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第27話:混ぜるな危険。
しおりを挟む「おいおっちゃん! もっとスピード出ねぇのか!?」
「これが限界ヨ! 空から来るなんて卑怯ネ!!」
シャンティアを出た俺達は、今絶賛魔物の大群に追いかけられ中である。
「畜生め、ウェアウルフの大群の次はイビルイーグルの群れとかどうなってんだ!?」
『おかしいわね。あいつら普段群れて行動するような魔物じゃないわよ?』
そりゃそうだろうぜ俺だってあんな大群のイビルイーグルなんて初めて見たし群れるなんて話は聞いた事が無い。
奴等は基本単体行動、あるいはツガイと共に行動すると言われている。
だからこの状況は明らかにおかしい。
「まぱまぱー鳥さんいっぱいだよ!」
「こらイリス! 顔出すんじゃない。危ないだろ!?」
「ごめんなさーい」
イリスがしょんぼりしている。強く言い過ぎたかな……。
「でもごしゅじん、あの大群いったいどうするんです? 空じゃ攻撃も届かないでしょうし……」
馬鹿ネコまで心なしか元気が無い。
「あいつらの出す変な音波が私にはキツイですぅ……」
よく見たら頭の上に獣耳が出ててぴこぴこと動いている。
普通の人間に比べて亜人の方が感度がいいというか動物の特徴も踏まえているから、俺には聞こえない音を拾ってしまっているのだろう。
「その耳見るとお前が亜人なんだなって実感するよ」
「うにゃぁ……恥ずかしいですあまりじろじろ見ないでくださいぃぃ!」
馬鹿ネコはネコミミを抑えるように手で覆って頭を下げた。
こいつにも羞恥心っていう概念があったのか……。
『さぁこの状況で君はどうするのかしらね? わくわく♪』
こいつ……ママドラの力を借りるしかないの分かってて言ってやがるな……。
まるでお前が引き寄せてるんじゃねーだろうな。
『私にそんな器用な真似ができる訳ないでしょ? 威圧して散らす事はできても引き寄せるなんて妙な真似は出来ないわよ』
待て、散らす事なら出来るのか?
『私の本来の姿で咆哮でもすりゃ一発よ♪』
……そりゃ参考にならない意見ありがとよ。
竜化せずにあいつらを倒すとしたら……。
遠距離可能な職業、やはり弓士系だろうか?
『それは有る意味で正しいけれど、弓はどこから出てくるのかしら?』
うっ……。
『仮にスナイパーやガンナーのスキルを使用したとして、弓や銃なんてどこで調達するの? それでも何とかしたければ魔法で飛び道具を精製し使用するっていう職業もあるみたいだけど……』
いやいや、そんなの本末転倒だろう。スキルだけでなんとかしようって言ってんのに魔法系スキルが必要になったら結局竜化しなきゃダメじゃねぇか!
自慢じゃないが魔法の弓矢や魔法の銃なんて俺のイメージ力で作り出せる気もしないしそんな攻撃方じゃ一~二発撃ったところで俺の魔力が尽きちまう。
『ふむふむそれもそうよねー。じゃあやっぱり私の力を頼るしか無いんじゃないかしら』
クソが……。だったらいっそあいつら纏めて吹っ飛ばせるような魔法使える職業とかの方がいいんじゃねぇのか?
『あっ、頼る気になった? だったら是非オススメがあるんだけどな♪』
嬉しそうだなぁおい……。結局こうなっちまうのか……。自分の力だけじゃ何もできねぇ自分が歯がゆすぎる。
チラっとステータスを見ると、俺の現在のレベルは28まで上がっていた。
とは言えあれだけの数のウェアウルフと対人戦、そして病魔を倒してもまだこれくらいか。
ウェアウルフ自体は単体だと大した事ない奴等だから仕方ない。
確かイビルイーグルはそれなりに厄介な相手のはずだから確実に30までは上がるだろう。
自分のレベルが上がると考えれば……まぁ、妥協できなくもないか?
「お、オニーサン! 追いつかれるヨ!!」
仕方ねぇな……ママドラ、どの記憶引っ張って来るかは任せる! 適した奴を頼むぞ!
『良し来た♪ じゃあこんなのはどうかしら?』
俺はママドラの力を借り竜化を発動させる。
相も変わらず髪から色素が抜け金色に輝き、髪の毛が急激に伸びる。
俺の毛根大丈夫なのかなぁ……。
『そんな心配は要らないから気にしない方がいいわよ? 余計な心労で禿げたら笑ってあげるわ』
うるさいわね……!
私は魔導シューター。私の人生に立ちはだかる如何なる相手もこの一撃で灰にしてあげるわ!
馬車の窓から身を乗り出して枠を掴み、遠心力を使って逆上がりの要領で屋根の上へ飛び乗る。
「このままスピードを維持して出来るだけ左右にブレないようにお願いね!」
「オニ……オネーサン了解ヨ!」
さて、じゃあいっちょやってやりましょうか!
「私の力は一対多数に特化している……私にちょっかい出した事覚悟しなさいよね!」
って言ってもこいつらには言葉通じないわね。昔は戦場で恐れられたものだけれど……。
私に恐れおののく人々の顔が見れないのは
ちょっと残念だわ。
……ま、どっちにしても纏めてぶち殺すのは大っ好きだからいーけどね♪
私は両腕を大きく広げ、意識を集中。
視界が青く染まりフィルターがかかったようになる。
そして、大空に広がる無数のイビルイーグル、その全てに白い十字マークが固定されていく。
……数にして百二十二……このくらいなら余裕ね。
大きく広げた両腕それぞれにずしりと確かな重量を感じる。
私の力は頭にイメージした兵器を具現化して魔法で再現する事。
具体的な構造なんてどうだっていい。私のイメージした通りの性能、威力を発揮する。
要はイメージが全てなのだ。
その為には実物を知っている必要がある。
『だからついでに別の世界の科学者の記憶も一緒にプレゼントよ♪』
……他者同士の記憶が頭の中でごちゃごちゃになって気持ち悪い感覚はあるけれど……。
「ヒヒッ! 吾輩の作り出した追尾型エーテルエアッドの威力を思い知るがいいのだァッ!! ヒャアッハァ!!」
吾輩の作り出せし兵器をまさか魔導エネルギーその物で構築する事が可能とはなんという未知の能力ッ!! 素晴らしいッ!!
私の力でその詳細な力を全て出力し、ターゲッティングした敵を全て撃ち滅ぼす!
「「ファイアーッ!!」」
両腕それぞれで抱えた四角い箱からエーテル……要するに魔力による砲弾を無数に発射。
それらが白い軌跡を描いて一斉に空へ向かい、クソ野郎共へまっしぐら。
危機を感じて回避しようとしてももう無駄だ。吾輩のエアッドによる追尾能力、そして私のターゲッティングからはどうやっても逃げられない……!
ファイア! ファイアファイアファイア!!
轟音を響かせ青空をエーテル爆発によるエメラルドグリーンの花火が埋め尽くす。
「あぁ……大量虐殺って最高……! イーッヒヒヒッ吾ァァ輩のォォ兵器はァァァ世ェェ界一ィィィィ!!」
『混ぜるな危険……か、覚えておくわ』
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