勇者の剣を折ったせいで奴隷落ちした僕は、公爵令嬢に買われてひのきの棒で戦うことを提案されました

いとうその

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2.出会い

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第2話

 とある森の中、金髪の長髪に、綺麗なドレスをした16歳くらいの少女がウルフ3頭に囲われていた。

「だ、誰か助けてください!」

 少女の周りには誰もいない。絶望的な状況である。そして、ウルフが少女に襲いかかる。

「大丈夫か!」

 すると、金髪の短髪で、青銅の鎧をした好青年がウルフ1頭を切り捨てる。すると、他の2頭のウルフも青年を威嚇する。

「ウルフ風情が…このガーバ様にかなうと思っているのか?」

 ガーバと名乗った青年はそう言ってウルフに向けて剣を構える。ウルフが同時にガーバに向けて飛びかかる。すると、彼は1頭を足で蹴り飛ばし、もう1頭を剣で斬りつける。残りは蹴飛ばした1頭である。

「さあ、これで最後だ!」

 するとガーバはウルフが走ってくると同時に走る。お互いが通り過ぎ、ガーバが剣を収めると、ウルフが血を吹き出し倒れた。これで3頭を見事仕留めることに成功した。

「大丈夫ですか?」

 好青年特有の笑顔で手を差し伸べる。すると、少女は何とも言えない、ジトッとした目で彼を見つめていた。

「…20点ってところかしら」

「…はい?」

「まず、ウルフ1頭ずつ討伐するってのがそもそも遅い。次に、仮に1頭ずつ倒したとしても、今回は運良くそっちにウルフの気が逸れたけど私にそのまま襲いかかったらどうするつもりだったの?それと、そのご自慢の大剣だけど、見た目重視なの?全然うまく使いこなせてなかったよね?体を振り回されてるっていうか」

 助けてもらったのに、次々とダメ出しをする美少女。

「な…せっかく助けたのに何だというんだ!?」

 そう言ってガーバは激昂する。周りには誰もいなかった。ガーバが助けなければ命の危機に瀕していたのだ。それをダメ出しされては堪らないものである。

「はぁ…あんたに助けてもらっても。私は何とでもなったわよ」

 すると、少女が指を「ピン!」と鳴らすと重装備している兵士が10人程度現れた。

「な!?」

「私の家で仕えてる兵士たちよ。ウルフなんかに手こずるような鍛え方はしてないわ。あんたと違ってね」

 いきなり出てきた兵士たちに驚きを隠せないガーバ。

「…やっぱり兵士が待機してるのも分かってなかったのね…減点で15点ね。顔だけはいいからイケメン点で15点」

 一端の騎士が顔だけを評価されたのだ。しかもこんな少女にである。思わず顔が赤くなる。

「アンタみたいな弱い騎士には興味ないわ。もう行っていいわよ」

「い、いったい何なんだよ…」

 ガーバはなんとも言えない表情をして、少女の元を後にした。

「はぁ…なかなか現れないわね。いい騎士は」

「サクラ様。もう諦めてはどうでしょうか?入学の際には私が同行します」

 兵士の中でも屈強な男がサクラと呼ばれる少女に話しかける。

「だめよベレス。あなたより強い騎士を探すためにわざわざこんな森に来てウルフに襲われてるのよ」

「そもそもそれが危険だと言うのです!」

「真の騎士を見つけるためには危険はつきものだわ!ほら!アンタらも早く隠れて。私1人じゃないとウルフが来ないじゃない」

「…かしこまりました」

 そう言って兵士たちは再び隠れる。そして、ウルフにバレないように気配を消す。彼らは一端の兵士である。下級の魔獣にバレないように気配を消すなど造作もないことなのである。

「さて」

 すると、サクラは再び、座り込んでウルフが来るのを待っている。実を言うと、サクラがウルフに襲われているのは1度や2度のことではない。

 とある事情があり、強い騎士を探しているのだ。そのために自ら危険な目に遭い。先ほどのように騎士を探し出しているのだ。

 数分すると、再びウルフがサクラの元にやってくる。今度は5頭である。

「だ、誰か助けてください!」

 幾度目かの定形文を放つ。万が一襲われても兵士たちが何とかしてくれるが、危険なことには変わりはない。しかしサクラはそれでも騎士が必要なのである。その時である。

 ズサァ!!!!

 瞬間。大きな音と共に三日月の跡のように地面が抉れ、ウルフの影がどこにも無くなっていたのである。

「…え?」

「大丈夫ですか!?」

 困惑したサクラは目の前に現れた少年の一言で頭を働かせる。少年は銀髪にズタボロの布キレで出来たような服に手足には千切れた鎖が付いていた。一目で奴隷だと分かる出立だった。年齢は15歳程度か。

「だ、大丈夫よ」

「それにしても…おい!そこに隠れている兵士ども!」

 少年は森に隠れている兵士に怒り出す。

「このお嬢さんがピンチだったと言うのになにをしているんですか!?命令がなければ少女の命など見捨てると言うのですか!?それでも貴方達は兵士ですか!?」

 少年の怒りは収まらない。

「ちょ、ちょっと待って。なんで兵士が隠れてるって、分かったの?」

「なんでもなにも、気配がダダ漏れじゃないですか。少しは気配を隠してるようですけど。こんなの3流以下の兵士ですよ」

「そ、そうですか」

 思わず敬語になってしまうサクラ。すると、指を鳴らして兵士達が出てくる。

「ほら!こんなにいるのに誰も助けないなんて!なんて兵士ですか!?」

「ちょ、ちょっと待って。状況を整理させて。この抉れた地面は貴方がやったのよね?」

「? そうですけど」

「剣もなにも持ってないみたいだけど。どうやってそんなことしたの?」

「ああ、ちょうどいい太めの枝があったんでそれを使って」

「…はい?」

「あ、信じれないですよね。ちょっと待って下さいね」

 すると、少年はそこら辺にあった木の棒を持って剣のように構え、振り抜ける。そして、先ほどのように凄まじい風圧が起き三日月型の跡に抉れる。少年の持っていた木の棒は粉々になる。

「信じてくれました?」

「は、はい」

 再び畏るサクラ。信じられないと言ったような顔をする兵士たち。

「こらぁ!!!」

「あ」

 少年が振り向くと、馬車がこちらに向かって止まる。

「奴隷が勝手に抜け出すんじゃない!」

「す、すいません…それに鎖を壊してしまいました…」

「上級魔獣すら千切れない鎖を…流石元団長…じゃなくて!さっさと乗れ!お前は奴隷だ!勝手な行動は控えて貰うからな」

「はい…私は屑です…命令に従います」

 自分を屑とまで豪語して少年は馬車に乗ろうとする。奴隷根性が染み付いているのだろう。

「…100点満点…」

 ウルフを瞬殺し、兵士たちにも気付き、顔もイケメン…と言うよりは可愛い系である。サクラの理想の騎士がそこにいた。

「ちょっと待って。貴方奴隷商人さん?」

「ん?そうだが?」

 馬車に乗ろうとした人物は振り向きサクラの方を見る。

「さっきの奴隷。私が買うわ!」

 これが、ダイヤとサクラの出会いだった。
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