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第14話 呪い
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……やってしまった。別にエレインさんは何も悪くないのに。
ハイラムは部屋に戻って自己嫌悪のため息を盛大に吐いた。
つまらない嫉妬で台無しにしてしまった。エレインさんは侯爵家の為に収入を増やそうとしていただけ。分かっている。分かっているけれど、ほんの少し商売の事を忘れて自分を見て欲しかった。
「なんて身勝手なんでしょうね……」
自嘲的に呟くと、何処からか猫の鳴き声が聞こえてきた。
「アローネ? いつの間に入って来たんですか?」
猫の鳴き声を探して、ハイラムが部屋の中を見渡す。暗い部屋の中でアローネの青い瞳だけが爛々と煌めいていた。
まるで父から話に聞いた、占い師の青い瞳のようだ。
「そこに居たんですか」
ハイラムが棚の上に座っているアローネに近付く。黒猫なので、本当に瞳だけ浮いているようだ。うっかりすると吸い込まれそうなほど澄んだ青さに、知らずハイラムは己の思いを吐露する。
「この仮面が取れたなら、エレインさんは私を愛してくれるだろうか……」
恨めしそうにハイラムは自らの顔を覆う仮面を撫でた。もう長いこと外れないこの仮面を取ることを諦めていたが、エレインと出会ったことで再び仮面を外したい気持ちがむくむくと湧いてきた。
ハイラムとて男だ。好きになった女性に触れたいと思う。自分の傍に居て、愛して欲しいと思う。けれど、現実は上手くいかない。
「仮面があっても無くても、私は誰も幸せに出来ないのかもしれません……」
”本当に彼女のこと愛してるの?”
黒猫の青い瞳が語り掛けてくるように、ハイラムの脳内に言葉が頭に響く。そんなはずがない、と思いながらもハイラムは答える。
「勿論好きです。愛してる、というのは烏滸がましいと思いますが。突飛な状況で結婚する羽目になったというのに、一生懸命侯爵家のことを考えて下さって……。明るくて、私にも優しくして下さって……」
”でもそれは彼女が楽しいからやってるんでしょう? それでも愛してるの?”
「ええ。愛しいと思います。ずっとここに居て欲しいです。契約を越えて。エレインさんといると心が暖かくなるんです」
夢か幻か分からないまま、ハイラムが答える。
”本当にそう言える? 一時の気の迷いでないと。貴方の父は浮気者だったのに?”
「私は父とは違います。生涯愛するのはエレインさんだけです」
”本当に? 誓える?”
「はい」
力強く答えたハイラムに、黒猫は興味を失ったかのように欠伸をして寝転がった。
その瞬間、まるで魔法が解けたように、ハイラムははっと目を覚ます。視界にはベッドの天蓋が広がっている。しかも、外からは朝の陽がカーテン越しに漏れていた。
「いつの間に寝てっ……」
夜中部屋に戻って、猫のアローネを見つけたのは覚えているのだが。それ以降のことは霞のようにはっきりしない。
何だかべらべら独り言を言ったような気がしますが……。
ハイラムは焦って、身を起こす。その時、カタンと床に何か落ちる音がした。ハイラムが視線を寄越すと、それは恐怖に歪んだ表情を象った仮面だった。
「えっ……」
その仮面は、鏡で見慣れたハイラムの呪われた仮面だった。戸惑いながら、ハイラムは自分の頬に触れる。硬質で冷たい仮面と違いペタペタと柔らかく温かい感触だ。それにいつもあった顔の圧迫感もない。肌に朝の冷え冷えとした空気を感じた。
仮面が、取れた……?
まさかの展開に信じられず、ハイラムは急いでベッドから抜け出すと鏡を確認する。
「!」
***
一方その頃エレインは部屋で自分を責めていた。
ああ、またやってしまったわ。商売に夢中になる余り、調子に乗って! エレインの大バカ者!
結局うだうだ悩んで、余り眠れなかった。
私の資産じゃないのに、まるで自分のみたいに好き勝手しようとして。侯爵に軽蔑されてしまったわ……これは離婚を切り出されるかも……。
エレインは真っ青になった。今更ながら自分の失態に落ち込み、床にへたり込んだ。ハイラムと別れなければいけない、と思うと辛くて立っていられない。
私……侯爵と離れたくない。
エレインはようやく自分の恋心に気が付いたようだった。
私、侯爵のこと好きなんだわ……優しくて穏やかで……でも、ちょっぴり怖がりで、毒舌家な面もあって……でも、好きだって分かった瞬間お別れだなんて……仕方ないわ、自分の所為なんだし。
分かってはいても、エレインはショックを隠し切れない。失意のため息を吐いたところで、部屋の扉を誰かが叩く音がした。しかも何か焦ったように性急に叩いている。
「エレインさん。私です、ハイラムですっ」
「こ、侯爵っ!?」
昨日の今日で、エレインは何の覚悟も出来ていない。動機が早くなるのを感じながら、エレインが尋ねる。
「ど、どうしたんですか? こんな朝早く……」
「すみません。どうしてもお話ししたいことがあって」
ああ、きっと、離婚話だわ……。冷静にお話しを聞けるかしら……。
のろのろと立ち上がり、一呼吸おいてエレインは扉を開ける。ビクビクしながらハイラムの顔を伺うように顔を上げたのだが。
「え……」
そこに立っていたのはハイラムではなく、見知らぬ若い男性だった。エレインは思わず固まってしまった。
背格好はハイラムと同じくらいだが、仮面がない。しかも、その上、銀をまぶしたような淡い琥珀色の瞳に、すっと通った鼻筋、薄く形の良い唇の滅多にお目に掛かれない美しい顔の持ち主だ。さらりとした金の色の髪が輝いてすら見えた。余りの美形っぷりにエレインは眩しそうに目を細める。
「……どちら様ですか? 侯爵のご友人ですか?」
エレインにはこんな美しい知り合いはいない。思わず誰何してしまった。
「何を言ってるんですか、エレインさん。私です、ハイラムです」
「……は?」
何を言っているのか分からず、エレインが間抜けな声を出す。
「だって、侯爵はあの怖い仮面を……」
「それが外れたんですよ」
「……へ?」
またしても間の抜けた声を出してしまったエレインは、今見えているものが現実かどうかまだ判断が付かなかった。
「謀ってませんよ。本当です」
確かに柔らかな声音はハイラム、その人だ。
「じゃ、じゃあ本当に……?」
目の前の男性が頷く。
では、あの呪われた仮面の下は、神に祝福されし最高の顔面だったってこと!?
「でもどうやって……今まで何をしても呪いは解けなかったのに……」
エレインの問いにハイラムも顔を顰める。
「私にもよく分からないのですが……夢か現か、目が覚めたら取れていたんです」
「目が覚めたら、ですか……」
「ええ。夢の中でアローネと会話してた気がするんです」
「……なるほど。よく分かりませんけど、やっぱりアローネは幸運を運んでくれる猫だったんですね」
正直何故呪いが解けたのか、エレインにはさっぱり分からないが、喜ばしいことは確かだった。それに自分がもう必要ないことも。
「それなら、もう私がここに居る理由はありませんね」
寂しそうにエレインが微笑む。こんな形でお別れになるとは思いもしなかった。
「何を言っているんです、エレインさん?」
「だって。呪いが解けたなら、もう誰とでも結婚出来ますし……」
今のハイラムならわざわざ貴族でもない成り上がりの商家の娘なんかと結婚しなくても、相応しい身分の女性とすぐにでも結婚出来るだろう。
「それ、本気で言ってます? エレインさん」
ハイラムの琥珀色の瞳にじっと見つめられ、エレインはオロオロと視線を彷徨わせる。美形に見つめられては、目など合わせられるはずもない。
「えっと、それは……」
「私は貴女が居てくれたから、この呪いは解けたんだと思います」
「私は別に何も……」
「そんなことはありません。貴女を愛したことが奇跡に繋がったのですから」
「あ、あいっ……」
率直かつ余りに直球な告白に、エレインの体温がかつてないほど上げる。ほとんど沸騰しそうだ。
「エレインさん、これでようやく言えます」
「ひゃっ……な、なんでしょう?」
ハイラムの顔が一段とエレインに近づいて来る。これ以上は心臓に悪い。
「ずっと、ここに、私の傍に居て下さいませんか? 私のことが嫌でなかったら、ですが……」
「嫌いなんてっ、そんなこと、ありえませんっ」
「良かった」
ほっとハイラムが目元を緩ませる。朝日に輝く、そのほんの少しの笑みすら神々しい。
「エレインさん」
ハイラムがエレインの頬を包む。一層、ハイラムの美麗な顔が近付く。
「ひえっ……」
エレインの心臓の音が尚一層激しく脈打ち、全身が沸騰しそうなほど熱くなる。美し過ぎる顔面はもはや凶器と同じだ。
これ以上、見つめられたら本当に心臓が破れそうっ……!
「侯爵、もうダメ……」
耐えきれずにエレインはのぼせて倒れた。
ハイラムは部屋に戻って自己嫌悪のため息を盛大に吐いた。
つまらない嫉妬で台無しにしてしまった。エレインさんは侯爵家の為に収入を増やそうとしていただけ。分かっている。分かっているけれど、ほんの少し商売の事を忘れて自分を見て欲しかった。
「なんて身勝手なんでしょうね……」
自嘲的に呟くと、何処からか猫の鳴き声が聞こえてきた。
「アローネ? いつの間に入って来たんですか?」
猫の鳴き声を探して、ハイラムが部屋の中を見渡す。暗い部屋の中でアローネの青い瞳だけが爛々と煌めいていた。
まるで父から話に聞いた、占い師の青い瞳のようだ。
「そこに居たんですか」
ハイラムが棚の上に座っているアローネに近付く。黒猫なので、本当に瞳だけ浮いているようだ。うっかりすると吸い込まれそうなほど澄んだ青さに、知らずハイラムは己の思いを吐露する。
「この仮面が取れたなら、エレインさんは私を愛してくれるだろうか……」
恨めしそうにハイラムは自らの顔を覆う仮面を撫でた。もう長いこと外れないこの仮面を取ることを諦めていたが、エレインと出会ったことで再び仮面を外したい気持ちがむくむくと湧いてきた。
ハイラムとて男だ。好きになった女性に触れたいと思う。自分の傍に居て、愛して欲しいと思う。けれど、現実は上手くいかない。
「仮面があっても無くても、私は誰も幸せに出来ないのかもしれません……」
”本当に彼女のこと愛してるの?”
黒猫の青い瞳が語り掛けてくるように、ハイラムの脳内に言葉が頭に響く。そんなはずがない、と思いながらもハイラムは答える。
「勿論好きです。愛してる、というのは烏滸がましいと思いますが。突飛な状況で結婚する羽目になったというのに、一生懸命侯爵家のことを考えて下さって……。明るくて、私にも優しくして下さって……」
”でもそれは彼女が楽しいからやってるんでしょう? それでも愛してるの?”
「ええ。愛しいと思います。ずっとここに居て欲しいです。契約を越えて。エレインさんといると心が暖かくなるんです」
夢か幻か分からないまま、ハイラムが答える。
”本当にそう言える? 一時の気の迷いでないと。貴方の父は浮気者だったのに?”
「私は父とは違います。生涯愛するのはエレインさんだけです」
”本当に? 誓える?”
「はい」
力強く答えたハイラムに、黒猫は興味を失ったかのように欠伸をして寝転がった。
その瞬間、まるで魔法が解けたように、ハイラムははっと目を覚ます。視界にはベッドの天蓋が広がっている。しかも、外からは朝の陽がカーテン越しに漏れていた。
「いつの間に寝てっ……」
夜中部屋に戻って、猫のアローネを見つけたのは覚えているのだが。それ以降のことは霞のようにはっきりしない。
何だかべらべら独り言を言ったような気がしますが……。
ハイラムは焦って、身を起こす。その時、カタンと床に何か落ちる音がした。ハイラムが視線を寄越すと、それは恐怖に歪んだ表情を象った仮面だった。
「えっ……」
その仮面は、鏡で見慣れたハイラムの呪われた仮面だった。戸惑いながら、ハイラムは自分の頬に触れる。硬質で冷たい仮面と違いペタペタと柔らかく温かい感触だ。それにいつもあった顔の圧迫感もない。肌に朝の冷え冷えとした空気を感じた。
仮面が、取れた……?
まさかの展開に信じられず、ハイラムは急いでベッドから抜け出すと鏡を確認する。
「!」
***
一方その頃エレインは部屋で自分を責めていた。
ああ、またやってしまったわ。商売に夢中になる余り、調子に乗って! エレインの大バカ者!
結局うだうだ悩んで、余り眠れなかった。
私の資産じゃないのに、まるで自分のみたいに好き勝手しようとして。侯爵に軽蔑されてしまったわ……これは離婚を切り出されるかも……。
エレインは真っ青になった。今更ながら自分の失態に落ち込み、床にへたり込んだ。ハイラムと別れなければいけない、と思うと辛くて立っていられない。
私……侯爵と離れたくない。
エレインはようやく自分の恋心に気が付いたようだった。
私、侯爵のこと好きなんだわ……優しくて穏やかで……でも、ちょっぴり怖がりで、毒舌家な面もあって……でも、好きだって分かった瞬間お別れだなんて……仕方ないわ、自分の所為なんだし。
分かってはいても、エレインはショックを隠し切れない。失意のため息を吐いたところで、部屋の扉を誰かが叩く音がした。しかも何か焦ったように性急に叩いている。
「エレインさん。私です、ハイラムですっ」
「こ、侯爵っ!?」
昨日の今日で、エレインは何の覚悟も出来ていない。動機が早くなるのを感じながら、エレインが尋ねる。
「ど、どうしたんですか? こんな朝早く……」
「すみません。どうしてもお話ししたいことがあって」
ああ、きっと、離婚話だわ……。冷静にお話しを聞けるかしら……。
のろのろと立ち上がり、一呼吸おいてエレインは扉を開ける。ビクビクしながらハイラムの顔を伺うように顔を上げたのだが。
「え……」
そこに立っていたのはハイラムではなく、見知らぬ若い男性だった。エレインは思わず固まってしまった。
背格好はハイラムと同じくらいだが、仮面がない。しかも、その上、銀をまぶしたような淡い琥珀色の瞳に、すっと通った鼻筋、薄く形の良い唇の滅多にお目に掛かれない美しい顔の持ち主だ。さらりとした金の色の髪が輝いてすら見えた。余りの美形っぷりにエレインは眩しそうに目を細める。
「……どちら様ですか? 侯爵のご友人ですか?」
エレインにはこんな美しい知り合いはいない。思わず誰何してしまった。
「何を言ってるんですか、エレインさん。私です、ハイラムです」
「……は?」
何を言っているのか分からず、エレインが間抜けな声を出す。
「だって、侯爵はあの怖い仮面を……」
「それが外れたんですよ」
「……へ?」
またしても間の抜けた声を出してしまったエレインは、今見えているものが現実かどうかまだ判断が付かなかった。
「謀ってませんよ。本当です」
確かに柔らかな声音はハイラム、その人だ。
「じゃ、じゃあ本当に……?」
目の前の男性が頷く。
では、あの呪われた仮面の下は、神に祝福されし最高の顔面だったってこと!?
「でもどうやって……今まで何をしても呪いは解けなかったのに……」
エレインの問いにハイラムも顔を顰める。
「私にもよく分からないのですが……夢か現か、目が覚めたら取れていたんです」
「目が覚めたら、ですか……」
「ええ。夢の中でアローネと会話してた気がするんです」
「……なるほど。よく分かりませんけど、やっぱりアローネは幸運を運んでくれる猫だったんですね」
正直何故呪いが解けたのか、エレインにはさっぱり分からないが、喜ばしいことは確かだった。それに自分がもう必要ないことも。
「それなら、もう私がここに居る理由はありませんね」
寂しそうにエレインが微笑む。こんな形でお別れになるとは思いもしなかった。
「何を言っているんです、エレインさん?」
「だって。呪いが解けたなら、もう誰とでも結婚出来ますし……」
今のハイラムならわざわざ貴族でもない成り上がりの商家の娘なんかと結婚しなくても、相応しい身分の女性とすぐにでも結婚出来るだろう。
「それ、本気で言ってます? エレインさん」
ハイラムの琥珀色の瞳にじっと見つめられ、エレインはオロオロと視線を彷徨わせる。美形に見つめられては、目など合わせられるはずもない。
「えっと、それは……」
「私は貴女が居てくれたから、この呪いは解けたんだと思います」
「私は別に何も……」
「そんなことはありません。貴女を愛したことが奇跡に繋がったのですから」
「あ、あいっ……」
率直かつ余りに直球な告白に、エレインの体温がかつてないほど上げる。ほとんど沸騰しそうだ。
「エレインさん、これでようやく言えます」
「ひゃっ……な、なんでしょう?」
ハイラムの顔が一段とエレインに近づいて来る。これ以上は心臓に悪い。
「ずっと、ここに、私の傍に居て下さいませんか? 私のことが嫌でなかったら、ですが……」
「嫌いなんてっ、そんなこと、ありえませんっ」
「良かった」
ほっとハイラムが目元を緩ませる。朝日に輝く、そのほんの少しの笑みすら神々しい。
「エレインさん」
ハイラムがエレインの頬を包む。一層、ハイラムの美麗な顔が近付く。
「ひえっ……」
エレインの心臓の音が尚一層激しく脈打ち、全身が沸騰しそうなほど熱くなる。美し過ぎる顔面はもはや凶器と同じだ。
これ以上、見つめられたら本当に心臓が破れそうっ……!
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