目をそらしてカイオの姿を見ないようにしながら、セノンは悔しさにぼろぼろと涙をこぼす。
その様子も時たま横目で眺めつつ、男はカイオにそう声を投げた。
男の言葉を受け、カイオはそっと両腕を上げて股の間と胸を隠す。
その姿に、男たちは罵声をぶつけた。
「隠してるんじゃねぇぞおらぁ!!」
「もっと脚広げろ!!」
「…楽しいことは、一息に終わらせては勿体ないですよ。少しずつ味わってはいかがですか?」
男たちの興奮しきった声に反し、カイオの声は極めて冷ややかだ。
だが実際、カイオが体を隠すと、男たちは明らかにさっきよりも興奮していた。
「ははっ、女のくせによく分かってんじゃねぇか。…じゃあ次は、その場でゆっくり回りな!」
男の指示を聞き、カイオは言われた通りゆっくり回る。
その隠し切れない身体が露わになるたび、男たちは下卑た声を上げた。
「いい体してんなぁ!!」
「早く触りてぇぜ!」
どんどんとヒートアップし異常なまでの熱気を放ち始める男たちの様子に、セノンはただただ恐怖を覚えた。
そして同時に、その欲望の視線と怒声に直接晒されるカイオの心情を考えると、心底震えあがった。
(カイオ…カイオっ…!!)
体を震えさせ周囲の男たちに怯えながら、セノンはカイオの精神を心の底から案じた。
「いやぁ、楽しいねえ…さて次はどうするか…ああ、そうだ!」
そんなセノンを見て、男はいいことを思いついたようにニタニタ嗤う。
「なあ従者さんよ、あんたもいきなり俺たちの相手しろって言われても、気分が乗らねぇだろ?だったら、まずは勇者様としてみせろよ!」
「そりゃあいい!!」
「おもしろそうだ!」
男の言葉に、セノンは耳を疑った。
どこまで最低なのだ、この男たちは。
カイオは表情を変えず、その場から動かない。
男たちはにわかに盛り上がり、カイオを囃し立てる。
「…」
「なあいいだろ?お熱いとこを見せてくれよ!どうせ二人っきりで旅してるんだから、いっつもやりまくってんだろ?こっちのガキなんて、いかにもやりたい盛りだもんなぁ!!」
男の言葉を聞き、セノンの体は恥辱に震える。
さっきまでの恐怖を忘れ、次第に強い怒りが込み上げてきた。
――やめろ。僕とカイオは、そんなんじゃない。僕とカイオの関係を、思い出を、汚すな。
「ほらほら、こっちきて触ってやれよ!いつもみたいに、勇者様のをいやらしくしゃぶって――」
「…ぎゃあああああああっっ!!?」
無精髭男が言い終わる前に、大男の絶叫が上がった。
大男の手は首から離れ、いつのまにか自由になったセノンの手にかけられている。
セノンの腕を拘束していた縄は少し前に、セノン自身によって一瞬で引きちぎられていた。
そしてセノンの手は大男の腕を掴み、あまりの握力に骨を砕くどころかその指先を男の太い腕にめり込ませていた。
それにより簡単に大男の皮膚が破れ、肉が裂けて血が溢れ出す。
大男はセノンの手を自分の腕から必死に引きはがそうとしているが、びくともしていない。
「なっ…!?」
その光景に、無精髭男が怯んで短刀ごと身を引く。
その隙に、セノンは頭を振りかぶり後頭部を大男の顔に叩きつけた。
大男の顔は鼻が砕けるどころか鼻を中心に陥没し、その衝撃で首の骨が折れ不自然に後ろに折れ曲がった。
セノンが掴んでいた手を離すと、大男はそのままゆっくりと後ろ向きに倒れていった。
あっさりとさらしが取り払われ、白い胸の膨らみがシャツの隙間から覗く。
すると、男たちは途端に盛り上がった。
狂ったような熱狂があたりに満ち、セノンは気圧される。
「おらぁ!さっさと全部脱げぇ!」
「気取ってんじゃねぇぞ!」
男たちの怒声を聴いているのかいないのか、カイオは自然な調子でシャツに手をかける。
そこでセノンは、思わず目を硬くつぶった。…こんなカイオの姿を、見ていられない。
男たちの興奮と歓声が一際大きくなるのだけを、耳と肌で感じる。
しかしすぐに、無精髭男の手で瞼が無理やりこじ開けられた。
「はっはっは!おい坊主!お前のために従者さんが体を張ってんだから、目ぇつぶってんじゃねぇよ!お前も一緒に隅から隅まで見てやんな!!」
視界が無理やり開かされ、見たくないカイオの姿を強制的に見させられる。
カイオは既にズボンを脱いでおり、ちょうど下着を下ろし脚から引き抜くところだった。
下着を放り捨て身を起こすと、何も身に着けていない生まれたままの姿になっている。
細身だが女性らしい柔らかさを持つ、美しい裸体が晒されていた。
セノンは今までに何度もカイオの裸に近い姿を見ていたが、上半身だけ裸の姿だったりズボンとさらしだけ脱いだ姿だったりと、下着を含めすべて脱いだ姿を見たことはまだなかった。
今初めて、何も身に着けていないカイオの姿を見た。…こんな風に見たくなんて、なかった。
「おいおい、いい恰好だなぁ従者さん!勇者様も喜んでるぜぇ!?」
必死に目をそらしてカイオの姿を見ないようにしながら、セノンは悔しさにぼろぼろと涙をこぼす。
その様子も時たま横目で眺めつつ、男はカイオにそう声を投げた。
男の言葉を受け、カイオはそっと両腕を上げて股の間と胸を隠す。
その姿に、男たちは罵声をぶつけた。
「隠してるんじゃねぇぞおらぁ!!」
「もっと脚広げろ!!」
「…楽しいことは、一息に終わらせては勿体ないですよ。少しずつ味わってはいかがですか?」
男たちの興奮しきった声に反し、カイオの声は極めて冷ややかだ。
だが実際、カイオが体を隠すと、男たちは明らかにさっきよりも興奮していた。
「ははっ、女のくせによく分かってんじゃねぇか。…じゃあ次は、その場でゆっくり回りな!」
男の指示を聞き、カイオは言われた通りゆっくり回る。
その隠し切れない身体が露わになるたび、男たちは下卑た声を上げた。
「いい体してんなぁ!!」
「早く触りてぇぜ!」
どんどんとヒートアップし異常なまでの熱気を放ち始める男たちの様子に、セノンはただただ恐怖を覚えた。
そして同時に、その欲望の視線と怒声に直接晒されるカイオの心情を考えると、心底震えあがった。
(カイオ…カイオっ…!!)
体を震えさせ周囲の男たちに怯えながら、セノンはカイオの精神を心の底から案じた。
「いやぁ、楽しいねえ…さて次はどうするか…ああ、そうだ!」
そんなセノンを見て、男はいいことを思いついたようにニタニタ嗤う。
「なあ従者さんよ、あんたもいきなり俺たちの相手しろって言われても、気分が乗らねぇだろ?だったら、まずは勇者様としてみせろよ!」
「そりゃあいい!!」
「おもしろそうだ!」
男の言葉に、セノンは耳を疑った。
どこまで最低なのだ、この男たちは。
カイオは表情を変えず、その場から動かない。
男たちはにわかに盛り上がり、カイオを囃し立てる。
「…」
「なあいいだろ?お熱いとこを見せてくれよ!どうせ二人っきりで旅してるんだから、いっつもやりまくってんだろ?こっちのガキなんて、いかにもやりたい盛りだもんなぁ!!」
男の言葉を聞き、セノンの体は恥辱に震える。
さっきまでの恐怖を忘れ、次第に強い怒りが込み上げてきた。
――やめろ。僕とカイオは、そんなんじゃない。僕とカイオの関係を、思い出を、汚すな。
「ほらほら、こっちきて触ってやれよ!いつもみたいに、勇者様のをいやらしくしゃぶって――」
「…ぎゃあああああああっっ!!?」
無精髭男が言い終わる前に、大男の絶叫が上がった。
大男の手は首から離れ、いつのまにか自由になったセノンの手にかけられている。
セノンの腕を拘束していた縄は少し前に、セノン自身によって一瞬で引きちぎられていた。
そしてセノンの手は大男の腕を掴み、あまりの握力に骨を砕くどころかその指先を男の太い腕にめり込ませていた。
それにより簡単に大男の皮膚が破れ、肉が裂けて血が溢れ出す。
大男はセノンの手を自分の腕から必死に引きはがそうとしているが、びくともしていない。
「なっ…!?」
その光景に、無精髭男が怯んで短刀ごと身を引く。
その隙に、セノンは頭を振りかぶり後頭部を大男の顔に叩きつけた。
大男の顔は鼻が砕けるどころか鼻を中心に陥没し、その衝撃で首の骨が折れ不自然に後ろに折れ曲がった。
セノンが掴んでいた手を離すと、大男はそのままゆっくりと後ろ向きに倒れていった。
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