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転生〜統治(仮題)
代表者達との会議
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今日は二の休息日、所謂日曜日である。予備日として空けていた為、何の予定も入っていない。皆でのんびりする予定だったが、スフィアによって覆された。正確に言えば、スフィアのせいではない。何処かの皇帝が、「全ての街や村の代表と貴族を集めて説明会を開いて下さい。」なんて言った為、全員が集まる事の出来た日が今日だったのである。
アルトさんに押しつけようとしていたのだが、アルトさんはミリス領の代行業務で不在。誰だ!そんな指示をした奴は!?・・・全部オレだ。
仕方ないので、自分で説明している。反対多数で会議は紛糾というのがオレの予想だったが、蓋を開けると真逆の展開である。歓迎一色だったのだ。
まず、減税。これは旧帝国が重税を課していたので、他国と同等の税率にした。しかし、一部異なる点がある。帝国領には炭鉱が非常に多い。そこでオレは考えた。『肉体労働者を優遇したら、国が潤うんじゃね?国が生命保険も扱っちゃえば、心配無くね?』と。
浅はかな政策だと思ったのだが、これがかなり好評だったのだ。おもしろいのがその理由だ。
「稼げる労働者の結婚率が飛躍的に上昇した→財産目当て」
「ほとんど家にいないので、奥さんが何をしてもバレない→贅沢するから経済活性化」
誰しも欲望に忠実である。オマケに、お金が回るので国民全員が潤う。オレ、そこまで考えてませんでした。
平民からお役所の職員を募集したのも、性犯罪の厳罰化も予想以上の効果があったらしい。種族差別に関しては、国民は差別意識など持っていなかったようで、特に触れる事も無かった。徐々に移民が増えて来ているそうだ。ナディアがオレの奥さんというのも大きいようだが、会議で取り上げられない以上は、オレから言う事も無い。
まともな貴族に関しては、優遇して上の役職を与えている。やる気のある部下が入って来た為、かなり真剣に取り組んでいるそうだ。充実しているらしく、貴族からの評判も良い。
しかし、全てが順調という訳でも無かった。この国とは切り離された部分が改善されていない。つまり、ギルドである。特に冒険者ギルドが問題で、荒くれ者の冒険者達が今も尚、問題を起こしているらしい。今まで甘い汁を吸ってきた面々には、新しい政策は受け入れられないものだったらしく、国とは切り離された存在であると勘違いをしているとの事だった。この国にいる以上、この国の法に従わなければならないと言うのに・・・。これは後日、オレが直接対応に当たるのだが、プッツンしたオレのせいで、世界中が大騒ぎとなる。
話を戻すと、終始おだてられて会議が終了した為、オレはかなりご機嫌であったのだが・・・会議終了後に地獄へと突き落とされる。街や村の代表者達が、それぞれ自慢の女性達を連れて来ていたのだ。戦争中の寄り道が思い出される。ヤルニの街の領主の娘、その他、各街や村の女性達。当時のオレは若かったのだ。そして、浅はかだったのだ。
女性達が小声で提案してくる。
「皇帝陛下!私を城で働かせて頂けませんか?夜のお勤めもしっかりと果たします!!」
「誰にも言いませんから!」
「時々でも構いませんので、私もお相手させて頂けませんか!?」
ちょっと待て!ここでそんなセリフを言ってはいけない!!オレの嫁さんには獣人がいる。ハンパじゃない程、耳が良いのだ。聞こえないと思っていたら大間違いだ。あ・・・長年種族差別してたから、他の種族の特徴を知らないのか!
「ねぇ、あ・な・た?面白そうな話をしてるのね?どういう事か、皆に説明してくれるかしら?」
「な、ナディアさん!?これは、権力者の宿命なのです!仕方が無いのであるのです!!」
「どっちよ!?・・・もういいから向こうで、座って話し合いましょ?当然あんたは正座ね?」
「・・・・・はい。」
今回は、流石に許して貰えませんでした。但し!戦争中、オマケに結婚前という事で、情状酌量の余地ありという声が聞こえます。安心しながら傍聴していると、長い長い裁判の結果、下された判決は・・・ギルティ!!何故だ!?
裁判長、じゃなくてスフィアから判決内容が告げられる。
「既に城まで押し掛けた方々には、城で働く事を許可しましょう。ルークが誰に手を出そうと自由です。ですが、きちんと責任は取って頂きます。手を出してしまった相手もそうですが、我々妻達にもこれまで以上の誠意を見せて下さい。」
「もちろんであります。粉骨砕身、誠意を尽くす所存です!」
「砕けちゃダメでしょ・・・。」
「ナディアさん、口を挟まないで下さい。下手に突っ込むと、ルークが調子に乗ります。・・・話が逸れましたね。えぇと・・・そうでした。但し、このまま許してしまっては反省を促すとは言い切れません。よって、実刑判決を言い渡します!」
「じ、実刑・・・スフィアさん、一体何でしょうか?」
「カレンの手伝いをして下さい。」
手伝い?そんな事が刑罰になるの?
「私の手伝いとして、転移扉周辺の魔物を討伐して頂きます。」
「・・・魔の森の?」
「いいえ。転移先、つまり私が新大陸と呼んでいる場所です。」
「は?それって、実質死刑ですよね?」
「まさか?最初から油断せず、全力で立ち回れば即死する事はありませんよ?」
ば、馬鹿な!?即死する事は無いって、大怪我はするって事だよね?呆然としていると、ナディアが助けに入ってくれた。
「気になるから、私も付き合ってあげるわよ。あぁ、でも、私への攻撃はルークが出来る限り受けてね?」
「1人で行くより危険だよね!?」
「これ位はしておかないと、お灸を据えた事にはならないでしょう?生きて帰れますから、問題ありませんよ。誠意を見せて頂けるのですよね?」
カレンさん・・・無事に帰れないのなら、問題だらけではありませんか?この後も必死に抵抗したが、嫁さん達を説得する事は出来ず、無理矢理カレンとナディアに連行されるのであった。
自分で撒いた種だけどさ・・・色んな意味で。上手い事言ったつもりだけど、今回は笑えないよ。
アルトさんに押しつけようとしていたのだが、アルトさんはミリス領の代行業務で不在。誰だ!そんな指示をした奴は!?・・・全部オレだ。
仕方ないので、自分で説明している。反対多数で会議は紛糾というのがオレの予想だったが、蓋を開けると真逆の展開である。歓迎一色だったのだ。
まず、減税。これは旧帝国が重税を課していたので、他国と同等の税率にした。しかし、一部異なる点がある。帝国領には炭鉱が非常に多い。そこでオレは考えた。『肉体労働者を優遇したら、国が潤うんじゃね?国が生命保険も扱っちゃえば、心配無くね?』と。
浅はかな政策だと思ったのだが、これがかなり好評だったのだ。おもしろいのがその理由だ。
「稼げる労働者の結婚率が飛躍的に上昇した→財産目当て」
「ほとんど家にいないので、奥さんが何をしてもバレない→贅沢するから経済活性化」
誰しも欲望に忠実である。オマケに、お金が回るので国民全員が潤う。オレ、そこまで考えてませんでした。
平民からお役所の職員を募集したのも、性犯罪の厳罰化も予想以上の効果があったらしい。種族差別に関しては、国民は差別意識など持っていなかったようで、特に触れる事も無かった。徐々に移民が増えて来ているそうだ。ナディアがオレの奥さんというのも大きいようだが、会議で取り上げられない以上は、オレから言う事も無い。
まともな貴族に関しては、優遇して上の役職を与えている。やる気のある部下が入って来た為、かなり真剣に取り組んでいるそうだ。充実しているらしく、貴族からの評判も良い。
しかし、全てが順調という訳でも無かった。この国とは切り離された部分が改善されていない。つまり、ギルドである。特に冒険者ギルドが問題で、荒くれ者の冒険者達が今も尚、問題を起こしているらしい。今まで甘い汁を吸ってきた面々には、新しい政策は受け入れられないものだったらしく、国とは切り離された存在であると勘違いをしているとの事だった。この国にいる以上、この国の法に従わなければならないと言うのに・・・。これは後日、オレが直接対応に当たるのだが、プッツンしたオレのせいで、世界中が大騒ぎとなる。
話を戻すと、終始おだてられて会議が終了した為、オレはかなりご機嫌であったのだが・・・会議終了後に地獄へと突き落とされる。街や村の代表者達が、それぞれ自慢の女性達を連れて来ていたのだ。戦争中の寄り道が思い出される。ヤルニの街の領主の娘、その他、各街や村の女性達。当時のオレは若かったのだ。そして、浅はかだったのだ。
女性達が小声で提案してくる。
「皇帝陛下!私を城で働かせて頂けませんか?夜のお勤めもしっかりと果たします!!」
「誰にも言いませんから!」
「時々でも構いませんので、私もお相手させて頂けませんか!?」
ちょっと待て!ここでそんなセリフを言ってはいけない!!オレの嫁さんには獣人がいる。ハンパじゃない程、耳が良いのだ。聞こえないと思っていたら大間違いだ。あ・・・長年種族差別してたから、他の種族の特徴を知らないのか!
「ねぇ、あ・な・た?面白そうな話をしてるのね?どういう事か、皆に説明してくれるかしら?」
「な、ナディアさん!?これは、権力者の宿命なのです!仕方が無いのであるのです!!」
「どっちよ!?・・・もういいから向こうで、座って話し合いましょ?当然あんたは正座ね?」
「・・・・・はい。」
今回は、流石に許して貰えませんでした。但し!戦争中、オマケに結婚前という事で、情状酌量の余地ありという声が聞こえます。安心しながら傍聴していると、長い長い裁判の結果、下された判決は・・・ギルティ!!何故だ!?
裁判長、じゃなくてスフィアから判決内容が告げられる。
「既に城まで押し掛けた方々には、城で働く事を許可しましょう。ルークが誰に手を出そうと自由です。ですが、きちんと責任は取って頂きます。手を出してしまった相手もそうですが、我々妻達にもこれまで以上の誠意を見せて下さい。」
「もちろんであります。粉骨砕身、誠意を尽くす所存です!」
「砕けちゃダメでしょ・・・。」
「ナディアさん、口を挟まないで下さい。下手に突っ込むと、ルークが調子に乗ります。・・・話が逸れましたね。えぇと・・・そうでした。但し、このまま許してしまっては反省を促すとは言い切れません。よって、実刑判決を言い渡します!」
「じ、実刑・・・スフィアさん、一体何でしょうか?」
「カレンの手伝いをして下さい。」
手伝い?そんな事が刑罰になるの?
「私の手伝いとして、転移扉周辺の魔物を討伐して頂きます。」
「・・・魔の森の?」
「いいえ。転移先、つまり私が新大陸と呼んでいる場所です。」
「は?それって、実質死刑ですよね?」
「まさか?最初から油断せず、全力で立ち回れば即死する事はありませんよ?」
ば、馬鹿な!?即死する事は無いって、大怪我はするって事だよね?呆然としていると、ナディアが助けに入ってくれた。
「気になるから、私も付き合ってあげるわよ。あぁ、でも、私への攻撃はルークが出来る限り受けてね?」
「1人で行くより危険だよね!?」
「これ位はしておかないと、お灸を据えた事にはならないでしょう?生きて帰れますから、問題ありませんよ。誠意を見せて頂けるのですよね?」
カレンさん・・・無事に帰れないのなら、問題だらけではありませんか?この後も必死に抵抗したが、嫁さん達を説得する事は出来ず、無理矢理カレンとナディアに連行されるのであった。
自分で撒いた種だけどさ・・・色んな意味で。上手い事言ったつもりだけど、今回は笑えないよ。
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