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第2章:冒険の始まりと新たな仲間。
第21話:ビーストテイマー。
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「ユキナ早く降りろ! そいつを始末する!」
「だ、ダメ! クラマ、ダメだよ!」
クラマが剣を振りかぶってこちらに切りかかろうとしてきたので腕を広げて切り株を庇う。
「ばか、どけ!!」
「どーきーまーせーんー!」
ギリギリでクラマの剣が止まる。
あーびっくりした! 怖かったーっ! 死ぬかと思った!!
「お前なぁ……そんな涙目になるくらい怖かったなら早くどけば良かっただろうが」
「ど、どいたらクラマ切り株さん殺しちゃうもん……」
「あ、あんたおいらを庇ってくれたのか……?」
切り株さんが声を震わせながらそう言った。
やっぱり会話が出来る。魔物だって喋れるんだ……。
どうしよう……本格的に戦いにくいよ……。
明らかに極悪非道モンスターって感じだったらそこまで気にならないけど、この子あまり悪い感じしないし……。
道行く魔物がいちいち喋りかけてきたら絶対無理。僕RPGの魔物とかにだって結構思い入れあるんだからさ……。
スライム頑張って育てたり腐った死体とかメインパーティに入れたりしてたしさ。
魔物育てられるゲームあったんだもん喋る魔物とか戦えないってば……。
「お前らこんな所で何をやっているんだ」
僕とクラマが睨み合ってる間にさっきの声の人が近くまで来ていた。
僕もクラマもその声の主へ視線を向ける。
そこに立っていたのは、やたら顔の整った青髪の青年だった。
「えっと……君は? さっきこの子を止めてくれたよね?」
「この子……? あぁウッドバックの事か。魔物相手にこの子、とは……」
なんだか初対面でめっちゃ呆れた顔された!
「誰だか知らんがお前からも言ってやってくれ。こいつはどうかしてる。魔物を庇うなんて……」
そう言ってクラマは僕の後ろに隠れている切り株を睨みつけた。
「ひっ、ひぃぃ……!」
「ほら怖がってるじゃん! クラマが怖い顔するからだよ!?」
「お前……そいつが魔物だって分かって言ってるのか? 敵だぞ?」
その言葉に僕はかちん、と来てしまった。
「魔物が敵だって誰が決めたのさーっ!」
クラマだけではなく青髪の人もその言葉にびっくりしていたみたい。
「魔物だってさ、こうやって喋れるんだよ!? 話せば分かる子だっているかもしれないでしょーが! 魔物だから敵だ殺す! ってどこの殺人鬼なの? もうちょっと理性的な所見せてよクラマなら頭いいんだから分かるでしょ!?」
「い、いや……しかしだな……」
「……」
僕とクラマの様子を伺うように青髪の人は無言でこちらを見つめていた。
「……はぁ、分かった。俺の負けだよ。お前は言い出したら聞かんからな……」
クラマはそう言って諦めたように剣を鞘に納めた。分かってくれると思ってたよ♪
「お前ら、本当にそれでいいのか? そのウッドバックは魔物だぞ? 人間と魔物は敵対しているだろうが」
なんだこの青髪。僕らの味方なのか敵なのかはっきりしろ!
「ねぇ切り株さん。君ってさ、人間襲った事ある?」
「……ある」
クラマが眉間に皺を寄せて再び剣を抜いた。
「クラマ、ちょっと待って。ねぇ切り株さん。もう一度聞くよ? 人間を殺した事ある?」
「……無い。おいらは、たまに街道を通る人間を転ばせて遊んだ事があるくらいで……戦いは苦手だから……」
僕はクラマに向き直って腰を手に当て胸を張る。つまり、ドヤっ!
「はぁ……分かった分かった。もういい」
「じゃあさっさとその剣しまって。この子が怖がってるから」
「お前……人間なのにおいらを……」
切り株さんがくわっと大きな一つ目を開いて涙を流した。
どこで見てるのかと思ってたらそんなとこに目があったのね。
切り株の側面に大きな目があったんだけど、さっき走ってたのは前に向かって、じゃなくて後ろに向かって走ってたみたい。
だからウッドバック、なのかな?
後ろを見ながらだったからクラマの動きをきちんと見てかわす事ができたんだろう。
「眼おっきいね! かわいい♪」
「かわ、いい? おいらが?」
「うん。めっちゃかわいいじゃん♪ ねぇ、友達になろうよ」
魔物と友達になるとか主人公感すごいじゃん?
それにこの子ほんとは素直でいい子っぽいし。
「ばかな……」
そう呟いたのはクラマじゃなくて青髪の人。
「ねぇ君はさっきからなんなの? いちいち僕の言動に突っかかってくる感じあるんだけどさ、僕が魔物と仲良くするのが気に入らない?」
「……いや、むしろその逆だ。私はカーシュラ。ビーストテイマーだ」
びーすとていまーっ!?
「なんだそれは?」
「クラマ今の聞いて分からないの? ビーストテイマーってのは魔物使いってやつだよ! だからさっきこの子に命令して止めたんだ? すごいすごい!」
「う、うむ……まぁそんな所だ。そうだな、ウッドバック」
「……は、はい! その通りですっ!」
おぉ、すごいじゃん。切り株さんが完全に言いなりだ……。
「へー凄いなぁ。じゃあ無駄に魔物と戦う必要はなさそうだね! ねぇ君僕達と一緒に来てよ!」
「なっ……いや、うむ……そのつもりではあったがまさかそんなにストレートに勧誘されるとは……」
青髪のカーシュラと名乗った青年は困ったように頭をぽりぽり掻いていた。
「おい、会ったばかりの奴を勧誘するとか……いや、ユキナのやる事だからいちいち理由を問い詰めても意味がないのは分かってる。それはいい。だがな、はっきりさせなきゃいけない事があるだろうが」
勧誘した事に関してはクラマもなんとか納得してくれたみたい。
でも、はっきりさせなきゃならない事ってなんだろ。
……あ。
「えっと、カーシュラ、君って……なんで隔離障壁の外にいるの……?」
「だ、ダメ! クラマ、ダメだよ!」
クラマが剣を振りかぶってこちらに切りかかろうとしてきたので腕を広げて切り株を庇う。
「ばか、どけ!!」
「どーきーまーせーんー!」
ギリギリでクラマの剣が止まる。
あーびっくりした! 怖かったーっ! 死ぬかと思った!!
「お前なぁ……そんな涙目になるくらい怖かったなら早くどけば良かっただろうが」
「ど、どいたらクラマ切り株さん殺しちゃうもん……」
「あ、あんたおいらを庇ってくれたのか……?」
切り株さんが声を震わせながらそう言った。
やっぱり会話が出来る。魔物だって喋れるんだ……。
どうしよう……本格的に戦いにくいよ……。
明らかに極悪非道モンスターって感じだったらそこまで気にならないけど、この子あまり悪い感じしないし……。
道行く魔物がいちいち喋りかけてきたら絶対無理。僕RPGの魔物とかにだって結構思い入れあるんだからさ……。
スライム頑張って育てたり腐った死体とかメインパーティに入れたりしてたしさ。
魔物育てられるゲームあったんだもん喋る魔物とか戦えないってば……。
「お前らこんな所で何をやっているんだ」
僕とクラマが睨み合ってる間にさっきの声の人が近くまで来ていた。
僕もクラマもその声の主へ視線を向ける。
そこに立っていたのは、やたら顔の整った青髪の青年だった。
「えっと……君は? さっきこの子を止めてくれたよね?」
「この子……? あぁウッドバックの事か。魔物相手にこの子、とは……」
なんだか初対面でめっちゃ呆れた顔された!
「誰だか知らんがお前からも言ってやってくれ。こいつはどうかしてる。魔物を庇うなんて……」
そう言ってクラマは僕の後ろに隠れている切り株を睨みつけた。
「ひっ、ひぃぃ……!」
「ほら怖がってるじゃん! クラマが怖い顔するからだよ!?」
「お前……そいつが魔物だって分かって言ってるのか? 敵だぞ?」
その言葉に僕はかちん、と来てしまった。
「魔物が敵だって誰が決めたのさーっ!」
クラマだけではなく青髪の人もその言葉にびっくりしていたみたい。
「魔物だってさ、こうやって喋れるんだよ!? 話せば分かる子だっているかもしれないでしょーが! 魔物だから敵だ殺す! ってどこの殺人鬼なの? もうちょっと理性的な所見せてよクラマなら頭いいんだから分かるでしょ!?」
「い、いや……しかしだな……」
「……」
僕とクラマの様子を伺うように青髪の人は無言でこちらを見つめていた。
「……はぁ、分かった。俺の負けだよ。お前は言い出したら聞かんからな……」
クラマはそう言って諦めたように剣を鞘に納めた。分かってくれると思ってたよ♪
「お前ら、本当にそれでいいのか? そのウッドバックは魔物だぞ? 人間と魔物は敵対しているだろうが」
なんだこの青髪。僕らの味方なのか敵なのかはっきりしろ!
「ねぇ切り株さん。君ってさ、人間襲った事ある?」
「……ある」
クラマが眉間に皺を寄せて再び剣を抜いた。
「クラマ、ちょっと待って。ねぇ切り株さん。もう一度聞くよ? 人間を殺した事ある?」
「……無い。おいらは、たまに街道を通る人間を転ばせて遊んだ事があるくらいで……戦いは苦手だから……」
僕はクラマに向き直って腰を手に当て胸を張る。つまり、ドヤっ!
「はぁ……分かった分かった。もういい」
「じゃあさっさとその剣しまって。この子が怖がってるから」
「お前……人間なのにおいらを……」
切り株さんがくわっと大きな一つ目を開いて涙を流した。
どこで見てるのかと思ってたらそんなとこに目があったのね。
切り株の側面に大きな目があったんだけど、さっき走ってたのは前に向かって、じゃなくて後ろに向かって走ってたみたい。
だからウッドバック、なのかな?
後ろを見ながらだったからクラマの動きをきちんと見てかわす事ができたんだろう。
「眼おっきいね! かわいい♪」
「かわ、いい? おいらが?」
「うん。めっちゃかわいいじゃん♪ ねぇ、友達になろうよ」
魔物と友達になるとか主人公感すごいじゃん?
それにこの子ほんとは素直でいい子っぽいし。
「ばかな……」
そう呟いたのはクラマじゃなくて青髪の人。
「ねぇ君はさっきからなんなの? いちいち僕の言動に突っかかってくる感じあるんだけどさ、僕が魔物と仲良くするのが気に入らない?」
「……いや、むしろその逆だ。私はカーシュラ。ビーストテイマーだ」
びーすとていまーっ!?
「なんだそれは?」
「クラマ今の聞いて分からないの? ビーストテイマーってのは魔物使いってやつだよ! だからさっきこの子に命令して止めたんだ? すごいすごい!」
「う、うむ……まぁそんな所だ。そうだな、ウッドバック」
「……は、はい! その通りですっ!」
おぉ、すごいじゃん。切り株さんが完全に言いなりだ……。
「へー凄いなぁ。じゃあ無駄に魔物と戦う必要はなさそうだね! ねぇ君僕達と一緒に来てよ!」
「なっ……いや、うむ……そのつもりではあったがまさかそんなにストレートに勧誘されるとは……」
青髪のカーシュラと名乗った青年は困ったように頭をぽりぽり掻いていた。
「おい、会ったばかりの奴を勧誘するとか……いや、ユキナのやる事だからいちいち理由を問い詰めても意味がないのは分かってる。それはいい。だがな、はっきりさせなきゃいけない事があるだろうが」
勧誘した事に関してはクラマもなんとか納得してくれたみたい。
でも、はっきりさせなきゃならない事ってなんだろ。
……あ。
「えっと、カーシュラ、君って……なんで隔離障壁の外にいるの……?」
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