僕達の過ち

真田晃

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涙が溢れ、止まらない…


「…これ以上、鈴が傷つくのを見たくない……」

「………」

「鈴の事だから、俺を養う為に体を売ろうとか考えてるだろ…」

「……!」


優斗はゆっくりとこちらに顔を向けた

そして、繋いだ手とは反対の手を伸ばし
僕の涙を親指で拭う



「…俺、引っ越しても
金貯めて必ず鈴に逢いに行くから……
高校は、鈴と同じ所受験するし

暫く寂しい思いをさせちまうけど……
離れても、鈴を離さないから」

「……優斗」

潤む瞳で優斗を見ると
優斗は僕を優しく抱き寄せた


その温もりや優斗の匂いに
僕の胸が優しく締め付けられる


「……うん、わかった…」


すん、と鼻を啜った後
優斗の胸に鼻をつけ
思いっきり吸い込み
肺の中を優斗の匂いでいっぱいにする……


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