208 / 258
変革
帝国の決断7
しおりを挟む
翌日からの5日間、オレ達はひたすら話し合いを続けた。取引出来る品物の種類と対価を確認し、何をどれだけ仕入れるかで揉める事となった。素晴らしい嫁達ではあるが、誰しも聖人君子ではない。多少なりとも欲が出るのは当然である。美味しい物が食べたいと思っても無理はない。
結局は必要最低限の種類、特に主食となる小麦、肉や野菜に落ち着いた。当然この世界に存在する物に限られるし、保存の効かない物など論外である。予想外だったのは食料に関して決まった後。何しろ、ありとあらゆる素材の調達が難しいのだ。衣類や木材、金属まで多岐に渡る。
オレが1人でやっていたら、この世界は原始人の集まりになっていただろう。文明は崩壊し、人々は産まれたままの姿で暮らす事になったはずだ。しかし残念だとは思わない。隠されているから興奮するのであって、みんなが丸出しでは3日で飽きる。チラリズム・・・いい言葉である。
話を戻そう。帝国による物資の提供は2年で打ち切る事に決めた。反発が予想されたのだが、各国から不満は出なかった。食料以外の物資が含まれていた事が大きかったらしい。2年あれば、全ての国が地下農場を整備可能と判断したようだ。規模の大小や飼育栽培の成否は知らない。だって内政干渉になるもの。
神域との取引だが、貨幣以外に魔物の素材を用いられるのは助かった。竜王達の協力により、配下の竜から鱗や爪などの素材を分けて貰う事が出来たからである。もし貨幣だけだったら、1年でこの世界から半分の通貨が消失していたとの試算だった。まぁ、それでも10分の1は消えたらしい。金額は怖くて聞いていない。
気になる異世界召喚の被害者だが、此方は暫く様子見となった。女神カナンの動向が知れず、下手に手を出せなかったからだ。尤も、丁重に饗されていそうだと聞かされたのも理由の1つ。急ぎ助け出す必要があれば別だったが、逼迫した状況でもなさそうだったのでシルフィに押し付けた。
お陰で労働の対価を要求される毎日だが、正直働いているようには見えない。毎日城でカレンとお茶を楽しんでいるのだから。カレンまでもがポンコツに見えて来たのは、多分オレの気のせいなんだろう。そもそも、何故オレが対価を支払っているのかが謎である。嫁さんの護衛という意見だが、そうは見えないのだから納得がいかない。
母ヴィクトリアに至っては、フラフラと出掛ける事が多い。最高神が様子を見に来た時など、思わず小言を言ってしまった程だ。返って来たのは「ヴィクトリアには関わるな」との言葉。その時の表情を見て察した。これが家訓なんだと。「アンタの嫁だろ?」という言葉は、口が裂けたら言えない。
それからさらに10日後。穀潰しの駄女神こと、シルフィが声を掛けて来た。
「ルーク、女神カナンの影が無い事を確認出来た。救出に行く。」
「シルフィ・・・仕事してたのか・・・?」
「ムッカー!!」
「ははは・・・は?」
両腕を振り上げて迫り来る美少女に、ハッキリ言って油断した。相手は腐っても神のナンバー2。ポカポカと叩かれる光景を想像しただろ?とんでもない。振り下ろされる右拳が見えなかったよ。左胸に衝撃を受けたと思った瞬間、オレの真横には学園があったもの。ド○ゴ○ボ○ルも真っ青の飛距離さ。
正直死んだと思ったね。でも不思議、この通り生きてる。後で聞いた話、王族の加護には王族同士の攻撃無効化って効果があるらしい。クーデター予防の為らしいけど、遥か昔に何かあったって事だろうな。
ただ問題なのは、直接的な攻撃に限るって事。水平じゃなく下向きに飛んでたら木っ端微塵だっただろうさ。ははは・・・怖っ!!それ以来、シルフィをからかう時は命を賭けてる。やめればいいって?そりゃ無理ってもんさ。考えるより先に口が動くんだから。
まぁ、それはともかく。当然パニックにはなったが、学園が見えなくなった頃には落ち着いて転移した。勿論、戻ってすぐに文句は言ったよ?
「ただいま。・・・殺す気か!?」
「・・・ちっ。」
明らかに舌打ちされたが、そこはグッと堪えてやった。そう言うと大人みたいだけど、正直シルフィのポテンシャルにビビっただけ。加護の事を知らないこの時点では、ツッコミの1発1発が必殺の恐れアリ。必ず殺すって書くんだぜ?命懸けでボケようとは思わない。
「今舌う・・・いや、何でもない。それは置いといて、これから何処に向かうんだ?」
「ラミス神国という所?」
「疑問形なのは仕方ないとして・・・ひょっとして教会?」
「それが、教会は教会のようなのですが、少し予想と違いまして・・・。」
シルフィが疑問形なのは、この世界の地理に疎いから。そしてオレの疑問にスフィアが答えたのは、場所しかわからないシルフィが予め聞いていたからだった。
「ラミス教の教会本部じゃないの?」
「調べた所、どうやらイース教という宗教団体の支部らしいのです。」
「イース教?有名なの?」
「はい、ルーク様。非常に有名です。・・・悪い意味で。」
教会関係者のエミリアに訪ねると、視線を逸しながらも答えてくれた。
国教であるラミス教ではないが、この数年で飛躍的に勢力を拡大している宗教団体らしい。どうも闇ギルドと深い繋がりがあるらしく、裏では悪逆の限りを尽くしているとの噂が絶えないようだ。テンプレと言えばテンプレなのだが、微妙に違うので気になった。
「何処かの国の王城じゃないの?教会なの?それに支部?」
「王道のテンプレを期待してはダメ。それに悪人相手なんだから、充分テンプレ。ストーリー的におっけー。」
「誰に向かって言ってるんだよ・・・。」
明後日の方を向いて説明するシルフィに、思わずツッコんでしまった。
「冗談はさておき、これには理由がある。」
「ほぉ?」
「女神カナンは契約者の排除を恐れている。欲に目が眩んだ悪人ならば御しやすく、支部であれば主犯である契約者の特定が難しい。正にうってつけの組織。」
「いや、それって本部に居る教皇じゃないの?」
組織なんだから、どう考えてもトップの犯行でしょ。と思ったのだが、オレの予想はエミリアによって否定された。
「ルーク様、イース教には教皇がおりません。それどころか、本部は存在しないのです。」
「え?」
「悪人の集まりだからなのか、権力者が一箇所に纏まるのを避けていると言われております。」
「その権力者って?」
「枢機卿と呼ばれる者達です。詳しい人数は不明で、1人の枢機卿が複数の支部を受け持っているところまではわかっているのですが・・・。」
如何にも悪の組織って感じだな。エミリアが答えるって事は、聖女や教皇が調査した結果なんだろう。これ以上の情報を得るには、潜入調査しかないだろうが・・・オレ達には無理だな。嫁さんを危険に晒したくはないし、そもそもウチの嫁さん達じゃ目立ち過ぎる。名札を付けて歩いてるようなもんだから、潜入自体が不可能だ。
「そうか・・・。いや、今回は犯人を探さない方がいいだろうな。」
「「「「「?」」」」」
「女神カナンがそこまで警戒してるなら、契約者の近くに居るはずだ。でもシルフィが言うには、近くにカナンはいないんだろ?なら探すだけ無駄さ。下手に藪を突く意味も無いし、想定外の事態は避けるべきだ。」
「甥っ子は賢い。パパっと掻っ攫うべき。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
叔母様、言い方を考えましょうね?それだとこっちが悪人だから。
「問題は転移出来ないって事だよな。行った事無いし、正確な場所もわからん。正面から乗り込むのは問題外だろ?だったら行くのはシルフィ1人で良くないか?」
「説明や説得はどうするのですか?」
「いやいや、それこそ連れて来てからするべきだろ?敵陣で呑気に会話するのは物語の主人公だけでいいって。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
嫁さん達が残念なものを見るような目を向けて来る。だがオレは吹き飛ばされて理解した。化物と遭遇する可能性がある以上、家で大人しくするべきである。いや、他の場所で息を潜めるべきか。臆病な位が丁度いい。
「最悪、契約者ってのは1人残ればいいんだろ?なら召喚された者は囮なんじゃないか?」
「囮、ですか?」
「あぁ。向こうはオレ達全員で乗り込むとは思ってないだろ?実際無理だし。ならココには誰かしら残る訳だ。」
「捕まる可能性が高いですね・・・。」
「そう。かと言ってシルフィについて行けば足を引っ張る。罠があれば尚更だ。それはヴァニラやカレンをこっちに残しても一緒だな。戦力的には安心かもしれないが、万が一って事もある。ならシルフィが単独で向かって、ここにはヴァニラを残す。残りの全員は安全な場所で待ってればいい。」
問題なのは、何処が安全なのかだ。だがこれは、そこまで神経質になる必要もないだろう。ここ数日、嫁さん達が単独行動しても問題無かった。恐らくこちらの罠を警戒してるんだと思う。
「ルークの言う通りね。あちらが動くのは、向こうの思い通りに行動した時だけよ。」
「「「「「お義母様!」」」」」
フーテンの母さんが帰って来た。どうやって聞いていたのか疑問だが、オレと同意見らしい。
「魔神をどうにかするまでは、あの女神から動く事は無いわ。唯一の例外が、向こうが待ち構えている今回ね。」
「その根拠は?」
「魔神が封印されている場所を訪れた形跡があったからよ。」
「調べて回ってたのか。てっきり遊んでるのかと思ってたよ。」
「あら?遊んでたわよ?そのついでにちょっと確認しただけ。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
そういうのは思っても言わないもんじゃないかな。つまり曲者って事か。
「あの女は慎重よ。確実な時以外は絶対に動かないわ。そして封印は単独では解けない仕組みになってるの。慎重に協力者を探して、尻尾を掴ませないように動くでしょうね。だから契約者が死に損ないでもない限り、本格的に動くのは数年から数十年後になると思うわ。」
「今回を乗り切れば、当面の安全は確保されるって事か。」
「そういう事。こちらは全員無事ならそれでいいし、向こうは契約者が残ればいいのよ。それに異世界召喚の被害者は、私達が守るでしょ?だから無理はしないはずよ。」
「そうか。教会側の契約者を匿うと思ってたけど、契約してる被害者でもいいんだよな。それって、犯人を探し出しても無駄じゃね?」
「「「「「あっ!」」」」」
今更だが、初めから詰んでたらしいな。なら嫁さん達を守り切る事に集中すればいい。そんな訳で作戦決行の日。オレ達はある意味で最も安全な場所を訪れていた。
(どうやら地球の人間達を確保しに来たようね。これは・・・シルフィ様1人だわ。ヴァニラの姿が無いのは、私のルーク様に同動してるからかしら?)
念の為ルークの周辺を確認し、可能ならば嫁の何れかを確保しようと考えたカナン。当然フォレスタニア城へ向かう。
(どうやら罠は無さそうね。これなら案外簡単に・・・いない!?)
「おや?誰かお探しですか?」
「っ!?ヴァニラ!!」
無理して嫁を捕まえる必要が無い以上、自らが見つからない事だけに注意を払っていたカナン。しかし城内の何処を探してもルークどころか嫁1人いない状況に、僅かながら動揺する。これを冷静に警戒し続けたヴァニラが見逃すはずも無く、あっという間に捕捉したのだ。
不意を突いて捕まえればいいと思うかもしれないが、下手に追い詰めるのは危険と判断していた。相手の手札もわからなければ、召喚された者の安否も不明である。シルフィが戻れば確証は得られるのだが、いつ戻るかわからないまま泳がせ続けるのもマズイのだ。
それならば、相手を手玉に取ったと思わせるだけで充分である。だからこそ声を掛け、自分達の方が上手だと思わせるのが最良。余裕がある事を見せつければ、今後の牽制として文句無しだろう。
見つけられた事で追い込まれたカナン。そうなれば残るは逃げの一手。しかし、ただ逃げればいいというものでもない。追い込まれる可能性を考慮した彼女は、必死に考える。その結果、逃走する中で接触してしまおうとしたのだ。
転移による逃走では、逃げる側が圧倒的に有利となる。何故なら追い掛ける側は、相手の逃走経路を視認出来ないからだ。転移した相手の魔力、この場合は神力を捕捉しなければならない。捕捉するまでの時間、どうしても追うのが遅れてしまうのだ。
この事に気付いたカナンには余裕が生まれる。気付いた時には笑みを浮かべたのだが、それもすぐに消える事となる。
(いない!?これだけ移動しているのに、どうして見つからないの!!)
ルークが居そうな場所を選び続けていたカナンだが、肝心のルークどころか嫁の1人も見つける事が出来ない。転移の回数が50を超えた辺りで、彼女の動揺はピークに達する。もう心の中には逃走中という意識が消え、目的が捜索に置き換わっていた。
徐々に転移の間隔が伸び、周囲の確認に費やす時間が伸びる。当然ヴァニラに追い付かれる事となるが、カナンはもうそれどころではない。
「追い付きましたよ!」
「五月蝿い!それより私のルーク様は何処!?」
「私達のルーク様なら知っていますが、貴女のルーク様とは何方です?」
「減らず口を・・・」
「観念するといい。」
「っ!?」
転移回数も100を超え、ヴァニラとの会話で時間を掛け過ぎた。当然シルフィまでもが加わり、カナンは完全に追い込まれる。絶体絶命のこの状況に、カナンが取れる選択肢は1つだけとなった。
「この屈辱は何れ返させて頂きます!」
「・・・逃げられましたね。」
「・・・・・この世界にも地球にもいない。」
普通に転移したのでは堂々巡り。そう判断したカナンは異世界転移を行ったのである。異なる世界間で転移の痕跡を探る事が出来るのはシルフィのみ。だがそれも、時間経過と共に不可能となる。フォレスタニア中を隈なく探り、次いで地球に意識を向ける。だがそこにも痕跡は無く、これ以上の追跡は不可能と判断し断念する事となった。
肝心のルーク達が何故見つからなかったのか。それは彼等が居る場所の特異性にあった。
「そろそろ終わったかしら?」
「どうだろうな?とりあえず2人が来るまではのんびりしようよ。」
「ちょっとティナ!それ私の肉よ!!」
「ふぁふぁふぇふぁあふぃふぁふぇんふぇふぃふぁふぉ?」
「名前なんて書くわけないでしょ!」
「「「「「わかるの!?」」」」」
「ナディアも成長したなぁ・・・」
丹精込めて焼いてた肉を奪われたナディアが文句を言うと、「名前がありませんでしたよ?」と答えたのである。ルークにしかわからないと思われていたのだが、今回はナディアも理解出来たらしい。みんなが驚き、的外れな呟きをするルークであった。
彼等は現在、あるダンジョンで野営を行っていた。初めて訪れた、高難易度のダンジョンである。転移禁止という性質を利用したのだ。カナンは間違いなく転移で逃げると考え、偶然遭遇する確率を排除する為に。
一応過去に訪れたダンジョンでは移動が面倒という事もあり、カレンに聞いて選んでいた。1階から転移の出来ないこのダンジョンは、帰るのも容易である。非常識にも入ってすぐの所で野営を行っているのだから。冒険者が訪れるような状況ではない為、他人の視線を気にする必要もない。
全員で初めて行う野営という事もあり、朝から晩まで賑やかな時を過ごした。この先待ち構える激動の日々に備え、たっぷりと英気を養ったルーク達。数多くの困難が襲い掛かるのだが、笑顔の絶えない彼等ならば難なく乗り越えてくれる事だろう。
~第一部 完~
結局は必要最低限の種類、特に主食となる小麦、肉や野菜に落ち着いた。当然この世界に存在する物に限られるし、保存の効かない物など論外である。予想外だったのは食料に関して決まった後。何しろ、ありとあらゆる素材の調達が難しいのだ。衣類や木材、金属まで多岐に渡る。
オレが1人でやっていたら、この世界は原始人の集まりになっていただろう。文明は崩壊し、人々は産まれたままの姿で暮らす事になったはずだ。しかし残念だとは思わない。隠されているから興奮するのであって、みんなが丸出しでは3日で飽きる。チラリズム・・・いい言葉である。
話を戻そう。帝国による物資の提供は2年で打ち切る事に決めた。反発が予想されたのだが、各国から不満は出なかった。食料以外の物資が含まれていた事が大きかったらしい。2年あれば、全ての国が地下農場を整備可能と判断したようだ。規模の大小や飼育栽培の成否は知らない。だって内政干渉になるもの。
神域との取引だが、貨幣以外に魔物の素材を用いられるのは助かった。竜王達の協力により、配下の竜から鱗や爪などの素材を分けて貰う事が出来たからである。もし貨幣だけだったら、1年でこの世界から半分の通貨が消失していたとの試算だった。まぁ、それでも10分の1は消えたらしい。金額は怖くて聞いていない。
気になる異世界召喚の被害者だが、此方は暫く様子見となった。女神カナンの動向が知れず、下手に手を出せなかったからだ。尤も、丁重に饗されていそうだと聞かされたのも理由の1つ。急ぎ助け出す必要があれば別だったが、逼迫した状況でもなさそうだったのでシルフィに押し付けた。
お陰で労働の対価を要求される毎日だが、正直働いているようには見えない。毎日城でカレンとお茶を楽しんでいるのだから。カレンまでもがポンコツに見えて来たのは、多分オレの気のせいなんだろう。そもそも、何故オレが対価を支払っているのかが謎である。嫁さんの護衛という意見だが、そうは見えないのだから納得がいかない。
母ヴィクトリアに至っては、フラフラと出掛ける事が多い。最高神が様子を見に来た時など、思わず小言を言ってしまった程だ。返って来たのは「ヴィクトリアには関わるな」との言葉。その時の表情を見て察した。これが家訓なんだと。「アンタの嫁だろ?」という言葉は、口が裂けたら言えない。
それからさらに10日後。穀潰しの駄女神こと、シルフィが声を掛けて来た。
「ルーク、女神カナンの影が無い事を確認出来た。救出に行く。」
「シルフィ・・・仕事してたのか・・・?」
「ムッカー!!」
「ははは・・・は?」
両腕を振り上げて迫り来る美少女に、ハッキリ言って油断した。相手は腐っても神のナンバー2。ポカポカと叩かれる光景を想像しただろ?とんでもない。振り下ろされる右拳が見えなかったよ。左胸に衝撃を受けたと思った瞬間、オレの真横には学園があったもの。ド○ゴ○ボ○ルも真っ青の飛距離さ。
正直死んだと思ったね。でも不思議、この通り生きてる。後で聞いた話、王族の加護には王族同士の攻撃無効化って効果があるらしい。クーデター予防の為らしいけど、遥か昔に何かあったって事だろうな。
ただ問題なのは、直接的な攻撃に限るって事。水平じゃなく下向きに飛んでたら木っ端微塵だっただろうさ。ははは・・・怖っ!!それ以来、シルフィをからかう時は命を賭けてる。やめればいいって?そりゃ無理ってもんさ。考えるより先に口が動くんだから。
まぁ、それはともかく。当然パニックにはなったが、学園が見えなくなった頃には落ち着いて転移した。勿論、戻ってすぐに文句は言ったよ?
「ただいま。・・・殺す気か!?」
「・・・ちっ。」
明らかに舌打ちされたが、そこはグッと堪えてやった。そう言うと大人みたいだけど、正直シルフィのポテンシャルにビビっただけ。加護の事を知らないこの時点では、ツッコミの1発1発が必殺の恐れアリ。必ず殺すって書くんだぜ?命懸けでボケようとは思わない。
「今舌う・・・いや、何でもない。それは置いといて、これから何処に向かうんだ?」
「ラミス神国という所?」
「疑問形なのは仕方ないとして・・・ひょっとして教会?」
「それが、教会は教会のようなのですが、少し予想と違いまして・・・。」
シルフィが疑問形なのは、この世界の地理に疎いから。そしてオレの疑問にスフィアが答えたのは、場所しかわからないシルフィが予め聞いていたからだった。
「ラミス教の教会本部じゃないの?」
「調べた所、どうやらイース教という宗教団体の支部らしいのです。」
「イース教?有名なの?」
「はい、ルーク様。非常に有名です。・・・悪い意味で。」
教会関係者のエミリアに訪ねると、視線を逸しながらも答えてくれた。
国教であるラミス教ではないが、この数年で飛躍的に勢力を拡大している宗教団体らしい。どうも闇ギルドと深い繋がりがあるらしく、裏では悪逆の限りを尽くしているとの噂が絶えないようだ。テンプレと言えばテンプレなのだが、微妙に違うので気になった。
「何処かの国の王城じゃないの?教会なの?それに支部?」
「王道のテンプレを期待してはダメ。それに悪人相手なんだから、充分テンプレ。ストーリー的におっけー。」
「誰に向かって言ってるんだよ・・・。」
明後日の方を向いて説明するシルフィに、思わずツッコんでしまった。
「冗談はさておき、これには理由がある。」
「ほぉ?」
「女神カナンは契約者の排除を恐れている。欲に目が眩んだ悪人ならば御しやすく、支部であれば主犯である契約者の特定が難しい。正にうってつけの組織。」
「いや、それって本部に居る教皇じゃないの?」
組織なんだから、どう考えてもトップの犯行でしょ。と思ったのだが、オレの予想はエミリアによって否定された。
「ルーク様、イース教には教皇がおりません。それどころか、本部は存在しないのです。」
「え?」
「悪人の集まりだからなのか、権力者が一箇所に纏まるのを避けていると言われております。」
「その権力者って?」
「枢機卿と呼ばれる者達です。詳しい人数は不明で、1人の枢機卿が複数の支部を受け持っているところまではわかっているのですが・・・。」
如何にも悪の組織って感じだな。エミリアが答えるって事は、聖女や教皇が調査した結果なんだろう。これ以上の情報を得るには、潜入調査しかないだろうが・・・オレ達には無理だな。嫁さんを危険に晒したくはないし、そもそもウチの嫁さん達じゃ目立ち過ぎる。名札を付けて歩いてるようなもんだから、潜入自体が不可能だ。
「そうか・・・。いや、今回は犯人を探さない方がいいだろうな。」
「「「「「?」」」」」
「女神カナンがそこまで警戒してるなら、契約者の近くに居るはずだ。でもシルフィが言うには、近くにカナンはいないんだろ?なら探すだけ無駄さ。下手に藪を突く意味も無いし、想定外の事態は避けるべきだ。」
「甥っ子は賢い。パパっと掻っ攫うべき。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
叔母様、言い方を考えましょうね?それだとこっちが悪人だから。
「問題は転移出来ないって事だよな。行った事無いし、正確な場所もわからん。正面から乗り込むのは問題外だろ?だったら行くのはシルフィ1人で良くないか?」
「説明や説得はどうするのですか?」
「いやいや、それこそ連れて来てからするべきだろ?敵陣で呑気に会話するのは物語の主人公だけでいいって。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
嫁さん達が残念なものを見るような目を向けて来る。だがオレは吹き飛ばされて理解した。化物と遭遇する可能性がある以上、家で大人しくするべきである。いや、他の場所で息を潜めるべきか。臆病な位が丁度いい。
「最悪、契約者ってのは1人残ればいいんだろ?なら召喚された者は囮なんじゃないか?」
「囮、ですか?」
「あぁ。向こうはオレ達全員で乗り込むとは思ってないだろ?実際無理だし。ならココには誰かしら残る訳だ。」
「捕まる可能性が高いですね・・・。」
「そう。かと言ってシルフィについて行けば足を引っ張る。罠があれば尚更だ。それはヴァニラやカレンをこっちに残しても一緒だな。戦力的には安心かもしれないが、万が一って事もある。ならシルフィが単独で向かって、ここにはヴァニラを残す。残りの全員は安全な場所で待ってればいい。」
問題なのは、何処が安全なのかだ。だがこれは、そこまで神経質になる必要もないだろう。ここ数日、嫁さん達が単独行動しても問題無かった。恐らくこちらの罠を警戒してるんだと思う。
「ルークの言う通りね。あちらが動くのは、向こうの思い通りに行動した時だけよ。」
「「「「「お義母様!」」」」」
フーテンの母さんが帰って来た。どうやって聞いていたのか疑問だが、オレと同意見らしい。
「魔神をどうにかするまでは、あの女神から動く事は無いわ。唯一の例外が、向こうが待ち構えている今回ね。」
「その根拠は?」
「魔神が封印されている場所を訪れた形跡があったからよ。」
「調べて回ってたのか。てっきり遊んでるのかと思ってたよ。」
「あら?遊んでたわよ?そのついでにちょっと確認しただけ。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
そういうのは思っても言わないもんじゃないかな。つまり曲者って事か。
「あの女は慎重よ。確実な時以外は絶対に動かないわ。そして封印は単独では解けない仕組みになってるの。慎重に協力者を探して、尻尾を掴ませないように動くでしょうね。だから契約者が死に損ないでもない限り、本格的に動くのは数年から数十年後になると思うわ。」
「今回を乗り切れば、当面の安全は確保されるって事か。」
「そういう事。こちらは全員無事ならそれでいいし、向こうは契約者が残ればいいのよ。それに異世界召喚の被害者は、私達が守るでしょ?だから無理はしないはずよ。」
「そうか。教会側の契約者を匿うと思ってたけど、契約してる被害者でもいいんだよな。それって、犯人を探し出しても無駄じゃね?」
「「「「「あっ!」」」」」
今更だが、初めから詰んでたらしいな。なら嫁さん達を守り切る事に集中すればいい。そんな訳で作戦決行の日。オレ達はある意味で最も安全な場所を訪れていた。
(どうやら地球の人間達を確保しに来たようね。これは・・・シルフィ様1人だわ。ヴァニラの姿が無いのは、私のルーク様に同動してるからかしら?)
念の為ルークの周辺を確認し、可能ならば嫁の何れかを確保しようと考えたカナン。当然フォレスタニア城へ向かう。
(どうやら罠は無さそうね。これなら案外簡単に・・・いない!?)
「おや?誰かお探しですか?」
「っ!?ヴァニラ!!」
無理して嫁を捕まえる必要が無い以上、自らが見つからない事だけに注意を払っていたカナン。しかし城内の何処を探してもルークどころか嫁1人いない状況に、僅かながら動揺する。これを冷静に警戒し続けたヴァニラが見逃すはずも無く、あっという間に捕捉したのだ。
不意を突いて捕まえればいいと思うかもしれないが、下手に追い詰めるのは危険と判断していた。相手の手札もわからなければ、召喚された者の安否も不明である。シルフィが戻れば確証は得られるのだが、いつ戻るかわからないまま泳がせ続けるのもマズイのだ。
それならば、相手を手玉に取ったと思わせるだけで充分である。だからこそ声を掛け、自分達の方が上手だと思わせるのが最良。余裕がある事を見せつければ、今後の牽制として文句無しだろう。
見つけられた事で追い込まれたカナン。そうなれば残るは逃げの一手。しかし、ただ逃げればいいというものでもない。追い込まれる可能性を考慮した彼女は、必死に考える。その結果、逃走する中で接触してしまおうとしたのだ。
転移による逃走では、逃げる側が圧倒的に有利となる。何故なら追い掛ける側は、相手の逃走経路を視認出来ないからだ。転移した相手の魔力、この場合は神力を捕捉しなければならない。捕捉するまでの時間、どうしても追うのが遅れてしまうのだ。
この事に気付いたカナンには余裕が生まれる。気付いた時には笑みを浮かべたのだが、それもすぐに消える事となる。
(いない!?これだけ移動しているのに、どうして見つからないの!!)
ルークが居そうな場所を選び続けていたカナンだが、肝心のルークどころか嫁の1人も見つける事が出来ない。転移の回数が50を超えた辺りで、彼女の動揺はピークに達する。もう心の中には逃走中という意識が消え、目的が捜索に置き換わっていた。
徐々に転移の間隔が伸び、周囲の確認に費やす時間が伸びる。当然ヴァニラに追い付かれる事となるが、カナンはもうそれどころではない。
「追い付きましたよ!」
「五月蝿い!それより私のルーク様は何処!?」
「私達のルーク様なら知っていますが、貴女のルーク様とは何方です?」
「減らず口を・・・」
「観念するといい。」
「っ!?」
転移回数も100を超え、ヴァニラとの会話で時間を掛け過ぎた。当然シルフィまでもが加わり、カナンは完全に追い込まれる。絶体絶命のこの状況に、カナンが取れる選択肢は1つだけとなった。
「この屈辱は何れ返させて頂きます!」
「・・・逃げられましたね。」
「・・・・・この世界にも地球にもいない。」
普通に転移したのでは堂々巡り。そう判断したカナンは異世界転移を行ったのである。異なる世界間で転移の痕跡を探る事が出来るのはシルフィのみ。だがそれも、時間経過と共に不可能となる。フォレスタニア中を隈なく探り、次いで地球に意識を向ける。だがそこにも痕跡は無く、これ以上の追跡は不可能と判断し断念する事となった。
肝心のルーク達が何故見つからなかったのか。それは彼等が居る場所の特異性にあった。
「そろそろ終わったかしら?」
「どうだろうな?とりあえず2人が来るまではのんびりしようよ。」
「ちょっとティナ!それ私の肉よ!!」
「ふぁふぁふぇふぁあふぃふぁふぇんふぇふぃふぁふぉ?」
「名前なんて書くわけないでしょ!」
「「「「「わかるの!?」」」」」
「ナディアも成長したなぁ・・・」
丹精込めて焼いてた肉を奪われたナディアが文句を言うと、「名前がありませんでしたよ?」と答えたのである。ルークにしかわからないと思われていたのだが、今回はナディアも理解出来たらしい。みんなが驚き、的外れな呟きをするルークであった。
彼等は現在、あるダンジョンで野営を行っていた。初めて訪れた、高難易度のダンジョンである。転移禁止という性質を利用したのだ。カナンは間違いなく転移で逃げると考え、偶然遭遇する確率を排除する為に。
一応過去に訪れたダンジョンでは移動が面倒という事もあり、カレンに聞いて選んでいた。1階から転移の出来ないこのダンジョンは、帰るのも容易である。非常識にも入ってすぐの所で野営を行っているのだから。冒険者が訪れるような状況ではない為、他人の視線を気にする必要もない。
全員で初めて行う野営という事もあり、朝から晩まで賑やかな時を過ごした。この先待ち構える激動の日々に備え、たっぷりと英気を養ったルーク達。数多くの困難が襲い掛かるのだが、笑顔の絶えない彼等ならば難なく乗り越えてくれる事だろう。
~第一部 完~
0
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方
tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。
しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。
追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが?
どうなる俺の田舎でのスローライフ???
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる