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家出します
あっという間に10ヶ月という時が経ち、リリアが生まれた。時戻り前は、すごく嬉しかったのを覚えている。初めての妹ができたから。妹ができて今の関係が何か変わるかもなんて思っていたっけ。でもそれは理想でしかなくて。現実にはならなかった。
「ルリ、私リリアに会えるの?」
「それは、難しいと思われます」
「そうだよねぇ。まだ閣下から公爵夫人との接触禁止が命じられているし。それに前も一切リリアには会わせてもらえなかったから」
本当はリリアに「お姉様」って呼ばれたかった。いや、一回だけ呼ばれたっけ。私が過ちを犯したあの日。手に持つ刃を振り上げた瞬間、「お姉様」って。それ以外は、リリアと私の間には両親っていう大きな壁があったから。きっと今回も、私たちの関係が変わることはないんだろうな。いいや、重たいことは考えない!そんなことより、これから私はどう生きるかが問題。私がずっと考えていたことをルリに伝えた。
「ルリ、私ね。そのうちこの家を出るつもりなの」
「はい、その方が私もいいと思います」
「驚かないの?」
「驚きません。私としてもリュシエンヌ様はきっとこの家よりも他の場所でのびのびと生活していただきたいですから」
ルリは、そう言って笑った。私が時戻りをしてずっと考えていたこと。それは家出だ。愛を求めないなんていつもいっているけれど、心のどこかではいつも燻っている。私はなんで愛されないの。あなたたちにとって私はいらない子なのって。どれだけルリに愛されていたって、アルに大切に思われていたとしてもそれだけは満たされなくて。だから、きっとリリアの姿を見てしまえば繰り返してしまう。だったら、家を出てしまえばいい。きっと公女なんてリリア一人で十分だろうし、どこかに身を潜めようかな。理由なんて持病の療養でいいし。
「ありがとう、ルリ。そうは言ってもどうしたらいいと思う?」
「私の実家は貧乏なので、リュシエンヌ様を招くには少し……」
ルリにはお世話になっているし、ご両親にも挨拶をしたいけれど。ルリが難しいというのではやめよう。一度は牢屋生活をしているわけだし、そこまで豪華な生活を求めているわけではないけれど。ある程度、公爵家と関わりがある家でなければ、怪しまれてしまうだろう。なら。
「私のお母様の実家は?」
「ターニャ様のご実家ですか?確かタルト子爵家ですが、そうなるとこの王都を離れかなり遠いところになってしまいますよ」
むしろそこまで遠いところであれば、貴族の噂話などとおさらばできるだろう。一度手紙を送ってみようかな。その前に、閣下に相談しなければ。まぁ、きっと許してくれるだろう。
「ルリ、閣下に会いに行くわ。準備をお願い」
「はいかしこまりました」
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