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第4章 ホテルの個性的な客達
第74話 出来上がった本
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シュミット夫人が帰ってから1ヶ月ほど経ったある日、アデレード宛に小包が届いた。送り主を確認する。
「あら、マックスさんだわ」
封を切って中を見てみると、本が6冊と手紙が1枚入っていた。どれもそれ程分厚い本ではない。緑色の表紙の物が3冊と紺色の表紙の物が3冊。アデレードはまず手紙を読んでみる。
アデレードが託した原稿を活版印刷に回し製本したこと、同じように製本したマックスが書いた山の紀行文も一緒に送ったので、良ければホテルに置いて欲しいということ、そして近々、友を連れだってまたこちらへ来るつもりであると書いてあった。
「まぁ、マックスさんったら」
アデレードは思わず微笑む。そしてまず、自分の本を開いて中を確かめる。こうして本になるとアデレードの集めた民話が、何やら格調高い文学作品にでもなった感じだ。
「自分が書いたものが本になるなんて不思議ね。と言っても、私は記録を取っただけですけれど……」
次にマックスの本を開く。この前に登った山の詳細な行程が書いてある。鬱蒼とした森、高原の花畑、険峻な峰……。
「面白そうだわ。寝る前にゆっくり読みましょう。それぞれ3冊ずつあるから、1冊は談話室に、もう1冊は予備として私の部屋に保管しておくとして、もう1冊は……そうだわ、伯爵に献上しましょう。うん、それが良いわ」
メグに声を掛け、ディマを連れてホテルを出た。8月も終わりに近づき、涼しい風がアデレードの頬を撫でる。短いリーフェンシュタール領の夏が終わり、秋の気配が迫っているのを肌で感じた。
村の中を歩いていると、広場に木組みで何かを建てているのが見えた。
何かしら……?
新しい建物でも造っているの? 誰かに後で聞いてみましょう。
カールの屋敷に着いて応接室でしばし待っていると、ディマがふと頭を上げる。そして、入口の近くをふろうろしているとドアをノックする音に続いて、カールが入って来た。ディマは嬉しそうに尻尾を振り、くるくるとその場で回る。その様子にカールは小さく笑い、頭を撫でてやった。
「伯爵」
カールの姿を認め、アデレードは立ち上がる。
「フロイライン、今日はどうした?」
「お渡ししたい物があって」
「渡したい物?」
「はい。こちらですわ」
カールに近づき、アデレードは本を目の前に差し出す。
「この本は?」
「私が集めている民話を纏めたものの第一段といったところでしょうか。もう1冊はマックスがこの前に登山の記録を綴ったものですわ。少し読んでみましたけど、なかなか面白そうですの」
「どうだか、な」
カールはの呆れたような声に、アデレードが苦笑する。
「その内、またいらっしゃるそうですわ。お友達を連れて」
「……飽きない男だな」
「まぁ、良いではありませんか? マックスさんは楽しい方ですし」
「君はああいう男が……」
好きなのか、と続けようとして、カールは我に返った。アデレードが不思議そうに彼を見ている。
何を聞こうとしていたんだ私は。
カールは軽く咳払いする。
「いや、何でもない。それで、これを私に届けに来たのか?」
「はい。折角ですから伯爵の書斎にも収めていただければと」
「そうか、分かった。受け取ろう」
「ありがとうございます、伯爵」
本を渡す瞬間、アデレードの手とカールの手が触れ合う。”取ってしまいなさい”というシュミット夫人の言葉を急に思い出し、アデレードは恥ずかしくなって思い切り手を引いた。
「で、では私はこれでっ……ディマ、帰りましょう」
赤くなった顔を隠すようにアデレードは愛犬を連れて、いそいそと部屋から出ていこうした。
「フロイライン、まだ時間があるのなら書斎を見に行かないか?」
帰ろうとするアデレードをカールは思わず呼び止めた。まだ帰って欲しくないとカールは思ってしまったからだ。
私は何を……。
そう思いながらも、カールはその答えに気付きつつあった。
「よろしいのですか?」
アデレードが驚いて振り返ると、カールは頷いた。彼に連れられてアデレードとディマは応接室を出る。
そういえば、大広間と応接室以外は入ったことがありませんでしたわ。
アデレードは興味津々で歩いていく。長い廊下の一ヶ所に飾り棚が設置されていて、そこに小さな、魚や虫の形を模した木製の玩具のような物が並んでいた。ディマが前足を飾り棚に掛けくんくんと匂いを嗅ぐ。
「ディマ、それは食べ物じゃないわよ。齧っちゃダメ。でも、伯爵、これは?」
興味を惹かれて、アデレードは思わず尋ねた。
「あぁ、これは魚を釣る為に使う疑似餌だ」
「疑似餌?」
「そう、魚や虫に似せた偽物の餌で魚を誘い釣る用のものだ。これらは私の曾祖父が作ったものらしい。大層釣りが好きで様々な疑似餌を開発したそうだ。それで随分大きな魚を釣ったと記録が残っている」
「その話、誰かから聞きましたわ。釣り好きの翁が川のヌシを釣ったとか」
カールは苦笑いした。
「川のヌシとは……話が壮大になっているな」
そこから少し歩くと、カールがある部屋の前で止まった。ここが書斎だろう。彼が扉を開けてアデレードを中へ招く。部屋中の本棚にびっしりと本が並んでいる。
「まぁ……ここならホテルに置く本の参考になりそうな物がありそう」
アデレードが部屋を見上げながら感嘆する。
「リーフェンシュタール領の歴史が分かる本など置いてありませんか?」
「いや、置いてあるのはほとんど実務的な記録や法律書、あとは個人的な日記や手紙のた類だ。おおよそホテルに置くには不向きなものばかりだったな。役に立てなくて済まない」
「いいえ、そんなっ。個人の日記なんて纏めたら面白そうですわ」
「だが、編纂には専門家が必要だな。大学で教育を受けたような……」
言いながら、カールはある男の顔が浮かんだが、頭の中で書き消した。
あいつは駄目だ。山バカだし。そもそも何を専門として学んでいるかも知らないからな。
「そうですわね……」
「そう急いで何もかも揃えることもあるまい。この本はゆっくり読ませてもらおう」
カールは書斎に置いてある立派な机の上に献上された本を置いた。
「他に気になるものがあるなら読んでいくと良い」
「ありがとうございます、伯爵。あ、気になると言えば……」
「何だ?」
「村の広場に何か建てているみたいですけれど?」
村で見た木組みを思い出し、カールに尋ねる。
「あぁ。それは祭りの舞台だ」
「お祭り、ですか?」
「そうだ。近々年に一度の祭りがある。秋の収穫祭だ。そこで村人が芝居をしたり楽器の演奏を披露したりするんだ」
「まぁ、楽しそう」
アデレードはにっこりと微笑んだ。
「あら、マックスさんだわ」
封を切って中を見てみると、本が6冊と手紙が1枚入っていた。どれもそれ程分厚い本ではない。緑色の表紙の物が3冊と紺色の表紙の物が3冊。アデレードはまず手紙を読んでみる。
アデレードが託した原稿を活版印刷に回し製本したこと、同じように製本したマックスが書いた山の紀行文も一緒に送ったので、良ければホテルに置いて欲しいということ、そして近々、友を連れだってまたこちらへ来るつもりであると書いてあった。
「まぁ、マックスさんったら」
アデレードは思わず微笑む。そしてまず、自分の本を開いて中を確かめる。こうして本になるとアデレードの集めた民話が、何やら格調高い文学作品にでもなった感じだ。
「自分が書いたものが本になるなんて不思議ね。と言っても、私は記録を取っただけですけれど……」
次にマックスの本を開く。この前に登った山の詳細な行程が書いてある。鬱蒼とした森、高原の花畑、険峻な峰……。
「面白そうだわ。寝る前にゆっくり読みましょう。それぞれ3冊ずつあるから、1冊は談話室に、もう1冊は予備として私の部屋に保管しておくとして、もう1冊は……そうだわ、伯爵に献上しましょう。うん、それが良いわ」
メグに声を掛け、ディマを連れてホテルを出た。8月も終わりに近づき、涼しい風がアデレードの頬を撫でる。短いリーフェンシュタール領の夏が終わり、秋の気配が迫っているのを肌で感じた。
村の中を歩いていると、広場に木組みで何かを建てているのが見えた。
何かしら……?
新しい建物でも造っているの? 誰かに後で聞いてみましょう。
カールの屋敷に着いて応接室でしばし待っていると、ディマがふと頭を上げる。そして、入口の近くをふろうろしているとドアをノックする音に続いて、カールが入って来た。ディマは嬉しそうに尻尾を振り、くるくるとその場で回る。その様子にカールは小さく笑い、頭を撫でてやった。
「伯爵」
カールの姿を認め、アデレードは立ち上がる。
「フロイライン、今日はどうした?」
「お渡ししたい物があって」
「渡したい物?」
「はい。こちらですわ」
カールに近づき、アデレードは本を目の前に差し出す。
「この本は?」
「私が集めている民話を纏めたものの第一段といったところでしょうか。もう1冊はマックスがこの前に登山の記録を綴ったものですわ。少し読んでみましたけど、なかなか面白そうですの」
「どうだか、な」
カールはの呆れたような声に、アデレードが苦笑する。
「その内、またいらっしゃるそうですわ。お友達を連れて」
「……飽きない男だな」
「まぁ、良いではありませんか? マックスさんは楽しい方ですし」
「君はああいう男が……」
好きなのか、と続けようとして、カールは我に返った。アデレードが不思議そうに彼を見ている。
何を聞こうとしていたんだ私は。
カールは軽く咳払いする。
「いや、何でもない。それで、これを私に届けに来たのか?」
「はい。折角ですから伯爵の書斎にも収めていただければと」
「そうか、分かった。受け取ろう」
「ありがとうございます、伯爵」
本を渡す瞬間、アデレードの手とカールの手が触れ合う。”取ってしまいなさい”というシュミット夫人の言葉を急に思い出し、アデレードは恥ずかしくなって思い切り手を引いた。
「で、では私はこれでっ……ディマ、帰りましょう」
赤くなった顔を隠すようにアデレードは愛犬を連れて、いそいそと部屋から出ていこうした。
「フロイライン、まだ時間があるのなら書斎を見に行かないか?」
帰ろうとするアデレードをカールは思わず呼び止めた。まだ帰って欲しくないとカールは思ってしまったからだ。
私は何を……。
そう思いながらも、カールはその答えに気付きつつあった。
「よろしいのですか?」
アデレードが驚いて振り返ると、カールは頷いた。彼に連れられてアデレードとディマは応接室を出る。
そういえば、大広間と応接室以外は入ったことがありませんでしたわ。
アデレードは興味津々で歩いていく。長い廊下の一ヶ所に飾り棚が設置されていて、そこに小さな、魚や虫の形を模した木製の玩具のような物が並んでいた。ディマが前足を飾り棚に掛けくんくんと匂いを嗅ぐ。
「ディマ、それは食べ物じゃないわよ。齧っちゃダメ。でも、伯爵、これは?」
興味を惹かれて、アデレードは思わず尋ねた。
「あぁ、これは魚を釣る為に使う疑似餌だ」
「疑似餌?」
「そう、魚や虫に似せた偽物の餌で魚を誘い釣る用のものだ。これらは私の曾祖父が作ったものらしい。大層釣りが好きで様々な疑似餌を開発したそうだ。それで随分大きな魚を釣ったと記録が残っている」
「その話、誰かから聞きましたわ。釣り好きの翁が川のヌシを釣ったとか」
カールは苦笑いした。
「川のヌシとは……話が壮大になっているな」
そこから少し歩くと、カールがある部屋の前で止まった。ここが書斎だろう。彼が扉を開けてアデレードを中へ招く。部屋中の本棚にびっしりと本が並んでいる。
「まぁ……ここならホテルに置く本の参考になりそうな物がありそう」
アデレードが部屋を見上げながら感嘆する。
「リーフェンシュタール領の歴史が分かる本など置いてありませんか?」
「いや、置いてあるのはほとんど実務的な記録や法律書、あとは個人的な日記や手紙のた類だ。おおよそホテルに置くには不向きなものばかりだったな。役に立てなくて済まない」
「いいえ、そんなっ。個人の日記なんて纏めたら面白そうですわ」
「だが、編纂には専門家が必要だな。大学で教育を受けたような……」
言いながら、カールはある男の顔が浮かんだが、頭の中で書き消した。
あいつは駄目だ。山バカだし。そもそも何を専門として学んでいるかも知らないからな。
「そうですわね……」
「そう急いで何もかも揃えることもあるまい。この本はゆっくり読ませてもらおう」
カールは書斎に置いてある立派な机の上に献上された本を置いた。
「他に気になるものがあるなら読んでいくと良い」
「ありがとうございます、伯爵。あ、気になると言えば……」
「何だ?」
「村の広場に何か建てているみたいですけれど?」
村で見た木組みを思い出し、カールに尋ねる。
「あぁ。それは祭りの舞台だ」
「お祭り、ですか?」
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アデレードはにっこりと微笑んだ。
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