勇者の剣を折ったせいで奴隷落ちした僕は、公爵令嬢に買われてひのきの棒で戦うことを提案されました

いとうその

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12.セクハラ

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第12話

「うう…あんな姿やこんな姿…もうお婿に行けない…」

 ダイヤはスポーツテストの償いとして、サクラやメイドたちに次々と女物のドレスを着せられて弄ばれたのだ。よくよく考えたらスポーツテストの償いと言ってもサクラの命令なのだが、なにはともあれ女装していいと言ったのはダイヤである。仕方のないことだったのだ。

「大丈夫よ。あんだけ可愛かったら幾らでももらい手はいるわよ」

「それって嫁としてですよね!?」

「なんなら私が紹介してあげてもいいわよ。ルーンロード家の人脈を持ってしたら…」

「もう!悪い冗談はやめてください」

 そう言ってダイヤがぷんぷん怒り出す。

「そういう怒り方も貴方が可愛い内の一つよね」

「え?」

「今のぷんぷんしてる感じとか母性本能擽られるって言うか」

 そう言ってサクラはダイヤの肩を寄せる。

「ちょ…サクラ様…」

 真っ赤になるダイヤ。

「ダイヤ…可愛い…」

 思わずギュッと目を瞑ってしまう。

「…なんてね。冗談よ。冗談。びっくりした?」

「も、もう…からかわないでくださいよ…それに僕だって怒るときは怒るんですから」

「へぇ…ダイヤが怒るところなんて想像できないわね。怒れなさそうっていうか」

「これでも元団長ですからね。訓練なんかはビシバシしてましたよ!」

 そう言って昔を思い出す。

「へぇ…意外ね。ん?」

「どうしました?」

「いや、あそこ」

 そう言ってサクラが指を指す。ダイヤもその指の先を見ると、中庭で泣いている女子生徒が2人見えた。

「あれって確か同じクラスと子たちね」

「そうなんですか?」

「…ダイヤも一応私の騎士なんだから、私のクラスの生徒くらいは把握しときなさいよ。私は全校生徒把握してるんだから」

「…相変わらずサクラ様は凄いですね」

 サクラに関心しながらも、サクラはその生徒の方に近寄る。

「貴方たち、どうしたの?」

 サクラがいつもとは違い、なんだか優しく問いかける。

「サ、サクラ様…」

「何か困ったことがあったら私に頼りなさい。私はルーンライト家の令嬢。困った人を助けるためにいるんだから」

 そう言ってサクラが泣いている2人の生徒に笑いかける。サクラは面倒見がいいようで、その2人の生徒も心を開いたのか、訳を話してくれる。

「実は…スポーツテストで赤点をとってしまって」

 スポーツテストと聞いて一瞬ビクッとなるサクラ。蘇るトラウマ。だが、弱った姿を見せるわけにはいかなく、気丈に振る舞う。

「そ、そうなの。残念だったわね。でも次頑張ればいいんじゃない?何も泣くことはないわよ」

 確かに、赤点をとっただけで泣くことはない。後ろにいるダイヤもうんうんと頷いた。

「違うんです!補修の先生が問題なんです…」

 しかし、どうやら泣いている原因は別にあるらしい。

「先生?体育教師のオランゲ先生がどうかしたの?」

「サクラ様は知らないのですか?オランゲ先生のセクハラ疑惑…」

「セクハラ?」

「オランゲ先生は補修になると、よく密着して、お尻を触ってくると噂があるんですよ」

 まだあくまで噂だが、どうやらそんな直接的なセクハラをしてくる輩がいるらしい。本当なら許しがたいことだ。

「そうなの?でも実際にやられたら他の先生に言っちゃえばいいじゃない」

 当たり前のことをサクラは話す。

「無理なんです!オランゲ先生は私たちと同じ貴族で、しかも南で有名な大貴族の三男なんですよ!私たちただの貴族が注意をしたら火に油を注ぐようなものです…逆に学園を追放されるかもしれません…でも…やっぱり怖くて…」

 そう言って再び涙を流す。これからセクハラを受ける可能性があるのだ。それなのになす術がない。もう涙を流す事しかすることができないのだ。

「その話聞…」

 サクラが優しく囁くように答えようとした瞬間。

「その話。聞かせてもらいました!」

 聞き慣れた声が中庭に響く。声のする方へ振り向くと、そこにはアケビとガーバが立っていた。

「このアケビ。ローレライ家の令嬢として、その事件。解決致しましょう」

 そう言って自信満々に胸を強調させるポーズをとる。

「…また面倒なのが」

 サクラはそう言って溜息を吐く。だが、アケビの反応はいつのもと違っていた。

「サクラさん。これは私たちが力を合わせて解決する事態なのでは?」

「…え?」

 予想外の返答に若干困惑するサクラ。

「相手は南の大貴族の三男。ここは東と西を統括する我々が力を合わせるときなのではないですか?」

 そう言ってサクラに手を差し伸べる。

「…あんた。ほんとたまにはいいこと言うわよね」

 そうしてサクラはアケビの手を掴む。

「2人も安心して、アケビと2人でそのセクハラ教師を暴いてやるから」

 そう言ってサクラが優しく笑う。

「西と東の令嬢の力が合わさるなんて…よろしくお願いします!」

 そう言って泣いていた生徒も精一杯頼む。しかし、サクラはある点が気になって訂正を要求する。

「西と東じゃないわ。東と西でしょ?」

「え?」

 優劣をつけたつもりはないだろうが、サクラは東を後に言われたことが気がかりだったようだ。

「まあまあ、サクラさん。そんなことどうでもいいじゃありませんか。みみっちいですよ」

 アケビもにっこりである。

「…ちぇ」

 そっぽを向くサクラ。

「それで、作戦を立てませんと。恐らく相手は噂になっても手が出ない教師。一筋縄ではいかないと思いますよ」

 それを聞いてサクラはニッと笑う。

「大丈夫。私に良い案があるから。ね、ダイヤ」

「え?なんで僕なんですか?」

 サクラの笑顔はどこか汚く笑っていた。
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