死にたがりな悪役令嬢

白湯

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〜*第3話-4*〜

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「...ハリソン様は、毎日ここへ?」
「そうですね...忙しい時は変わりの者に頼みますが、基本的には私が来るようにしてますよ」

 突然の話題変換に微笑みながら、土や花を弄りながら話を合わせてくれる。
 優しい人なのね。

「そうなんですか...。あの、またここへ来ても良いですか?お邪魔はしませんので」

 せっかく見つけたオアシスだ。ダメだと言われたらどうしよう。ちょっと緊張する
 水やりも終わり道具をしまう手を止め、私に視線を送る。

「勿論ですよ。いつでもいらして下さい。対してもてなせないけど、歓迎しますよ」

 そう言うと紙で簡単にまとめられた、花束を手にこちらに向かってくる。
 座る私の前にひざまつき、差し出される花束

「またお会い出来るのを楽しみにしてます。このような物しかプレゼント出来ませんけど」
「ありがとう...ございます。」

 受け取ると花のいい香りが広がる。

「ふふっ、ハリソン様みたいですね。この花からは優しい香りがします。またお邪魔しますね」

 嬉しくなりそう感想を伝えると、途端に顔を赤くして立ち上がるハリソン。
 褒められて恥ずかしかったのかな。

「ご令嬢...簡単にそんな事を言ってはいけない。勘違いさせる可能性がありますよ」

  勘違い?なぜ?
 『分かりましたわ』と取り敢えず答えると、本当か?と少し疑う視線を向けられている気がする。

「さて、そろそろ私は失礼します。ご令嬢もそろそろ戻らないといけないのでは?」
「あ、はい。そうですね。行かないと」

 立ち上がろうとすると、スっと差し出される手
 「洗ったので手は汚れてないですよ」と言われつい笑ってしまう。

「ありがとうございます、ハリソン様。あと、手が土で汚れている位気にしませんよ?」

 クスクス笑いながらそう言って手を重ねると、グッと力強く引き寄せられる
 想像してたよりも、勢いがついていてハリソンに抱き着く形になってしまう。

「す、すみません」
「貴女は..本当に変わった人だな」

 一瞬抱き締められたかと思ったが、スっと直ぐに身体を離される。聞き間違えかな?変わった人って言われた気がするんだけど──…。

「すみません、ありがとうございます。またお邪魔しますわ」

 お辞儀をして返事も聞かずその場を離れる。
 ジッとこちらを見つめる双眸に気付かずに。


 それから数日が経ち、学園で気になっていた視線も若干落ち着いて来た気がする。
 
 それもあって、のんびりと自席で家から持ってきた歴史書に目を通す。もっとこの世界の事を知る必要がある。どうして私はこんな世界に送られる事になったのか。元々のアメリアの魂…主人核はどうなっているのか。
 しかし、魂の転移等の魔法については詳しく残っていないし、そもそもそんな書物も見つからない。それ所か教授が仰っていた魔法使いの事すら残っていない。

ーー情報が全く残って居ないし、魔法を使える者の仕業なのかしら...?

 魔法使いは居たとされている、なのにどうしてその詳細が分からないのか。
 どうして魔法使いは居なくなってしまったのか。
 分からない事だらけだ。

 こんな世界に突然送り込まれて、戸惑ったけれど温かい家族を知ってしまった。見捨てるにはあまりにも優しい人達、だから見捨てたくないと思う。


「...嫌な人達だったら切り捨てて、こんな意味の分からない人生終えられるのに」
「...終えられる?」

 つい口に出てたみたいで、その声に顔を上げる。
ーーヤバい、聞かれてしまった。

「あ、あら、アリス嬢にリーリエ嬢。どうしましたの?そんなに心配そうな顔をして」

 ここ数日で仲良くなった2人が心配そうな顔をしていた。しまった、油断してたな。

「...いいえ、アメリア様...大丈夫ですか?」

 名前呼びを許してからは、距離が近付いているとは思う。
 それでも、どうしても距離を作ってしまう。

「大丈夫よ、ありがとう」

 そう言って笑顔を作る。
 申し訳ない気持ちが無い訳じゃない、ただ思ってしまう。
 
ーーこの子達も何かあったら、簡単に私を裏切るんだろうと。

*

*

 それから別棟で行われる講義に参加するために移動していると

「そう言えば、本日からエリック公子様が、殿方の剣術を教えるのですよね!楽しみですわ!」
「是非見学したいですわね!」
「私、初めて拝見した時から胸がドキドキしてますもの」

 2人ともキラキラした目で、エリック兄様の話をしている。やっぱり有名な人なのね。
 それに、他の令嬢達をこんな簡単に虜にするなんて。我が兄ながら恐ろしい人だ。

「兄が聞いたら喜ぶわ」

 どうかこの2人が、兄の毒牙に掛かりませんように。思わずそう思ってしまうのも仕方がないと思う。
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