勇者の剣を折ったせいで奴隷落ちした僕は、公爵令嬢に買われてひのきの棒で戦うことを提案されました

いとうその

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15.犠牲

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第15話

「せ、先生…近いです…」

 ダイヤが触られて恥ずかしがるような態度をとると、オランゲはニヤッと笑って返す。

「大丈夫。僕に身を任せて」

 そう言ってスライドする様に手足を触る。

「は、恥ずかしいです…」

 ダイヤも覚悟していたとはいえ顔が真っ赤になる。そして、その時は来た。

「そんなこと言ってたら上達しないよ。最後にここを…」

 そう言って、お尻の部分を触る。

「ひゃう!」

 男とは思えない可愛らしい声が裏庭に響く。

「せ、先生。お尻触ってます」

 ダイヤはもう涙を浮かべている。

「ん?そうかな?そんなつもりはないけど」

 しかしオランゲは我関せずのようにダイヤの言葉を無視し続ける。

「そこまでよ!」

 そこに救いの手が差し伸べられる。角で見ていた3人が遂に出て来たのだ。

「サ、サクラ様…」

 救いの手が来たと思うと、ダイヤは一足飛びで3人の元へ駆ける。

「…と、これは…嵌められたってことかな?」

 オランゲはそう言いながら笑顔を崩さない。

「そうです。オランゲ先生。貴方にセクハラ疑惑が掛かっていると我々は囮調査を致しました。結果、本当にセクハラをしているところを発見することができました」

 アケビがいつもの雰囲気とは違い、お嬢様らしく毅然とした態度で振る舞っている。

「権力で握り潰そうとしても今回は無駄よ。私はルーンライト家、こっちのでかいのはローレライ家の令嬢。この2人が目撃者だもの。後は分かるわよね」

「なるほど、なるほど。ここまで徹底的に嵌められたのは初めてですよ」

 それでも、オランゲは態度を崩さない。

「ちなみに。さっきまでセクハラしてたダイアちゃんことダイヤは私の騎士。男よ」

「な!?」

 さっきのポーカーフェイスとは裏腹に、驚きの表情を見せる。そして、あまりのショックだったのか、膝を崩す。

「そこでポーカーフェイス崩さないで下さい!」

 あまりのショック具合にダイヤは突っ込まざる負えなかった。しかし、なんとか立ち上がったオランゲは襟を整えて態度を整え直す。

「ま、まあ。いいでしょう。2人の令嬢が私を陥れたのは素晴らしいことです。このままじゃまずいことも分かってます」

「アケビ様。後は私に任せて下さい。このセクハラ教師を懲らしめます」

 そう言ってガーバが前にでる。

「アケビさんの騎士ですか。おっかないですね」

 それでも、笑顔を崩すことはない。

「…大丈夫なの?ここまで来て15点がやられるのは流石に私も見たくないんだけど」

 そう言って、ジトッとした目で見つめる。

「15点やめて下さい…大丈夫です。流石に貴族には遅れは取りません」

 そう言って大剣を構える。

「ガーバ!これはある意味汚名返上になります。気合を入れなさい!」

「はい!」

 そう言って、ガーバはオランゲへ駆け寄る。しかし、オランゲは一瞬でガーバの胸元へ詰める。

「な!?」

 そして、ガーバの胸に「ドスン!」と大きな音を立てて平手打ちをかます。すると、ガーバの大剣は上に放り投げられ、自身は後方へ飛ぶ。

「ガーバ!」

 アケビはガーバに駆け寄る。

「…ある意味期待を裏切らないわね」

 ガーバ瞬殺である。目をぐるぐる回して動かない。

「これでも私はこの学園の体育教師なんですよ。私がセクハラを言及されないのは、騎士よりも強い戦闘力を持っているからです」

 そう言うと、上から落ちてくるガーバの大剣をキャッチする。

「おやおや、武器まで手に入れてしまいました。残りは令嬢2人と可愛い女装っ子1人。降参しますか?」

「………」

 すると、サクラは後方へ走る。

「おやおや。逃げ出しますか。私が逃すと思いますか!」

 そう言ってサクラへの距離を詰める。しかし、サクラは校舎の角に置いていたあるものを取ると、ニヤッと笑う。

「逃げる訳ないでしょ!ダイヤ!」

 そう言ってそれを精一杯投げる。ダイヤの背負い籠である。囮作戦のためダイヤは背負い籠をサクラに託していたが、これがあればダイヤは軍事国家の団長の力を発揮することが出来る。

 ガシャン!

 背負い籠はダイヤのところには届かず地面に衝突して、壊れてしまった。辺りには大量のひのきの棒が散らばる。

「あ」

 ダイヤは思い出していた。サクラのスポーツテストの記録を。

 ハンドボール投げ 50cm

 少なくともダイヤからの距離は20mは離れていた。ひのきの棒が大量に詰まった背負い籠はとてもじゃないが、サクラの肩では届かなかった。

「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…」

 そして、サクラは背負い籠を持ってくるために20m程度走っていた。それはサクラが走れる限界の距離だった。

「サ、サクラ様?」

 思わずサクラに駆け寄ろうとする。

「駄目よ!」

 しかし、サクラは精一杯の声を出してダイヤを止める。

「私は…貴方を信じてる。頑張って…」

 そう言ってサクラは「バタン」と音を立てて倒れた。

「サクラ様ぁぁぁぁ!!!」

 サクラは気絶していた。自分の体力の限界を超えたのだ。

「えっと…」

 あまりにシュールすぎる光景にオランゲは自分の頬を掻く。

「許さない!」

 ダイヤは転がったひのきの棒を手に持ってオランゲに向けた。

「…どう言う展開?」

 オランゲは突っ込まざる負えなかった。
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