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第3章 アデレードの挑戦
第46話 猟師と医者の謀りごと 上
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カールは、アデレードの家を出て黒ずくめの男達がたむろしているところへ向かった。先ほどのサウザー家への非礼を詫び、屋敷の一つに泊まるように願い出た。リーフェンシュタール邸はカールの住む大きい本邸の他に、幾つか建物が並んでいるが、その内の一つを供出したのだ。
男達はニヤニヤと笑い、分かれば良いんだというようなことを盛んに話している。豪勢な食事を愉しみ、酒をたらふく飲んで休んだ。
次の日の朝、カールのところに報告が上がってきた。山の中で、何者かが野生動物らしきものに襲われた形跡があると猟師の一人が言ってきたのだ。それを男達に話すと、準その現場を見に行くと言った。その前に麻薬を、まるで朝食のコーヒーでも取るように吸い込んで。
「いやー、ひでぇありさまでよぉ」
現場に案内した猟師が男達に話す。大きな動物の足跡が雪の残る地面に広がっている。近くの木の幹には引っ掻いたような大きな傷が幾つも残されていて、結婚や破れた衣服の残骸や髪の毛があちこちに散乱していた。
「あんた達、人捜してたんだろ?」
「あぁ」
「その人なんじゃないのこれ? 熊か何かに襲われて喰われたんだよ」
猟師が落ち着かな気に周囲をキョロキョロ見回す。
「いや、そう見せかけただけかもしれんぞ」
「そうだ、そうだ」
「その辺、もっと捜してみようぜ」
「おい、猟師。協力しろ」
その言葉に猟師は嫌そうな顔をした。
「勘弁して下さい。こんな気持ちの悪いの……これはきっと化け物の仕業ですよ」
「ばけものぉ?」
「そんなわけあるかっ」
男達は笑い飛ばすが、猟師はいたって真剣で少し震えていた。
「山には得体のしれんもんが住んどるんです。昔山で死んだ人の悪霊とか、化け物が……」
冷たい風がさぁっと男達の間を吹き抜けていく。薄暗い森の中で枝がかさかさと揺れて触れ合い音を立て、どこからか獣の声らしきものが聞こえてきた。
「な、何を言っているっ」
「そんなものいるわけないだろう」
「俺はこれ以上付き合えねぇです。捜すならあんたらだけでやってくれ。呪われるのはごめんだ」
青ざめた顔をして、猟師は早々に現場を立ち去った。薄気味悪い森の中で取り残された男達。心なしか先ほどよりも冷え冷えしてきている気がする。
「ふ、ふん、意気地なしめ」
「……でも、何かいる気がする。こっちを見てる……」
「何を言ってるんだ!」
「あの伯爵も言ってただろ、山には得体のしれない生き物がいるって……」
「まさか……」
「ひっ」
男の一人が小さな悲鳴を上げる。足元に何匹も蛇が這いまわっていた。
「た、たかが蛇ではないかっ」
男達が足で蛇を踏みつける、が蛇はその度に分裂してどんどん増えていく。陽の入らない森の中で不気味な声が木霊する。近くの叢から風もないのにがさがさと激しく揺れ始めた。その叢から真っ黒い大きな塊が彼らを見つめている。それがどんどん大きくなり彼らへ包み込むように襲い掛かってきた。
「化け物だ、化け物がいるっ!」
男達は叫び声を上げながら、リーフェンシュタール家の屋敷まで逃げ帰っていった後、怯えたように急いで馬車に乗りいずこかへ去っていった。
男達はニヤニヤと笑い、分かれば良いんだというようなことを盛んに話している。豪勢な食事を愉しみ、酒をたらふく飲んで休んだ。
次の日の朝、カールのところに報告が上がってきた。山の中で、何者かが野生動物らしきものに襲われた形跡があると猟師の一人が言ってきたのだ。それを男達に話すと、準その現場を見に行くと言った。その前に麻薬を、まるで朝食のコーヒーでも取るように吸い込んで。
「いやー、ひでぇありさまでよぉ」
現場に案内した猟師が男達に話す。大きな動物の足跡が雪の残る地面に広がっている。近くの木の幹には引っ掻いたような大きな傷が幾つも残されていて、結婚や破れた衣服の残骸や髪の毛があちこちに散乱していた。
「あんた達、人捜してたんだろ?」
「あぁ」
「その人なんじゃないのこれ? 熊か何かに襲われて喰われたんだよ」
猟師が落ち着かな気に周囲をキョロキョロ見回す。
「いや、そう見せかけただけかもしれんぞ」
「そうだ、そうだ」
「その辺、もっと捜してみようぜ」
「おい、猟師。協力しろ」
その言葉に猟師は嫌そうな顔をした。
「勘弁して下さい。こんな気持ちの悪いの……これはきっと化け物の仕業ですよ」
「ばけものぉ?」
「そんなわけあるかっ」
男達は笑い飛ばすが、猟師はいたって真剣で少し震えていた。
「山には得体のしれんもんが住んどるんです。昔山で死んだ人の悪霊とか、化け物が……」
冷たい風がさぁっと男達の間を吹き抜けていく。薄暗い森の中で枝がかさかさと揺れて触れ合い音を立て、どこからか獣の声らしきものが聞こえてきた。
「な、何を言っているっ」
「そんなものいるわけないだろう」
「俺はこれ以上付き合えねぇです。捜すならあんたらだけでやってくれ。呪われるのはごめんだ」
青ざめた顔をして、猟師は早々に現場を立ち去った。薄気味悪い森の中で取り残された男達。心なしか先ほどよりも冷え冷えしてきている気がする。
「ふ、ふん、意気地なしめ」
「……でも、何かいる気がする。こっちを見てる……」
「何を言ってるんだ!」
「あの伯爵も言ってただろ、山には得体のしれない生き物がいるって……」
「まさか……」
「ひっ」
男の一人が小さな悲鳴を上げる。足元に何匹も蛇が這いまわっていた。
「た、たかが蛇ではないかっ」
男達が足で蛇を踏みつける、が蛇はその度に分裂してどんどん増えていく。陽の入らない森の中で不気味な声が木霊する。近くの叢から風もないのにがさがさと激しく揺れ始めた。その叢から真っ黒い大きな塊が彼らを見つめている。それがどんどん大きくなり彼らへ包み込むように襲い掛かってきた。
「化け物だ、化け物がいるっ!」
男達は叫び声を上げながら、リーフェンシュタール家の屋敷まで逃げ帰っていった後、怯えたように急いで馬車に乗りいずこかへ去っていった。
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