夢で得た力が、現実でも使えました!?

緑牙

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一章 森の中の小さな村

3話 僕の夢は、普通じゃない……?

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 昔から、僕は夜に眠るのが楽しみだった。

 同年代の子達が当たり前のように起きている時間に、僕はすでに眠っていた。

 何故なら、いつもの・・・・夢の続きが見たいから。


 僕が眠りにつくと、夢の中の僕が目覚める。

 夢の中の僕は、昔から姿が変わっていない。

 身長は大きい大人の人と同じくらいで、髪は短髪。

 そして自分のことは僕じゃなくて俺と言い、魔物と戦ってお金を稼ぎながら世界を旅する冒険者だ。

 僕は村から一歩も外に出たことはないけど、夢の中でなら色々な国を旅してきた。



 夢の中の僕は敵を倒すことでレベルアップという事が出来て、どんどん強くなることができる。

 時々レベルアップした時に新しくスキルを覚えることがあって、その種類はものすごく多くて未だに把握しきれていない。

 時には強い魔物に負けそうになることもあったけど、そんな時には普段使わないスキルを使ってなんとか切り抜けてきた。



 そして一番の違いは、夢の中で魔物を倒すとその場から消えてなくなり、アイテムを落とすこと。

 僕は村の大人の人達が話をしていたのを聞いて驚いた。

 なんと魔物を倒しても消えずにそのまま残るらしいということ。

 魔物の肉は強い毒性があって食べることができず、魔物の素材は倒した人が解体するらしい……

 解体なんて、とても僕には出来そうにないしなぁ……




「……ムト君や……ムト君? 聞こえとらんのか? おーい、むーくん──」
「はいっ! 聞こえました! だからその呼び方はやめて下さいっ!」


 僕が夢について考え込んでいたら、どうやら呼ばれてるのに気付かなかったみたい……

 流石に小さい頃に呼ばれていた呼び方されるのは恥ずかしくて、つい大きい声を出しちゃった……


「おぉ……むーくんが反抗期じゃ……」

「いや、僕が悪かったので本当にやめて下さい……」


 お爺さん、悲しんだふりはやめて下さい……

 口の端が、笑みの形になってるからバレバレだよ!


「ふぉっふぉっ、すまんのぉ。つい悪のりしてしまったわぃ」

「司祭様も、お茶目なところがあるんですね!」


 お母さん……お茶目ってなにか違うような気がするんだけど……
 
 まあそこは置いとこう。掘り下げたくないし……


「そう言えば、僕を呼んでいたのは……?」

「おお、そうじゃった。肝心なことを聞き忘れていたのでの」

「肝心なこと……?」

「うむ。女神様のお声が聞こえたと言うことじゃったが、なんとおっしゃったのか教えて貰えるかのぅ?」


 あ、そう言えば……まだ話してなかったんだ……

 お爺さんのアゴが外れたり、村長の頭の事が気になって話すのを忘れちゃってた……


「えっと確か……誕生日おめでとう……才能は、夢の旅人です……あとは、途切れ途切れでよく分かりませんでした」

「なんと……お言葉が途切れ途切れとな……? そして才能は夢の旅人……? ふむむ……聞いたことの無い才能じゃ……」


 お爺さんは若い頃から教会で働いていたらしいけど……

 そんなお爺さんも知らないなんて、すごく珍しい才能なのかな?

 というかこの才能、仕事をするのに役に立つのかな……


「女神様からの直接のお言葉……そして一般とは異なる才能……もしや、この世界に何かが起こるのかも知れんのぅ……」


 お爺さんは一人で考え事をしながら呟いてるけど……

 何かって、なんなんだろ?


「まあ、今そんなことを考えても仕方ないのぅ!」


 えぇ……深刻そうにしていたのに、そんなこと扱いにしちゃっていいのかな……?


「さて、ムト君。ワシらの知る夢とムト君の知る夢について、話し合おうと思うのじゃが……どうかのぅ?」


 他の人達の見てる夢! 興味あるなぁ!

 それに、もしかしたら僕の才能についても何か分かるかも知れないし!

 ……でも、夢の話をするなら……今はお母さんには聞いて欲しくないな……


「お願いします! ……あの、お母さんは帰って貰ってもいいですか?」
「えっ! どうしてよ、ムト!」

「……お母さん、今まで僕の話を妄想だと思って信じてなかったんだよね? ……僕は、すごくショックだったんだ」


 僕は、顔を見られたくなかったから下を向いた。

 でも本当は、お母さんの顔を見れなかったからかも知れない……


「……ムト……」

「だから、今は……お母さんに夢の話をしたくないんだ……」


 涙がじわじわとにじんでくる……

 拳を握り込んで涙をこらえようと頑張るけど、うつむいている僕の目から一滴涙が落ちてしまった。

 ずっと信じて貰えてなかったのは、やっぱり悲しい……


「ごめんね……ムト……」


 お母さんのすすり泣く声が聞こえる。

 言い過ぎたのかも知れないけど、今は……

 謝れそうにないや……


「シュムさん、ムト君はワシが責任をもって家に送るからの……今は帰って心を落ち着けるのじゃ……」

「……はい、司祭様…………ムト、本当にごめんなさい……」


 お母さんは泣きながら僕にもう一度謝ると、部屋を出ていった……
 
 お爺さんはそんなお母さんに付き添って、教会の入り口まで送っていってくれた。

 ……今のうちに、僕も落ち着こう。
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