410 / 476
第400話:色ボケ行き遅れアホ女(天才)
しおりを挟むずもももも……
ずもももももも……
ずもももも……
「お、おいリリィ……お前何しやがった?」
「わらわ必殺のドラゴニックスレイヴァーですーっ!」
そう言いながらリリィは地面にゆっくりと降り立ち、自らが作り出した黒い球体の吸引力に引っ張られた。
「は、はわわわっ! ちょっと、わらわまで吸い込んでどーするんですかーっ!?」
『ミナト君、多分アレはヤバいわ』
ちっ、しょうがねぇなぁ……。
俺は空間魔法で球体の周囲を完全に隔離、その効力を無効化した。
「ひっ、ひーっ、助かりましたーっ!」
「自分でやった事くらい自分で責任持って処理しろよな……?」
「ご、ごめんなさいです……」
リリィは地面にぺたんと座り込んで、珍しくちゃんと謝った。
「ちなみに今の技試した事は?」
「無いです今なんとなくでやりました……」
……は? どういう意味で言ってるんだこいつ。
「今なんとなくでやった……ってのは? やり方は知ってたけど試した事が無かったって意味か?」
リリィは顔をこちらに向けて、きょとんとしている。
「いえ、そうじゃなくて今なんとなくでこんなのが出来たらいいなーと」
「……」
絶句した。
こいつは今この瞬間に、自分が求めている魔法を作り出したと?
「お前……天才かよ」
「えっ? ……わ、わかりますー? わらわの天才さってやっぱりにじみ出ちゃうものなんですねー!」
「ああ、たいしたもんだわ実際」
自分で新たな魔法を生み出す力? どうかしてるだろ……。
「き、急になんです……? わらわそんなに褒められるとちょっと気まずいですー」
「ちなみに魔法精製についてはシルヴァは知ってるのか?」
「んー? それはどうですかねー?」
なんでだよ。シルヴァに教わったから出来るようになったんじゃねぇのか?
詳しく話を聞いてみたところ、シルヴァからはマリウスが出来た事の再現ばかりを要求されたらしく、魔物の索敵や障壁の張り方、最低限の魔法各種などの使い方を指南してもらっていたらしい。
「……じゃあなんでいきなり魔法を作り出そうとなんて思ったんだよ」
「いやぁ、なんだか出来る気がしましてー」
アホだ。要するに俺が昔見たアニメで使ってた技とかがなんだか出せるような気分になって部屋でこっそり練習した事があるみたいなノリで本当に実現してしまった、という事だろう?
やはりどうかしている。
「試しに今ここで何か新しい魔法を作ってみせてくれないか? 出来るだけ破壊とかそういうんじゃないやつを頼むわ」
「いきなり言われても困りますー。えっと……じゃあこういうのはどうですー?」
リリィは掌を地面に当て、何やらまたよく分からない事を言いだした。
「びびるびるびるびびるびーっ!」
途端に地面がぼこりと盛り上がり、目の前に十メートルはあろうかという山ができた。
「おいおいなんじゃこりゃ」
地面を隆起させたのか? でもこれならラムとかにも出来そうな気がするな……。
「まだまだですよーっ! リャビパスリャビパスリュリュリュリュリューッ!!」
だからそのよく分からん呪文はなんなんだ? 聞いた事も無いんだが。
それについて質問しようとしたが、俺は言葉を失ってしまった。
目の前に現れた山がバリバリと削れ……いや、違う。
「変形だと……ッ!?」
山がべきばきと音を立て、圧縮されてだんだんと形が角ばっていく。
そして、最終的に完成したのは四角を組み合わせて組み上げたようなロボット……?
「じゃじゃーん! ゴーレムのでっきあがりですーっ!」
「どうなってんだお前……! すっげー! すっげーなこれ!」
「えっ、そんな褒められると照れちゃいますー」
思わず俺が絶賛してしまうのも無理はないのだ。
ロボットは男のロマン。
いや、これはゴーレムか。どっちでもいい。
「これってもっと見た目に拘る事は出来るのか!?」
「えっと……時間をかければできるとは思いますけどー?」
「マジか!? お前最高だなその魔法教えてくれよ!」
この魔法極めて六体合体巨大ゴーレムとか作れたら……更に言えば中心に乗り込めるコックピットを作って……。
「あ、いえー、なんとなくの感覚でやってるので人に教えるのはちょっとー」
「えぇー?」
俺の夢はあっさりと儚く散った。
……しかし、だ。
これはかなり大きな前進じゃないか?
「なぁリリィ」
「な、なんです? プロポーズとかされてもこまっちゃいますよー?」
「頭わいてんのか」
「わいてん?」
ダメだ、皮肉も伝わらん。
「今後の戦い、多分リリィ……お前がカギになる。正直な所ちょっと前まで一般人だったお前にこんな事頼むのは気が引けるんだが……どうか俺に力を貸してくれ」
『あら素直』
こいつの力はどうしても必要だからな。
「えっと……何言ってるんですー?」
リリィはスッと立ち上がり、両手を腰に当ててふんぞり返った。
「わらわが一般人だった、ですって? わらわは姫ですよー!? 国の姫たるもの世界の危機に動かなくてどーするんです!?」
「ぷっ」
「なに笑ってんですかーっ!?」
「いや、悪い悪い。リリィらしいなと思ってな。俺はお前の事誤解してたわ」
てっきりただの色ボケ行き遅れアホ女だと思ってた。
「だって頑張ったらシルヴァ様が褒めて下さいますしーっ♪」
急にだらしない顔になって身体をくねくねとくねらせ始めるリリィ。
……どうやら色ボケ行き遅れアホ女なのは正しかったらしい。
0
あなたにおすすめの小説
ゴミスキルと追放された俺の【模倣】が【完全模倣】に覚醒したので、最高の仲間たちと偽りの英雄パーティーに復讐することにした
黒崎隼人
ファンタジー
主人公・湊は、劣化コピーしかできない【模倣】スキルを持ちながらも、パーティー「紅蓮の剣」のために身を粉にして働いていた。しかし、リーダーの海斗に全てのスキルを奪われ、凶悪な魔物が巣食うダンジョンの最深部に置き去りにされてしまう。
死を覚悟した湊だったが、その瞬間、唯一残ったスキルが【完全模倣】へと覚醒。それは、一度見たスキルを劣化なく完全コピーし、半永久的にストックできる規格外の能力だった。
絶望の淵から這い上がり、圧倒的な力を手に入れた湊は「クロ」と名を変え、過去を捨てる。孤独な精霊使いの少女・楓、騎士団を追われた不器用な重戦士・龍司――虐げられてきた者たちとの出会いを経て、新パーティー「アヴァロン」を結成する。
これは、全てを失った一人の青年が、かけがえのない仲間と共に偽りの英雄たちへ壮絶な復讐を遂げ、やがて本物の伝説へと成り上がる物語。
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる