《急募》ヴィランから身を守る方法!!

亡羊ちろり

文字の大きさ
9 / 11
初めての任務、そして邂逅

真実の重さ

しおりを挟む
いつもは軽薄さが潜んだ色素の薄い瞳はどこまでも真摯で。その視線に射抜かれた俺はたじろぎ慌てて手を引っ込める。
「あ、ありがとう。それにしても、よく要望通りにできたな」
「あぁ、あのなるべく痕跡を残さないようにってやつですか?」
ランディーは立ち上がるとやれやれ、と首を振った。
「水中の相手は電撃で倒すのが手っ取り早いんですが、他の生き物にも被害が出る可能性もありますし、全体を凍らせたり温度を上げたりするのは環境改変に繋がりますし…。けっこうめんどうな注文ではありましたね」
おかげで少し手間がかかりました、と言うランディーに俺は申し訳なさで体を縮める。
「ごめんって。でも公にするのは煩わしいし、それなら初めから何事もなかったようにしたいと思ってさ」
「確かに星遺物が絡んでくると事態は複雑化しますからね…。その点は俺も同意です」
それじゃあ、俺は念のため状態を確認してきますね。駆け出したランディーを見送りつつ俺は考えを巡らせた。
ランディーは戦闘が得意って設定だったから期待はしてたけど、思ったより有能だな。これなら次にお願いしてある仕事も安心して任せられそうだ。懸念点は「アシュリー」ではない俺にどれほど尽くしてくれるのか、だけど…。向こうもまだこたえは決めかねているだろうし、慎重に行動しないと。
戻ってきたランディーに曖昧に笑い返すと一緒に飛竜のいるところへ戻る。行きと違って後ろを歩くランディーはどうやら足跡などの痕跡を消しているようだ。証拠隠滅の手際が異様に良い。公爵家の専属執事は諜報員のような仕事をこなすこともあるというが、そんなハイスペックな人物が屋敷に何人もいると考えると恐ろしいな。
できるだけ彼らは怒らせないようにしよう、と決意した俺は逃げ出しもせずに良い子で待っていた飛竜たちに餌を与え再びランディーと共に移動を開始した。お昼も近いのでいったん街に戻ってご飯を食べながらこれからの作戦の確認をする予定だ。
「そういえば湖の噂についてはどう対処いたしましょうか?」
「放っておけばいい。どうせあの周辺はマナ濃度も高いからまたしばらくすれば強いやつが生まれるはずだ。人の手が入ってあの環境が壊されるのは嫌だしな」
ランディーはわかりました、と頷くと意味ありげな笑みを浮かべてこちらを振り返った。
「なんだよ」
「いえ、なんか自然を尊重する精霊士らしい意見だなと思いまして」
「そう、かもしれないな」
確かに今の俺の考え方は都市の郊外で暮らしていた前世と比べると多少変わったかもしれない。人工的な場所で暮らすのは便利だが、自然が己の戦力に影響する精霊士としての意識がそれだけでは駄目だと叫んでいる。そういった意識が芽生え始めたのは千鳥と契約した後あたりからだろうか。変化を感じるのは少し怖いが、この世界に馴染むことをどこかで望んでいる自分もいる。それをランディーに指摘されるとは思わなかったが。

シュテンベルクの街に戻った俺たちは市長の屋敷で簡単な昼食を用意してもらい部屋で食べることにした。俺は配膳するから、と頑なに同席を拒むランディーを無理やり座らせて、温かい食事を堪能する。街に入ってきた時外の定食屋から美味しそうな匂いが漂ってきて思わず入りそうになったんだが、防音仕様の個室はなかなかないだろうから泣く泣く諦めた。行列できてたお店、滞在中に行けないかな。
「そういえばあんた、食事作法はどこで身につけたんだ?」
諦めの境地で向かいに座り食事をするランディーがふと問いかけてくる。
「普通に親から教わった。何か変なところがあったら教えてくれ」
「いや、完璧だ。上流階級の育ちなのか?」
ランディーの質問に俺は俯く。
「少し裕福なだけの、普通の家庭だった。ただ離婚した俺の父親が金持ちで、定期的に会って食事をしていたから自然とマナーを覚えたんだ」
正直あまり良い思い出ではない。人間的に好きにはなれなかった父親との間に設けられた義務的な食事の場はいつも変に緊張して、高級で美味しいはずの料理も楽しむ余裕がなかった。年に何度かあるそのイベントが嫌で、その近くになるといつも胃が痛んだんだよな。
「そうか…」
ランディーは俺の気持ちを汲み取ったのか少し黙って、ぽつりと吐き出した。
「本当は、一昨日の朝食会も少し試してあんたがぼろが出しそうになったらフォローに入ろうかと思っていたんだ。でもあんたは異世界からきたって言う割に兄弟の名前も性格も把握していたし、ステラについて俺より詳しいところもあった。なぁ、あんたが言う『原作』っていったい何なんだ?」
いつかはくると思っていた質問。きっと「かながい」、つまりこれからの未来もしくは二度と戻せない過去について話したらランディーは少なからずショックを受けるだろう。でも、それを俺に聞いてくれたということは俺のことを少し信頼するようになったということだと思いたい。どのみちこれから行動していく上で俺の持ってる情報をランディーたちには共有する必要があったし、俺も腹を括るか。
「混乱すると思うが、どうか俺を信じて聞いてほしい」
俺はひとつひとつ慎重に言葉を選びながら「かながい」について語り始めた。元の世界では人気の小説であったこと、主人公のこと、アシュリーのこと、他にも物語で交わる様々な人生や物語の結末について俺は思い出せる限りのことを頭の中で整理しながら口を動かす。
中には既に一度聞いた内容もあったと思うが、ランディーは終始真面目な顔で傾聴の姿勢を崩さず聞いてくれた。
そして約2時間後。ようやく全てを話し終えた俺は乾ききった喉を水で潤した。そっとランディーの様子伺うと、彼は哲学者のようなポーズで考え込んでいる。受け止め切れないことも多いだろうから、今は理解し納得するまでの時間が必要なのだろう。俺は千鳥と戯れ合いながら気長に待つことにした。前世では魚以外の生き物を飼えなかったから、こうして動物と触れ合うの、夢だったんだよなぁ。
それから時計の秒針が5回ほど回った頃、ランディーは顔を上げた。
「あんたはその小説を読み終わった時、どう感じたんだ?」
意外な質問に俺は意表を突かれたような気持ちで答える。
「そりゃあ、理不尽だったな。それに、やるせなかった」
「やるせない?」
「だって、出てくる人みんな不幸になるんだぞ。死んだ人も、遺された人もみんなが、だ。俺ら一介の読者にできることは何もなくて、ただ作者に定められた運命に嬲られる登場人物たちの痛みや苦しみを想像しながらその行く末を見届けるだけだった」
読了感を思い出して語る俺を見て、ランディーはどこか物憂げな表情で聞いた。
「じゃあ、なんで最後まで読んだんだ?悲劇ものの作品で人気なのは古典くらいで、娯楽で楽しまれるような物語はハッピーエンドが多いだろ。あんたの世界のことはよくわからないが、他にも読みやすい作品はあったんじゃないか?」
確かにそうだ。実際「かながい」はあまりにひどいと炎上したこともあったし、途中で推しの喪に服したり読むのをやめる人も多かった。でも何故それでもファンがそのコンテンツにしがみついていたかと考えると、やはり、あれだろうな。
「挿絵が綺麗だったとかプロットの構成が秀逸だったとかはあるけど、それよりも圧倒的に、キャラが魅力的だったからだ」
目を見張るランディーに説明を続ける。
「『かながい』の登場人物はみんな世界観も全然違うのに何故か実際に存在するようなリアリティがあるんだ。泥臭く足掻いたり葛藤したりするキャラがどうしても他人事には思えなくて、感情移入して情緒が掻き乱されてしまうほど、君たちは鮮烈な存在だった」
ランディーはしばらく俺の言葉を咀嚼するように間を置くと、そうか、とだけ言った。
てっきりアシュリーや主人公、ランディーたち自身のことについて詳しく聞かれると思ったんだが、それについてはいいのだろうか。ま、焦らずランディーの気持ちの整理を待とう。

まだ春が始まる前、シュテンベルク地方は陽が落ちるのが早く夕方には暗くなってしまうため、人々は夜はあまり活動をしない。エリカも暗くなる前に帰ってきて、市長が用意させた夕飯を一緒に食べることになった。推しと食事とか、緊張してくる。この間の朝食会は含めない。あれは食事というより会議だから。
公爵家よりもだいぶ穏やかな雰囲気で始まった食事は寒い土地の郷土料理らしく前菜では塩漬けや酢漬けが多く、メインにはコンフィが出てきた。俺たちという客人をもてなしながらも贅沢すぎないメニューは市長のセンスを感じさせる。市長の家に滞在するのはちょっとした調査の意味も含めているのだが、どうやらこの市長は今の地位についてから長いだけあってそこらへんはきちんと把握しているらしい。
「今日やりたいことはできたか?」
品よく肉を切り分けながらエリカが聞いてくる。
「えぇ、成果はありました」
「それはよかった」
「お姉様の方も問題ありませんでしたか?」
「あぁ、大事はなかった。引き続き調査は必要そうだが、結果が出るまでは時間がかかるから明日は一日アシュリーに付き合えるだろう」
「ありがとうございます」
普通に交わされる会話に市長は若干驚いた様子を見せつつもにこやかに微笑む。
「必要なことがございましたらいつでもお声掛けくださいね。できる限りお力添えできるよう尽力いたしますので」
ギスギスしていない俺たちの関係性を読み取ったのか市長も時々会話に加わりながら食事会は無事終わった。
「美味しかったー」
満腹って幸せだ。ベッドに倒れ込む俺を、ランディーはやはり呆れたように見た。
「あんた、北方料理が好きなのか?」
「うん。美味しく保存しようっていう発想と努力が感じられて好きだ」
前世では北欧料理が好きだったし。また似たようなものを食べることができて大満足である。
「アシュリー様は、果実や甘いものが好きだったな」
「それは俺も好きだぞ。大丈夫、俺好き嫌いほとんどないから」
食育の賜物だ!と胸を張る俺をランディーは何とも言えない複雑そうな顔で見ると「お風呂の準備に行ってくる」と言い残して風呂場に向かってしまった。
この世界では魔法や錬金術で作った魔導具によってインフラ系が比較的整っているためお風呂は広く普及している。公爵領は帝国の北側に位置し夏は涼しく冬は寒いためお風呂温まる習慣があるのだ。南の方では汗を流すために入るらしいが。
支度が終わったとのことでウキウキで浴室に入る俺の後に当然のようにランディーもついてこようとして、慌ててひとりで入れる!と閉め出した。転生したばっかの頃は監視の意味もこめてお世話してたんだろうけど、こちとら根は庶民なんで湯浴みを手伝われるのは気まずいんだよ!
「五年前から欠かさずアシュリー様の入浴は手伝っていたのに…」
なんかしょげてるランディーは放っておいて、俺は烏の行水のごとくマッハで頭と体を洗い広い浴槽にドボンと浸かる。
「あ~。極楽、極楽」
この気持ちよさに日々の怨念が浄化されていくようだ。入室を許可した千鳥は桶に水を貯めた桶で水浴びした後はお湯のかからない位置に避難していた。どうやらあまりお風呂は得意じゃないらしい。
お風呂を出て着替えて部屋に戻ると大きな魔導具、前世で言うところのドライヤーを手にして待ち構えているランディーがいた。ここは譲りたくないみたいだ。
しぶしぶされるがままに髪の毛を乾かしてもらう。ランディーは器用で美容師さん並みに上手いし、なんか高級そうなヘアオイルとか使ってるし。
「よし、できた」
最後に軽く櫛を通されて鏡を見るといつものアシュリーのビジュが出来上がっていた。睫毛なっが!肌しっろ!美人は3日で飽きると言うが毎回その造形の美しさに新鮮に驚くのは俺だけなのだろうか。
ランディーもアシュリーのビジュには一家言あるみたいだし、最終的にはいい感じに仕上がっているので支度はいつも丸投げだ。
明日の予定を確認した後、俺は明日もまた朝早いためベッドに向かう。横たわったら俺はおやすみ3秒で寝つくのでランディーが近づいてきた時にはもう意識が消えかかっていた。
ランディーは俺の髪をそっと摘むとそっと顔を近づけた。なにしてんだよ、と言おうとするも呂律が上手く回らない。ランディーは布団をそっとかけ直すとおやすみなさい、と呟いてそっと俺から離れる。パタン、と扉が閉まる音を聞いたのを最後に、俺の意識は闇へ落ちていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様は身バレに気づかない!

みわ
BL
異世界ファンタジーBL 「神様、身バレしてますよ?」 ――暇を持て余した神様、現在お忍び異世界生活中。 貴族の令息として“普通”に暮らしているつもりのようですが、 その振る舞い、力、言動、すべてが神様クオリティ。 ……気づかれていないと思っているのは、本人だけ。 けれど誰も問いただせません。 もし“正体がバレた”と気づかれたら―― 神様は天へ帰ってしまうかもしれないから。 だから今日も皆、知らないふりを続けます。 そんな神様に、突然舞い込む婚約話。 お相手は、聡明で誠実……なのにシオンにだけは甘すぎる第一王子!? 「溺愛王子×お忍び(になってない)神様」 正体バレバレの異世界転生コメディ、ここに開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

処理中です...