1 / 15
一章 森の中の小さな村
1話 僕の才能は……夢……?
しおりを挟む
世界は、とっても広い。
見たこともない生き物や食べ物、そして沢山の種族の人達がいて、見たことのない色んな場所がある。
だけど、僕は森に囲まれた村から一歩も外に出たことはない。
でも、僕は世界がとっても広いことを知ってるんだ。
──毎日、夢で旅をしてるから──
僕の名前はムト。
鬱蒼とした森の中にポツンとある村で、お母さんと弟と妹の三人で暮らしてるんだ。
お父さんは、一年前に村を襲ってきた魔物にやられちゃって……
お母さんは、僕達のために頑張ってお仕事してるけど……いつも顔色が良くないんだ。
来月には僕も十六歳。
ついに、大人の仲間入りなんだ。
村の教会で洗礼をしてもらえば、その時に僕の才能を教えてもらえる。
今までは家にある小さな畑のお手伝いや、家事しかできなかったけど……
才能が分かれば、それを生かして働くことができるんだ!
夢の中とは違って僕にどんな才能があるのかは分からないけれど、家族のために頑張らないと!
家の手伝いをしたり弟達の相手をしていると、あっという間に十六歳の誕生日になった。
朝起きたら、家族みんなで誕生日のお祝いをしてくれた。
晩御飯は、久しぶりにお肉を使った料理を作ってくれると言っていたから、今からすごく楽しみ!
朝御飯を食べ終わると、家事の手伝いをしてからお母さんと一緒に教会へ向かった。
村の真ん中にある、村で一番立派な建物の教会。
横にある村長の家よりも遥かに立派で、聞いた話によれば魔物を寄せ付けない結界まで張ってあるらしい!
……どうせなら、村全体を結界で囲ってくれれば、お父さんみたいに死んじゃう人も減ると思うけど……
そんなに大きい結界を張ることができる人は、ほとんどいないみたい。
夢の中では良く見かけたんだけどな……
教会に入ると虹色のガラス越しに入ってくる光がとっても色鮮やかで、僕の目にはまるで光が踊っているようにも見えた。
入り口で思わず立ち止まってしまった僕の背を、お母さんは苦笑しながら突っついた。
「ムト? 入り口で止まっても洗礼はしてもらえないわよ?」
「あ、うん……光が、すごく綺麗だったからつい……」
若干恥ずかしくなった僕は、教会の奥に見えたお爺さんと目が合うと、早足で奥へと入っていく。
「おはようございます! 今日は、よろしくお願いします!」
「司祭様、おはようございます。本日はよろしくお願いします」
「おおムト君とシュムさん、おはよう。こちらこそ、よろしくのぅ」
お爺さんの目の前まで来て、しっかりと挨拶をする。
このお爺さんは村の人に司祭様と呼ばれてる人で、今日は僕の洗礼をしてくれるんだ。
いつもは教会でお祈りしたりお掃除をしている人なんだけど、村から外に出る人やお祝い事の時にもお祈りしてみんなを守ってくれている、すごい人なんだ!
「では、早速洗礼を行おうかのぅ。ではムト君、女神様の像の前で膝を着くのじゃ」
「はい、分かりました!」
僕は返事をすると、教会の一番奥に佇んでいる女神様の像の前に歩いていき、右膝を着いた。
「うむ。ではムト君よ、そのまま手を組んで目を閉じ、女神様に祈りを捧げるじゃ」
「手を組んで目を閉じて、祈る……分かりました」
ちょっと緊張してきた……えっと、このままの姿勢で目を閉じて……あ、先に手を組むんだっけ!?
「ムト、焦らなくていいから落ち着くのよ!」
「ほっほっほ。普段のムト君はとても大人びていると思っとったが、こういうところを見ると年相応じゃのぅ」
……うぅ……恥ずかしい……
とにかく、手を組んで目を閉じて祈る……!
……女神様に祈る……
…………何を祈ればいいんだろ……?
僕が悩んでいると、どこからか涼やかな声が──
《──ムト、十六歳の誕生日、おめでとう。あなたの才能は、『夢の旅人』です。あなたなら、きっとこの──を──》
──そこで声は途絶えてしまった。
言いかけて途中で途切れるのって、続きがすごく気になるんだけど!?
……と言うかこれ、いつまでこのままでいればいいのかな……?
「──ト君、ムト君! ワシの声が聞こえとるか?」
聞こえてきた声にはっとして目を開けると、お爺さんが心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「あ……はい、聞こえました。もう終わったんですか?」
「うむ……終わったには終わったのじゃが……」
なんだかお爺さんの様子が変だな……? 僕、なにか間違っちゃったのかな?
「ごめんなさい……僕、なにか間違えてましたか?」
「いやいや、そうではなくてのぅ。ムト君や、お祈りをした時に何か変わったことはなかったかの?」
「変わったこと……?」
「ムト、あなた……お祈り始めてすぐに光っていたのよ?」
……はい? 光ってたって何!?
「お母さん、僕のどこが光ってたの!?」
「全部よ!」
全部!? どう言うこと!?
「シュムさんもムト君も、少し落ち着きなされ」
お爺さんの声で、僕とお母さんはハッとして我に返った。
お爺さんの声って、なんか聞くと落ち着くんだよなぁ……不思議……
見たこともない生き物や食べ物、そして沢山の種族の人達がいて、見たことのない色んな場所がある。
だけど、僕は森に囲まれた村から一歩も外に出たことはない。
でも、僕は世界がとっても広いことを知ってるんだ。
──毎日、夢で旅をしてるから──
僕の名前はムト。
鬱蒼とした森の中にポツンとある村で、お母さんと弟と妹の三人で暮らしてるんだ。
お父さんは、一年前に村を襲ってきた魔物にやられちゃって……
お母さんは、僕達のために頑張ってお仕事してるけど……いつも顔色が良くないんだ。
来月には僕も十六歳。
ついに、大人の仲間入りなんだ。
村の教会で洗礼をしてもらえば、その時に僕の才能を教えてもらえる。
今までは家にある小さな畑のお手伝いや、家事しかできなかったけど……
才能が分かれば、それを生かして働くことができるんだ!
夢の中とは違って僕にどんな才能があるのかは分からないけれど、家族のために頑張らないと!
家の手伝いをしたり弟達の相手をしていると、あっという間に十六歳の誕生日になった。
朝起きたら、家族みんなで誕生日のお祝いをしてくれた。
晩御飯は、久しぶりにお肉を使った料理を作ってくれると言っていたから、今からすごく楽しみ!
朝御飯を食べ終わると、家事の手伝いをしてからお母さんと一緒に教会へ向かった。
村の真ん中にある、村で一番立派な建物の教会。
横にある村長の家よりも遥かに立派で、聞いた話によれば魔物を寄せ付けない結界まで張ってあるらしい!
……どうせなら、村全体を結界で囲ってくれれば、お父さんみたいに死んじゃう人も減ると思うけど……
そんなに大きい結界を張ることができる人は、ほとんどいないみたい。
夢の中では良く見かけたんだけどな……
教会に入ると虹色のガラス越しに入ってくる光がとっても色鮮やかで、僕の目にはまるで光が踊っているようにも見えた。
入り口で思わず立ち止まってしまった僕の背を、お母さんは苦笑しながら突っついた。
「ムト? 入り口で止まっても洗礼はしてもらえないわよ?」
「あ、うん……光が、すごく綺麗だったからつい……」
若干恥ずかしくなった僕は、教会の奥に見えたお爺さんと目が合うと、早足で奥へと入っていく。
「おはようございます! 今日は、よろしくお願いします!」
「司祭様、おはようございます。本日はよろしくお願いします」
「おおムト君とシュムさん、おはよう。こちらこそ、よろしくのぅ」
お爺さんの目の前まで来て、しっかりと挨拶をする。
このお爺さんは村の人に司祭様と呼ばれてる人で、今日は僕の洗礼をしてくれるんだ。
いつもは教会でお祈りしたりお掃除をしている人なんだけど、村から外に出る人やお祝い事の時にもお祈りしてみんなを守ってくれている、すごい人なんだ!
「では、早速洗礼を行おうかのぅ。ではムト君、女神様の像の前で膝を着くのじゃ」
「はい、分かりました!」
僕は返事をすると、教会の一番奥に佇んでいる女神様の像の前に歩いていき、右膝を着いた。
「うむ。ではムト君よ、そのまま手を組んで目を閉じ、女神様に祈りを捧げるじゃ」
「手を組んで目を閉じて、祈る……分かりました」
ちょっと緊張してきた……えっと、このままの姿勢で目を閉じて……あ、先に手を組むんだっけ!?
「ムト、焦らなくていいから落ち着くのよ!」
「ほっほっほ。普段のムト君はとても大人びていると思っとったが、こういうところを見ると年相応じゃのぅ」
……うぅ……恥ずかしい……
とにかく、手を組んで目を閉じて祈る……!
……女神様に祈る……
…………何を祈ればいいんだろ……?
僕が悩んでいると、どこからか涼やかな声が──
《──ムト、十六歳の誕生日、おめでとう。あなたの才能は、『夢の旅人』です。あなたなら、きっとこの──を──》
──そこで声は途絶えてしまった。
言いかけて途中で途切れるのって、続きがすごく気になるんだけど!?
……と言うかこれ、いつまでこのままでいればいいのかな……?
「──ト君、ムト君! ワシの声が聞こえとるか?」
聞こえてきた声にはっとして目を開けると、お爺さんが心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「あ……はい、聞こえました。もう終わったんですか?」
「うむ……終わったには終わったのじゃが……」
なんだかお爺さんの様子が変だな……? 僕、なにか間違っちゃったのかな?
「ごめんなさい……僕、なにか間違えてましたか?」
「いやいや、そうではなくてのぅ。ムト君や、お祈りをした時に何か変わったことはなかったかの?」
「変わったこと……?」
「ムト、あなた……お祈り始めてすぐに光っていたのよ?」
……はい? 光ってたって何!?
「お母さん、僕のどこが光ってたの!?」
「全部よ!」
全部!? どう言うこと!?
「シュムさんもムト君も、少し落ち着きなされ」
お爺さんの声で、僕とお母さんはハッとして我に返った。
お爺さんの声って、なんか聞くと落ち着くんだよなぁ……不思議……
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる