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動乱の幕開け
遭遇戦7
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簡潔な情報と僅かながらの交戦。それだけでエレナは、自分達に迫る命の危機を悟る。戦闘において、力や技が全てではない。最も大事なのは、一瞬一瞬の考察力だろう。どんな攻撃が効果的か、相手の攻撃をどのように避けるか。
作戦を立てる軍師の思考とはまた異なる状況判断。それは一流の冒険者に必須の能力である。エレナはそれにも秀でていたからこそ、最強冒険者となり得たのだ。そんな彼女の決断と行動は早い。
「風の精霊よ、私達とカレン様に防壁を!」
エレナの言葉に、風の精霊が大きめの力を行使する。するとエレナ達とカレン体を中心として、竜巻のように風が包み込んだ。これは防御を目的としての事ではない。イリドの接近を察知する為である。全員がエレナの意図に気付き声を上げる。
「助かったわ!」
「位置さえわかれば!」
「エレナよ、2人と一緒にワシの頬も治療してくれんか?」
ランドルフだけは見当外れな事を呟いた。くっきりと手形のついた頬をさすりながら。彼が一番軽症なのだが、クリーンヒットしたせいでそれなりのダメージを受けていたのだ。エレナは溜息混じりに回復魔法を唱える。
「全く・・・エリアヒール!」
未だ戦闘中という事もあって、回復魔法についての感謝は言わない。先程のように、ピンチを凌いだ場合は別である。まぁ、ランドルフの場合は戦闘に参加していなかった故の、緊張感の欠如とも言えるのだが。
しかしここからは違う。肉体が万全の状態となった事で気を引き締める。彼の右手にはドワーフらしい槌が、左手には小さなハンマーが握られていた。この装備の意味は、エリドとイリドにも理解出来た。彼女達の頭の中には、エリド村の住人達に関する情報が入っている。当然の如く、戦闘スタイルについても大まかには知っているのだ。
「ランドルフの武器破壊ですか・・・厄介ですね。」
エリドがランドルフの左手に握られたハンマーに視線を向けながら呟く。世界最高の鍛冶師であるランドルフ。彼はそのハンマーによって、数々の武器防具を生み出して来た。しかしそのハンマーは作るだけでなく、武器や防具を破壊する事も出来る。当然一撃の下、とまでは行かないが、大抵の武器であれば数発で破壊する事が出来るのだ。
武器破壊という点においては、例えカレンであってもランドルフには及ばない。そして魔法を使えないエリドとイリドにとって、最も警戒すべき相手なのである。
「魔法が使えないなら、当然武器は大切ですよね?」
「魔法が使えない、じゃと?」
カレンの言葉にランドルフが反応を示す。この世界の誰もが妖精族についての噂話を耳にしている。当然ランドルフも、妖精族が魔法に長けた種族というのは知っている。だからこそ、カレンの言葉に耳を疑ったのだ。
「どうやら特殊能力を使っている間は、2人とも魔法を使えないらしいのですよ。」
「「「「っ!?」」」」
「「ちっ!」」
簡潔に説明したカレンの言葉に驚くエレナ達。一方のエリド達は忌々しそうに舌打ちをした。相手が得意な魔法を使えないのであれば、自分達が優位に立てるかもしれない。そう考えたエレナ達であったが、相手も一筋縄ではいかない。エリドは能力を解除する訳にもいかないが、イリドは解除する事を決める。
エレナの精霊魔法によって対策された今、姿を隠すメリットは無いのだ。ちなみに、イリドの能力は精霊魔法でも見破る事が出来ない。だが、イリドが接近すれば風の防壁に異常が現れる。その瞬間、武器を振り回しながらその場を離脱すれば充分回避は可能なのだ。
「おや?姿を隠すのは終わりですか?」
「もう無駄だからな・・・私は魔法を使わせて貰うよ。エリド!」
「わかっています。隙を見て、1人ずつ確実に消して行きましょう。」
カレンの皮肉を受け流し、イリドがエリドに対して叫ぶ。エリドもまた、イリドの狙いが理解出来た事で作戦を口にする。エリドがカレンを抑えている間、イリドがエレナ達の相手をする。隙を見て、エレナ達を1人ずつ始末しようというのである。
個々の実力は同等。それなのに4人も一片に相手するつもりのイリドへ、カレンが訝しげな顔をした。普通であれば不可能である。だが、自信有り気に笑みを浮かべるイリドを前に、嫌な予感が拭えなかったのだ。そして悪い予感とは的中するものである。
「フレイムウォール!アイシクルレイン!!」
イリドが魔法を唱えると、エレナ達を炎の壁が包み込み、頭上からは氷の槍が無数に降り注いだ。完全に逃げ場は無い。それを悟ったエレナが魔力障壁を展開する。
「みんな集まって!!」
エレナの指示に従い、サラ達が駆け寄る。エレナを信頼し、視線はイリドから外さない。魔法が途切れた瞬間を狙って、一気に詰め寄る算段なのだ。しかし、全員が違和感を覚える。イリドの魔法が途切れる気配を見せないのだ。
「ちょっと!何時まで続くのよ!!」
「エレナ、大丈夫!?」
「流石に不味いわ・・・私の方が先に魔力切れになりそう。」
「一か八か、炎の壁を突っ切ってみるか?」
「「無理!!」」
このままではやがて串刺しとなる。そう考えたランドルフが特攻を提案するが、サラとライラが拒絶する。それ程までに炎の勢いは強い。突っ込んだ瞬間に丸焼きとなるのは目に見えている。
エリドと切り結んでいたカレンも、エレナ達の救助を試みるが下手に動けない。エリドに押され気味の今、迂闊な真似は自殺行為なのだ。
「くっ!エレナ!!」
「どうやら纏めて始末出来そうですね?貴女は此処で、目を掛けた者達が死に行く様を見ていればいいのですよ!」
今のカレンには、エレナ達を気遣って声を掛ける事しか出来ない。あまりの不甲斐なさに、唇を噛み締めて祈る事しか出来なかったのだ。女神が一体誰に祈ると言うのか?答えはやはり神だろう。
(ルーク!貴女の母親がピンチですよ!!一体何をしているのですか!!!)
祈りと言うよりも文句だった。別にルークも遊んでいる訳ではないのだが、この場に居ない者の扱いなどこんなものである。
「み、みんな・・・そろそろ限界みたい。」
「「「っ!?」」」
一方のエレナ達であったが、いよいよ死に直面していた。何故ここまで一方的な展開なのかと思うかもしれないが、妖精族とは魔法に関してチートとも言える存在であった。保有する魔力量が全種族で1番多いのだ。その量、エレナの約2倍である。その潤沢な魔力を全て攻撃に用いている。
対するエレナは、自分自身だけでなく他の3人にも障壁を展開しなければならない。ジワジワと炎壁を狭め、氷槍の無駄撃ちを避けての集中攻撃。これにはエレナも手の施しようがなかった。動けば焼かれ、障壁が解ければ蜂の巣となる。最早残された手段は転移魔法しかない。
しかしそのカレンも転移出来ずにいた。転移魔法も万能ではない。自らの肉体が入り込めない空間には転移出来ないのだ。今現在、エレナ達は炎の壁に囲まれ密集した状態である。横は勿論の事、足元にも転移するようなスペースない。頭上からは絶えず氷槍が降り注いでいる為、上空も論外である。正に八方塞がりであった。
「ルーク!!」
手も足も出ない状況下で、カレンが出せるのは口だけであった。他に名案も無い以上、とりあえず旦那の名前を叫んでみたのだが・・・偶然とか奇跡というものは起こるのである。
この場の誰にも見えなければ、感じる事も出来ない。しかしカレンにだけはハッキリと認識出来たのだ。
「っ!?ルークの加護が・・・はぁぁぁぁぁ!!」
繰り返すが、カレンの声が届いた訳ではない。祈りも届いてはいない。純粋なる偶然の産物。本当に偶々このタイミングで、ルークの加護が戻ったのだ。この瞬間、カレンは100以上レベルアップした事になる。
実力の拮抗した、と言うか押され気味だったカレンにとって、100以上という数字は非常に大きい。半減しても50以上は加算されるのだが、それでも形勢をひっくり返すには充分であった。しかしどういう訳か、半減する事も無く加護の力が加算された。これには押せ押せだったエリドもビックリである。
「きゃあ!!」
「はぁ!」
カレンの剣を受け止めたものの、勢いを殺す事も出来ずに吹き飛ばされる。カレンはそんなエリドに見向きもせず、剣を振るって斬撃を飛ばす。狙いは当然イリド。
「なっ!?ぐわぁぁぁ!!」
エレナ達への攻撃に全ての魔力を回していた為、回避する事も出来ずに直撃を受ける。当然イリドも吹き飛んだ。それもエリドとは比較にならない程のスピードで。
これはイリドの力が半減していた事によるものであった。もう少しカレンが待てば、エリドとの距離が離れて能力の範囲外となったかもしれない。そうすれば必殺の一撃となった可能性もあるが、エレナ達にそんな余裕は無かったのでやむを得ないだろう。
「エレナ!」
「カレン様・・・助かりました。」
エレナを心配してカレンが駆け寄ると、崩折れていたエレナが顔を上げながら感謝の言葉を告げる。ホッとしたのも束の間、カレンはエリドとイリドへと視線を向ける。するとイリドに肩を貸しながらカレンを睨み付けるエリドと目が合った。
「よくもイリドを・・・いえ、今日の所は引かせて頂きます。」
「このまま逃がすと思っているのですか!?」
「えぇ。我々を追う事は不可能ですから。イリド!」
「あぁ。・・・戦女神!次こそは必ず殺す!!」
傷だらけで捨て台詞を吐くイリドに、カレンやランドルフ達が身構える。しかし追撃を掛ける事は叶わなかった。
「「「「「なっ!?」」」」」
全員が驚いたのも無理はない。イリドのみならず、エリドの姿も認識出来なくなったのだ。これではカレンであっても攻撃は出来ない。辺り一帯の被害を無視して闇雲に攻撃を行うという方法もあったが、今のカレンにその気は無かった。カレンの疲労もそれだけ大きかったのである。
「ふぅ。まんまと逃げられましたが、今はこちらが先ですね・・・。」
こうして危機を脱したカレン。しかし休む間もなく、今度はエレナ達の対応に追われるのであった。
作戦を立てる軍師の思考とはまた異なる状況判断。それは一流の冒険者に必須の能力である。エレナはそれにも秀でていたからこそ、最強冒険者となり得たのだ。そんな彼女の決断と行動は早い。
「風の精霊よ、私達とカレン様に防壁を!」
エレナの言葉に、風の精霊が大きめの力を行使する。するとエレナ達とカレン体を中心として、竜巻のように風が包み込んだ。これは防御を目的としての事ではない。イリドの接近を察知する為である。全員がエレナの意図に気付き声を上げる。
「助かったわ!」
「位置さえわかれば!」
「エレナよ、2人と一緒にワシの頬も治療してくれんか?」
ランドルフだけは見当外れな事を呟いた。くっきりと手形のついた頬をさすりながら。彼が一番軽症なのだが、クリーンヒットしたせいでそれなりのダメージを受けていたのだ。エレナは溜息混じりに回復魔法を唱える。
「全く・・・エリアヒール!」
未だ戦闘中という事もあって、回復魔法についての感謝は言わない。先程のように、ピンチを凌いだ場合は別である。まぁ、ランドルフの場合は戦闘に参加していなかった故の、緊張感の欠如とも言えるのだが。
しかしここからは違う。肉体が万全の状態となった事で気を引き締める。彼の右手にはドワーフらしい槌が、左手には小さなハンマーが握られていた。この装備の意味は、エリドとイリドにも理解出来た。彼女達の頭の中には、エリド村の住人達に関する情報が入っている。当然の如く、戦闘スタイルについても大まかには知っているのだ。
「ランドルフの武器破壊ですか・・・厄介ですね。」
エリドがランドルフの左手に握られたハンマーに視線を向けながら呟く。世界最高の鍛冶師であるランドルフ。彼はそのハンマーによって、数々の武器防具を生み出して来た。しかしそのハンマーは作るだけでなく、武器や防具を破壊する事も出来る。当然一撃の下、とまでは行かないが、大抵の武器であれば数発で破壊する事が出来るのだ。
武器破壊という点においては、例えカレンであってもランドルフには及ばない。そして魔法を使えないエリドとイリドにとって、最も警戒すべき相手なのである。
「魔法が使えないなら、当然武器は大切ですよね?」
「魔法が使えない、じゃと?」
カレンの言葉にランドルフが反応を示す。この世界の誰もが妖精族についての噂話を耳にしている。当然ランドルフも、妖精族が魔法に長けた種族というのは知っている。だからこそ、カレンの言葉に耳を疑ったのだ。
「どうやら特殊能力を使っている間は、2人とも魔法を使えないらしいのですよ。」
「「「「っ!?」」」」
「「ちっ!」」
簡潔に説明したカレンの言葉に驚くエレナ達。一方のエリド達は忌々しそうに舌打ちをした。相手が得意な魔法を使えないのであれば、自分達が優位に立てるかもしれない。そう考えたエレナ達であったが、相手も一筋縄ではいかない。エリドは能力を解除する訳にもいかないが、イリドは解除する事を決める。
エレナの精霊魔法によって対策された今、姿を隠すメリットは無いのだ。ちなみに、イリドの能力は精霊魔法でも見破る事が出来ない。だが、イリドが接近すれば風の防壁に異常が現れる。その瞬間、武器を振り回しながらその場を離脱すれば充分回避は可能なのだ。
「おや?姿を隠すのは終わりですか?」
「もう無駄だからな・・・私は魔法を使わせて貰うよ。エリド!」
「わかっています。隙を見て、1人ずつ確実に消して行きましょう。」
カレンの皮肉を受け流し、イリドがエリドに対して叫ぶ。エリドもまた、イリドの狙いが理解出来た事で作戦を口にする。エリドがカレンを抑えている間、イリドがエレナ達の相手をする。隙を見て、エレナ達を1人ずつ始末しようというのである。
個々の実力は同等。それなのに4人も一片に相手するつもりのイリドへ、カレンが訝しげな顔をした。普通であれば不可能である。だが、自信有り気に笑みを浮かべるイリドを前に、嫌な予感が拭えなかったのだ。そして悪い予感とは的中するものである。
「フレイムウォール!アイシクルレイン!!」
イリドが魔法を唱えると、エレナ達を炎の壁が包み込み、頭上からは氷の槍が無数に降り注いだ。完全に逃げ場は無い。それを悟ったエレナが魔力障壁を展開する。
「みんな集まって!!」
エレナの指示に従い、サラ達が駆け寄る。エレナを信頼し、視線はイリドから外さない。魔法が途切れた瞬間を狙って、一気に詰め寄る算段なのだ。しかし、全員が違和感を覚える。イリドの魔法が途切れる気配を見せないのだ。
「ちょっと!何時まで続くのよ!!」
「エレナ、大丈夫!?」
「流石に不味いわ・・・私の方が先に魔力切れになりそう。」
「一か八か、炎の壁を突っ切ってみるか?」
「「無理!!」」
このままではやがて串刺しとなる。そう考えたランドルフが特攻を提案するが、サラとライラが拒絶する。それ程までに炎の勢いは強い。突っ込んだ瞬間に丸焼きとなるのは目に見えている。
エリドと切り結んでいたカレンも、エレナ達の救助を試みるが下手に動けない。エリドに押され気味の今、迂闊な真似は自殺行為なのだ。
「くっ!エレナ!!」
「どうやら纏めて始末出来そうですね?貴女は此処で、目を掛けた者達が死に行く様を見ていればいいのですよ!」
今のカレンには、エレナ達を気遣って声を掛ける事しか出来ない。あまりの不甲斐なさに、唇を噛み締めて祈る事しか出来なかったのだ。女神が一体誰に祈ると言うのか?答えはやはり神だろう。
(ルーク!貴女の母親がピンチですよ!!一体何をしているのですか!!!)
祈りと言うよりも文句だった。別にルークも遊んでいる訳ではないのだが、この場に居ない者の扱いなどこんなものである。
「み、みんな・・・そろそろ限界みたい。」
「「「っ!?」」」
一方のエレナ達であったが、いよいよ死に直面していた。何故ここまで一方的な展開なのかと思うかもしれないが、妖精族とは魔法に関してチートとも言える存在であった。保有する魔力量が全種族で1番多いのだ。その量、エレナの約2倍である。その潤沢な魔力を全て攻撃に用いている。
対するエレナは、自分自身だけでなく他の3人にも障壁を展開しなければならない。ジワジワと炎壁を狭め、氷槍の無駄撃ちを避けての集中攻撃。これにはエレナも手の施しようがなかった。動けば焼かれ、障壁が解ければ蜂の巣となる。最早残された手段は転移魔法しかない。
しかしそのカレンも転移出来ずにいた。転移魔法も万能ではない。自らの肉体が入り込めない空間には転移出来ないのだ。今現在、エレナ達は炎の壁に囲まれ密集した状態である。横は勿論の事、足元にも転移するようなスペースない。頭上からは絶えず氷槍が降り注いでいる為、上空も論外である。正に八方塞がりであった。
「ルーク!!」
手も足も出ない状況下で、カレンが出せるのは口だけであった。他に名案も無い以上、とりあえず旦那の名前を叫んでみたのだが・・・偶然とか奇跡というものは起こるのである。
この場の誰にも見えなければ、感じる事も出来ない。しかしカレンにだけはハッキリと認識出来たのだ。
「っ!?ルークの加護が・・・はぁぁぁぁぁ!!」
繰り返すが、カレンの声が届いた訳ではない。祈りも届いてはいない。純粋なる偶然の産物。本当に偶々このタイミングで、ルークの加護が戻ったのだ。この瞬間、カレンは100以上レベルアップした事になる。
実力の拮抗した、と言うか押され気味だったカレンにとって、100以上という数字は非常に大きい。半減しても50以上は加算されるのだが、それでも形勢をひっくり返すには充分であった。しかしどういう訳か、半減する事も無く加護の力が加算された。これには押せ押せだったエリドもビックリである。
「きゃあ!!」
「はぁ!」
カレンの剣を受け止めたものの、勢いを殺す事も出来ずに吹き飛ばされる。カレンはそんなエリドに見向きもせず、剣を振るって斬撃を飛ばす。狙いは当然イリド。
「なっ!?ぐわぁぁぁ!!」
エレナ達への攻撃に全ての魔力を回していた為、回避する事も出来ずに直撃を受ける。当然イリドも吹き飛んだ。それもエリドとは比較にならない程のスピードで。
これはイリドの力が半減していた事によるものであった。もう少しカレンが待てば、エリドとの距離が離れて能力の範囲外となったかもしれない。そうすれば必殺の一撃となった可能性もあるが、エレナ達にそんな余裕は無かったのでやむを得ないだろう。
「エレナ!」
「カレン様・・・助かりました。」
エレナを心配してカレンが駆け寄ると、崩折れていたエレナが顔を上げながら感謝の言葉を告げる。ホッとしたのも束の間、カレンはエリドとイリドへと視線を向ける。するとイリドに肩を貸しながらカレンを睨み付けるエリドと目が合った。
「よくもイリドを・・・いえ、今日の所は引かせて頂きます。」
「このまま逃がすと思っているのですか!?」
「えぇ。我々を追う事は不可能ですから。イリド!」
「あぁ。・・・戦女神!次こそは必ず殺す!!」
傷だらけで捨て台詞を吐くイリドに、カレンやランドルフ達が身構える。しかし追撃を掛ける事は叶わなかった。
「「「「「なっ!?」」」」」
全員が驚いたのも無理はない。イリドのみならず、エリドの姿も認識出来なくなったのだ。これではカレンであっても攻撃は出来ない。辺り一帯の被害を無視して闇雲に攻撃を行うという方法もあったが、今のカレンにその気は無かった。カレンの疲労もそれだけ大きかったのである。
「ふぅ。まんまと逃げられましたが、今はこちらが先ですね・・・。」
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