押し倒されたら異世界で聖女になってました。何故か勇者な彼に邪険にされるわ魔王に求婚されるわでうまく行きません(>_<)★本編+後日談完結★

monaka

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第2章:冒険の始まりと新たな仲間。

第28話:エゴと疑惑。

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「……私達も進もう。早く合流する為にも、だ」

「うん、分ってる」

 もっごは僕に気を使ってかあれから何も言わない。ただ僕を乗せて出来るだけ揺らさないように進んでくれていた。

「……お前、あのオークに手を合わせていたな。あれは何のつもりだ?」

「何のつもりって……あの子は前に会った事あるんだよ。その時は怖くって酷い事しちゃったけど、今思えば……ちゃんと理性は合ったんだと思うんだ。なのにさっきのオークは……」

「ここの魔物は何者かに操られている。理性を奪われ、言う事を遂行するだけの人形みたいなものだ」

 ……やっぱり。

「魔王の仕業なのかな……?」

「さぁな。それよりだ。遭遇した事のあるオークだからといって人間が手を合わせて祈るなんて馬鹿げている」

 シュラのその言葉についかちんと来てしまった。

「なんでさ。だって無理矢理理性奪われて戦わされるなんて酷いじゃないか。せめて祈るくらいしたっていいでしょ!?」

「……お前は人間、魔物は魔物だ」

「同じだよ。人間とか魔物とか関係ないんだってば……もっごだってこうやって話が出来て僕を手伝ってくれてるじゃん。僕はこの子の事仲間だと思ってるよ。それに人間とか魔物とか関係あるの?」

 シュラは足を止め、眉間に皺を寄せてこちらを見る。

「……本当に変な女だお前は。全ての人間がお前のようなら人間と魔物も共存出来たのかもしれないな」

 そう呟いたシュラはとても寂しそうに笑った。

「別に今からでも遅くないじゃん」

「なんだと?」

「僕は魔王を殺しに行く訳じゃない。魔王を叩きのめして話し合う為に行くんだよ」

「話してどうする。相手は魔物の王だぞ?」

 ……ここの魔物の理性を奪ったのが魔王だとしたら確かに許せない。
 だけど、魔物の王なら王として責任を取ってもらわなきゃ。

「魔王が命令すれば魔物だって人間を襲ったりしないでしょう?」

「……どうだろうな。ある程度は可能かもしれないが、中には人に害をなす魔物だっているだろう」

「それは人間だって同じだよ。人間は人間を殺す生き物だ。事件が一切起きない平和な世界なんて存在しないんだよ。魔物だって人間だって良い奴と悪い奴が居るんだよ」

 シュラは先ほどまでとはちょっと違う真剣な表情で僕を見つめた。

「お前にとっては本当に人間も魔物も変わらないんだな」

 そりゃそうだよ。日本だってさ、いきなり猫とか犬とかが喋り出したらどうなる?
 そんなのもうペット扱いできないよ。勿論望んで飼われる子だっているだろうけど、どっちかっていうと話し相手、友達になるんじゃないかな?

「僕は自分勝手で我儘だからね♪ 魔物だって分かり合えると思っちゃったらそれを周りにも分かってほしいし、同じ気持ちを共有したいんだよ。エゴだとしてもね」

「……なるほど、な。とんだ阿呆も居たものだ」

「ちょっ、馬鹿にしないでよっ!」

「馬鹿になどしていない。阿呆だと言ったんだ」

「同じ事だよっ!」

 気が付けばシュラはうっすらと笑っていた。

「非常に馬鹿げた思想ではあるが……」

「あー、ほら今度は馬鹿って言った!」

「ふふっ、だが嫌いではない」

「……えっ、今なんて?」

「さぁ、先を急ごう」

 シュラは僕の質問を無視してすたすたと先へ進む。
 もっごも少しだけテンポを上げてその後を追いかけた。

 シュラはここの構造がある程度理解出来ているみたいだから合流できそうなポイントとかも任せておいて大丈夫だろう。

 頼りになる仲間が増えて嬉しい。

 ……そう、思ってたんだけど。


 しばらく進むと今までとは全く造りの違うしっかりした壁に囲まれた場所に出た。

「……? ここだけなんでこんなに綺麗なの?」

「後から何者かの手によって整備されたのだろうな」

「何者かって?」

 シュラは答えてくれない。無言でどんどん先に進んでしまう。

 途中で魔物に襲われる事もあったけれど、そんなに広くない通路だから囲まれるような事も無かったし、丈夫な場所に出た事で僕もある程度魔法で応戦できた。

 クラマは大丈夫かな……? 魔物に襲われたら……。
 早く合流しないとクラマが危ない。

「ねぇ、あとどれくらい進めば合流できそう?」

「……」

「ねぇってば、聞いてるの?」

 この妙な通路に出てからシュラの様子がおかしい。
 ずっと難しい顔をしてるし僕の声に答えてくれなくなった。

 もっごに聞いても「さぁ……?」と煮え切らない返事が来るだけ。

 いったいなんなのさ。

「ねぇ、無視しないでよ。ちゃんと合流できるポイントに向かってるんだよね?」

「……」

「……シュラ? ねぇ、まさかクラマを見捨てたりしないよね?」

「……」

「なんとか言ってよ!」

 僕がつい怒鳴るような声で彼を問い詰めると、やっとこちらをチラリと見て言った。

「魔力反応の大きい場所へ向かっている」

「魔力反応……って、もしかして敵? なんで? 先にクラマと合流でしょ!?」

「……いや、ユキナには悪いがこのまま先へ進んで敵を叩く」

 待って、なんで? 早くクラマと合流しなきゃ危ないのに。
 合流する為に先を急ごうって言ってたじゃん。

 ……シュラ、君は何を考えているの?

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