両親の愛を諦めたら、婚約者が溺愛してくるようになりました

ボタニカルseven

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季節は巡って


 季節は巡り、私がタルト家に来てからすでに一年が経った。私はすでに8歳の終わりかけなのだ。今、私にはしなければならないことがある。それは、9歳の誕生パーティーの準備だ。といっても私が決めなければならないことは来客の選定、会場の飾り付けはどうするかそしてドレスだ。細かいことはキトとダリア様、ダグラス様がやってくれている。自分でできると言っても三人は全く私に手伝わせてくれなかった。今私が任されていることはかなり三人なりに妥協してくれた結果らしい。全部自分でやってきたのだから、大丈夫なのになぁと思いながらも甘えられるこの環境がすごく愛おしく感じた。皆が私の誕生日を祝おうと必死になってくれているのを感じて申し訳なさと嬉しさが半々といったとこだ。

 それに皆がパーティーに力を入れようと必死になっているのは去年私の誕生日をちゃんと祝えなかったから、らしい。この間こっそりルリに教えてもらってしまった。確か、去年は誕生日が過ぎた後に、ダリア様とダグラス様に私の誕生日を知らせたんだっけ。そのときの二人の落胆具合を思い出せば今年そうなるのは必然かな。

「ダリア様!おはようございます!」
「あ、おはよう。リュシエンヌ、そんなに走ると危ないわ」

 廊下を歩いていれば執務室から出てくるダリア様を見つけ私は、思わず走ってしまった。そうすれば、ダリア様に注意されると分かっていたとしても。そうやって優しく怒られるのが心地よかった。

「すみません。ところでダリア様はなぜダグラス様の執務室に居られたのですか?」

 ダリア様は余程のことがなければダグラス様の執務室には向かわない。ダリア様にもダリア様専用の執務室があって、ほとんどのことがそこで完結してしまうからだ。だからこそ、この朝の時間帯からダグラス様の執務室に居たことが不思議だった。ダリア様に理由を聞けばダリア様はその美しい顔をしかめてしまった。

「――ごめんなさい、あなた宛の手紙を先に読んでしまったの」

 どうしたのだろうと考えていれば、ダリア様は軽く頭を下げて謝罪をした。

「と、とりあえず頭を上げてください。積もる話であれば、私の部屋でお話ししましょう」

 使用人の目があるこの通路ではダリア様が抱えている内容を話すには適してないだろう。だから、ここに来て初めて私はダリア様を私の部屋へと案内をした。元々はダリア様たちのお屋敷だから私の部屋とは違うから言い方的にはあってないだろうけれど。



 ダリア様を部屋に招いた後、ルリに頼んで紅茶を入れてもらった。とりあえず部屋の中でルリには控えてもらうことにした。

「ダリア様、その手紙って誰からのですか?」

 とりあえず、そう聞いた。基本手紙は本人以外が読むことを良しとしていない。ただ執事だけが例外だ。家族であろうとも勝手に手紙を読むことはよくないことなのだ。それをわかっているのにも関わらず、ダリア様。いやきっとダグラス様もだろう。その二人が私への手紙を読んだということは何かしら理由があるはず。この一年間で、幾つも手紙は来たが二人が勝手に見ることなどなかったからだ。

「――公爵家から」
「え?」
「フロライン公爵家、あなたの両親からよ」


 

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