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一章【アラフォー生まれ変わる】
1話 選択式とかはじめて
しおりを挟む意識が浮上すると真っ先に目に入ったのはドタイプなおじ様。
「♫~♪~♪♪~♫!!!??!?(何このイケメン!!てかここどこー!!!??!?)」
叫んでいるはずが何処からか聴こえる美しい旋律。
周囲を見渡して見えるは木、滝、木、滝、湖。
「なんと愛らしいお嬢様でしょう。さぁ、育ての親を選んでくださいませ」
「、、、、、♫?????(え?????)」
やっぱり言葉が発せない、、、。
というより情報量多すぎる!!!
「まずは、自己紹介をさせていただきますね」
目の前にいるおじ様は優しく微笑むと、自己紹介をはじめる。
「♬~♫~♪♩~(ちょっと待って!?)」
やっぱり話すと美しい旋律が聞こえてくる。
「♪~♬~!?(喋れないー!?)」
なんとか状況を把握しようとあたりを見渡すが、どうやっても目に入るのは木、滝、湖、おじ様。
「僭越ながら私から全て、ご説明させていただきます」
その言葉と共におじ様が指を鳴らすと、どこからともなくテーブルと椅子、全身鏡と色んな色と形の羊皮紙が現れる。
「♫~♬♪~♩~!(魔法なんてあるんだ!)」
フワフワと椅子の方向に自分が動いていくのがわかる。
魔法って便利、、、。
なんとなく感覚で自分の体が赤ちゃんサイズだとわかり、椅子を見るとしっかり赤ちゃん用にクッションが敷き詰められていた。
「まず、私の名前ですが、アルカ・カーツェ、魔人族の王家に席を置く者です」
フワフワと漂っている一枚の羊皮紙が近づいてくる。
「そして、貴方様のお名前は、夕木礼華様でお間違い無いでしょうか?」
羊皮紙には礼華の名前、生年月日、第306宇宙地球出身、そして生い立ちが書かれている。
「♬?~♪♪~♩~♫~、、(306?生い立ちは全部合ってる、、)」
羊皮紙の内容が合っているか確認して、またおじ様を見る。
「ご確認ありがとうございます。では、なぜこの場にいるのかを次はご説明させていただきます」
おじ様が軽く頭を下げると、新しい羊皮紙が近づいてくる。
「生い立ちのご確認の際、死因、という項目があったかとございますが、その通り39歳にて病気で死亡。その後こちらにお呼びしている状態です」
そうね、、私は丁度40歳の誕生日目前でステージⅣのガンによって死んだのよ、、。
最後に見た病院の天井を思い出して礼華は少し悲しくなる。
その気持ちが伝わったのかおじ様は少し困ったように微笑んでいる。
、、、困った顔もかっこよ、、、。
申し訳ないという気持ちよりも、目の前のおじ様、アルカのかっこよさにノックアウトされる。
ちなみにアルカは気付いていない。
「簡単に言うと転生、という形でこちらの世界で生きていただきたいのです」
近くに来ていた羊皮紙が礼華の目の前までさらに近づいてくる。
そこには主神よりと書かれたメッセージが浮かび上がってくる。
【夕木礼華さん
はじめまして。
ここからは僕から説明させてもらうね。
僕はこの世界第1095宇宙の主神をしているリットゥカルト。
亡くなってすぐに呼んだのには訳があって、この世界に定着しやすく、元の世界で輪廻転生の輪から外れやすい魂が必要だったから。
そして、こちらの世界に来てもらう時に得られるのは、英雄として覚醒する条件なの。
条件といっても、ここで先導者と引き合わせてお互いが合意すればいいだけなんだけど。
だけど、今回少し異常が起きちゃって、、、。
本来は元の世界の姿のまま、年だけ12歳に戻って英雄として覚醒するんだけど、君の場合始祖精霊として覚醒することになったみたい。
あ!でも心配しないで!
悪いことではなくて、むしろ凄いことなんだから!
始祖精霊っていうのは、簡単に言えば精霊族の王様、まとめ役だと思ってもらえたらいいから。
そしてそこにいるアルカ・カーツェくんが君の先導者。
まぁ、この世界のことを伝える、君の世界で言うナビゲーターだと思ってね。
そうだ、英雄としての覚醒したあとのことだけど、僕から勝手にエネルギーがこの世界に補填される橋渡しがお仕事だから、好きに生きてくれて大丈夫。
まぁ、君の場合はね、、、例外だけど。
そうそう、精霊族は基本的に言葉を発せようとすると美しい旋律になるんだよ。
魔境っていう精霊特有の、君の世界でいう魔力を抑える訓練をしたら普通に話せるようになるから、そこは融通してあげられないの。
ごめんね。
例外として先導者としてアルカくんにだけは伝わるから安心してね。
さて、僕からの説明はこのくらいかな?
あとはアルカ・カーツェくんに説明をしてもらってね。
じゃあこの世界を楽しんで。
主神より】
礼華が読み終わったタイミングで、メッセージと共に羊皮紙が消えた。
「♬~♩♫~♫~、♪~♩♫~♬~♪♫~♬?(情報過多だけどなんとか理解したわ。この後はアルカ様が教えてくれるんですか?)」
視線をアルカに戻して礼華は問いかける。
アルカは少し驚いたような顔をする。
「どうぞアルカとお呼びください」
すぐに優しく微笑みながら礼華に伝える。
しまった!!脳内の様付けが!!
礼華は内心少し焦りながら頷いた。
「ありがとうございます。では、はじめにお伝えした通り、育ての親を選んで参りましょう」
また新しい羊皮紙がフワフワと近付いてくる。
今度は複数枚。
「既に種族は決まっておりますが、ご自身の育ての親を選択することができ、それぞれ一枚ずつ親の特徴が記載されております」
アルカの言葉を聞き流しながらそれぞれに目を通していく。
一枚目。
~人族(王族)、一神教国家~
二枚目。
~魔神族(町民)、一神教国家~
三枚目。
~種族混合(王族)、多神教国家~
四枚目。
~エルフ族(村民)、一神教国家~
五枚目。
~竜人族(奴隷)、一神教国家~
、、、最後に変なのが混ざってるって。
んん~、これは迷いどころでは??
「1番平和なところは唯一の多神教国家「ヴェルドリアン」という国でございます」
タイミングよく礼華が目を通し終わるとアルカが三枚目の羊皮紙を少し高く浮かせる。
多神教ということは、日本の八百万の神々と似たような感じね。
もう一度三枚目の羊皮紙に目を通して、アルカに頷き返す。
「私の一存でお決めになってもよろしいのですか?」
「♫~!(もちろんです!)」
だって平和な方が良いし、何よりアルカがお勧めしてくれた国だから大丈夫な気がする!(枯れ専)
礼華の返事で驚きと照れが混じった表情になるアルカ。
かわいいなぁもう!!
内心ニヤついてても、赤ちゃんの姿なのでまだ可愛く見える。
「これからよろしくお願いいたします。礼華様」
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