死にたがりな悪役令嬢

白湯

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〜*第1話-2*〜

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 大丈夫よ、とまだまだ心配しているリリィを部屋から出した後、窓際にある椅子に座り息を吐く。

ーー本当に良かった。家族が無事ならそれだけで

 記憶を遡るも、今の私は家族に愛されていると分かる。処刑にされる事になった時も、誰一人として私を責めなかったのだから。

「貴方は幸せね。どうしてあんな奴の為に…」

 ポツリと呟く声は闇に消える。
 死ぬ前は復讐に囚われたけれど、そんな事をしてまた家族を巻き込む訳にはいかない。

 あんな奴とは関わらないが1番だ。
 処刑された時の生々しい映像がフラッシュバックし、震えはじめる身体を抱きしめる。

 大丈夫よ…私がこの家を守り抜いてみせるから。

 少し落ち着いた後も椅子の上で縮こまって、膝の上に頭をのせて窓の外をボーッと眺める。どうして私は”転生”なんてしたのだろうか、そもそもこの世界はなんなんだろうか。そんな事が頭の中に浮かんでは消える

 考えた所でどうしようもないのは分かってる。ただ、あの時菜々美として人生が終わっていれば…、そうボンヤリと考えていると、控えめに扉を叩く音の後に扉が開いた。


ーNo side


 部屋に入ってきた人物は、僅かに身体を硬直させた。
 まだ朝日は登りきっておらず、僅かな明かりだけが薄暗い部屋を灯す。

 その視線の先に、椅子の上で子供のように身体を小さくして、外に目を向ける人物から目が離せずにいた。

「アメリアお嬢様…??」

 返事が無いまま主の部屋へ入室するなんて、本来であれば許されない行為ではあるが、アメリアは朝に弱い為、早朝のみノックをし返事が無くても入室を許されていた。まさかこんなに早くに起きているだなんて、とメイドは驚き目を見張る。
 それ以上に驚いた事は…顔は見えていないけれど外を眺める、いつもは傲慢な姫が、今にも消えてしまいそうな、儚げな雰囲気を纏っていたからである。

 普段は家の中でも我儘で、傲慢で、天真爛漫なアメリア。使用人達には横柄な態度を取られることがあっても、公爵家の家族から蝶よ花よと大切に育てられたている彼女。

 そんなアメリアが、メイドの呼びかけにも反応せず、1人掛けのふわふわのソファーの上で身体を小さく折りたたみ黄昏ている。どこか調子でも悪くしているのかと、不安になり少し近付き声をかけようとしたところで、勢いよくこちらに顔を向けられる。

「あ…エミリー??」

 メイドの存在を確認すると、アメリアは体から力を抜き、ゆっくり椅子に寄りかかる。

「どうかしたの?まだ日が昇る前よ」

 ふっと、顔に笑みを浮かべ柔らかく微笑む姿にまた身体が硬直する。

ーーなんて、美しい人なのだろう。

 メイドは僅かに息を呑んだ。手を焼くことが多く、アメリアが美しい事は十分に理解していたが、どうしても横柄な態度の方に目がいっていた。ただ、今日は普段とは違う。

 こんなに美しく笑う方だったのだと、改めてメイドは理解したのだ。

「エミリー?」

 主の呼び掛けに我に返り、お辞儀を返す

「申し訳ございません。アメリアお嬢様。長期休暇が終わり、本日よりロータス学園に通われるため準備に参りました。」

 そう告げれば、『え…?』と小さくアメリアは呟いた。
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