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一章 森の中の小さな村
2話 お爺さんは優しさでできている?
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教会のお爺さんに落ち着くように言われた僕とお母さんは、教会の応接室に通されてお茶を飲んでいた。
暖かいお茶なんてこっちじゃ滅多に飲まないから、すごく落ち着くけど……
正直なところお爺さんが落ち着いてと言った時には、もう落ち着いていたんだけどなぁ。
「どうじゃ? 暖かいお茶は落ち着くじゃろぅ?」
「はい!」
「司祭様、高価なお茶を頂いてしまって申し訳──」
「なんの、ワシが勝手にやったことじゃ。シュムさんが謝ることなんぞ、なんもありゃせんわい」
お爺さん……いつも思っていたけど、あなたは天使様か何かですか!?
対応一つ一つがとっても優し過ぎるよ!
……だからモテるのかなぁ……?
「さて……そろそろ何があったのかを説明しておこうと思うのじゃが、二人とも良いかの?」
「「はい」」
「うむ。ではこちらからかのぅ……ムト君が女神様に祈りを捧げた辺りから、ムト君の全身からまばゆい光が放たれ始めたのじゃ」
「まばゆいほどの光……つまり、部屋に差し込んでいる光よりも眩しいほどだったのですか?」
「そうよ! ものすごく光っていたんだから!」
ものすごく光っていた……
うーん……村長の頭しかイメージできないや……
そういえば、お爺さんは髪も髭もふっさふさなのに、なんで村長はあんなにつるつるなんだろう……?
「とは言っても、光を放っていたのはほんの僅かな時間じゃったがな。光が収まってすぐにワシが声を掛けたのじゃ」
「司祭様が声をかけてもムトは全く反応しないから、心配したのよ?」
「えっ、そうなのですか? 全然気付かなかった……」
「やはり聞こえてはおらんかったのじゃな……」
そう言えばお爺さんの声が聞こえた時、最初はなんかかすれたような感じだったかな?
「こちらからはそれくらいじゃが、ムト君の方はどうじゃった? 何か変わったことはあったかのぅ?」
「変わったこと……えっと、どこかで聞いたことがある女の人の声が聞こえたってことくらい──」
「なんじゃとっ!?」
「きゃっ!?」
女の人の声が聞こえたと言ったら、お爺さんが急に大きい声を出すから……お母さんが椅子から落っこちちゃった……
って、お爺さんの顔がなんかヤバイことになってる……!?
「ほれは、ほんほうはのは!?」
「……お爺さん、もうちょっと口を閉じようよ……そんなに口を開けてたら、なにを言ってるか全く分からないです……」
「は、はほは……」
口が全開だから話せないのかと思ったら、もしかして……アゴが外れちゃったのかな……?
「えっ、どうしたらいいのこれ……」
「はほは……」
「うぅ……お尻が……」
外れたアゴの治し方なんて分からないし、お母さんは痛がってるしで、僕はどうしたらいいのか分からず途方に暮れてしまった……
「……すまんかったのぅ……」
お爺さんのアゴは、数分経って落ち着いた頃に自然に治ったので、正直ほっとした……
治らなかったらどうしようかと思ったよ……
お母さんの方は、アゴが治ったお爺さんが魔法で治してくれたのでこちらも一安心!
回復魔法……ちょっと欲しいかも……
「いやはや……まさか女神様のお言葉を直接賜るとは思っていなくての……心底驚いたわい」
「女神様の?」
「めっ……女神様って、あの女神様ですか!?」
「お母さん、女神様の像に指をさしちゃだめだよ?」
お母さんを諌めつつ、小さい女神様の像を眺める。
さっき聞こえたのは、本当に女神様の声だったのかな……?
なんか、夢でも聞いたことがあったような気がするんだけどな……?
「ムト君はあまり驚かんのじゃな?」
「うーん……夢の中では妖精さんとか精霊さんと話したこともあるし……あまり驚かないかな──」
「なっ……」
「あ、まずい」
おじいさんが再び大口を開けそうになったので、慌てて顎を抑えた。
……間に合ったかな?
「おお……すまんのぉムト君。また驚いてしまったわい」
「いえ、顎が無事で良かったです」
うーん……おじいさんの驚き方を見るに、夢であっても妖精さんや精霊さんと話をするのは珍しいことなのかな?
「シュムさんや、ムト君は昔から夢の話をよくするのかの?」
あれ……なんで僕に聞かないでお母さんに聞くんだろ?
「司祭様、確かにムトは毎日夢についての話をしていますが……私はてっきりムトの妄想かと……」
「え"……」
お母さん……信じてなかったんだね……
「シュムさん……流石にそれを本人の前で言うのは良くないと思うがの?」
「えっ……あ!! ご、ごめんね、ムト……」
「……」
僕が、妄想の話を夢と勘違いして話していたと……そう、思っていたんだね……
「だ、だって……夢なんて毎日見るものじゃないし、そんなにはっきり覚えてるなんてあり得ないと思ってて……それに、れべるあっぷしたとか、意味が分からないし──」
「シュムさん、一旦落ち着きなされ。すまんのぉ、ムト君」
「いえ……」
そっか……僕が普通だと思っていたあの夢は、普通じゃなかったんだね……
もっと、早く知りたかったな……
暖かいお茶なんてこっちじゃ滅多に飲まないから、すごく落ち着くけど……
正直なところお爺さんが落ち着いてと言った時には、もう落ち着いていたんだけどなぁ。
「どうじゃ? 暖かいお茶は落ち着くじゃろぅ?」
「はい!」
「司祭様、高価なお茶を頂いてしまって申し訳──」
「なんの、ワシが勝手にやったことじゃ。シュムさんが謝ることなんぞ、なんもありゃせんわい」
お爺さん……いつも思っていたけど、あなたは天使様か何かですか!?
対応一つ一つがとっても優し過ぎるよ!
……だからモテるのかなぁ……?
「さて……そろそろ何があったのかを説明しておこうと思うのじゃが、二人とも良いかの?」
「「はい」」
「うむ。ではこちらからかのぅ……ムト君が女神様に祈りを捧げた辺りから、ムト君の全身からまばゆい光が放たれ始めたのじゃ」
「まばゆいほどの光……つまり、部屋に差し込んでいる光よりも眩しいほどだったのですか?」
「そうよ! ものすごく光っていたんだから!」
ものすごく光っていた……
うーん……村長の頭しかイメージできないや……
そういえば、お爺さんは髪も髭もふっさふさなのに、なんで村長はあんなにつるつるなんだろう……?
「とは言っても、光を放っていたのはほんの僅かな時間じゃったがな。光が収まってすぐにワシが声を掛けたのじゃ」
「司祭様が声をかけてもムトは全く反応しないから、心配したのよ?」
「えっ、そうなのですか? 全然気付かなかった……」
「やはり聞こえてはおらんかったのじゃな……」
そう言えばお爺さんの声が聞こえた時、最初はなんかかすれたような感じだったかな?
「こちらからはそれくらいじゃが、ムト君の方はどうじゃった? 何か変わったことはあったかのぅ?」
「変わったこと……えっと、どこかで聞いたことがある女の人の声が聞こえたってことくらい──」
「なんじゃとっ!?」
「きゃっ!?」
女の人の声が聞こえたと言ったら、お爺さんが急に大きい声を出すから……お母さんが椅子から落っこちちゃった……
って、お爺さんの顔がなんかヤバイことになってる……!?
「ほれは、ほんほうはのは!?」
「……お爺さん、もうちょっと口を閉じようよ……そんなに口を開けてたら、なにを言ってるか全く分からないです……」
「は、はほは……」
口が全開だから話せないのかと思ったら、もしかして……アゴが外れちゃったのかな……?
「えっ、どうしたらいいのこれ……」
「はほは……」
「うぅ……お尻が……」
外れたアゴの治し方なんて分からないし、お母さんは痛がってるしで、僕はどうしたらいいのか分からず途方に暮れてしまった……
「……すまんかったのぅ……」
お爺さんのアゴは、数分経って落ち着いた頃に自然に治ったので、正直ほっとした……
治らなかったらどうしようかと思ったよ……
お母さんの方は、アゴが治ったお爺さんが魔法で治してくれたのでこちらも一安心!
回復魔法……ちょっと欲しいかも……
「いやはや……まさか女神様のお言葉を直接賜るとは思っていなくての……心底驚いたわい」
「女神様の?」
「めっ……女神様って、あの女神様ですか!?」
「お母さん、女神様の像に指をさしちゃだめだよ?」
お母さんを諌めつつ、小さい女神様の像を眺める。
さっき聞こえたのは、本当に女神様の声だったのかな……?
なんか、夢でも聞いたことがあったような気がするんだけどな……?
「ムト君はあまり驚かんのじゃな?」
「うーん……夢の中では妖精さんとか精霊さんと話したこともあるし……あまり驚かないかな──」
「なっ……」
「あ、まずい」
おじいさんが再び大口を開けそうになったので、慌てて顎を抑えた。
……間に合ったかな?
「おお……すまんのぉムト君。また驚いてしまったわい」
「いえ、顎が無事で良かったです」
うーん……おじいさんの驚き方を見るに、夢であっても妖精さんや精霊さんと話をするのは珍しいことなのかな?
「シュムさんや、ムト君は昔から夢の話をよくするのかの?」
あれ……なんで僕に聞かないでお母さんに聞くんだろ?
「司祭様、確かにムトは毎日夢についての話をしていますが……私はてっきりムトの妄想かと……」
「え"……」
お母さん……信じてなかったんだね……
「シュムさん……流石にそれを本人の前で言うのは良くないと思うがの?」
「えっ……あ!! ご、ごめんね、ムト……」
「……」
僕が、妄想の話を夢と勘違いして話していたと……そう、思っていたんだね……
「だ、だって……夢なんて毎日見るものじゃないし、そんなにはっきり覚えてるなんてあり得ないと思ってて……それに、れべるあっぷしたとか、意味が分からないし──」
「シュムさん、一旦落ち着きなされ。すまんのぉ、ムト君」
「いえ……」
そっか……僕が普通だと思っていたあの夢は、普通じゃなかったんだね……
もっと、早く知りたかったな……
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