園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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2章 村での生活

23話 やってしまった……

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 セージ君の食べ方に戦慄を覚えつつも椅子に座った俺は、サラさんにも食べるように促して今日来た目的を話すことにした。


「実は今日来た目的なんですけど、一つお伝えしたいことがありまして……あ、食べながらでいいので!」


 伝えたいことがあると言った瞬間にサラさんが姿勢を正すものだから、思わず制止した

 食事を優先してほしいからね。


「あと、サンショウさんから聞いたんですよね。サラさんが俺が帰ってくるのを気にしてると」

「まあ! サンショウさんには、あとでお礼を言っておかないと!」


 堂々と本人の前で言わなくても……

 思わず苦笑いしてしまったが、早く目的を伝えて帰らないと明日の仕事に支障が出てしまう。


「それはお任せします……。それでお伝えしたかったのは、数日中に花の種が集まるだろうという事なんです」

「それは嬉しいのですが、集まるとは……?  リョウさんが集めてくれてるんですよね?」

「実は森の中で色々ありまして、草木の精霊ドリアドネさんと知り合いに──」
「草木の精霊!?」
「せいれいさん!?」


 サラさんとタンジーは、ガタッ!! と音を立てて椅子から立ち上がると、耳がキーンとするほどの声で叫んだ。

 セージ君は動じていないな……と思ったら、うとうとしてるだけか…… 


「リョウさん! それは本当なのですか!?」
「せいれいさん、会ってみたい!」

「ちょ……ちょっと落ち着いて! 一旦椅子に座って!」


 じりじりと距離を詰めてきた二人の圧力に恐怖を感じ、仰け反るようにしながらも椅子に座るように言うと、渋々と言った様子で座ってくれた。

 サラさんは花に携わる仕事をしていたんだし、気になるんだろうな……


「とりあえず時間があまりないので、質問などは後日にお願いします!」

「わかりました……」
「はーい……」


 二人が落ち着いたので、話を再開する。
 明らかに不服そうではあるけど、今回は仕方ないんだ……


「では続けますが、草木の精霊のドリアドネさんと知り合った縁で、花の種を集めてもらえることになったんです」

「……知り合った縁、と言うところを詳しく聞きたいんですが……!」
「お母さん、がまんだよ……」


 こらえきれないと言った様子のサラさんを諌めるタンジー。

 ごめんな、後日ちゃんと説明するから……


「なので、依頼については数日お待ちいただきたいです。その間に手伝えることがあれば、お手伝いします。今日はそれをお伝えしたくて伺いました」

「……お話はわかりました。お手伝いについては、考えさせてもらっていいですか?」

「勿論です! 勝手に話をしてきてしまって済みません……」


 ドリアドネさんの過剰なお礼を断るためとはいえ、依頼を人任せにしてしまったようなものだからな……

 心証は良くないだろうし、誠心誠意お詫びをしなければ……


「正直、だれも受けたがらない依頼を受けてもらえただけでも感謝はしてますから……リョウさんが謝ることはないですよ」

「ですが──」
「でも、リョウさんなら気にしてしまいますよね? ですから、後日のお話……楽しみにしてますよ?」

《リョウさん……言動が読まれちゃってますね》

 サラさんは俺が言おうとしたことを先読みして、言葉を被せてきた。
 その顔はいたずらが成功した子供のような表情で──

 正直、ちょっと可愛いと思ってしまった。


 ……なんにしても、そこまで言われてしまったら後日しっかり話さないといけないな。


「……わかりました。楽しめる話ではないかもしれないけど、後日に説明させていただきます」


 そう言って椅子から立ち上がった俺は、ストレージから猪肉の塊を取り出した。


「あと、これはお渡ししておきますので傷む前に皆さんで・・・・食べちゃってくださいね」

「でも──」
「もらってばかりだから……と言うのは無しですよ?」


 サラさんの言葉を遮って、俺はニヤリと笑う。
 さっきのお返しでもあるけど、俺の本音は──


「まずはしっかり食事をして、体調を整えてください。サラさんが倒れたら、子供達二人も共倒れになってしまうんですから」


 やっぱり身体を大事にして欲しいんだよな。
 食べ物が少ないからと、子供達に自分の分の食事を分けるのは、勿論悪いことじゃない。

 でもその結果、子供達が不幸になる可能性があるなら……それはやはりダメだと思う。
 見過ごすことはできない。


 そんなことを人に言うと、お前は偽善者だとよく言われる。

 だが、手の届く範囲の助けられる人を見捨てるくらいなら、俺は遠慮なく偽善者になるつもりだ。


《偽善者、ですか。……リョウさんの場合は全く違うように感じますけどね》


 ちょっと思いが強くなりすぎて、ブレンに念話で届いちゃったな。
 苦笑しながら横目でブレンを見ると、ブレンもまた苦笑しているように感じられた。

 ふと強い視線を受けた気がして正面を見ると、椅子に座ったままジト目でこちらを見るサラさんと目が合ってしまった……


「……リョウさん、お肉はありがたく頂戴いたします。ですが、一言言わせてもらってもよろしいですか……?」


 その威圧は、タンジーに劣るとも勝らないほどの強さで、俺は思わず頷いてしまった。
 そして若干涙目で、ぷるぷるしているサラさんは──


「私と話をしてる時に、ブレンちゃんとイチャイチャしないでください!!」


 ──叫びながら泣き出してしまった……


 泣いている女性の対応などしたことがなかった俺が固まっていると、タンジーが椅子から立ち上がる。
 そして、サラさんの頭をゆっくりと撫で始めた。


「お母さん、わたしもきもちは分かるよ。おはなししてるときに、あいての人がほかの人とはなしはじめたらかなしくなっちゃうもんね」
「うん……わ、わたしと、お話し、していたのに……」


 タンジーとサラさんの言葉が心に刺さる……
 確実に俺が悪いのは分かっていたが、言葉にされるとキツいものがあるな……

 タンジーはこちらに申し訳なさそうな目でこちらを見ると、軽く頭を下げた。


「お兄さん、いろいろごめんね。わたしはお母さんをむこうのへやにつれていくから、お肉しまっておいてもらえるかな?」

「分かった。……二人共、本当にごめんなさい……」

「ううん、だいじょうぶだよ! ほらお母さん、お兄さんにごあいさつしておこう?」

「……うん……り、リョウ、さん……ご、ごめんなさい……」


 ぽろぽろと涙を流しながら謝るサラさんをみて、罪悪感にかられる……
 本当に、次から気を付けないとだな……
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