上 下
48 / 126

 第48話:夢じゃなかった

しおりを挟む


 愛那の目がゆっくりと開かれる。
「・・・・・・」
 ぼーっとしながら小さく呟く。
「やっぱり夢・・・・・・」
 寝る前と同じ天井。
「・・・・・・・・・・・・じゃ、なかった」
 大きなベッドの中で寝返りを打つ。
(そうかぁ。夢じゃなかったんだ・・・・・・)
『マナ』
 ライツの笑顔と愛那の名を呼ぶその声。
 思い出して頬が熱くなる。
(私に都合のいい、夢じゃなかったんだ・・・・・・)

 昨日、あれから愛那は、ライツと、ハリアス、モラン、ナチェルも一緒に夕食を食べた。
 やはりというか、お箸じゃなかった。
 ナイフ、フォーク、スプーンを使うコース料理だった。
 とても美味しかったけれど、もしかしてこれから先、お米や味噌汁、味付けのりにお新香に納豆、卵かけご飯! 他にも、当たり前に食べていたものが食べられなくなるのかと思うと、愛那はすごく切なくなった。
 この世界の食について、いろいろ知りたい・・・・・・。
 だが、昨夜それよりも愛那に衝撃を与えたことがあった。
(この世界には、おトイレがない!?)
 食べたものは全て体の中でエネルギー変換されるらしい。
 確かに愛那はこの世界に来てトイレに行きたいと思わなかった。
 お風呂もない。
 この世界の人間は当たり前に浄化魔法が使える。
 そういった生活する上で必要な魔力は誰しもが持っているらしい。
 魔法使いと呼ばれるのは、特別な魔法が使えるくらい大きな魔力を持つ者のことだそうだ。
 魔力。
 愛那は自分の中にそれを感じることが出来る。
(お母さん。愛那は異世界に来て、違う生物になってしまったようです)


しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

今日から幼馴染は僕の部屋で暮らすことになる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:18

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,390pt お気に入り:90

異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》アルファ版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:584

運命の番を見つけることがわかっている婚約者に尽くした結果

恋愛 / 完結 24h.ポイント:8,960pt お気に入り:257

処理中です...