【完結】コドクニアラズ ~淫らな『なんでも屋』~

ナツキ

文字の大きさ
33 / 102
5・④再び

病室で秘密を語る

しおりを挟む
「えっ、じゃあその人が勝手に連絡先消去しちゃったんですね」

3日後、ようやく起き上がれるようになり、ケントさんとの会話もずいぶんスムーズにできるようになった。

「ああ、悪かったな。あの日誕生日祝いで、夕方から飲んでたんだ」

「え、誰の誕生日?」

「オレ」

「うそ……す、すみません、俺知らなくて」

「言ってなかったからな」

「今度、お祝いさせてくださいね」

「えー?  楽しみだなあ」
ケントさんが考えてることがなんとなくわかって、俺はカッと赤くなった。

「……で、そのときに飲んでたやつに、勝手に電話されてたみたいだな。指紋認証なんだけど酔っぱらってて気付かなかった」

「俺のこと、邪魔じゃなかった、ですよね?」

「お?  少し自信持てるようになったな。親の代わりに面倒みたいぐらいに好きだよ」

「……ありがとうございます」

一旦は気落ちしたが、ちゃんと会って話したら安心できた。ケントさんの愛情が、全身から伝わってくるからだ。

「ねえ、ケントさん、まだ時間大丈夫ですか?」

「あと30分くらいは大丈夫」

「家族のこと、俺からちゃんと話しときたくて」

「話したくなった?」

「連絡だけして、世話はケントさんがしてくれるってことは、誰かに事情聞いてますよね?」

「寮母さんと、電話口に厚かましく割り込んで来た一ノ瀬に聞いた。あとごめん、スマホ見た。お前まだロックかけてないんだな」


スマホ見られたか、まあいいけど。


「話せば長くなるんですけど、簡単に説明すると」

「あ、やっぱちゃんと聞きたいから、退院してからうちに来いよ」

「いやケントさんち行くと話が途中で終わるじゃないですか~」

「確かに」
自覚してたんかい。と心の中でツッコんだ。

「いやもう言いたくなったんで、早口でちゃちゃっと説明しときますね、俺が小さい頃から親父が不倫してて、」

「ちょ、ちょっと待て。ほんとに込み入った話なんだな」

「そうです。複雑な家庭環境で育った、かわいそうな子です」

「言われたくないんじゃなかったの」

「もう、ケントさんには知ってもらいたい。そんで、俺がどんだけがんばってきたか知った上で、好きになってください」
俺は、自分で言っといて恥ずかしくなったが、ケントさんなら大丈夫な気がしてつい強気で言ってしまった。

「親父が、婿養子で立場が弱かったのもあるんですけど、小さい頃から不倫してて、別宅に俺の妹と同い年の娘さんがいるんです。俺が中2のときに、それを知った母が、発狂してしまい、妹と無理心中を図りました。母さんは数日後に死亡し、妹は植物状態になり、2年前に死にました。この前の法事は、妹の三回忌です。母さんの墓はこの前のところですけど、妹はまだ納骨済ませてなくて、神崎家に保管してるみたいです。親父は別宅で家族やってて、一応俺もそっちなんですけど、折り合いがつかないので寮のある咲月学園に進学しました。特待生で入ってるので学費と寮費は免除されてます。なるべく親父と神崎家に頼らないように生きたいとがんばってきました」

一気に秘密をしゃべって、ひどく脱力してしまったが、今まで誰にも言えずにいたことを話せて、なんだかスッキリした。

「あと俺がカメラアイということもあって、母には気味悪がれて育ちました。反対に能力以上のことも期待されて……トラブル起こしちゃって、母の実家の神崎家とは仲良くないです。特に、溺愛していた妹が亡くなったのは、今もひどく責められてます。親父は別宅の3人で家族やってるし、俺の居場所はないです」

「……」
ケントさんは俺の手を握って聞いてくれていたが、話し終わると腰をあげて俺を抱きしめてくれた。
耳元で、小さく「よく、がんばったな」とささやかれた。


俺はようやく、暗くよどんだ水の中から顔を出せた気がした。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(2024.10.21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

処理中です...