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転生〜統治(仮題)

魔神

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オレの振舞った夕食とデザートは、カレンにも好評だった。この世界には無い料理の数々に、終始ニコニコしていた。そんなカレンに見惚れていたせいか、オレが食べ終わったのはカレンが食べ終わってから大分時間が経ってからである。

現在は1人中庭に座り、星空を見上げている。ふと視線を横に向けると、いつのまにかカレンが隣に座っていた。

「帝国兵の事を考えていたのですね?」
「・・・うん。皆殺しにする必要は無かったんじゃないかって・・・。」

どうやら顔に出ていたらしい。おそらく、オレは婚約者達に隠し事は出来ないと思う。昔から隠し事が下手だったが、異世界の人種以外の種族は勘が鋭い気がしている。

「ルークがやらなければ、私がやっていました。帝国兵がしてきた事は、決して許される行為ではありません。ですから、これ以上悩む必要はありませんよ?」
「ありがとう、カレン。・・・・・で?どうして頭を撫でてるのかな?」
「ルークの優しい所に感動してしまいました。」

婚約者というよりも、やはり姉という方が適切なんじゃないだろうか?赤ん坊の時から知ってるらしいし、これはもう注意してもやめて貰えないだろう。話題を反らす為、オレはずっと気になっていた事を聞く決意をする。

「ねぇ?神々はこの世界を見捨てたっていうけど、それって何時の話?」
「・・・・・今から800年程前です。急にどうしたのですか?」
「カレンが世界を見回ってるのは、その話と関係があるんじゃない?」

微笑んでいたカレンの表情が真剣なものとなる。どうやら図星だったようだ。何も無ければ、見回る必要は無いだろう。

「やはり誤魔化し切れませんでしたね・・・。これから話す事は、私とルーク、2人だけの秘密ですよ?」
「わかった。」
「実はこの世界には、魔族が住んでいます。有事の際、私1人では対処しきれない為、遠く南の大陸に隔離しています。とは言っても、魔族の存在自体は問題無いのですけど。」
「他にも何かがいるって事?」
「はい。自分で言うのも恥ずかしいですが、我々神族が善ならば、悪もまた存在するのです。それが魔神。彼らは魔族を操る事が出来、我々と敵対する存在です。魔人達は無理矢理魔族を従わせ、我々を攻撃させるのです。」

神と戦って何になるんだろうね?のんびりいこうじゃないの。いや、待て。今複数形だったよな?

「彼らって事は、何人もいるって事だよね?」
「はい。神々が多くの犠牲と共に、世界の各地に封印しました。」
「倒せなかったの?」
「犠牲が多過ぎた為、全てを倒す事は出来なかったのです。誰も封印を解いてまで倒そうとは思わなかった為、今も各地で眠ったままとなっています。」

叩き起して返り討ちにあったら目も当てられないよな。放置する気持ちは理解出来る。で、見回るって事は、いつか起きるって事か?

「ルークの予想通り、封印はいずれ解けるでしょう。管理していた神々がいなくなり、封印も完全ではなくなりました。封印の維持には、相応の人数が必要となるのです。」
「・・・だからオレに子作りさせようとしてるの?」
「はい。完全なる神でなくとも、神の子はそれなりの力を持ちます。質が駄目ならば量で攻めるしかありません。」
「いやいや、それは暴論でしょ?それに、カレンの子でも良かったんじゃないの?」
「私は・・・男が嫌いなのです。」

え?突然のカミングアウトにオレの時間が止まる。あぁ、そっち系なのね?まぁ、好みは
人それぞれですから?別に良いんじゃないですかねぇ?いや、なら、何故オレと婚約した!?

「あの・・・勘違いしているようですが、別に女性が好きという訳ではありませんよ?」
「そうなの!?」
「そうですよ!どうにも、私のタイプの異性がおりませんでしたので・・・。聞いて下さい!神と言っても、完璧ではないんです!!」
「お、おぉ。」
「寿命が無いせいなのか、面倒臭がってダラダラして、年々お腹は出るし髪は薄くなるし、おまけに厭らしい目つきと言葉で近寄って来るんです!セクハラですよ、セクハラ!!」

神々にもセクハラってあるんだ?って言うか、完全におっさんじゃねぇか!それは結婚する気もなくなるよね・・・。せめてオレだけは気をつけよう。

「その点ルークは、ルークのお父様に似て素敵です。あの方は女神全員の憧れだったんですよ!?ですから、ルークが堕落しないよう、私が日々チェックしなければならないのです!」

いや、オレのオヤジ化よりも、魔神の封印をチェックしなさいね?とりあえず、気を付ける旨を伝えようと口を開くが、その後自分の発言を後悔する。

「オレも気を付けるけど、絶対にそうならないとは言えないもんなぁ・・・特に髪はねぇ。」
「っ!?確かに、先の事はわかりませんよね・・・。決めました!ルーク!出来る限り早く、貴方の子を産みます!!さぁ、そうと決まれば、今日から早速行動開始です。行きますよ!?」
「え、え、え!?ちょっと!カレン?待っ、きゃぁぁぁぁ!」

ミリス公国からの応援が到着するまでの数日間、オレは体力の続く限り、カレンに襲われ続けましたとさ。くわばらくわばら。・・・違うか?

怖かったぁ!でも、凄かったぁ!!
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