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転生〜統治(仮題)
閑話 セラとシェリーの嫁探し4
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出来損ないと呼ばれた少女に近付き、正直私は驚いた。女の私から見ても、超がつく美少女だよ。オマケにスタイルもいい。服装は布切れ1枚だから、余計に目立つ。あの服、何て言うんだっけ?浣腸衣?(注:貫頭衣です)
「すみませ~ん!ちょっとお話を伺ってもいいですか~?」
「えっ!?わ、私ですか!!」
ちょっと離れた所から声を掛けたのに、メチャクチャ動揺された。なんかショック。怪しくないよ!ホントだよ!!もういいや、目の前まで行っちゃえ!
「初めまして!私はフォレスタニア帝国のシェリーと言います。」
「は、はい。私はシルフィと申します。あの・・・帝国?の方が、私にどのようなご用件でしょうか?」
ヤバイ!何、この子!?保護欲を掻き立てるよ。逆に連れて行っちゃダメな気がして来た。ルビア様を敵に回しそう。
「シルフィさんは、ここでどのような暮らしを?」
「え?・・・私は出来損ないですから、皆さんの身の回りのお世話を・・・。」
チラチラと長の様子を伺いながら答えてくれた。つまり、奴隷に近い扱いって事かな?さて、どうしようか。私、交渉とか駆け引きって苦手なんだよなぁ・・・。
「じゃあ、今の暮らしに満足してます?」
「えぇと・・・私のような存在が生きていられるだけでも感謝しています。」
うわぁ。どんな聖女だよって勘違いしちゃいそう。これって、今の扱いが染み付いてるだけだよね。これは私の手に負えないよ。こうなったら、困った時の神・・・は逃げられるから、上司に頼むのが1番だね。
「貴女に会って貰いたい人がいるんですけど、明日は時間あります?」
「それは・・・」
シルフィさんが言い淀みながら、チラチラと長を見やる。あ、そうか。長に言わなきゃいけないんだね。
「ごめんなさい。長には私から話しておくから、大丈夫だったらまた明日来ますね?」
「はい、わかりました。」
という事で、私は長に許可を取って集落を後にした。そのままドラゴニア王都へ引き返し、すぐさまスフィア様に連絡を取る。
「・・・という訳で、私の手に余ると言いますか、交渉を失敗する恐れがありまして・・・。」
「そうですか。素晴らしい判断ですね。となると・・・やはり私が行くべきでしょう。シェリーはカレンさんに詳しい場所を説明しておいて下さい。では明日。」
その後はスフィア様の指示通り、カレン様に場所を説明したものの、カレン様も訪れた事の無い場所だったらしい。これからそこまで向かうとの事だった。カレン様も同じように翔ぶんだろうか?いや、考えるのはやめよう。あの方なら、走った方が早そうだもの。
翌朝、王都から少し離れた場所でお2人と合流し、そのまま昨日の集落近くへ。懸念していた通り、私がスフィア様をおぶって集落まで向かった。・・・やっぱり増えた気がする。何かは言えない。でも、私の膝が、以前よりも笑いを堪えているから間違いないはず。クスクス言ってるよ。
「・・・シェリー?貴女、今失礼な事を考えましたか?」
「え!?し、失礼な事ですか!?何でしょう?馬鹿な私には見当もつきませんね~。」
「・・・後で覚えておいて下さいね。」
ヤバイ!完全にお見通しだよ!!顔は見えないはずなのに。この後、色々と言い訳してみたけど、私がスフィア様を言いくるめる事なんて無理だったよ・・・トホホ。
そんな感じで、私が膝と首にダメージを与えているうちに集落へ到着。逃げるように長の下へ行き、カレン様とスフィア様を紹介してからシルフィさんの所へ全速力。もう話題をすり替える事しか出来ないんだから、必死にもなるよ。
「シルフィさ~ん!」
「貴女は昨日の・・・シェリーさんでしたね?本当にいらっしゃるとは・・・。」
両腕を振りながらシルフィさんの下へ向かうと、予想外といった反応をされた。信じてなかったんだ・・・。
「昨日お話した通り、シルフィさんに会って頂きたい方をお連れしました!」
「え?あ・・・あちらの方達ですか?」
私の後ろから歩み寄る人影に気付き、シルフィさんが訪ねてきた。まぁ、普通は気付くよねぇ。私はお2人の到着を待って、シルフィさんに紹介する。
「こちらがフォレスタニア帝国の王妃、カレン様とスフィア様です。私がどうしても会って頂きたかったのは、こちらのスフィア様ですね。」
「おおお、王妃様ですか!?」
シルフィさんは、驚きのあまり固まってしまった。どうしよう?この展開は予想外だよ。
「・・・シェリー?貴女、どのように自己紹介しました?」
「へ?確か・・・フォレスタニア帝国のシェリーです、って。」
「貴女も王妃ではありませんか!」
「あ・・・てへっ!」
スフィア様に言われて気付いたけど、自分の素性を明かしてなかった。何か、王妃ですって名乗るのむず痒いんだよね~。
「何が『てへっ』ですか!全く!!・・・さて、改めて自己紹介を。私はフォレスタニア帝国から参りました、スフィアと申します。皇帝陛下の意向により、王妃に序列はありませんので単に王妃ですね。」
「同じく王妃のカレンです。シルフィと言いましたか?どうやら秘めた力を解き放てずに成長してしまったようですね。非常に稀なケースですか・・・。」
「「「え?」」」
カレン様の言葉に、全員が首を傾げる。でも、カレン様は説明する気が無いらしい。
「解き放てるのはルークだけです。ですから、ここで私が説明する意味はありません。スフィア、お願いしますね?」
「はぁ。まぁいいでしょう。ではシルフィさん、貴女に提案があります。」
「何でしょうか?」
「フォレスタニア帝国に来るつもりはありませんか?」
「帝国に、ですか?・・・大変有り難いのですが、出来損ないの私には過ぎた申し出だと思います。それに、皆さんのお世話もありますし。」
(黙って聞いてたけど、竜人族の人達には珍しく何て謙虚な人なんだろう。プライドの固まりみたいな種族にも、突然変異っているんだなぁ。いつか飲ませられるように、爪の垢でも貰っておこうかな?あ、これ以上は考えちゃダメだ。絶対に気付かれる。)
「この集落の為を想っての事であれば、受けた方が得ですよ?集落の皆さんには、莫大な謝礼をご用意しておりますから。ちなみにこれが目録です。」
「こ、これは本当ですか!?シルフィ!我々の事を想うのなら、是非帝国へ行ってくれないか!!」
あ、汚い。スフィア様、外堀から攻めちゃったよ。しかも長は簡単に堕ちたし。私じゃ無理な作戦だから、別にいいんだけどね?国のお金を自由に出来るのはスフィア様の特権みたいなものだからさ。でも、あの目録には何が書かれていたんだろう?
「で、ですが・・・」
「そうそう、スフィアさんに条件を提示しておりませんでしたね。下働きではありませんから、安心して下さい。貴女には最終的に、帝国で好きな事をして頂きます。」
「好きな事ですか!?でも、どうしてそのような提案を?それに、私には差し出せる物が・・・。」
「差し出して頂くのは貴女自身です。」
「っ!?出来損ないの、この体をお望みなのですね・・・。」
スフィア様の言葉に、シルフィさんの表情が暗くなった。そうだよねぇ、あんな事を言われたら誰だって同じ反応しちゃうよ。ただ、私にはわかる。あの言葉はワザとだ。狙いまでは理解出来ないけど、一旦最悪を想像させておいて安心させるのが、スフィア様の常套手段だって知ってるもの。どうして知ってるのかって?・・・何度もやられたからだよ。
「貴女自身とは言いましたが、夜伽の相手ではありませんよ?」
「そ、そうですか!」
思った通り、シルフィさんはホッとしたようだね。こうなったらオチたも同然。
「陛下の夜の相手は妻の務めです。妻以外の者に譲るつもりはありません。」
「へ、陛下ですか!?あ、すみません!・・・それで私は一体何を?」
「とりあえずは、陛下に仕えて頂こうかと思います。とは言っても、身の回りのお世話をする必要はありません。単に行動を共にして頂ければ充分です。」
「え?そんな事で良いのですか?」
あちゃ~、予想通りだ。しかも今回の場合は、体を差し出すっていう最高難易度からひっつき虫になるっていう最低難易度への変更。部外者なら冷静に何か裏があるって勘繰るかもしれないけど、当事者はそこまで余裕ないんだよね~。
「とりあえずは、そんな事で構いませんよ。暫く陛下と共に過ごす中で、何かやりたい事が出来たら陛下に許可を頂いて下さい。」
「そんな事がこの集落の為になるのでしたら・・・わかりました。その話、お受け致します。」
こんな感じで、あっさりとシルフィさんの勧誘に成功。その後、シルフィさんが出立の準備と別れの挨拶をしている間に、スフィア様と集落の長が何やら話し合っていた。無事に話も纏まったらしく、私達はシルフィさんを連れて転移して来た場所まで移動。
ちなみにあっさりと交渉が終了したお陰で、私の膝は行きのダメージを蓄えたままだった。帰りのダメージによって、ついに堪え切れなくなったらしい。アハハハ、イヒヒヒって感じで盛大に笑ってるよ。
「・・・シェリー、叱らないので正直に答えなさい。私は・・・そんなに重くなりましたか?」
「それは・・・はい。ロングソード3本分は確実に。」
「だ、誰が具体的に答えるよう言いましたか!!」
「えぇ!?上手く隠しましたよね!?」
「ロングソード1本が約1.5キロだという事は、誰もが知っている事ではありませんか!!」
理不尽だ。体感5キロという具体的な数字は上手く誤魔化したはずなのに。膝が爆笑している状態では逃げる事も出来ない。万事休すかと思いきや、シルフィさんが救いの手を差し伸べてくれた。
「あの、スフィア様・・・兵士や冒険者以外には、ロングソードの重さはわからないと思いますよ?」
「っ!?」
墓穴を掘った事に気付き、スフィア様の顔が真っ赤になった。シルフィさん、素晴らしいツッコミです!そんな珍しい光景に、思わず私は吹き出してしまう。
「ぷぷっ!」
「な!?シェリー!今笑いましたね!?」
「ち、ちがっ!今のは膝です!!膝が笑ったのです!!」
「黙りなさい!大体貴女はいつもいつも、上手い事言ったつもりでしょうが一言余計なのです!!」
スフィア様が真っ赤になったまま、両腕を上げてムキーって感じで向かって来る。このままではされるがままだ。流石に状態異常(膝:爆笑)を抱えたままではポッチャリさんからも逃げ切れないので、慌ててカレン様に助けを求める。
「カ、カレン様!助けて下さい!!」
「はぁ。スフィア、日頃から運動もせずに食べてばかりいるせいですよ?ルークの『もう少し太った方が良い』という言葉に甘えてはいけません。それとも、あれが本心だと信じているのですか?」
「それは・・・。」
やった!スフィア様が叱られてる~!!これはいい。非常に気持ちがいい。いつも私が叱られるばかりだから、スフィア様が叱られると幸せな気分になるね。とほくそ笑んでいたら、矛先がこちらを向いた。
「それから、シェリー。貴女も鍛え方が足りません。スフィアの1人や2人抱えても、100キロ程度余裕で走れるようにならなければなりません。」
「それは・・・。」
カレン様、それは人間技ではありません!そんな事を面と向かって告げる勇気は無いから、私はその言葉を飲み込んだ。教訓、他人の不幸を笑うもんじゃない。
こうして騒がしくも無事に嫁候補を見つけ、カレン様達は帝国へと帰ったのだった。私?私にはだんちょーのお手伝いが待っているんだよ。
「すみませ~ん!ちょっとお話を伺ってもいいですか~?」
「えっ!?わ、私ですか!!」
ちょっと離れた所から声を掛けたのに、メチャクチャ動揺された。なんかショック。怪しくないよ!ホントだよ!!もういいや、目の前まで行っちゃえ!
「初めまして!私はフォレスタニア帝国のシェリーと言います。」
「は、はい。私はシルフィと申します。あの・・・帝国?の方が、私にどのようなご用件でしょうか?」
ヤバイ!何、この子!?保護欲を掻き立てるよ。逆に連れて行っちゃダメな気がして来た。ルビア様を敵に回しそう。
「シルフィさんは、ここでどのような暮らしを?」
「え?・・・私は出来損ないですから、皆さんの身の回りのお世話を・・・。」
チラチラと長の様子を伺いながら答えてくれた。つまり、奴隷に近い扱いって事かな?さて、どうしようか。私、交渉とか駆け引きって苦手なんだよなぁ・・・。
「じゃあ、今の暮らしに満足してます?」
「えぇと・・・私のような存在が生きていられるだけでも感謝しています。」
うわぁ。どんな聖女だよって勘違いしちゃいそう。これって、今の扱いが染み付いてるだけだよね。これは私の手に負えないよ。こうなったら、困った時の神・・・は逃げられるから、上司に頼むのが1番だね。
「貴女に会って貰いたい人がいるんですけど、明日は時間あります?」
「それは・・・」
シルフィさんが言い淀みながら、チラチラと長を見やる。あ、そうか。長に言わなきゃいけないんだね。
「ごめんなさい。長には私から話しておくから、大丈夫だったらまた明日来ますね?」
「はい、わかりました。」
という事で、私は長に許可を取って集落を後にした。そのままドラゴニア王都へ引き返し、すぐさまスフィア様に連絡を取る。
「・・・という訳で、私の手に余ると言いますか、交渉を失敗する恐れがありまして・・・。」
「そうですか。素晴らしい判断ですね。となると・・・やはり私が行くべきでしょう。シェリーはカレンさんに詳しい場所を説明しておいて下さい。では明日。」
その後はスフィア様の指示通り、カレン様に場所を説明したものの、カレン様も訪れた事の無い場所だったらしい。これからそこまで向かうとの事だった。カレン様も同じように翔ぶんだろうか?いや、考えるのはやめよう。あの方なら、走った方が早そうだもの。
翌朝、王都から少し離れた場所でお2人と合流し、そのまま昨日の集落近くへ。懸念していた通り、私がスフィア様をおぶって集落まで向かった。・・・やっぱり増えた気がする。何かは言えない。でも、私の膝が、以前よりも笑いを堪えているから間違いないはず。クスクス言ってるよ。
「・・・シェリー?貴女、今失礼な事を考えましたか?」
「え!?し、失礼な事ですか!?何でしょう?馬鹿な私には見当もつきませんね~。」
「・・・後で覚えておいて下さいね。」
ヤバイ!完全にお見通しだよ!!顔は見えないはずなのに。この後、色々と言い訳してみたけど、私がスフィア様を言いくるめる事なんて無理だったよ・・・トホホ。
そんな感じで、私が膝と首にダメージを与えているうちに集落へ到着。逃げるように長の下へ行き、カレン様とスフィア様を紹介してからシルフィさんの所へ全速力。もう話題をすり替える事しか出来ないんだから、必死にもなるよ。
「シルフィさ~ん!」
「貴女は昨日の・・・シェリーさんでしたね?本当にいらっしゃるとは・・・。」
両腕を振りながらシルフィさんの下へ向かうと、予想外といった反応をされた。信じてなかったんだ・・・。
「昨日お話した通り、シルフィさんに会って頂きたい方をお連れしました!」
「え?あ・・・あちらの方達ですか?」
私の後ろから歩み寄る人影に気付き、シルフィさんが訪ねてきた。まぁ、普通は気付くよねぇ。私はお2人の到着を待って、シルフィさんに紹介する。
「こちらがフォレスタニア帝国の王妃、カレン様とスフィア様です。私がどうしても会って頂きたかったのは、こちらのスフィア様ですね。」
「おおお、王妃様ですか!?」
シルフィさんは、驚きのあまり固まってしまった。どうしよう?この展開は予想外だよ。
「・・・シェリー?貴女、どのように自己紹介しました?」
「へ?確か・・・フォレスタニア帝国のシェリーです、って。」
「貴女も王妃ではありませんか!」
「あ・・・てへっ!」
スフィア様に言われて気付いたけど、自分の素性を明かしてなかった。何か、王妃ですって名乗るのむず痒いんだよね~。
「何が『てへっ』ですか!全く!!・・・さて、改めて自己紹介を。私はフォレスタニア帝国から参りました、スフィアと申します。皇帝陛下の意向により、王妃に序列はありませんので単に王妃ですね。」
「同じく王妃のカレンです。シルフィと言いましたか?どうやら秘めた力を解き放てずに成長してしまったようですね。非常に稀なケースですか・・・。」
「「「え?」」」
カレン様の言葉に、全員が首を傾げる。でも、カレン様は説明する気が無いらしい。
「解き放てるのはルークだけです。ですから、ここで私が説明する意味はありません。スフィア、お願いしますね?」
「はぁ。まぁいいでしょう。ではシルフィさん、貴女に提案があります。」
「何でしょうか?」
「フォレスタニア帝国に来るつもりはありませんか?」
「帝国に、ですか?・・・大変有り難いのですが、出来損ないの私には過ぎた申し出だと思います。それに、皆さんのお世話もありますし。」
(黙って聞いてたけど、竜人族の人達には珍しく何て謙虚な人なんだろう。プライドの固まりみたいな種族にも、突然変異っているんだなぁ。いつか飲ませられるように、爪の垢でも貰っておこうかな?あ、これ以上は考えちゃダメだ。絶対に気付かれる。)
「この集落の為を想っての事であれば、受けた方が得ですよ?集落の皆さんには、莫大な謝礼をご用意しておりますから。ちなみにこれが目録です。」
「こ、これは本当ですか!?シルフィ!我々の事を想うのなら、是非帝国へ行ってくれないか!!」
あ、汚い。スフィア様、外堀から攻めちゃったよ。しかも長は簡単に堕ちたし。私じゃ無理な作戦だから、別にいいんだけどね?国のお金を自由に出来るのはスフィア様の特権みたいなものだからさ。でも、あの目録には何が書かれていたんだろう?
「で、ですが・・・」
「そうそう、スフィアさんに条件を提示しておりませんでしたね。下働きではありませんから、安心して下さい。貴女には最終的に、帝国で好きな事をして頂きます。」
「好きな事ですか!?でも、どうしてそのような提案を?それに、私には差し出せる物が・・・。」
「差し出して頂くのは貴女自身です。」
「っ!?出来損ないの、この体をお望みなのですね・・・。」
スフィア様の言葉に、シルフィさんの表情が暗くなった。そうだよねぇ、あんな事を言われたら誰だって同じ反応しちゃうよ。ただ、私にはわかる。あの言葉はワザとだ。狙いまでは理解出来ないけど、一旦最悪を想像させておいて安心させるのが、スフィア様の常套手段だって知ってるもの。どうして知ってるのかって?・・・何度もやられたからだよ。
「貴女自身とは言いましたが、夜伽の相手ではありませんよ?」
「そ、そうですか!」
思った通り、シルフィさんはホッとしたようだね。こうなったらオチたも同然。
「陛下の夜の相手は妻の務めです。妻以外の者に譲るつもりはありません。」
「へ、陛下ですか!?あ、すみません!・・・それで私は一体何を?」
「とりあえずは、陛下に仕えて頂こうかと思います。とは言っても、身の回りのお世話をする必要はありません。単に行動を共にして頂ければ充分です。」
「え?そんな事で良いのですか?」
あちゃ~、予想通りだ。しかも今回の場合は、体を差し出すっていう最高難易度からひっつき虫になるっていう最低難易度への変更。部外者なら冷静に何か裏があるって勘繰るかもしれないけど、当事者はそこまで余裕ないんだよね~。
「とりあえずは、そんな事で構いませんよ。暫く陛下と共に過ごす中で、何かやりたい事が出来たら陛下に許可を頂いて下さい。」
「そんな事がこの集落の為になるのでしたら・・・わかりました。その話、お受け致します。」
こんな感じで、あっさりとシルフィさんの勧誘に成功。その後、シルフィさんが出立の準備と別れの挨拶をしている間に、スフィア様と集落の長が何やら話し合っていた。無事に話も纏まったらしく、私達はシルフィさんを連れて転移して来た場所まで移動。
ちなみにあっさりと交渉が終了したお陰で、私の膝は行きのダメージを蓄えたままだった。帰りのダメージによって、ついに堪え切れなくなったらしい。アハハハ、イヒヒヒって感じで盛大に笑ってるよ。
「・・・シェリー、叱らないので正直に答えなさい。私は・・・そんなに重くなりましたか?」
「それは・・・はい。ロングソード3本分は確実に。」
「だ、誰が具体的に答えるよう言いましたか!!」
「えぇ!?上手く隠しましたよね!?」
「ロングソード1本が約1.5キロだという事は、誰もが知っている事ではありませんか!!」
理不尽だ。体感5キロという具体的な数字は上手く誤魔化したはずなのに。膝が爆笑している状態では逃げる事も出来ない。万事休すかと思いきや、シルフィさんが救いの手を差し伸べてくれた。
「あの、スフィア様・・・兵士や冒険者以外には、ロングソードの重さはわからないと思いますよ?」
「っ!?」
墓穴を掘った事に気付き、スフィア様の顔が真っ赤になった。シルフィさん、素晴らしいツッコミです!そんな珍しい光景に、思わず私は吹き出してしまう。
「ぷぷっ!」
「な!?シェリー!今笑いましたね!?」
「ち、ちがっ!今のは膝です!!膝が笑ったのです!!」
「黙りなさい!大体貴女はいつもいつも、上手い事言ったつもりでしょうが一言余計なのです!!」
スフィア様が真っ赤になったまま、両腕を上げてムキーって感じで向かって来る。このままではされるがままだ。流石に状態異常(膝:爆笑)を抱えたままではポッチャリさんからも逃げ切れないので、慌ててカレン様に助けを求める。
「カ、カレン様!助けて下さい!!」
「はぁ。スフィア、日頃から運動もせずに食べてばかりいるせいですよ?ルークの『もう少し太った方が良い』という言葉に甘えてはいけません。それとも、あれが本心だと信じているのですか?」
「それは・・・。」
やった!スフィア様が叱られてる~!!これはいい。非常に気持ちがいい。いつも私が叱られるばかりだから、スフィア様が叱られると幸せな気分になるね。とほくそ笑んでいたら、矛先がこちらを向いた。
「それから、シェリー。貴女も鍛え方が足りません。スフィアの1人や2人抱えても、100キロ程度余裕で走れるようにならなければなりません。」
「それは・・・。」
カレン様、それは人間技ではありません!そんな事を面と向かって告げる勇気は無いから、私はその言葉を飲み込んだ。教訓、他人の不幸を笑うもんじゃない。
こうして騒がしくも無事に嫁候補を見つけ、カレン様達は帝国へと帰ったのだった。私?私にはだんちょーのお手伝いが待っているんだよ。
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