夢で得た力が、現実でも使えました!?

緑牙

文字の大きさ
4 / 15
一章 森の中の小さな村

4話 僕の夢と他の人の夢の違い……?

しおりを挟む
 僕がお母さんに話していたのは、夢で楽しかったことがほとんどだった。

 お母さんにも、楽しかったのを共有して欲しかったんだけど……

 変なことを考えてるなと、思っていたのかな……


 落ち着くどころか落ち込みかけてると、お爺さんが戻ってきた。


「お待たせしたのぅ。……大丈夫かの?」

「あ、はい……ちょっと落ち込んでただけですから……」

「うむ、ムト君なら大丈夫だとは思うがの……シュムさんを恨んだりしてはいかんぞぃ?」

「それはないですよ。ただ、悲しいだけですから」

「むぅ……心の傷は、しばらくは治ることはないじゃろうし……もし一人で苦しいことがあれば、ワシになんでも話してくれていいからの?」

「ありがとう……ございます」


 さっきは感情が抑えきれなかったけど、きっと何日か経てば大丈夫……なはず。

 その間に何かあったら、お爺さんを頼らせて貰おうかな。




「さて、ではお互いの夢について話をしようかのぅ」

「よろしくお願いします!」

「うむ、ムト君は元気がいいのぅ! ワシも負けておれんの!」

「頑張りすぎてアゴ外さないで下さいね……?」

「……気を付けるわぃ」


 本当に気を付けて下さい……怖いので……


「まずはワシの方かの。ワシらにとっての夢とは、眠っている時に希に見るものじゃ」

「え……夢って、毎日必ず続きが見るものじゃないんですか!?」

「それはないのぅ。そもそも続きが見れることなぞほぼ無いからの」


 毎日でもなければ、続きも見れないの……!?

 それじゃ楽しくないんじゃ……? 


「そして夢は荒唐無稽な話が多い。明らかにあり得ないようなことが、夢の中では起こり得ると言うことじゃな」

「明らかにあり得ないようなこと……ですか?」

「うむ。例えばとんでもなく恐ろしい魔物……仮にドラゴンをでこぴん一発で倒せたらどう思うかのぅ?」

「それは、確かにあり得ないですね……」


 ……ん? 

 でもよくよく考えたら、でこぴんで魔物を倒す人をどこかで見たことがあるような気がするなぁ……?


「他にも空を飛んだり才能をたくさん持っていたり……普段起こり得ない事が起こるのが、夢と言うものじゃ」


 それもどこかで見たことがあるような……

 そうか! 僕も夢の中で見たんだ。

 生成きなりの服を着た人が空を飛び、沢山の才能を使ってドラゴンの攻撃を全て防いだ後、でこぴんで倒すのを!


「そして、目が覚めるとほとんどの人は見た夢の事を忘れてしまうのじゃ。希に記憶に残っていることもあるが、徐々に忘れていってしまうじゃろうな」

「えっ! 忘れちゃうんですか!? それじゃ、経験したことが全部無駄になっちゃうんですか?」

「はて……? 経験とな?」

「僕は夢の中で様々な経験をして来ました。才能こそありませんが、今まで夢で経験したことのお陰で色々と出来ることが増えたんです」


 夢の中で上がったレベルや手に入れたスキル、アイテムはこっち現実には影響しないけど、夢の中で得た沢山の知識や冒険をした経験は、家のお手伝いをするのにとっても役立ってるからね!


「ムト君や……ワシらにとっての夢とは、特に意味の無いものなのじゃ。だから経験というのは起きている時にするものなのじゃよ」

「そんな……それじゃあ、僕の夢って……」

「うむ……ムト君の夢とワシらの夢は、全く違うものだと思った方がよさそうじゃのぅ」


 お母さんに妄想してばかりだと思われていたのは、ショックだったけど……

 お爺さんの話を聞いて、僕の夢が他の人とかけ離れてるのがよく分かった。

 お母さんがいつも僕の話を黙って聞いてくれていたのは、僕にとってありがたいことだったんだな。


 ……本当なら僕は、変な子だと見放されてもおかしくなかったんだ……


 ふと気付いたら、顔色が悪くなっていたのかお爺さんに頭を撫でられてた。


「落ち込むでないぞムト君。君の夢は恐らく、女神様からの贈り物じゃと思うしのぅ」
「そうなんですか!?」

「うむ。毎日続きを見れる夢というのは、何らかの力が働いておらん限りあり得んと思うからのぅ。恐らくは、それこそがムト君の才能じゃろう」


 僕の才能『夢の旅人』。

 この才能が、他の人の夢と僕の夢の違いの元なのかな……?


「そして夢を介して現実に経験を生かすことが出来る……これは凄いことじゃと思うぞぃ!」

「そう、なんでしょうか……」


 正直なところ、僕だけが違うところがあるのというのはあまり嬉しくない。

 少し違うくらいならよかったけど……

 ここまで違うと、お母さんみたいに僕の話を信じてくれない人も多そうだし……


「今のムト君には分からないかも知れんが……女神様直々にお言葉を下さるということは、ムト君は女神様に気に入られておる」

「気に入られて……? でも、僕だけが他の人と違うなんて──」

「ムト君、落ち着くのじゃ」


 お爺さんは僕の頭をそっと撫で続けてくれた。

 僕が顔を上げると、お爺さんは優しい笑顔を浮かべると窓の外に視線を向けた。

 つられて僕も窓の外に目を向けると、そこには一生懸命働く村の人たちの姿が見えた。


「あそこに見える皆も色々な才能を持っておる。じゃが、その才能で生活が豊かになったとしても、心まで豊かにしてくれるという訳ではないのじゃ」

「心……ですか?」

「うむ。ワシはのぅ、どんなに生活が貧しくとも日々を楽しく笑顔で過ごせれば、心が豊かな生活が送れると信じているのじゃ。……ムト君のようにのぅ」


 僕は……夢のお陰で毎日寝るのが楽しみだった。

 夢の続きを見るのが楽しみだったから。

 ご飯が少なくても、お手伝いが大変でも、毎日が楽しく過ごせていたのは──


 夢のお陰、だったのかなぁ
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...