社畜にもなれなかった俺が、JSに転生して経営の才能が開花した件 〜駄菓子屋からはじめて100億円企業を創るまで〜

中田翔子

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第七章 100億への道

未来を売るプレゼン

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ーー嬉野グループ本社・多目的ホール

 天井が高く、窓の大きなその部屋には、ずらりとスーツ姿の大人たちが並んでいた。

「緊張してきた……」

 俺は、チャッピー(スマホのすがた)を袖の中でぎゅっと握りしめる。となりでは叶が淡々と資料の確認をしていた。三条さん、ウツキンさん、ジャンプくんも、それぞれの資料や機材を手に準備を整えている。

「代表の縋野泉です。本日は、出資提案の機会をいただきありがとうございます」

 深く一礼して、プレゼンが始まった。

 最初に流れたのは、雨村ジャンプが手がけたダイジェスト映像。子どもたちのキラキラした笑顔、雑多なブース、汗を拭いながら立つ小学生社長。会場の一部から「おお……」という小さな声が漏れた。

 その後、三条さんがSNS上での成長と共感の広がりをロジカルに解説し、ウツキンさんが売上推移と今後の収益構造を整理する。チャッピーが生成した“感情ワードグラフ”も、笑いを交えつつ盛り上げた。

「……こうして、PuPuはただの子ども向けイベントではなく、“参加型の未来創出装置”として機能しはじめています」

 俺はスライドの最後を示しながら、深く頭を下げた。

「PuPuの“未来”を、一緒につくってくれませんか」

 一瞬の沈黙の後――パラパラと、拍手が起きた。

「本気でやってるな……」
「ここまで揃えてくるとは思わなかった」
「子どもの会社かと思ったが、これはもう立派なベンチャーだ」

 そんな声が漏れ聞こえる中、最前列にいた中年の男性が立ち上がる。嬉野グループ・企画統括の佐伯だ。

「面白い。だが、その熱意が本物かどうかは、こちらも本気の条件で試させてもらう」

 彼の目は、鋭くも、どこか嬉しそうだった。

「正式な評価を経た上で、改めて出資条件を提示する。少なくとも……私たちの中で、“話す価値のあるチーム”であることは間違いない」

 プレゼンは、終わった。

 会場を出る頃には、俺たちはヘトヘトだった。けれど、手応えは確かにあった。

「……あの人たち、本当に見てくれてたね」

「うん。“未来を売る”って、こういうことなんだな」

 俺はチャッピーの頭をなでた。

(また帰ったら既存事業の拡大方針と新規事業のブラッシュアップだ。これは忙しくなるぞ)
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