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2人の軌跡〈7〉
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年明けの初詣。剛に誘われて近くの神社へと向かう。顔を合わせるのは大会の時以来だ。積もる話で盛り上がった後、俺はさり気なく訊いてみる事にした。勿論、現場を目撃した事は伏せたままだ。
『剛、三島って分かるよな?』
『ああ、知ってる。その三島が何だ?』
『実は、お前に気があるんじゃないか?という噂が…』
『はぁ?何だ?お前、急にどうした?』
『え?だから、噂だよ!噂!何処で誰が言ったか知らないが、そんな話を聞いたような…?』
『はあ?どんな話を何処の誰がしたって?』
『いや、だから、お前に訊いてるんじゃないか。単なる噂か?又は、俺の聞き間違いか…?』
『聞き間違いだろ。大体、そんな話があるわけねぇ』
『そ、そうか…?』
『三島って、三島 由紀夫だろ?俺は由紀夫ファンじゃねぇよ』
『はあ?!なんで由紀夫なんだよ?!三島って言ったら三島 華菜に決まってるだろ!』
『え~?何だよ?それならそうと早く言えよ。三島と言えば由紀夫だと思うだろ?』
『思わねぇだろ!』
『あれ?もしかして、三島 由紀夫を知らねぇのか?』
『知ってる!それは小説家だ!』
『はい、良く出来ました!』
『おう!…って、違うだろ?!』
『何がだよ?』
『いや、だから…三島 華菜だよ』
『それは、女か?』
『当たり前だ!』
『よし、分かった。弘人はその女が好きなんだな?』
『いや、違う!俺じゃねぇ!お前だ!』
『俺が何だ?俺はそんな女は知らねぇ』
『はあ?!知らねぇ訳あるかよ!南中の女子部員だぞ。背が高くてスラッとした感じで、髪は短めで、足も速いほうで…、顔は…美人系というか…』
『ふ~ん、弘人はそういうのが好みか?』
『だから、違うって!俺の話じゃなくて、お前の話だ!』
『俺の…?だから、誰だそれ?』
『お前、マジで知らねぇのか?!』
『う~ん。背が高くて髪が短い…。悪いな、俺には女の身長差は見分けがつかねぇ。それに、陸上部の女子は髪も短いだろ?同じ学校なら分かるけど…他は無理だな』
『う…、そうか』
『その子がどうした?』
『いや、別に何でもない』
思わずボロが出そうになり慌てて口を閉ざす。カマをかけて真相を探るつもりが、逆に挙げ足を取られそうになった。剛はトボケているように見えて本当に分からないようでもある。その本心を見抜くのは難しい。しかも、俺のやり方も姑息だ。有りもしない噂のせいにして親友の隠し事を暴こうとしているのだ。
《やっぱり、俺の考え過ぎか?何も無かったって事か?う~ん、どうなんだろう?剛が俺に隠し事をしてるのか?》
深く考えていた訳ではないが、やはり気にかかる。親友の色恋沙汰に興味を示さない奴など居ないだろう。詳しく知りたい反面、堂々と訊けない後ろめたさもある。小さく唸って悩む俺は自然と黙り込む。
『心配するな。ちゃんと断った』
『え…?な、何だよ?お前、ワザとかよ?!』
『違う。今、思い出した』
『え?それで?断ったって…やっぱり告白されたのか?!』
『いや、映画に誘われたけど興味ない映画だったな』
『え、映画…?何の…?』
『名前は知らないけど有名なハリウッドスターが居るだろ?誰だ?後、女が好きそうな映画の題名って何だ?王子様みたいな救世主か何かが出て来るやつがあるだろ?あれは恋愛映画か?俺は映画に詳しくないから知らねぇけど、弘人は知ってるか?』
『え?は?な、何…?』
剛の話は説明というよりも質問攻めに近い。しかも、内容が曖昧で意味不明ときている。思わず呆気にとられて話の趣旨を見失いそうになる。
『アクションとかパニックホラーとかスプラッタとか、ド派手なやつなら観ても面白いけどな。なんか良く分からない映画を慣れない相手と2人で観るんだぜ?しかも、無言で2時間も座ってろって…拷問じゃねぇか?』
『え?ご、拷問…?慣れない相手って…三島が?だって、お前…あれは…っ!?』
口にしかけた言葉を咄嗟に飲み込む。剛の話術に翻弄されて敢え無く暴露しそうになった。
《ウ、ウソだろ~?あの三島だぞ!お前、頭ポンポンやってただろ~!慣れない相手にやる事かよ!?》
あの時の光景が目に浮かぶ。思い出しても恥ずかしくなるようなワンシーンだった。
『いやいや、あの三島だぞ!裏では結構人気があるんだぞ!』
『何だよ?ヤキモチかよ?』
『バ、バカ、違うよ!何で俺がヤキモチ妬くんだよ?!俺は関係ない!周りの奴等が言ってるだけだ』
変な横槍を入れられて全力で否定する。ややムキになってしまうのは勘違いされたくないからだ。
三島の存在が全く気にならないとは言えないが、特別な期待を抱いた事は無い。それと同時に、他人の巣は突ついても、自分の巢を突つかれるというのは何故か恥ずかしいものだ。
『ふ~ん。それで、何て映画だ?』
『はあ?!俺が知るかよ!誘われたのはお前だろ?!』
『だから断ったって言ってるだろ?そんなにヤキモチ妬くなって』
『だから、ヤキモチじゃねぇよ!』
『ハハハ、分かった、分かった。心配するな。三島とは何も無い』
剛が面白そうに笑って俺の髪の毛をグシャグシャと掻き回す。
『だから、心配してねぇ!やめろ~!頭を掻き回すな~!』
『ガハハハ~、面白れぇ~!弘人の髪の毛大爆発~!』
『うわ~!やめろ~バカ~!』
結局、剛によって何もかも引っ掻き回されてしまう。
『はい、おしまい!』
いつもの悪ふざけとばかりに散々に楽しんだ後、機嫌を直せとばかりに俺の頭をポンポンと叩く剛はケロリとしている。適当に誤魔化されて子供扱いされた気分だ。
『フン!何だよ!』
ヘソを曲げてプイッと顔を背ける俺も子供だ。もう、何が何やら訳が分からなくなる。
『フフッ…。本当に何も無い。だから、心配するな』
『別に、心配してない』
『そうか。それなら問題無し』
『……でも、三島が可哀想じゃねぇか?』
『何で?』
『だって、お前…』
『弘人は、俺が三島と映画に行った方が良かったのか?』
『いや、そういう事じゃなくて…、拷問って言い方はないだろ?』
『それは、例えばの話だ。でもな、女と2人で映画に行ってどうするんだ?その先は?』
『え…?その先…?』
『そう、その先に何がある?』
『そんなの…行ってみないと分かんねぇだろ?』
『俺には…分かる。三島とは何も無い』
『何で?』
『弘人は三島が好きか?』
『いや、俺は別にそういうんじゃねぇよ。同級生の中では一番良いと思うけど…、本当にそれだけだからな!でも、実際に三島を好きな奴は多いぞ』
『それなら余計に、俺は関わらない方が良いだろ?三島を好きな奴等に悪いだろ?』
『う~ん、そうなると…三島の気持ちはどうなるんだよ?』
『それを言うなら、三島にも悪いだろ?その気が無いのに一緒に行ってどうする?』
『え?やっぱり、お前…告白されたのか?!』
『いや、それは無い。でも、誘われた意味は何となく分かる。だから断った』
『え?ど、どうやって…?』
『まぁ、そこは上手くやってるから心配するな』
『な、なんかすげぇな…?!』
剛の言葉に思わず唸る。俺から見れば三島の誘いを断る理由が見当たらない。一言で言えば「勿体ない」だ。何故なら、三島を誘う方が困難に思えるからだ。
『剛、三島って分かるよな?』
『ああ、知ってる。その三島が何だ?』
『実は、お前に気があるんじゃないか?という噂が…』
『はぁ?何だ?お前、急にどうした?』
『え?だから、噂だよ!噂!何処で誰が言ったか知らないが、そんな話を聞いたような…?』
『はあ?どんな話を何処の誰がしたって?』
『いや、だから、お前に訊いてるんじゃないか。単なる噂か?又は、俺の聞き間違いか…?』
『聞き間違いだろ。大体、そんな話があるわけねぇ』
『そ、そうか…?』
『三島って、三島 由紀夫だろ?俺は由紀夫ファンじゃねぇよ』
『はあ?!なんで由紀夫なんだよ?!三島って言ったら三島 華菜に決まってるだろ!』
『え~?何だよ?それならそうと早く言えよ。三島と言えば由紀夫だと思うだろ?』
『思わねぇだろ!』
『あれ?もしかして、三島 由紀夫を知らねぇのか?』
『知ってる!それは小説家だ!』
『はい、良く出来ました!』
『おう!…って、違うだろ?!』
『何がだよ?』
『いや、だから…三島 華菜だよ』
『それは、女か?』
『当たり前だ!』
『よし、分かった。弘人はその女が好きなんだな?』
『いや、違う!俺じゃねぇ!お前だ!』
『俺が何だ?俺はそんな女は知らねぇ』
『はあ?!知らねぇ訳あるかよ!南中の女子部員だぞ。背が高くてスラッとした感じで、髪は短めで、足も速いほうで…、顔は…美人系というか…』
『ふ~ん、弘人はそういうのが好みか?』
『だから、違うって!俺の話じゃなくて、お前の話だ!』
『俺の…?だから、誰だそれ?』
『お前、マジで知らねぇのか?!』
『う~ん。背が高くて髪が短い…。悪いな、俺には女の身長差は見分けがつかねぇ。それに、陸上部の女子は髪も短いだろ?同じ学校なら分かるけど…他は無理だな』
『う…、そうか』
『その子がどうした?』
『いや、別に何でもない』
思わずボロが出そうになり慌てて口を閉ざす。カマをかけて真相を探るつもりが、逆に挙げ足を取られそうになった。剛はトボケているように見えて本当に分からないようでもある。その本心を見抜くのは難しい。しかも、俺のやり方も姑息だ。有りもしない噂のせいにして親友の隠し事を暴こうとしているのだ。
《やっぱり、俺の考え過ぎか?何も無かったって事か?う~ん、どうなんだろう?剛が俺に隠し事をしてるのか?》
深く考えていた訳ではないが、やはり気にかかる。親友の色恋沙汰に興味を示さない奴など居ないだろう。詳しく知りたい反面、堂々と訊けない後ろめたさもある。小さく唸って悩む俺は自然と黙り込む。
『心配するな。ちゃんと断った』
『え…?な、何だよ?お前、ワザとかよ?!』
『違う。今、思い出した』
『え?それで?断ったって…やっぱり告白されたのか?!』
『いや、映画に誘われたけど興味ない映画だったな』
『え、映画…?何の…?』
『名前は知らないけど有名なハリウッドスターが居るだろ?誰だ?後、女が好きそうな映画の題名って何だ?王子様みたいな救世主か何かが出て来るやつがあるだろ?あれは恋愛映画か?俺は映画に詳しくないから知らねぇけど、弘人は知ってるか?』
『え?は?な、何…?』
剛の話は説明というよりも質問攻めに近い。しかも、内容が曖昧で意味不明ときている。思わず呆気にとられて話の趣旨を見失いそうになる。
『アクションとかパニックホラーとかスプラッタとか、ド派手なやつなら観ても面白いけどな。なんか良く分からない映画を慣れない相手と2人で観るんだぜ?しかも、無言で2時間も座ってろって…拷問じゃねぇか?』
『え?ご、拷問…?慣れない相手って…三島が?だって、お前…あれは…っ!?』
口にしかけた言葉を咄嗟に飲み込む。剛の話術に翻弄されて敢え無く暴露しそうになった。
《ウ、ウソだろ~?あの三島だぞ!お前、頭ポンポンやってただろ~!慣れない相手にやる事かよ!?》
あの時の光景が目に浮かぶ。思い出しても恥ずかしくなるようなワンシーンだった。
『いやいや、あの三島だぞ!裏では結構人気があるんだぞ!』
『何だよ?ヤキモチかよ?』
『バ、バカ、違うよ!何で俺がヤキモチ妬くんだよ?!俺は関係ない!周りの奴等が言ってるだけだ』
変な横槍を入れられて全力で否定する。ややムキになってしまうのは勘違いされたくないからだ。
三島の存在が全く気にならないとは言えないが、特別な期待を抱いた事は無い。それと同時に、他人の巣は突ついても、自分の巢を突つかれるというのは何故か恥ずかしいものだ。
『ふ~ん。それで、何て映画だ?』
『はあ?!俺が知るかよ!誘われたのはお前だろ?!』
『だから断ったって言ってるだろ?そんなにヤキモチ妬くなって』
『だから、ヤキモチじゃねぇよ!』
『ハハハ、分かった、分かった。心配するな。三島とは何も無い』
剛が面白そうに笑って俺の髪の毛をグシャグシャと掻き回す。
『だから、心配してねぇ!やめろ~!頭を掻き回すな~!』
『ガハハハ~、面白れぇ~!弘人の髪の毛大爆発~!』
『うわ~!やめろ~バカ~!』
結局、剛によって何もかも引っ掻き回されてしまう。
『はい、おしまい!』
いつもの悪ふざけとばかりに散々に楽しんだ後、機嫌を直せとばかりに俺の頭をポンポンと叩く剛はケロリとしている。適当に誤魔化されて子供扱いされた気分だ。
『フン!何だよ!』
ヘソを曲げてプイッと顔を背ける俺も子供だ。もう、何が何やら訳が分からなくなる。
『フフッ…。本当に何も無い。だから、心配するな』
『別に、心配してない』
『そうか。それなら問題無し』
『……でも、三島が可哀想じゃねぇか?』
『何で?』
『だって、お前…』
『弘人は、俺が三島と映画に行った方が良かったのか?』
『いや、そういう事じゃなくて…、拷問って言い方はないだろ?』
『それは、例えばの話だ。でもな、女と2人で映画に行ってどうするんだ?その先は?』
『え…?その先…?』
『そう、その先に何がある?』
『そんなの…行ってみないと分かんねぇだろ?』
『俺には…分かる。三島とは何も無い』
『何で?』
『弘人は三島が好きか?』
『いや、俺は別にそういうんじゃねぇよ。同級生の中では一番良いと思うけど…、本当にそれだけだからな!でも、実際に三島を好きな奴は多いぞ』
『それなら余計に、俺は関わらない方が良いだろ?三島を好きな奴等に悪いだろ?』
『う~ん、そうなると…三島の気持ちはどうなるんだよ?』
『それを言うなら、三島にも悪いだろ?その気が無いのに一緒に行ってどうする?』
『え?やっぱり、お前…告白されたのか?!』
『いや、それは無い。でも、誘われた意味は何となく分かる。だから断った』
『え?ど、どうやって…?』
『まぁ、そこは上手くやってるから心配するな』
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