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5・④再び
病室で秘密を語る
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「えっ、じゃあその人が勝手に連絡先消去しちゃったんですね」
3日後、ようやく起き上がれるようになり、ケントさんとの会話もずいぶんスムーズにできるようになった。
「ああ、悪かったな。あの日誕生日祝いで、夕方から飲んでたんだ」
「え、誰の誕生日?」
「オレ」
「うそ……す、すみません、俺知らなくて」
「言ってなかったからな」
「今度、お祝いさせてくださいね」
「えー? 楽しみだなあ」
ケントさんが考えてることがなんとなくわかって、俺はカッと赤くなった。
「……で、そのときに飲んでたやつに、勝手に電話されてたみたいだな。指紋認証なんだけど酔っぱらってて気付かなかった」
「俺のこと、邪魔じゃなかった、ですよね?」
「お? 少し自信持てるようになったな。親の代わりに面倒みたいぐらいに好きだよ」
「……ありがとうございます」
一旦は気落ちしたが、ちゃんと会って話したら安心できた。ケントさんの愛情が、全身から伝わってくるからだ。
「ねえ、ケントさん、まだ時間大丈夫ですか?」
「あと30分くらいは大丈夫」
「家族のこと、俺からちゃんと話しときたくて」
「話したくなった?」
「連絡だけして、世話はケントさんがしてくれるってことは、誰かに事情聞いてますよね?」
「寮母さんと、電話口に厚かましく割り込んで来た一ノ瀬に聞いた。あとごめん、スマホ見た。お前まだロックかけてないんだな」
スマホ見られたか、まあいいけど。
「話せば長くなるんですけど、簡単に説明すると」
「あ、やっぱちゃんと聞きたいから、退院してからうちに来いよ」
「いやケントさんち行くと話が途中で終わるじゃないですか~」
「確かに」
自覚してたんかい。と心の中でツッコんだ。
「いやもう言いたくなったんで、早口でちゃちゃっと説明しときますね、俺が小さい頃から親父が不倫してて、」
「ちょ、ちょっと待て。ほんとに込み入った話なんだな」
「そうです。複雑な家庭環境で育った、かわいそうな子です」
「言われたくないんじゃなかったの」
「もう、ケントさんには知ってもらいたい。そんで、俺がどんだけがんばってきたか知った上で、好きになってください」
俺は、自分で言っといて恥ずかしくなったが、ケントさんなら大丈夫な気がしてつい強気で言ってしまった。
「親父が、婿養子で立場が弱かったのもあるんですけど、小さい頃から不倫してて、別宅に俺の妹と同い年の娘さんがいるんです。俺が中2のときに、それを知った母が、発狂してしまい、妹と無理心中を図りました。母さんは数日後に死亡し、妹は植物状態になり、2年前に死にました。この前の法事は、妹の三回忌です。母さんの墓はこの前のところですけど、妹はまだ納骨済ませてなくて、神崎家に保管してるみたいです。親父は別宅で家族やってて、一応俺もそっちなんですけど、折り合いがつかないので寮のある咲月学園に進学しました。特待生で入ってるので学費と寮費は免除されてます。なるべく親父と神崎家に頼らないように生きたいとがんばってきました」
一気に秘密をしゃべって、ひどく脱力してしまったが、今まで誰にも言えずにいたことを話せて、なんだかスッキリした。
「あと俺がカメラアイということもあって、母には気味悪がれて育ちました。反対に能力以上のことも期待されて……トラブル起こしちゃって、母の実家の神崎家とは仲良くないです。特に、溺愛していた妹が亡くなったのは、今もひどく責められてます。親父は別宅の3人で家族やってるし、俺の居場所はないです」
「……」
ケントさんは俺の手を握って聞いてくれていたが、話し終わると腰をあげて俺を抱きしめてくれた。
耳元で、小さく「よく、がんばったな」とささやかれた。
俺はようやく、暗くよどんだ水の中から顔を出せた気がした。
3日後、ようやく起き上がれるようになり、ケントさんとの会話もずいぶんスムーズにできるようになった。
「ああ、悪かったな。あの日誕生日祝いで、夕方から飲んでたんだ」
「え、誰の誕生日?」
「オレ」
「うそ……す、すみません、俺知らなくて」
「言ってなかったからな」
「今度、お祝いさせてくださいね」
「えー? 楽しみだなあ」
ケントさんが考えてることがなんとなくわかって、俺はカッと赤くなった。
「……で、そのときに飲んでたやつに、勝手に電話されてたみたいだな。指紋認証なんだけど酔っぱらってて気付かなかった」
「俺のこと、邪魔じゃなかった、ですよね?」
「お? 少し自信持てるようになったな。親の代わりに面倒みたいぐらいに好きだよ」
「……ありがとうございます」
一旦は気落ちしたが、ちゃんと会って話したら安心できた。ケントさんの愛情が、全身から伝わってくるからだ。
「ねえ、ケントさん、まだ時間大丈夫ですか?」
「あと30分くらいは大丈夫」
「家族のこと、俺からちゃんと話しときたくて」
「話したくなった?」
「連絡だけして、世話はケントさんがしてくれるってことは、誰かに事情聞いてますよね?」
「寮母さんと、電話口に厚かましく割り込んで来た一ノ瀬に聞いた。あとごめん、スマホ見た。お前まだロックかけてないんだな」
スマホ見られたか、まあいいけど。
「話せば長くなるんですけど、簡単に説明すると」
「あ、やっぱちゃんと聞きたいから、退院してからうちに来いよ」
「いやケントさんち行くと話が途中で終わるじゃないですか~」
「確かに」
自覚してたんかい。と心の中でツッコんだ。
「いやもう言いたくなったんで、早口でちゃちゃっと説明しときますね、俺が小さい頃から親父が不倫してて、」
「ちょ、ちょっと待て。ほんとに込み入った話なんだな」
「そうです。複雑な家庭環境で育った、かわいそうな子です」
「言われたくないんじゃなかったの」
「もう、ケントさんには知ってもらいたい。そんで、俺がどんだけがんばってきたか知った上で、好きになってください」
俺は、自分で言っといて恥ずかしくなったが、ケントさんなら大丈夫な気がしてつい強気で言ってしまった。
「親父が、婿養子で立場が弱かったのもあるんですけど、小さい頃から不倫してて、別宅に俺の妹と同い年の娘さんがいるんです。俺が中2のときに、それを知った母が、発狂してしまい、妹と無理心中を図りました。母さんは数日後に死亡し、妹は植物状態になり、2年前に死にました。この前の法事は、妹の三回忌です。母さんの墓はこの前のところですけど、妹はまだ納骨済ませてなくて、神崎家に保管してるみたいです。親父は別宅で家族やってて、一応俺もそっちなんですけど、折り合いがつかないので寮のある咲月学園に進学しました。特待生で入ってるので学費と寮費は免除されてます。なるべく親父と神崎家に頼らないように生きたいとがんばってきました」
一気に秘密をしゃべって、ひどく脱力してしまったが、今まで誰にも言えずにいたことを話せて、なんだかスッキリした。
「あと俺がカメラアイということもあって、母には気味悪がれて育ちました。反対に能力以上のことも期待されて……トラブル起こしちゃって、母の実家の神崎家とは仲良くないです。特に、溺愛していた妹が亡くなったのは、今もひどく責められてます。親父は別宅の3人で家族やってるし、俺の居場所はないです」
「……」
ケントさんは俺の手を握って聞いてくれていたが、話し終わると腰をあげて俺を抱きしめてくれた。
耳元で、小さく「よく、がんばったな」とささやかれた。
俺はようやく、暗くよどんだ水の中から顔を出せた気がした。
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