勇者の剣を折ったせいで奴隷落ちした僕は、公爵令嬢に買われてひのきの棒で戦うことを提案されました

いとうその

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13.作戦会議

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第13話

「サ、サクラ様…これはいったい…」

 ダイヤは短いスカートを押さえて恥ずかしがりながらサクラに説明を求める。

「うん。やっぱり制服も似合うわね。とっても可愛いわ!」

 なんだか高揚しているサクラ。ダイヤは今、学園の制服を着ている。しかも女性モノの制服である。スカート丈がサクラたちと比べて短くなっており、あまりの状況に涙を浮かべている。くりっとした目がとっても可愛らしくなっている。

「こ、これは…何かに目覚めそうですね…」

「か、可憐だ…」

 アケビとガーバの評価も好評のようだ。

「ガーバ。ダイヤさんと並んでくださらない?小さい姫とイケメン騎士って感じでとっても似合うと思うんですけど」

 そんなことをアケビが提案する。

「いいわねそれ!ささ。美男美女はならんで」

「僕は美女じゃないんですけど」

 そう言って落胆する。

「そうね。ダイヤ、貴方は美女じゃないわね」

「サクラ様…」

 やっと分かってくれたのかと感動するダイヤ。

「今の貴方は美少女だわ!」

「サクラ様!?」

「こうですか?」

 サクラの暴走を他所にダイヤとガーバが肩を並べる。並べるといっても、かなりの身長差があるためそれこそお嬢様と騎士にしか見えない。そして謎に決めポーズをとるガーバ。

 ガーバは実力はともかく、見た目だけなら騎士の中の騎士のようなら見た目をしている。そんな2人が並んでいるとは花になるものである。

「きゃー!いいですよ!次はこう…ダイヤさんはそこの壁に寄りかかって下さい」

「…なるほどね!アケビ。貴方天才なの?」

「ふふ、この2人を見たら当然想像できることです」

 どうやらいつも犬猿の仲のサクラとアケビは、こんな時に限って意気投合してしまっているらしい。

「えっと…」

 ダイヤは何をしていいのか分からない具合である。そもそも屋敷ではなく。遂に公共の場で女装を披露してしまったのだ。精神的ショックもでかいのもあり、大変混乱していた。

「ダイヤ!命令よ!その壁に寄りかかって!」

「は、はい!」

 しかし、ダイヤはサクラの騎士なのである。止まった脳はサクラの命令を処理しようと頭を働かせ、壁に寄りかかる。

「こ、こうですか?」

「うん!うん!いいわよ!」

「ガーバは壁に手をついてダイヤさんを見つめて下さい!」

 今度はアケビがガーバに命令する。

「お安い御用です」

 バン!

 そんな音を立てて、まるで美少女であるダイヤにイケメンのガーバが迫っているような状況が作られた。

「「きゃー!」」

 黄色い悲鳴を上げる本当の女子2人。

「見える!あの2人の奥に綺麗な花が見えるわ!」

 サクラがそんなことを言い始める。もちろん花など存在しない。あまりにも幻想的な状況に、花びらが見えているのだ。

「私には白馬が見えます!この現象を壁バンと名付けましょう!」

 勝手に謎の現象を名付けられた。思わずダイヤから溜息が漏れる。

「こら」

 しかし、ガーバはダイヤの顎をクイっと上げる。

「よそ見しちゃダメだろ。俺だけを見てくれよ」

 そう言ってガーバが囁く。

「「きゃー!」」

 再び黄色い悲鳴を上げる。仲のいい2人である。今までの仲の悪さはなんだったのだろうか。しかし、この空気にダイヤだけは飲み込まれていなかった。顎に掛かっている手を払い除けると、ダイヤはにっこりと笑う。

「ガーバさん。また転ばしますよ?」

「ひぃ!?」

 ガーバはダイヤに49回転ばされた挙句、全力の斬撃で脅されたのだ。どうやらトラウマになっているらしい。それを思い出してガーバはさっきのイケメンオーラのある雰囲気から一転して、顔が青くなる。

「「は!」」

 どうやら、それによってサクラとアケビにかかっていた謎の魔法も、解けたらしい。

「危なかったわね…恐るべし制服ダイヤ…」

「ええ…こんなに可愛い男の子は初めて見ました」

「もう…それで、なんで僕がこんな姿になる必要があるのか、説明してもらえませんか?」

 ダイヤは何も教えられず、この制服を着ろと言われたのだ。当然抵抗があったが、ご主人様の命令なら仕方がない。しかし、流石にそろそろ説明を要求したい頃合いである。

 するとサクラは「コホン」と一旦整えてから説明を始める。

「簡単な話よ。貴方が囮になるの」

「囮…ですか?」

「貴方は運動が苦手な女の子って設定で行くわ。そこでオランゲ先生に運動の練習に付き合って貰うの」

「…そんなに上手くいきますか?僕男なんですけど…」

「大丈夫。女の子にしか見えないから」

 サクラはそう言って「ぐっ!」と親指を突き指す。アケビもガーバを「うんうん」と頷いて同調する。

「えぇ…」

「私の予想ではセクハラ教師ならこんな絶好のチャンスは逃さないはずだわ。快く受け入れてくれるはず」

「そこで、どこかのタイミングでお尻を触られたらこっちのものです。私たちは影から見ておきますからその証拠と共に告発すれば万事解決です」

「…あの。1つ気になる点があるんですけど…」

 そう言ってダイヤが手を挙げる。

「なに?」
 
「僕のお尻はどうなるんですか?」

 お尻を触られる。と言うのはこの計画で必要なことである。しかしダイヤはお尻を触られたことなどない。男であり、軍事国家の元団長とはいえ、抵抗はあるのだ。

「何言っってるの。男なんだから我慢しなさいよ」

「そうですよ。貴方の犠牲で、沢山の女の子が守られるんですから」

「ダイヤ殿。俺も応援しています」

 3人の声援が刺さる。もうお尻を触られるのは決定事項らしい。

「さっきまで僕のこと女の子とか言ってたのに…」

 そんなことを呟きながら、ダイヤも渋々この作戦を了承することにした。
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