あなたの人生、なまくらですか?

桐坂数也

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盗賊は深追い注意、で逆撃。

9.戦刃

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「この世には無数の神々がおってな。神刃しんじんはその中のほんの一部にすぎぬ。じゃが、刃に力を与える天刃てんじんとその眷属、神刃はとりわけ人との係わりが深い。

神刃どもはなまじ力を持つがゆえに、現状の変革を怖れている。わけても刃自体が大きな力を持つ武具の神々―――戦刃せんじんどもは、その力ゆえに自分の力への執着がことのほか強い。


戦刃には剣、槍、小太刀などの神がおってな。剣の神刃はわしを含めて四柱おるが、わし以外はみな今の安泰を望んでおる。紅の神ガハララールタラヴァ、緋の神ラールタラヴァ、朱の神シンドールタラヴァ。みな戦乱を司る剣の刃だというのにな。返り血に染まった罪深き身が安泰を望むなど、滑稽であろう?」」

目の前の茜の神マジエトタラヴァは皮肉っぽく笑った。

「槍の神刃、ときの神グラビバーラ、桜の神シェーレバーラは共に黙して語らぬ。どちらとも決めあぐねているようじゃ。

さて、剣の神々は召喚したおのが化身を使い、自身の権威と権勢をあまねく天下にゆき届かせようとしておる。
ほどなく様々な事態が起こるであろう。おぬしがどう感じ、どう対処するか、好きにするがよい。
どう行動しようと、その結果なにが起ころうと、それはおぬしの望みでありわしの望みじゃ。
いや実に、楽しみじゃの」

神はそう言って笑った。

「ずいぶんと語ってしまったの。すぐはも大分疲れたようじゃ。少し寝かせて、休ませてやりたい。
横にならせてもらうぞ。無礼と思うであろうが、このわし、茜の神に免じて大目に見てやってほしい」

そう言うと、老巫女は身を横たえた。

「では、さらばじゃ。おぬしの活躍、楽しみにしておるぞ」

そして老巫女は目を閉じた。



「……大おばさま?」

しのぎがそっと声をかけた。老巫女は答えない。ぐったりとしている。

慌てて立ち上がったしのぎより早く、俊哉が駆け寄り、「診察」を始めた。

道具はないものの、基本的なことはわかる。脈拍、呼吸、顔色。目立った異常は見受けられない。

疲れて眠っているだけのようだ。


「大丈夫だ。心配ない」

俊哉はしのぎを振り返り、大きくうなずいて見せた。しのぎは大きなため息をついて、胸をなでおろした。
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