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第16話:「お姉様、代わってあげてもいいわよ?」
アエテルナの最下層にある特設の独房は、一般的な牢獄とは異なっていた。
壁一面に魔力を遮断する「沈黙の石」が埋め込まれ、外の喧騒を一切遮断する静寂が支配している。
私は、ギルバート様の制止を振り切り、一人でセシリアの元を訪れた。
それが、かつて姉妹と呼ばれた私たちに残された、最後の情けだと思ったからだ。
「……あら、お姉様。わざわざ見物に来たの?」
鉄格子の向こう側で、セシリアは床に直座りしていた。
ドレスは汚れ、自慢の金髪は乱れている。
けれど、その瞳に宿る|傲慢な光だけは、少しも衰えていなかった。
「セシリア。……もう、やめて。貴女の身体は、もう限界なのよ。……今なら、私が陛下にお願いして、治療を受けさせることも……」
「治療?笑わせないでよ。……ねえ、お姉様。今の貴女、自分が幸せだと思っているんでしょ?」
セシリアが、歪な笑みを浮かべて立ち上がった。
彼女は格子に指をかけ、蛇のような執念深い視線で私を射抜く。
「でも、それって全部『聖女の力』があるからじゃない。……あの恐ろしい皇帝だって、貴女が便利だから側に置いているだけよ。……飽きられたら、また捨てられる。……あの日みたいに、泥の中に放り出されるのよ」
「……陛下は、そんな人じゃないわ」
「いいえ、男なんてみんなそうよ!……ねえ、お姉様。提案があるの。……その『聖女』の座、代わってあげてもいいわよ?」
セシリアは、本気でそう思っているようだった。
彼女は格子の隙間から、醜く斑点の浮き出た手を伸ばそうとする。
「お姉様には、この薄暗い部屋がお似合いなのよ。……私の美貌と、お姉様の地位を入れ替えれば、全てが上手くいくわ。……私が皇帝の妃になってあげれば、お姉様は自由になれる。……これって、最高の姉妹の本性……あ、いや、助け合いでしょ?」
私は、言葉を失った。
目の前の妹は、自分が犯した罪も、今の絶望的な状況も、何一つ理解していない。
ただ、奪い、取って代わることだけを考えている。
(……ああ。この子は、救えないんだわ)
私が静かに絶望し、踵を返そうとしたその時だった。
『――そこまでだ、不浄の|偽物め』
冷徹な声が、独房のスピーカーから響き渡った。
それは、通信魔法を通じてこの会話を聞いていた、カイル団長の声だった。
バァンッ!と、独房のエリアの重厚な扉が蹴り開けられる。
そこには、全身から怒りの炎を噴き出させんばかりの、神聖十二騎士たちの姿があった。
「カイル様、皆さんも……」
「エルナ様、お下がりください。……これ以上、この塵の言葉を貴女の耳に入れるわけにはいかない」
カイル様の瞳は、もはや人間に対するものではなかった。
彼はセシリアを、汚物か何かのように見下し、吐き捨てた。
「エルナ様の慈悲を仇で返し、あろうことか『代わる』だと?……貴様、自分が吐いた言葉の重さを、その身を焼いて知るがいい」
「な、なによ!私は王女よ!聖女なのよ!」
「聖女かどうかは、明日、民衆の前で証明してもらう。……エルナ様への不敬、そして|神託に対する冒涜。……その全ての罪を、衆人環視の中で資格試験にかけてやる」
カイル様の合図と共に、騎士たちがセシリアを格子の外へと引きずり出した。
「放して!お姉様、助けてよ!」と叫ぶセシリアの声を、誰も聞き入れない。
私は、彼らの背中を追って、艦の上層へと戻った。
そこには、既に戦闘服に身を包んだギルバート様が待っていた。
「エルナ様。……決まりました。明日、我が帝国は聖教国との国境にある大広場に着艦します」
ギルバート様が、私の肩を抱き寄せ、優しく囁く。
けれど、その声の裏には、凍てつくような殺意が潜んでいた。
「そこで、全大陸に中継しましょう。……真の聖女は誰か。……そして、貴女を虐げた者たちが、いかに醜く滅びゆくかを。……それが、俺たちからの|神罰です」
私が不安げに俯くと、ふわりと背中が熱くなった。
驚いて振り返ると、私の背中から、今まで以上に鮮明な、白銀に輝く二枚の光の羽が具現化していた。
その羽から溢れ出した神聖な光が、独房エリアにいた他の囚人――暗殺者たちをも包み込む。
彼らは、その圧倒的な慈悲の光に触れた瞬間、持っていた凶器を捨て、その場に跪き、涙を流して懺悔し始めた。
「……おお……。あの方は、本当に……」
「我らは、なんと恐ろしい方を、殺そうとしていたのだ……」
彼らの心が、力ではなく「光」によって屈服していく。
それは、どんな武力よりも恐ろしく、そして美しい光景だった。
「エルナ様。貴女の羽は、もう隠しきれないほど輝いています」
ギルバート様が、その光の羽にそっと触れようとして、畏れ多くも手を止めた。
彼は、至福の表情で私を見つめる。
「明日、世界は知ることになる。……誰が真の主であり、誰が救われるべきかを」
アエテルナは、その巨大な船体を傾け、降下を開始した。
聖教国の民衆が集まる、国境の広場へ。
偽りの聖女セシリアと、真の女神エルナ。
その残酷なまでの対比が、全世界の目前で晒されようとしていた。
壁一面に魔力を遮断する「沈黙の石」が埋め込まれ、外の喧騒を一切遮断する静寂が支配している。
私は、ギルバート様の制止を振り切り、一人でセシリアの元を訪れた。
それが、かつて姉妹と呼ばれた私たちに残された、最後の情けだと思ったからだ。
「……あら、お姉様。わざわざ見物に来たの?」
鉄格子の向こう側で、セシリアは床に直座りしていた。
ドレスは汚れ、自慢の金髪は乱れている。
けれど、その瞳に宿る|傲慢な光だけは、少しも衰えていなかった。
「セシリア。……もう、やめて。貴女の身体は、もう限界なのよ。……今なら、私が陛下にお願いして、治療を受けさせることも……」
「治療?笑わせないでよ。……ねえ、お姉様。今の貴女、自分が幸せだと思っているんでしょ?」
セシリアが、歪な笑みを浮かべて立ち上がった。
彼女は格子に指をかけ、蛇のような執念深い視線で私を射抜く。
「でも、それって全部『聖女の力』があるからじゃない。……あの恐ろしい皇帝だって、貴女が便利だから側に置いているだけよ。……飽きられたら、また捨てられる。……あの日みたいに、泥の中に放り出されるのよ」
「……陛下は、そんな人じゃないわ」
「いいえ、男なんてみんなそうよ!……ねえ、お姉様。提案があるの。……その『聖女』の座、代わってあげてもいいわよ?」
セシリアは、本気でそう思っているようだった。
彼女は格子の隙間から、醜く斑点の浮き出た手を伸ばそうとする。
「お姉様には、この薄暗い部屋がお似合いなのよ。……私の美貌と、お姉様の地位を入れ替えれば、全てが上手くいくわ。……私が皇帝の妃になってあげれば、お姉様は自由になれる。……これって、最高の姉妹の本性……あ、いや、助け合いでしょ?」
私は、言葉を失った。
目の前の妹は、自分が犯した罪も、今の絶望的な状況も、何一つ理解していない。
ただ、奪い、取って代わることだけを考えている。
(……ああ。この子は、救えないんだわ)
私が静かに絶望し、踵を返そうとしたその時だった。
『――そこまでだ、不浄の|偽物め』
冷徹な声が、独房のスピーカーから響き渡った。
それは、通信魔法を通じてこの会話を聞いていた、カイル団長の声だった。
バァンッ!と、独房のエリアの重厚な扉が蹴り開けられる。
そこには、全身から怒りの炎を噴き出させんばかりの、神聖十二騎士たちの姿があった。
「カイル様、皆さんも……」
「エルナ様、お下がりください。……これ以上、この塵の言葉を貴女の耳に入れるわけにはいかない」
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彼はセシリアを、汚物か何かのように見下し、吐き捨てた。
「エルナ様の慈悲を仇で返し、あろうことか『代わる』だと?……貴様、自分が吐いた言葉の重さを、その身を焼いて知るがいい」
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「……おお……。あの方は、本当に……」
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彼らの心が、力ではなく「光」によって屈服していく。
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ギルバート様が、その光の羽にそっと触れようとして、畏れ多くも手を止めた。
彼は、至福の表情で私を見つめる。
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アエテルナは、その巨大な船体を傾け、降下を開始した。
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