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1.奴隷落ち
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第1話
「ダイヤ!またあんたのおかげで戦争に勝てたわ」
茶髪のポニーテールで腰には細剣を付けている少女が元気に話しかける。
「ゼラ。一応僕がこの騎士団の団長なんだからそう言い方はどうかと思うよ」
ゼラと呼ばれる少女に話しかけられてた白髪の少年は訓練所で剣のツバだけを持ちながら苦笑いをする。
「私は21。あんた15。年上は敬いなさい?騎士団長様?」
ゼラはにっこりと答える。
「そんなこと言ったら僕はみんなに敬語を使わないといけないじゃないか…」
ダイヤは孤児だった10の頃、剣の才能を見出されて最少年で王国の騎士団に入った。そして、15という若さで騎士団長にまで登り詰めることに出来たのだ。もちろんこれも最少年での出来事である。
対してゼラも21と言う若さで騎士団の副団長にまで登り詰めた若き天才である。お互い共通する点が多く、仲も良い、噂では恋仲ではないかと言うものも広がっている。実際はゼラがダイヤを弄っているだけであるが。
「ところでなんで剣のツバだけ持ってるの?」
ダイヤの手に握っているツバに疑問を持つ。
「いや…これは剣だったもので…」
ダイヤは苦笑いをしながら頬を掻く。
「どう言うこと?」
「ちょっと待ってね」
すると、ダイヤは訓練所に常設している鉄の剣を持つ。
「はぁ…」
溜息をしながら剣を構え、それを居合切りのように斬りつける。すると、斬撃は形をなして凄い風圧が巻き起こる。
「うわ!」
思わずゼラが目を瞑り、再び目を開けるとそこには大きな三日月型で地面が抉れているのが分かった。もちろん、ダイヤの斬撃によるものである。
「…相変わらずデタラメな剣撃ね…でもそれがどうしたの?いつものことじゃない」
「…こう言うこと」
「…え?」
ゼラがダイヤの手元を見ると、鉄の剣を持っているはずだったその手には剣のツバのみを手にしていた。
「…最近、一振りするだけで剣が折れるんだよ…」
「いや…折れるってレベルじゃないでしょ?それ完全に剣が朽ちてるって言うか…粉々になってるって言うか…」
あまりの光景に適切な言葉が見つからなかった。
「えっと…て言うかこないだの戦争とかどうしてたの?1回しか剣を振れないんじゃどうやって戦うの?」
当たり前の疑問がゼラに生じる。ダイヤは先の戦争で錚々たる成績を残していた。具体的に言うと、1人だけ先陣を切り、ほとんど1人で敵兵を片付けたのだ。
しかし、1度で剣が粉々になるのなら剣士であるダイヤはどうしようもないはずである。一体どうやって戦争で戦っていたのか。
「それは簡単だよ。斬撃で敵を大量に倒して、倒した敵から剣を剥ぎ取ってた。それでどんどん前に進んでたら大将まで届いてただけ」
「こっわ」
ダイヤの話を聞いてゼラは若干引いていた。
「それっていつ頃そうなっちゃったの?」
「こないだの戦争だね。ずいぶん調子が良くて振ってみたらこんなことに…」
ダイヤがこの能力に気づいたのは戦争の時だった。それまでは普通に剣を振っていた筈だったが、気がついたら剣を振るだけで粉々になるようになっていた。焦ったダイヤは急いで敵の剣を手に取り、結果最高の戦果を上げることが出来た。
「敵国の呪いってことはないの?」
「一番最初に剣を振ったらこうなったんだ。あり得ないと思うけど」
「ふーん」
どうしたものかと腕を組む。
「まあいいんじゃない?強いのには変わらないんだし」
「適当だな…でも困ってるんだよ。僕の愛剣もこないだの戦争で砕けたけど、あれより硬度のある剣なんてなかったし…」
ダイヤの愛剣だった物はこの国随一の鍛治職人が作った物であった。元々は団長になった時に記念として貰ったものであり、唯一無二の宝剣と言っても良い物であった。今は見る影もなく粉々になっているが。
「じゃああれはどう?伝説の勇者様の使った剣!」
ゼラが閃いたと言ったように意見を出す。
この国には、数百年前に魔王を倒したとされる勇者がいた。その勇者が使っていたとされる剣が、城の玉座の後ろに飾ってある。
「ば!馬鹿なことを言うなよ!確かにあれは凄い剣だろうけど…伝説の剣なんて使えるわけがないだろ?」
その勇者の剣は鍛冶屋により定期的に手入れはされているが、その剣を振った者などここ数年で聞いたことがない、もはや勇者の剣は、伝説の象徴にすらなっている節もあり、神聖に飾り続けられているのだ。そんな剣を使うなんて夢のまた夢である。
「じゃあこないだの戦争みたいに剥ぎ取って戦うしかないわね。剣士ってより盗賊。盗賊剣士ってなんかカッコいいわね!」
「全然カッコよくないよ…で、ゼラはなんでここに来たの?訓練?」
「あ、そうだった国王様が呼んでるわよ」
ゼラは「今日はいい天気ですね」くらいの軽いノリで話す。
「はぁ!?なんでそれを早く言わないんだよ!」
「あんたが焦った顔が見たかったからかな」
ゼラは誤魔化すようにウインクする。
「もう…早く行くよ!」
剣のツバを片付けて走って国王の元へ向かう。
「はいはい」
ゼラもそれについていく。
ダイヤが国王のいる扉にたどり着くと、ノックを3回する。
「入っていいぞ」
「失礼します」
扉を開けて、ゼラと共に入って行く。国王の元へ行くと、忠誠を誓った時のように跪く。
「国王様。遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした」
国王は優しく笑う。
「よい。どうせゼラがちょっかいを出したのだろう」
「いやー」
ゼラは目を合わせず苦笑いをする。
「ハハ。楽にしてよいぞ。今日はダイヤに贈呈したい物があって呼んだんだ」
「楽にしてよい」といわれて、2人は立ち上がる。
「贈呈ですか?」
「先の戦争での活躍見事な物だった。さながら現代の勇者と言っても差し支えない物だったぞ」
「そんな…恐れ多いですよ」
「…時に、その戦争で愛剣が折れたと言う報告を聞いてな」
どうやら国王の耳は既に情報を仕入れているらしい。
「は、はい…自分の力不足で…」
寧ろ力が有り余ってるせいで粉々になったのだが。それは言わないでおく。
「そこでな…私から剣を贈与したいんだ」
「そ、そうなんですか」
「良かったね。ダイヤ。ぷぷ」
どうせ剣を贈与されても一振りで粉々になってしまう。なんだか申し訳ない。ゼラもそれが分かってか、笑いを堪えている。
「と言うわけで」
国王は立ち上がり、後ろを向く。
「…え?」
国王は先ほど話していた、勇者の剣を手に持つ。
「これを贈与したいと思う」
瞬間、ダイヤが真っ青になる。ゼラもことの重要さに気付いたのか真っ青になる。
「こ、これをですか?」
「ああ、お前は現代の勇者と言っても過言ではない。この剣はお前にこそ相応しい」
そう言ってダイヤの前に剣を出す。
「あ、ありがとうございます」
思わずダイヤはその剣を取ってしまう。
「そうだ!訓練所で実際に剣を振ってみてくれないか?お前の斬撃は有名だからな。実際にこの目で見てみたい」
「そ、それは…」
ダイヤの冷や汗が止まらなくなる。
「なんだ?いけないのか?」
「そんなことはないですけど…」
国王の悲しそうな顔を見て仕方なく肯定してしまう。
「じゃあ早速行こう。楽しみだ」
国王は若干テンション高めに扉を開けて訓練所へ赴く。後に王室にいた騎士たちも続く。
「…どうするつもりよ」
「い、いや。伝説の剣だよ?壊れるわけないじゃないか…ハハ」
「…もし、その剣を壊したりなんかしたら死罪もあり得るわね」
「死罪!?」
あまりの事に思わずふらつく。
「ま、なんとかなる…といいけどね。先行ってるからね」
そう言ってゼラも出ていく。
「…女神様お願いします」
ダイヤは今までの人生でとびっきりのお祈りをした。王室にはステンドグラスで作られた女神様が描かれていた。ルドロフ国では美しい金髪の長髪をした少女が女神様として描かれている。その女神様にこれからのことを祈ったのである。
良くも悪くも女神様のご加護があります様に…と。
訓練所にいくと、国王が抉れた地面を見て驚愕した。
「な、なんだこれは!?」
「それはダイヤの斬撃ですよ。先ほど訓練として鉄の剣を振ってこのように地面が抉れたのです」
ゼラが説明する。
「なんと!これほどとは…鉄の剣でこれなら、勇者の剣ならどうなることやら…楽しみだ」
まずい、これなら手加減をすることもできない。少なくとも、先の斬撃より大きなものを見せないといけなくなった。
「さあ、早く見せてくれ」
「…分かりました」
ダイヤは前に出て勇者の剣を持ち、構える。そして、目を瞑る。集中しているのではない。祈っているのだ。どうかこの剣が粉々にならないように、と。
「行きます」
そして、先ほどとは違い、剣を縦に振る。物凄い音と風圧が起こる。そして、国王たちが再びその光景を見ると、地面が縦に抉れて十字のような模様が出来ていた。
「おお!凄いな!流石ダイヤだ!」
初めて見る光景に高揚する国王。
だが、ゼラは涙を流していた。
「ダイヤ…」
「ん?どうしたんだゼラよ。先ほどの風圧で目にゴミでも入ったか?」
「国王様…」
そう言ってダイヤは国王の方を振り向く。
「ん?こ、これは!?」
ダイヤの手には、綺麗な装飾をされた剣のツバのみを持っていた。勇者の剣は粉々になったのである。
「すいません…このダイヤ。死罪すら覚悟の上です」
膝をつくダイヤ。涙が止まらないゼラ。黙っている国王。そして。国王が待機していた騎士に指示を出す。
「この者を捕らえよ」
すると、ダイヤは数人の騎士に囲まれて身動きを封じられる。
「ダイヤよ…勇者の剣はこの国の宝剣である。それを壊したお前は万死に値する」
「はい…」
「万死」と言う言葉を受け入れる。元々覚悟していたことだ。
「だが」
逆説の言葉を聞いて国王の顔を見る。
「お前はこれまで錚々たる戦果を上げている。よって、国外追放と奴隷落ちでこの話をつけることとする!」
「ありがとう…ございます…」
「奴隷落ち」と聞いてゼラは更に涙を流していた。だが、ダイヤは心の中で安心していた。死ぬことを覚悟していたダイヤにとって奴隷落ちなど軽いものだったのだ。
これからどうなるか彼自身分からないが、生きていれば何とかなる。孤児だったころからそうだったのだ。0に戻っただけなのだ。そう自分に言い聞かせた。
「ダイヤ!またあんたのおかげで戦争に勝てたわ」
茶髪のポニーテールで腰には細剣を付けている少女が元気に話しかける。
「ゼラ。一応僕がこの騎士団の団長なんだからそう言い方はどうかと思うよ」
ゼラと呼ばれる少女に話しかけられてた白髪の少年は訓練所で剣のツバだけを持ちながら苦笑いをする。
「私は21。あんた15。年上は敬いなさい?騎士団長様?」
ゼラはにっこりと答える。
「そんなこと言ったら僕はみんなに敬語を使わないといけないじゃないか…」
ダイヤは孤児だった10の頃、剣の才能を見出されて最少年で王国の騎士団に入った。そして、15という若さで騎士団長にまで登り詰めることに出来たのだ。もちろんこれも最少年での出来事である。
対してゼラも21と言う若さで騎士団の副団長にまで登り詰めた若き天才である。お互い共通する点が多く、仲も良い、噂では恋仲ではないかと言うものも広がっている。実際はゼラがダイヤを弄っているだけであるが。
「ところでなんで剣のツバだけ持ってるの?」
ダイヤの手に握っているツバに疑問を持つ。
「いや…これは剣だったもので…」
ダイヤは苦笑いをしながら頬を掻く。
「どう言うこと?」
「ちょっと待ってね」
すると、ダイヤは訓練所に常設している鉄の剣を持つ。
「はぁ…」
溜息をしながら剣を構え、それを居合切りのように斬りつける。すると、斬撃は形をなして凄い風圧が巻き起こる。
「うわ!」
思わずゼラが目を瞑り、再び目を開けるとそこには大きな三日月型で地面が抉れているのが分かった。もちろん、ダイヤの斬撃によるものである。
「…相変わらずデタラメな剣撃ね…でもそれがどうしたの?いつものことじゃない」
「…こう言うこと」
「…え?」
ゼラがダイヤの手元を見ると、鉄の剣を持っているはずだったその手には剣のツバのみを手にしていた。
「…最近、一振りするだけで剣が折れるんだよ…」
「いや…折れるってレベルじゃないでしょ?それ完全に剣が朽ちてるって言うか…粉々になってるって言うか…」
あまりの光景に適切な言葉が見つからなかった。
「えっと…て言うかこないだの戦争とかどうしてたの?1回しか剣を振れないんじゃどうやって戦うの?」
当たり前の疑問がゼラに生じる。ダイヤは先の戦争で錚々たる成績を残していた。具体的に言うと、1人だけ先陣を切り、ほとんど1人で敵兵を片付けたのだ。
しかし、1度で剣が粉々になるのなら剣士であるダイヤはどうしようもないはずである。一体どうやって戦争で戦っていたのか。
「それは簡単だよ。斬撃で敵を大量に倒して、倒した敵から剣を剥ぎ取ってた。それでどんどん前に進んでたら大将まで届いてただけ」
「こっわ」
ダイヤの話を聞いてゼラは若干引いていた。
「それっていつ頃そうなっちゃったの?」
「こないだの戦争だね。ずいぶん調子が良くて振ってみたらこんなことに…」
ダイヤがこの能力に気づいたのは戦争の時だった。それまでは普通に剣を振っていた筈だったが、気がついたら剣を振るだけで粉々になるようになっていた。焦ったダイヤは急いで敵の剣を手に取り、結果最高の戦果を上げることが出来た。
「敵国の呪いってことはないの?」
「一番最初に剣を振ったらこうなったんだ。あり得ないと思うけど」
「ふーん」
どうしたものかと腕を組む。
「まあいいんじゃない?強いのには変わらないんだし」
「適当だな…でも困ってるんだよ。僕の愛剣もこないだの戦争で砕けたけど、あれより硬度のある剣なんてなかったし…」
ダイヤの愛剣だった物はこの国随一の鍛治職人が作った物であった。元々は団長になった時に記念として貰ったものであり、唯一無二の宝剣と言っても良い物であった。今は見る影もなく粉々になっているが。
「じゃああれはどう?伝説の勇者様の使った剣!」
ゼラが閃いたと言ったように意見を出す。
この国には、数百年前に魔王を倒したとされる勇者がいた。その勇者が使っていたとされる剣が、城の玉座の後ろに飾ってある。
「ば!馬鹿なことを言うなよ!確かにあれは凄い剣だろうけど…伝説の剣なんて使えるわけがないだろ?」
その勇者の剣は鍛冶屋により定期的に手入れはされているが、その剣を振った者などここ数年で聞いたことがない、もはや勇者の剣は、伝説の象徴にすらなっている節もあり、神聖に飾り続けられているのだ。そんな剣を使うなんて夢のまた夢である。
「じゃあこないだの戦争みたいに剥ぎ取って戦うしかないわね。剣士ってより盗賊。盗賊剣士ってなんかカッコいいわね!」
「全然カッコよくないよ…で、ゼラはなんでここに来たの?訓練?」
「あ、そうだった国王様が呼んでるわよ」
ゼラは「今日はいい天気ですね」くらいの軽いノリで話す。
「はぁ!?なんでそれを早く言わないんだよ!」
「あんたが焦った顔が見たかったからかな」
ゼラは誤魔化すようにウインクする。
「もう…早く行くよ!」
剣のツバを片付けて走って国王の元へ向かう。
「はいはい」
ゼラもそれについていく。
ダイヤが国王のいる扉にたどり着くと、ノックを3回する。
「入っていいぞ」
「失礼します」
扉を開けて、ゼラと共に入って行く。国王の元へ行くと、忠誠を誓った時のように跪く。
「国王様。遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした」
国王は優しく笑う。
「よい。どうせゼラがちょっかいを出したのだろう」
「いやー」
ゼラは目を合わせず苦笑いをする。
「ハハ。楽にしてよいぞ。今日はダイヤに贈呈したい物があって呼んだんだ」
「楽にしてよい」といわれて、2人は立ち上がる。
「贈呈ですか?」
「先の戦争での活躍見事な物だった。さながら現代の勇者と言っても差し支えない物だったぞ」
「そんな…恐れ多いですよ」
「…時に、その戦争で愛剣が折れたと言う報告を聞いてな」
どうやら国王の耳は既に情報を仕入れているらしい。
「は、はい…自分の力不足で…」
寧ろ力が有り余ってるせいで粉々になったのだが。それは言わないでおく。
「そこでな…私から剣を贈与したいんだ」
「そ、そうなんですか」
「良かったね。ダイヤ。ぷぷ」
どうせ剣を贈与されても一振りで粉々になってしまう。なんだか申し訳ない。ゼラもそれが分かってか、笑いを堪えている。
「と言うわけで」
国王は立ち上がり、後ろを向く。
「…え?」
国王は先ほど話していた、勇者の剣を手に持つ。
「これを贈与したいと思う」
瞬間、ダイヤが真っ青になる。ゼラもことの重要さに気付いたのか真っ青になる。
「こ、これをですか?」
「ああ、お前は現代の勇者と言っても過言ではない。この剣はお前にこそ相応しい」
そう言ってダイヤの前に剣を出す。
「あ、ありがとうございます」
思わずダイヤはその剣を取ってしまう。
「そうだ!訓練所で実際に剣を振ってみてくれないか?お前の斬撃は有名だからな。実際にこの目で見てみたい」
「そ、それは…」
ダイヤの冷や汗が止まらなくなる。
「なんだ?いけないのか?」
「そんなことはないですけど…」
国王の悲しそうな顔を見て仕方なく肯定してしまう。
「じゃあ早速行こう。楽しみだ」
国王は若干テンション高めに扉を開けて訓練所へ赴く。後に王室にいた騎士たちも続く。
「…どうするつもりよ」
「い、いや。伝説の剣だよ?壊れるわけないじゃないか…ハハ」
「…もし、その剣を壊したりなんかしたら死罪もあり得るわね」
「死罪!?」
あまりの事に思わずふらつく。
「ま、なんとかなる…といいけどね。先行ってるからね」
そう言ってゼラも出ていく。
「…女神様お願いします」
ダイヤは今までの人生でとびっきりのお祈りをした。王室にはステンドグラスで作られた女神様が描かれていた。ルドロフ国では美しい金髪の長髪をした少女が女神様として描かれている。その女神様にこれからのことを祈ったのである。
良くも悪くも女神様のご加護があります様に…と。
訓練所にいくと、国王が抉れた地面を見て驚愕した。
「な、なんだこれは!?」
「それはダイヤの斬撃ですよ。先ほど訓練として鉄の剣を振ってこのように地面が抉れたのです」
ゼラが説明する。
「なんと!これほどとは…鉄の剣でこれなら、勇者の剣ならどうなることやら…楽しみだ」
まずい、これなら手加減をすることもできない。少なくとも、先の斬撃より大きなものを見せないといけなくなった。
「さあ、早く見せてくれ」
「…分かりました」
ダイヤは前に出て勇者の剣を持ち、構える。そして、目を瞑る。集中しているのではない。祈っているのだ。どうかこの剣が粉々にならないように、と。
「行きます」
そして、先ほどとは違い、剣を縦に振る。物凄い音と風圧が起こる。そして、国王たちが再びその光景を見ると、地面が縦に抉れて十字のような模様が出来ていた。
「おお!凄いな!流石ダイヤだ!」
初めて見る光景に高揚する国王。
だが、ゼラは涙を流していた。
「ダイヤ…」
「ん?どうしたんだゼラよ。先ほどの風圧で目にゴミでも入ったか?」
「国王様…」
そう言ってダイヤは国王の方を振り向く。
「ん?こ、これは!?」
ダイヤの手には、綺麗な装飾をされた剣のツバのみを持っていた。勇者の剣は粉々になったのである。
「すいません…このダイヤ。死罪すら覚悟の上です」
膝をつくダイヤ。涙が止まらないゼラ。黙っている国王。そして。国王が待機していた騎士に指示を出す。
「この者を捕らえよ」
すると、ダイヤは数人の騎士に囲まれて身動きを封じられる。
「ダイヤよ…勇者の剣はこの国の宝剣である。それを壊したお前は万死に値する」
「はい…」
「万死」と言う言葉を受け入れる。元々覚悟していたことだ。
「だが」
逆説の言葉を聞いて国王の顔を見る。
「お前はこれまで錚々たる戦果を上げている。よって、国外追放と奴隷落ちでこの話をつけることとする!」
「ありがとう…ございます…」
「奴隷落ち」と聞いてゼラは更に涙を流していた。だが、ダイヤは心の中で安心していた。死ぬことを覚悟していたダイヤにとって奴隷落ちなど軽いものだったのだ。
これからどうなるか彼自身分からないが、生きていれば何とかなる。孤児だったころからそうだったのだ。0に戻っただけなのだ。そう自分に言い聞かせた。
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