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動乱の幕開け
遭遇戦6
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戦闘再開から十数分。カレンが追い詰められている場に、静かに近付く人影があった。
ーーキン!キン!!
「・・・戦闘の音じゃな。」
「えぇ。カレン様とエリドでしょうね。」
金属同士がぶつかり合う音に、ランドルフが反応を示す。当然、危険な森の奥深くで金属音を立てるような人物など他にいないと、エレナが推測を述べた。
「でも変じゃない?」
「ライラの言う通りね。打ち合う音が聞こえるって事は、カレン様と互角に渡り合ってる事になるもの。」
ライラの疑問にサラが同意する。エリドの実力は不明だが、それでもカレンに比肩するとは考えられない。そしてそれは、この場に居合わせた者達の総意でもあった。
「エリドの言っとった切り札、というヤツじゃろ。兎に角、行けばハッキリするわい。」
「・・・この先に進むとカレン様に気付かれる危険性が高いわ。いい?絶対に戦闘には参加しようと思わない事。戦意を示しただけで察知されるから、何が起きても監視を貫くのよ?」
「「「えぇ(あぁ)。」」」
エレナはさっさと行こうとするランドルフに視線を向けつつ、全員に指示を飛ばす。ハッキリ言って、戦闘におけるカレンは化物である。流れ弾に反応しただけでも、自分達の存在に気付くだろう。誰よりも熟知しているエレナの言葉に、全員が頷くのであった。
戦闘における達人であれば、例え僅かな殺気であろうと気付く。しかしカレンの場合は相手が殺気を放っていなくとも、回避や攻撃をしようとした意識にまで反応してしまうのだ。つまり本気で気付かれたくなければ、大人しく流れ弾に当たるしかない。まぁ、当たったら当たったで気付かれるのだが。
理不尽な存在へと静かだが確実に接近を続け、漸くカレンとエリドの姿を捉える事に成功する。だが、各々の目に飛び込んで来たのは信じられないような光景であった。
((((なっ!?))))
辛うじてカレンの猛攻に耐えるエリドを想像していたのだから、全員が揃って驚くのも無理はなかった。まさかエリドの方が優勢だとは、一体誰が予想出来ただろう。誰も声を上げなかった事を褒め称えるべきである。
絶対に声の届かない位置で都合良く倒木を見つけた4人は、急ぎその倒木の陰へと身を潜める。本来であれば分散すべきなのだが、それでは意志の疎通が難しい。だからこそ敢えて集合したのである。
(どうなっておるんじゃ!?)
(わかるはず無いでしょ!)
状況を理解出来ないランドルフが、隣のサラに問い掛ける。しかしサラにもわからなかった。と言うか、誰にも理解出来るはずがない。偶々ランドルフが先に質問しただけであって、ランドルフが声を上げるのを躊躇していれば他の誰かが声を上げただろう。
(エリドって剣士だったんだ・・・)
(どうかしら?剣を使ってはいるけど、あれならライラの方がずっと上よ?それより気になるのはカレン様の動きよ。あれなら私達でもギリギリ勝てるわ。)
エリドの戦闘シーンを初めて目撃したライラの呟きに、エレナが素直に賞賛の声を上げる。しかしそれも束の間、すぐさま違和感を口にする。エレナ自身の知る、戦女神の姿は欠片も見当たらなかったのだから。
ここでネタバラシをすると、エリドの純粋な強さはエレナ達とほぼ互角である。そんな者達が束になってもカレン1人には勝てない。個々の強さの倍というのは、それ程までに圧倒的なのだ。単純な足し算とはならないのである。
これはゲームに例えるとわかり易いだろう。レベル100のボスに、レベル50のパーティが挑んで勝てるだろうか?答えは否である。1人1人が一撃で瀕死となるのだから、まともな戦闘になる事は無い。何処かに何とかなるゲームもあるのかもしれないが、普通では有り得ない。
(・・・ねぇ?どうしてカレン様の後側にダメージを負った形跡があるの?)
(((それは・・・)))
背中の傷は剣士の恥、とは言わないが、それでも正面から切り結んでいるカレンの背や腕の後ろ側のドレスがボロボロになっているのは理解出来ない。しかもドレスは血で真っ赤に染まっているのだから、美しい肌が目立って仕方無かった。
ライラの最もな疑問に、やはり答えられる者はいない。となれば、カレンの後ろへと無意識に注意を払ってしまう。その行動が偶然にも真相へと辿り着かせるのだが。
((((っ!?))))
かなりの距離をとっていた事で、特殊能力の範囲外に居た事が幸いした。転移門がある遺跡の陰に身を潜めていたイリドが移動する姿を捉えたのだ。これにはエリド村の住人と言えど、激しく動揺してしまう。エリドが2人居るのだから、理解が追い付かないのも当然である。
(エ、エリドが2人おるぞ!?)
(夢でも見てるんじゃないわよね!?)
何事にも素直なランドルフさんが真っ先に声を上げるが、今回ばかりはサラも同類であった。そんな2人にライラがごく一般的な解決策を提案する。
(頬を引っ叩いてみればいいのよ!)
(わかったわ!)
(あっ!!)
ーー バチーン!!
「痛ぁ!!」
嫌な予感がした、嫌な予感しかしなかったエレナが止めようとするも間に合わず。自分に任せろとばかりにサラが気合を入れ、どういう訳かランドルフの頬を全力で引っ叩いた。当然誰もが顔を顰めてしまいそうな音と共に、ランドルフの悲鳴が響き渡る。
ここまで言えば後はお察しの通りである。
「「「っ!?」」」
カレンは言わずもがな、エリドやイリドまでもがエレナ達の存在に気が付いたのだ。ツッコミが無いまま、コントが終わったのは残念でならない。
「このタイミングで増援ですか・・・」
「何故エレナ達が此処にいるのです!?」
(おや?増援ではない・・・?)
そろそろ潮時かと思ったカレンの呟きは、驚きを隠せないエリドの言葉によってかき消される。そうであれば、エレナ達の登場は想定外の事態。場合によっては今の状況を好転させるキッカケとなり得る。そう考えたカレンが思考を巡らせる。一先ずは時間を稼ぐべきであろう、と。
「貴女達はどうして此処に?」
「・・・特に理由は無いわ。本当に何となくよ。」
カレンに視線を向けられ、観念したエレナが立ち上がって答える。そんなエレナを見守っていたが、サラとライラも観念して立ち上がる。ランドルフは・・・頬を押さえて蹲っていた。
「それよりも、何でエリドが2人居るのよ!?」
「姉妹らしいですよ?ねぇ、イリド?」
これまた素直なサラは、我慢出来ずに疑問を口にする。それに答えたのはカレンであった。時間を稼ぐ為にも、自らが会話の中心にいる必要があるのだ。
だが、肝心のエリドとイリドはそれどころではない。不測の事態をどうにかしなければならないのだ。そしてこちらもまた、思慮深さで若干劣るイリドがエリドに駆け寄って耳打ちをする。
(完全に予定外だ。どうするんだ?)
(彼女達は戦女神に恩を感じています。ですから、私達が戦女神を殺そうとすれば邪魔をされる可能性が高い。ですから・・・)
(纏めて始末するか!!)
エリド村の住人達にとって、カレンとは命の恩人である。そんな相手を殺そうとする者は、彼女達にとって敵でしかない。そう結論付けたエリドの答えに、イリドは極めて物騒な回答に行き着く。しかもエリドは否定もせず、黙って首を縦に振ったのだ。
期せずしてカレンの目論見通りとなったのだが、これはカレンをさらなる窮地に追いやるのだった。エリドの能力の前に、エレナ達は足手まといでしかない。単独でもピンチだったというのに、護らねばならない者達が現れたのだ。しかも4人も。
これまで何とか繋ぎ止めてきた均衡が、いとも容易く崩れ去る事となる。それはエリドとイリドの言葉によって気付かされる。
「エレナ達の登場は想定外ですが、私の指示に従わなかったのですから・・・戦女神と共に死んで貰うとしましょう。」
「まずは邪魔者から消してやる!」
「「「「「っ!?」」」」」
まさかの展開に、カレンまでもが声を失う。こうもあっさりと仲間を切り捨てるとは、こちらも想定外。すぐにエレナ達の前に移動する。今のエレナ達では、あっさりと殺されてしまうのだから。
そんなカレン達を嘲笑うかのように、イリドの姿が認識出来なくなる。カレンは既に慣れたものだが、エレナ達はそうはいかない。
「「「「消えた!?」」」」
「エリドは力を半減させ、イリドは攻撃を受けるまで認識出来なくなります!皆さんは此処から逃げて下さい!!」
「「「「なっ!?」」」」
姿の見えなくなったイリドに驚く面々に、カレンが簡潔に説明を行う。しかしその説明は驚きを冗長するものであった。その隙をイリドが見逃すはずもない。
「ぐふっ!」
「きゃあ!!」
背後に回り込んだイリドによって、ランドルフとサラが太腿を刺される。すかさずエリドが2人に斬り掛かるが、それはカレンによって止められる。
そして反撃のチャンスとばかりにエレナが魔法を放つ。
「アイスランス!なっ!?」
全力で放ったはずの魔法が半分の大きさだった事に驚いた。エレナは筋力が半減すると思っていたのだ。それが魔法にまで効果を及ぼすのだから、その動揺は大きい。
そして既に駆け出していたライラもまた、エレナの魔法が見慣れたサイズでなかった事に気を取られる。さらには自身の脚力までもが半減していた事で、自分の体ではないような感覚に陥りエリドに攻撃出来ずに踏み留まった。その隙を突かれ、イリドによって腕を貫かれる。
「くっ!」
ーー カラン!
「ライラ!?」
腕を貫かれた痛み、というよりは筋肉が萎縮してしまった事で細剣を取り落としてしまったライラ。未だ攻撃を受けていないエレナが声を掛けるが、立ち止まっては危険だと判断して横へと飛ぶ。
エレナが立っていた場所へと視線を移すと、そのすぐ後ろ側には悔しそうな表情のイリドの姿があった。
(今のは単純に運が良かっただけ。カレン様が追い込まれる訳ね。こんな能力は反則よ!すぐにみんなの治療をして逃げないと!!)
命の恩人であるカレンの為、足手まといの自分達はすぐにこの場を離れるべきという結論を導き出したエレナ。だが簡単に逃げられるとも思えない。どうやって逃げるべきか、こちらもまた必死に思考を巡らすのであった。
ーーキン!キン!!
「・・・戦闘の音じゃな。」
「えぇ。カレン様とエリドでしょうね。」
金属同士がぶつかり合う音に、ランドルフが反応を示す。当然、危険な森の奥深くで金属音を立てるような人物など他にいないと、エレナが推測を述べた。
「でも変じゃない?」
「ライラの言う通りね。打ち合う音が聞こえるって事は、カレン様と互角に渡り合ってる事になるもの。」
ライラの疑問にサラが同意する。エリドの実力は不明だが、それでもカレンに比肩するとは考えられない。そしてそれは、この場に居合わせた者達の総意でもあった。
「エリドの言っとった切り札、というヤツじゃろ。兎に角、行けばハッキリするわい。」
「・・・この先に進むとカレン様に気付かれる危険性が高いわ。いい?絶対に戦闘には参加しようと思わない事。戦意を示しただけで察知されるから、何が起きても監視を貫くのよ?」
「「「えぇ(あぁ)。」」」
エレナはさっさと行こうとするランドルフに視線を向けつつ、全員に指示を飛ばす。ハッキリ言って、戦闘におけるカレンは化物である。流れ弾に反応しただけでも、自分達の存在に気付くだろう。誰よりも熟知しているエレナの言葉に、全員が頷くのであった。
戦闘における達人であれば、例え僅かな殺気であろうと気付く。しかしカレンの場合は相手が殺気を放っていなくとも、回避や攻撃をしようとした意識にまで反応してしまうのだ。つまり本気で気付かれたくなければ、大人しく流れ弾に当たるしかない。まぁ、当たったら当たったで気付かれるのだが。
理不尽な存在へと静かだが確実に接近を続け、漸くカレンとエリドの姿を捉える事に成功する。だが、各々の目に飛び込んで来たのは信じられないような光景であった。
((((なっ!?))))
辛うじてカレンの猛攻に耐えるエリドを想像していたのだから、全員が揃って驚くのも無理はなかった。まさかエリドの方が優勢だとは、一体誰が予想出来ただろう。誰も声を上げなかった事を褒め称えるべきである。
絶対に声の届かない位置で都合良く倒木を見つけた4人は、急ぎその倒木の陰へと身を潜める。本来であれば分散すべきなのだが、それでは意志の疎通が難しい。だからこそ敢えて集合したのである。
(どうなっておるんじゃ!?)
(わかるはず無いでしょ!)
状況を理解出来ないランドルフが、隣のサラに問い掛ける。しかしサラにもわからなかった。と言うか、誰にも理解出来るはずがない。偶々ランドルフが先に質問しただけであって、ランドルフが声を上げるのを躊躇していれば他の誰かが声を上げただろう。
(エリドって剣士だったんだ・・・)
(どうかしら?剣を使ってはいるけど、あれならライラの方がずっと上よ?それより気になるのはカレン様の動きよ。あれなら私達でもギリギリ勝てるわ。)
エリドの戦闘シーンを初めて目撃したライラの呟きに、エレナが素直に賞賛の声を上げる。しかしそれも束の間、すぐさま違和感を口にする。エレナ自身の知る、戦女神の姿は欠片も見当たらなかったのだから。
ここでネタバラシをすると、エリドの純粋な強さはエレナ達とほぼ互角である。そんな者達が束になってもカレン1人には勝てない。個々の強さの倍というのは、それ程までに圧倒的なのだ。単純な足し算とはならないのである。
これはゲームに例えるとわかり易いだろう。レベル100のボスに、レベル50のパーティが挑んで勝てるだろうか?答えは否である。1人1人が一撃で瀕死となるのだから、まともな戦闘になる事は無い。何処かに何とかなるゲームもあるのかもしれないが、普通では有り得ない。
(・・・ねぇ?どうしてカレン様の後側にダメージを負った形跡があるの?)
(((それは・・・)))
背中の傷は剣士の恥、とは言わないが、それでも正面から切り結んでいるカレンの背や腕の後ろ側のドレスがボロボロになっているのは理解出来ない。しかもドレスは血で真っ赤に染まっているのだから、美しい肌が目立って仕方無かった。
ライラの最もな疑問に、やはり答えられる者はいない。となれば、カレンの後ろへと無意識に注意を払ってしまう。その行動が偶然にも真相へと辿り着かせるのだが。
((((っ!?))))
かなりの距離をとっていた事で、特殊能力の範囲外に居た事が幸いした。転移門がある遺跡の陰に身を潜めていたイリドが移動する姿を捉えたのだ。これにはエリド村の住人と言えど、激しく動揺してしまう。エリドが2人居るのだから、理解が追い付かないのも当然である。
(エ、エリドが2人おるぞ!?)
(夢でも見てるんじゃないわよね!?)
何事にも素直なランドルフさんが真っ先に声を上げるが、今回ばかりはサラも同類であった。そんな2人にライラがごく一般的な解決策を提案する。
(頬を引っ叩いてみればいいのよ!)
(わかったわ!)
(あっ!!)
ーー バチーン!!
「痛ぁ!!」
嫌な予感がした、嫌な予感しかしなかったエレナが止めようとするも間に合わず。自分に任せろとばかりにサラが気合を入れ、どういう訳かランドルフの頬を全力で引っ叩いた。当然誰もが顔を顰めてしまいそうな音と共に、ランドルフの悲鳴が響き渡る。
ここまで言えば後はお察しの通りである。
「「「っ!?」」」
カレンは言わずもがな、エリドやイリドまでもがエレナ達の存在に気が付いたのだ。ツッコミが無いまま、コントが終わったのは残念でならない。
「このタイミングで増援ですか・・・」
「何故エレナ達が此処にいるのです!?」
(おや?増援ではない・・・?)
そろそろ潮時かと思ったカレンの呟きは、驚きを隠せないエリドの言葉によってかき消される。そうであれば、エレナ達の登場は想定外の事態。場合によっては今の状況を好転させるキッカケとなり得る。そう考えたカレンが思考を巡らせる。一先ずは時間を稼ぐべきであろう、と。
「貴女達はどうして此処に?」
「・・・特に理由は無いわ。本当に何となくよ。」
カレンに視線を向けられ、観念したエレナが立ち上がって答える。そんなエレナを見守っていたが、サラとライラも観念して立ち上がる。ランドルフは・・・頬を押さえて蹲っていた。
「それよりも、何でエリドが2人居るのよ!?」
「姉妹らしいですよ?ねぇ、イリド?」
これまた素直なサラは、我慢出来ずに疑問を口にする。それに答えたのはカレンであった。時間を稼ぐ為にも、自らが会話の中心にいる必要があるのだ。
だが、肝心のエリドとイリドはそれどころではない。不測の事態をどうにかしなければならないのだ。そしてこちらもまた、思慮深さで若干劣るイリドがエリドに駆け寄って耳打ちをする。
(完全に予定外だ。どうするんだ?)
(彼女達は戦女神に恩を感じています。ですから、私達が戦女神を殺そうとすれば邪魔をされる可能性が高い。ですから・・・)
(纏めて始末するか!!)
エリド村の住人達にとって、カレンとは命の恩人である。そんな相手を殺そうとする者は、彼女達にとって敵でしかない。そう結論付けたエリドの答えに、イリドは極めて物騒な回答に行き着く。しかもエリドは否定もせず、黙って首を縦に振ったのだ。
期せずしてカレンの目論見通りとなったのだが、これはカレンをさらなる窮地に追いやるのだった。エリドの能力の前に、エレナ達は足手まといでしかない。単独でもピンチだったというのに、護らねばならない者達が現れたのだ。しかも4人も。
これまで何とか繋ぎ止めてきた均衡が、いとも容易く崩れ去る事となる。それはエリドとイリドの言葉によって気付かされる。
「エレナ達の登場は想定外ですが、私の指示に従わなかったのですから・・・戦女神と共に死んで貰うとしましょう。」
「まずは邪魔者から消してやる!」
「「「「「っ!?」」」」」
まさかの展開に、カレンまでもが声を失う。こうもあっさりと仲間を切り捨てるとは、こちらも想定外。すぐにエレナ達の前に移動する。今のエレナ達では、あっさりと殺されてしまうのだから。
そんなカレン達を嘲笑うかのように、イリドの姿が認識出来なくなる。カレンは既に慣れたものだが、エレナ達はそうはいかない。
「「「「消えた!?」」」」
「エリドは力を半減させ、イリドは攻撃を受けるまで認識出来なくなります!皆さんは此処から逃げて下さい!!」
「「「「なっ!?」」」」
姿の見えなくなったイリドに驚く面々に、カレンが簡潔に説明を行う。しかしその説明は驚きを冗長するものであった。その隙をイリドが見逃すはずもない。
「ぐふっ!」
「きゃあ!!」
背後に回り込んだイリドによって、ランドルフとサラが太腿を刺される。すかさずエリドが2人に斬り掛かるが、それはカレンによって止められる。
そして反撃のチャンスとばかりにエレナが魔法を放つ。
「アイスランス!なっ!?」
全力で放ったはずの魔法が半分の大きさだった事に驚いた。エレナは筋力が半減すると思っていたのだ。それが魔法にまで効果を及ぼすのだから、その動揺は大きい。
そして既に駆け出していたライラもまた、エレナの魔法が見慣れたサイズでなかった事に気を取られる。さらには自身の脚力までもが半減していた事で、自分の体ではないような感覚に陥りエリドに攻撃出来ずに踏み留まった。その隙を突かれ、イリドによって腕を貫かれる。
「くっ!」
ーー カラン!
「ライラ!?」
腕を貫かれた痛み、というよりは筋肉が萎縮してしまった事で細剣を取り落としてしまったライラ。未だ攻撃を受けていないエレナが声を掛けるが、立ち止まっては危険だと判断して横へと飛ぶ。
エレナが立っていた場所へと視線を移すと、そのすぐ後ろ側には悔しそうな表情のイリドの姿があった。
(今のは単純に運が良かっただけ。カレン様が追い込まれる訳ね。こんな能力は反則よ!すぐにみんなの治療をして逃げないと!!)
命の恩人であるカレンの為、足手まといの自分達はすぐにこの場を離れるべきという結論を導き出したエレナ。だが簡単に逃げられるとも思えない。どうやって逃げるべきか、こちらもまた必死に思考を巡らすのであった。
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