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幼馴染のアイツ…
しおりを挟む真嶋 瑠衣 ましま るい
15歳
この春高校1年生になった。
幼馴染のアイツ
南條 輝 なんじょう あきら
同じ高校に入学した。
俺たちはいつも一緒にいる。
保育園の頃から。
いつの頃からこの感情が、きっとアイツが持ってる物とは違うって思い始めたのか…
多分きっかけはアイツが女の子に告白されたのを見た時だったと思う。
小学校5年生の時だったか。
放課後に人気のない渡り廊下に呼び出されたアイツ。
一緒に帰るつもりだったから近くで待っていた。
女の子はアイツに手紙を渡して、アイツは「告白されたのなんて、初めてだ!けど、女の子と付き合うのとかまだ考えたことなかったしな!俺はまだ子供!」
とか言って笑ってたっけ。
そんな顔見て
あれ…俺って…
こんなにコイツのこと気になってたんだっけ。
この告白どうするんだろう。とか
そんな風に胸がざわついたりして…。
アイツが
俺はまだ子供!って笑った顔になんか安心したっけな…。
それと同時にこの気持ちは墓場まで持っていかないといけないって強く思った。
何故って、男が男を好きなんて普通じゃないから…。
高校に上がると俺は一気に背が伸びた。
180センチにもなって周りから一目置かれるくらいになった。顔も自分で言うのはなんだけどモデル並みだと思う。
なんせ俺はすごくモテた。
中学までは小さい方で目立たなかったが背が伸びた分注目されることも多くなり今までは可愛いと言われることの方が多かったけど今はイケメンだと他校の女子生徒にまで噂されるほどだった。
毎日のように放課後に女の子に呼び出された。
毎回断るとゲイだのなんだの噂されるのが嫌だったので程々に遊んだ。
でも悔しいことにアイツは俺の背よりも5センチは高かった。
顔は俺と並ぶくらいのイケメンだった。
二人で並ぶと周りがざわついた。
アイツは女の子に告白されても遊んだりしなかった。
恋愛とかよくわからないっていつも言っていた。
俺だってよくわからない。
別に好きじゃなくても付き合えるし
キスもセックスもしようと思えば出来る。
そんなもんだろって思ってた。
だって本当に好きな人はお前だし、そんなこと言える勇気も無い。
嫌われて疎遠になる方がよっぽど嫌だった。
俺にとってはこの気持ちを隠していかにお前と長く仲良く居られるのかが一番大切な事だった。
この気持ちを隠したままでいればずっと友達でいられる。
友達でさえいればきっと一生縁が切れることは無いだろう。
毎日そんなことを考えていた。
ある日俺たちはいつものように
放課後に二人で並んで帰っていた。
まぁまぁ遊んでいた俺だったが帰る時はいつも決まって二人。
特定の彼女を作ったりしていたわけではなかったし、男が好きなんだろとか冗談言われない程度に女の子と遊んでいた。
「瑠衣、今日はカラオケ行こうぜ~」
輝は平気で2人でカラオケに誘ってくる…。
密室で2人だぞ。
変な気が起きたらどうする…。
そんなことを頭で考えながら、そんな事あるわけないだろと自分を制する。
「おっけー、とりあえず着替えに帰ろうぜ」
そう言って2人で自転車を漕ぐ。
2人の家は学校から自転車で10分程度だった。2人とも家から近いという理由だけでその高校を選んだ。頭は良かったので何ら問題はなかった。まあまあの進学校だったがまだ1年なのもあってか普通について行けた。
カラオケ店でばったり高校の友人数人に会った。
「お前らいつも2人でつるんでるよな~!ほんとに仲良いな!付き合ってんの?!笑」
思わず「は?!」と
デカい声が出そうになったが
「いや、そんな訳ないだろ笑」
と平静を装って返すことが出来た。
「そうだよな~笑」と輝の声が耳を通り抜けた。
何だかトーンが暗い気がした。
気のせいだと思う。
部屋に入ると直ぐに流行りの曲を輝が入れた。
「瑠衣!歌上手いんだからこれ歌って!最近めっちゃ流行ってるよな~、この歌、好きなんだよな~」
最近流行りの恋の歌だった。
幼馴染だった2人が恋人同士になって喧嘩したりする日もあるけどこれからもずっと一緒にいようね、とかいうすごく在り来りな歌。
俺はこの歌が嫌いだったけど
「おっけ~笑 あんまり聞いたことないからそんな上手く歌えないかもだけど笑」
と誤魔化してなんとか歌いきった。
「瑠衣ってさぁ、結構女子と遊んでるよな。」
ふいに輝が言った。
「え?なんで?高校生にもなったらまぁこんなもんでしょ笑」
俺は慌てたけどできる限り普通のトーンで返した
「俺もさ、瑠衣が結構女子と遊んでたから、女の子ってそんなに良いのかなぁって思って…最近他校のこと初めてそういうのやったんだよね…」
びっくりした
「へ、へぇ~」
ちょっと声が上擦った
「だけどさ、やっぱよく分かんなかった」
「な、なんで、」
と俺が言いかけた
「俺さ、男が好きなんだ」
と輝が被せて言った。
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