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6、ぷくぷくしてるから
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「ああ、涼の代わりに伊織が行くとは聞いた」
ケントさんは伊織くんが来ることを知っていたので、少しホッとした。でも伊織くんが来て良かったのかなあ。キスしたことは言ってないけど。
「駐輪場で倒れていたお前を助けてくれたの、伊織だろ。命の恩人じゃないか」
そうだった。肺を損傷した原因になった事件で、寮に帰ろうと駐輪場で倒れ込んだ俺を見つけてくれたのは森内くんと伊織くんだった。あの時2人が救急車を呼んでくれなかったら、俺はおそらく死んでいただろう。
「ケント先生~、あまね先パイとえっちしてもいいですか~?」
横から伊織くんが口を挟んできた。
な、なんて直球なんだっ。
「はあ? なんでだよ」
ケントさんの声はあきれていた。
「あまね先パイ、勃ってるからです~イカせてもいいでしょ?」
「いい伊織くんっ!!」
ヤバいヤバいっ。
なんか外堀埋めたり作戦あるのかなあなんて思っていた俺が馬鹿だった。
伊織くんそんなタイプじゃなかったあああ!
伊織くんにこれ以上話させたら、ケントさん怒っちゃうよ。
「ケ、ケントさん、しないから心配しないでっ」
「……今からはダメだ。オレが帰ってからしろ」
えっ?!
「早退するから洗って待ってろ」
ケ、ケントさん~!!
「わーい♡♡じゃあお風呂でキレイにしときますね~♡♡」
電話を切ると、俺は伊織くんに噛みついた。
「伊織くんっどうするの?! ほんとに俺としちゃうの!!」
「3pということになりますねえ。おれ初めてですう♡♡」
や、やだ~っ!!
以前、寮での元同室者であった喜多嶋先輩を交えてセックスをしたことがある。
ケントさんは俺の過去にまで嫉妬し、喜多嶋先輩との思い出をぶち壊そうと先輩を支配下において俺に奉仕させた。それから、自分との乱暴で淫らなセックスを見せつけた。
複数での良い記憶なんかなにもない。ただ辛いだけだ。
「お風呂どこですか~?」
にこにこと笑顔を向ける伊織くんに、俺はなにも言えずに不安の表情を返した。
すると、それに気づいて伊織くんは優しく顔を撫でてくれた。
「ケント先生は、わかってるんですよ。自分じゃ勃たないって。おれで反応したの、なんでかわかりますか?」
「え……」
「おれのこと、男だと思いますか?」
「……男の子だよ? かわいい男の子」
身長はまだ俺より低そうだけど、筋肉がついたのかずいぶんとたくましくなった気がする。
「オス、って感じしますか?」
オス。うーん。
俺は困ってしまった。
「たぶん、あまね先パイは身体がこわがってるんですよ」
怖がってる。
「思い出させてすみませんけど、ケント先生とかコーチって、絶対ネコできないタイプでしょ。バリタチ」
堂本コーチ。俺を殴って折れた肋骨を肺に刺した男。まあ自業自得なんだけど。コーチをはめて動画を撮ろうとし、かなり無茶なことをした俺が悪かった。
でも俺は納得してコーチとセックスしたはずだけど。
身体は恐怖を感じていたのかな。
……わからない。
ケガに関しては、俺は堂本コーチのことを恨んでもないし怖がってもいないつもりだったのに。
つもり、だったのかな。
「一ノ瀬先パイはタチよりのリバかな? まあ雄々しいですよねえ。おれと違うのはわかるでしょ」
リバ。どっちもできるってことか。
たしかに伊織くんはタチって感じしない。
「おれはほぼネコよりのリバってこと。たぶんタチできるのあまね先パイとだけかも。おれ挿れられたいし~♡♡」
ということは俺はバリネコか。そういえば以前伊織くんにバリネコのドMさん、と言われたな。
「あまね先パイは身体が拒否してるんですよ。恐怖を感じちゃってる。おれなら、こわくないでしょ?」
そうだ、伊織くんは怖くない。
キスされる時身体がこわばったけど、一瞬で硬直が解けた。
伊織くん、かわいいもの。
ぱっちり二重で、ヒゲもない。
ぷくぷくしてて、なんだかぬいぐるみみたい。
丸顔だから?
雄々しい、とは無縁の子。
「……今ぷくぷくだなあと思ってるでしょ。おれ、これでも筋肉ついたんですよ?」
「あ、ごめん。たくましくなったなって思ったよ。でもかわいいのは変わらない。少し左目の下のホクロ濃くなったね? すごく魅力的」
「ほんとですか~? うれしい♡♡」
ぷくーとすねた顔が瞬時に笑顔に変わり、相変わらずころころと表情が変わるなあと思った。
「ささ、お風呂行きましょ。おれ洗うの得意ですよ♡♡」
ええー。
「あ、ちょちょっと先にトイレ行こうかな……」
中洗うのって、普通1人でするんじゃないかな。後輩にしてもらうなんて恥ずかしい……。
いつもはお風呂でしてたけど、ウォシュレットで少しキレイにしておこう。あまりに汚かったら、俺恥ずかしくて死んじゃう……。
ケントさんは伊織くんが来ることを知っていたので、少しホッとした。でも伊織くんが来て良かったのかなあ。キスしたことは言ってないけど。
「駐輪場で倒れていたお前を助けてくれたの、伊織だろ。命の恩人じゃないか」
そうだった。肺を損傷した原因になった事件で、寮に帰ろうと駐輪場で倒れ込んだ俺を見つけてくれたのは森内くんと伊織くんだった。あの時2人が救急車を呼んでくれなかったら、俺はおそらく死んでいただろう。
「ケント先生~、あまね先パイとえっちしてもいいですか~?」
横から伊織くんが口を挟んできた。
な、なんて直球なんだっ。
「はあ? なんでだよ」
ケントさんの声はあきれていた。
「あまね先パイ、勃ってるからです~イカせてもいいでしょ?」
「いい伊織くんっ!!」
ヤバいヤバいっ。
なんか外堀埋めたり作戦あるのかなあなんて思っていた俺が馬鹿だった。
伊織くんそんなタイプじゃなかったあああ!
伊織くんにこれ以上話させたら、ケントさん怒っちゃうよ。
「ケ、ケントさん、しないから心配しないでっ」
「……今からはダメだ。オレが帰ってからしろ」
えっ?!
「早退するから洗って待ってろ」
ケ、ケントさん~!!
「わーい♡♡じゃあお風呂でキレイにしときますね~♡♡」
電話を切ると、俺は伊織くんに噛みついた。
「伊織くんっどうするの?! ほんとに俺としちゃうの!!」
「3pということになりますねえ。おれ初めてですう♡♡」
や、やだ~っ!!
以前、寮での元同室者であった喜多嶋先輩を交えてセックスをしたことがある。
ケントさんは俺の過去にまで嫉妬し、喜多嶋先輩との思い出をぶち壊そうと先輩を支配下において俺に奉仕させた。それから、自分との乱暴で淫らなセックスを見せつけた。
複数での良い記憶なんかなにもない。ただ辛いだけだ。
「お風呂どこですか~?」
にこにこと笑顔を向ける伊織くんに、俺はなにも言えずに不安の表情を返した。
すると、それに気づいて伊織くんは優しく顔を撫でてくれた。
「ケント先生は、わかってるんですよ。自分じゃ勃たないって。おれで反応したの、なんでかわかりますか?」
「え……」
「おれのこと、男だと思いますか?」
「……男の子だよ? かわいい男の子」
身長はまだ俺より低そうだけど、筋肉がついたのかずいぶんとたくましくなった気がする。
「オス、って感じしますか?」
オス。うーん。
俺は困ってしまった。
「たぶん、あまね先パイは身体がこわがってるんですよ」
怖がってる。
「思い出させてすみませんけど、ケント先生とかコーチって、絶対ネコできないタイプでしょ。バリタチ」
堂本コーチ。俺を殴って折れた肋骨を肺に刺した男。まあ自業自得なんだけど。コーチをはめて動画を撮ろうとし、かなり無茶なことをした俺が悪かった。
でも俺は納得してコーチとセックスしたはずだけど。
身体は恐怖を感じていたのかな。
……わからない。
ケガに関しては、俺は堂本コーチのことを恨んでもないし怖がってもいないつもりだったのに。
つもり、だったのかな。
「一ノ瀬先パイはタチよりのリバかな? まあ雄々しいですよねえ。おれと違うのはわかるでしょ」
リバ。どっちもできるってことか。
たしかに伊織くんはタチって感じしない。
「おれはほぼネコよりのリバってこと。たぶんタチできるのあまね先パイとだけかも。おれ挿れられたいし~♡♡」
ということは俺はバリネコか。そういえば以前伊織くんにバリネコのドMさん、と言われたな。
「あまね先パイは身体が拒否してるんですよ。恐怖を感じちゃってる。おれなら、こわくないでしょ?」
そうだ、伊織くんは怖くない。
キスされる時身体がこわばったけど、一瞬で硬直が解けた。
伊織くん、かわいいもの。
ぱっちり二重で、ヒゲもない。
ぷくぷくしてて、なんだかぬいぐるみみたい。
丸顔だから?
雄々しい、とは無縁の子。
「……今ぷくぷくだなあと思ってるでしょ。おれ、これでも筋肉ついたんですよ?」
「あ、ごめん。たくましくなったなって思ったよ。でもかわいいのは変わらない。少し左目の下のホクロ濃くなったね? すごく魅力的」
「ほんとですか~? うれしい♡♡」
ぷくーとすねた顔が瞬時に笑顔に変わり、相変わらずころころと表情が変わるなあと思った。
「ささ、お風呂行きましょ。おれ洗うの得意ですよ♡♡」
ええー。
「あ、ちょちょっと先にトイレ行こうかな……」
中洗うのって、普通1人でするんじゃないかな。後輩にしてもらうなんて恥ずかしい……。
いつもはお風呂でしてたけど、ウォシュレットで少しキレイにしておこう。あまりに汚かったら、俺恥ずかしくて死んじゃう……。
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